No.603435

【恋姫二次創作】死神の毒 初陣~後編~

恋姫夢想の二次創作です。

ダーク主人公なので好き嫌いが分かれると思います。

基本的には原作を進んでいきます。

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2013-07-31 15:35:21 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1039   閲覧ユーザー数:983

 

~引き続き一刀side~

 

「全軍停止!!これより我が軍は鶴翼の陣を敷く!!各員粛々と移動せよ!!」

 

本陣からの伝令が、命令を伝えながら前線に向かって駆け去って行った。

 

「いよいよですね。」

 

「ああ。兵隊さんたちの指揮は愛紗、鈴々、ソウ。宜しく頼むな。」

 

「合点なのだ!!」

 

「任されましたぁ。」

 

「桃香様はご主人様と共に。」

 

「うん。三人とも気をつけてね。」

 

「御意。では!!」

 

ペコッと俺たちにお辞儀をした愛紗が、

 

「聞けぃ!!劉備隊の兵どもよ!!

 

敵は組織化もされていない雑兵どもだ!!

 

気負うな!!

 

さりとて慢心するな!!

 

公孫賛殿の下、共に戦い、勝利を味わおうではないか!!」

 

「応っ!!」

 

「今より、戦訓を授ける!!心して聞けぃ!!」

 

「応っ!!」

 

「兵隊の皆は三人一組になるのだ!!一人の敵に三人で当たれば必勝なのだ!!」

 

「一人は敵と対峙し、防御をしてください。一人は防御している横から攻撃をするのです。そして、最後の一人が周囲を警戒するのです。

 

決して、敵に情けをかけてはいけませんよ!!甘い考えの者ほど先に死にますからねぇ。」

 

「皆、一生懸命戦い!勝ち!平和な暮らしを取り戻すのだ!!」

 

「「「「「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

「しっかり、自分の隊の将の命令を聞けよ!!全軍、戦闘態勢を取れ!!」

 

愛紗の号令と共に兵士たちが抜刀する。

 

それと同時に、

 

「盗賊たちが突出してきました!!」

 

緊迫した面持ちの伝令が、本陣に向かって疾走していく。

 

「いよいよ戦いなのだ!!みんな鈴々に続けーーーーっ!!」

 

「関羽隊、我らも行くぞ!!」

 

「僕の隊のみなさん。死ぬのは家族に見守られながら、ですよ!!」

 

「応っ!!」

 

「「「全軍、突撃ぃぃーーーーーーーーーーーーっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賊軍5000

 

[陣形 無陣形]

 

 

 

公孫賛軍3000

 

[陣形 鶴翼の陣]

 

 

 

~ソウside~

 

僕たちの部隊は、賊軍へと突撃をする。

 

先頭がぶつかるまでもう少しでしょう。

 

今ここで僕たちの実力を示さねば、白蓮殿に見限られますからねぇ。

 

相手はこちらより兵は多いですが、作戦もなく、ただただ攻めてくるだけ。

 

鍛えられた公孫賛軍の敵ではないでしょうし、こちらの将の方が優秀ですから。

 

先手必勝、主導権を奪い、一気に倒しましょうかねぇ。

 

「敵は高が盗賊、僕らの初陣にしては少々物足りないですかね?」

 

後ろの方から女性の声が聞こえます。

 

「油断しちゃ駄目だよ~!!三人とも~!!」

 

するとやや前からも、

 

「油断はしないけど盗賊なんて指先ひとつで終わりなのだ!!」

 

「あべしっ!!」

 

何でしょうか、敵の盗賊もノリノリですねぇ。

 

「ええい野郎ども!!あの女どもを捕まえて、夜に楽しませて貰おうぜ!!ただし、男と幼女は殺せーー!!」

 

「ふざけんなーー!!幼女も捕まえろーー!!」

 

「あの男の子も捕まえてちょうだーーい!!」

 

「「「「「やってやるぞーーーーーーーー!!」」」」」

 

今度は一致団結しましたね。

 

まぁ、いいです。

 

さっさと殺りますか。

 

「今ですねぇ。皆、迎撃に切り替えて敵をいなし、隙を突くのですよ!!」

 

「「「「「おおーーーーーーーっ!!」」」」」

 

僕の隊の人は一旦止まり、突っ込んでくる敵を的確に仕留めていく。

 

他の隊も闇雲に突っ込むより、いなしながら隙を突く。

 

「うわぁっ!?」

 

「なんだこいつらぁ、三対一なんて卑怯だ!!」

 

「今助けるっ!?ぐぁっ!!」

 

三対一をしっかり守っているようで被害を最小限にしつつ、敵を殺していく。

 

「三人が乱れた者は少し下がり、また三人で敵を討ちなさいねぇ。」

 

「「「「「おおーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

兵たちは一歩も引かず、三人を崩された者も、また前線に戻ってくる。

 

「隊長首貰ったっ!?んがぁっ!!」

 

「まだまだ、甘いですねぇ!!」

 

僕はマントの中から連弩を取り出し、僕の首を取ろうとした者の額に撃ち込む。

 

ちなみに、鎌は騙す相手の前では出しませんよ。

 

連弩はこのように突然来た時の予備です。

 

使いづらいので普段は使いませんがね。

 

「さぁ、今こそ突撃ですよ!!相手に一泡吹かせてやりなさい!!」

 

「「「「「おおーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

兵たちは次々と賊を倒す。

 

「ん?あの方が将ですか……ふむ。」

 

あの目、間違いなさそうですね。

 

これは良い収穫ですねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~更に一刀side~

 

「よし、敵は総崩れだ!!今こそ我らの力を見せつけるとき!!」

 

「みんな、鈴々に続くのだ!!」

 

周囲の兵を勇ましく励ました二人が、戦線を崩壊させた盗賊団に敢然と立ち向かっていく。

 

それに呼応するかのように、中央と右翼の軍も突撃を開始する。

 

大地を揺るがす怒涛の足音。

 

その響きは腹の奥底まで響き伝わってくる。

 

「スゴイな……」

 

雄壮だけど……でもどこか戦慄にも似た感情を覚えてしまう。

 

「ご主人様、まだ怖いの?」

 

「えっ!?」

 

俺の顔を覗き込んだ桃香が、心配そうな表情で俺の手を握る。

 

「ご主人様が、何か辛い思いをしてるんじゃないかって、そんな気がして……」

 

「……顔に出てた?」

 

「ううん。出てはいないけど。……でもね、辛そうだなって思ったの。」

 

「……そっか。」

 

桃香の勘の鋭さに舌を巻く思いをしながら、俺は思っていたことを口にする。

 

「目の前で戦いが起こって、そして人が死んでいく……そういうのを見ると、やっぱり辛いよ。」

 

「優しいんだね、ご主人様……」

 

「そういうんじゃない。多分……慣れてないだけなんだろうけど……」

 

決して敗者に同情している訳じゃない。

 

無限の優しさなんて持っていない。

 

何せ、さっきまで戦っていた敵は、暴力を武器に力無き人たちを蹂躙してきた奴らだ。

 

だけど……それでも人間なんだ。

 

やっていたことの報いとはいえ、無惨に殺されていく人間を目の当たりにすれば、冷静なんかいられない。

 

胃の腑の辺りに感じる強烈な不快感。

 

ともすれば胃液が逆流しそうなほどの不愉快さに、俺はきつく眉を顰める。

 

「辛そうだね……。だけどね、ご主人様。そういったもの全てを受け止めなければ、人を助けることは出来ないよ?」

 

「……そうだよな。」

 

全ての人を助けるなんてことできっこない。

 

なら、自分の周囲に居る。

 

周囲に居てくれる人間を守るために、自分たちの敵と対峙するしかない。

 

敵、味方。

 

それは一方的な見方でしか無いけれど、人はその一方的な見方でしか生きていけないんだから。

 

「……もう大丈夫。」

 

俺の手を握っていてくれた桃香に微笑みを返し、俺はしっかりと前を向いた。

 

こうして――――。

 

愛紗や鈴々やソウ、そして星たちの活躍もあって、公孫賛軍は完全なる勝利を手に入れた。

 

意気揚々と引き上げる兵たちの中、俺たちは白蓮たちと合流する。

 

「完全なる勝利、だったな。いやぁ、良かった良かった~。」

 

「やったね、白蓮ちゃん♪よっ、さすがっ!」

 

「いやいや。桃香たちの力あってこそだよ。ありがとう。」

 

「えへへ、そういって貰えると嬉しいな♪」

 

お気楽な様子で会話している二人を尻目に、

 

「しかし……伯珪殿。最近、何やらおかしな雰囲気を感じないか?」

 

星が空を睨みながら問い掛ける。

 

「おかしな雰囲気……?どうだろう。私は特に感じたことは無いけど。」

 

「白蓮ちゃん、のんびりしてるねぇ~。」

 

「むむっ。……確かにのんびりしているかもしれないが、桃香に言われるのは無性に腹が立つ……」

 

「あ、ひどぉい!私は白蓮ちゃんみたいに、のんびりなんかしてないもんね!」

 

「そう思っているのはお姉ちゃんだけなのだ!」

 

くっくっ、と喉を鳴らして笑う鈴々に、

 

「ぶー。鈴々ちゃんまでそんなこと言うの?みんなひどーい!!」

 

プンスカと頬を膨らませて抗議する桃香と、更に馬鹿にする鈴々は、キャイキャイと騒ぐ。

 

と、その様子を微笑みと共に見つめていた愛紗が、

 

「しかし、星の言うことも尤も。最近、特に匪賊共の動きが活発化しているようにも感じます。」

 

至極マジメな顔でポツリと呟いた。

 

「お主もそう思うのか……」

 

「ああ。ここしばらく、匪賊は増加の一方だ。その者共が村を襲い、人を殺し、財貨を奪う。……地方ではすでに飢饉の予兆すら出ている。」

 

「収穫した作物も奪われたりするんだから、当然飢饉も起こっちゃうのだ……」

 

「うむ。それと共に、国境周辺で五胡の影もちらついているという。……何かが起ころうとしている。そう思えるな。」

 

「大きな動乱に繋がるかもしれん、か……」

 

「多分……いや、きっとそうなるだろうね。」

 

「ご主人様もそうお考えで?」

 

「うん。匪賊ってヤツだけじゃない。いつか、暴政に対しての爆発が起こると思う。」

 

俺が知っている三国志と、この世界が同じなら、きっとそうなる。

 

「その動乱の渦の中で、俺たちはどうやって立って行くのか。……それが問題だと思うよ。」

 

「そう……ですね。」

 

小さく呟きながら、愛紗は遠い未来を見据えるように天空を見上げる。

 

視界一杯に広がる蒼い蒼い空。

 

だが俺たちには……大陸を覆う暗雲が、初陣を飾った俺たちの前に不気味にその身を横たえている―――。

 

そんな気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あんた。本当におらを助けてくれるのか?」

 

「えぇ、そうですよ。あなたにはその瞳の奥に秘められた力を感じましたからねぇ。」

 

装は先ほどの盗賊軍の頭と共に行動していた。

 

「ほら、これを持って南蛮まで行きなさい。そこに居る南蛮大王にこれを渡せば、我が国に来ることが出来ますよ。」

 

装は盗賊に木簡を渡す。

 

「本当に、その国ならおらの望むものが手に入るのか?」

 

「本当ですとも。金から容姿、権力から命まで全てを得ることが出来ます。喜んでいいですよ。我が国には死者をも蘇らす力がありますからねぇ。」

 

盗賊は木簡を抱え込み、涙を流す。

 

「これで、息子を…嫁を…幸せにしてやれる。まさに天国みたいな場所だ。」

 

「天国ですか……ケケッ、まぁある意味正解ですねぇ。」

 

「あぁ、ありがとう。ありがとう。」

 

「あっ、あと我が国に居る、偉い立場で水晶玉を持っている黒髪の女性に『もうすぐ、始められる。』と伝えておいてください。」

 

「分かった。必ず伝える。」

 

「ケケッ、では行ってらっしゃい。希望を叶えてきてくださいねぇ。」

 

 

 

 

 

 


 
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