No.603079

ALO~聖魔の剣~ 第5剣 聖剣を求めて

本郷 刃さん

第5剣になります。
今回からキャリバー編に入りますよ。

どうぞ・・・。

2013-07-30 09:47:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:11890   閲覧ユーザー数:10874

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5剣 聖剣を求めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

本日は12月28日の日曜日。昨日で学校が終わり、少し長めの休みに入ったことで、

珍しくも久しぶりに十分な睡眠を取ることにし、目が覚めたのは午前9時頃だ。

ベッドから起き上がり、私服に着替えてから洗顔などを済ませ、

リビングに入った俺は朝食を用意してありつこうとしたのだが…、

 

「お兄ちゃん、大変だよ!」

「どうした、妹よ。刻と喧嘩でもしたのか?」

「するわけないよ、ラブラブだもん!……じゃなくて///! いいから、これ見てよ!」

「ただの冗談だ」

 

騒ぎ立てるスグ。少しばかりからかってから、彼女が差し出したタブレット端末に表示されている記事を読む。

どうやら『MMOトゥモロー』のニュース記事のようで、そこには1つの風景写真が載せられており、

見出しには大きくこう書かれていた。

 

――最強にして伝説、『聖剣エクスキャリバー』、ついに発見される!

 

「ふむ、今更か…」

「今更って…でも、あたし達が見つけてだいぶ経つから、確かに少し遅いのかも」

 

見出しに対しての俺の反応はこんなもの。

ヨツンヘイムの遥か上空にあるダンジョンにあるということは聞いていたが、俺は実際に見たわけではない。

本来ならば、ALOが復活した時点で行ってみようという話しが上がっていたのだが、

どうにも忙しかった為に後回しにした結果、いまに至ったというわけだ。

 

「見たところ、まだ誰も手に入れたわけではなさそうだな」

「うん、そうみたいだよ。もしかしたら、あたし達と同じで獣型邪神にクエストフラグをたてたプレイヤーがいるのかも…。

 だとしたら、誰かに取られちゃうのも時間の問題だよね?」

 

スグの問いかけに頷いて応じる。記事には誰かが入手したということは書かれていない。

しかし、ソードスキルなどが導入された結果、ヨツンヘイムなどでの攻略難度も下がったといえるので、

彼女の言う通り、誰かが何時入手してもおかしくはないか。

 

「剣士として、ゲーマーとして、この剣は手に入れたいところだな」

「明日奈さん達も、この剣は最強の剣士であるお兄ちゃんに相応しいって、言ってたよ」

「そうであればいいが……スグ、トンキーに乗れる上限は7人だったよな?」

 

今度はスグが頷く。7人か……この場合、誰と行くかが問題だよなぁ~。

というか、みんな行きたいと思うはずだし…。

 

「取り敢えず、さっさと朝飯食べて、みんなに連絡入れるか」

「さんせ~い♪」

 

俺達は早々と朝食を済ませ、メールで仲間にエクスキャリバーを手に入れに行く旨を伝え、

イグ・シティにあるリズベット武具店で参加メンバーを募ることにした。

 

和人Side Out

 

 

 

キリトSide

 

イグ・シティのリズベット武具店前。

集まったのは俺、アスナ、リーファ、ルナリオ、ハクヤ、リズ、ヴァル、

シリカ、ハジメ、シノン、クラインの11人、それに加えてユイという面子だ。

ここからユイを除いて7名を選出することになる。

ちなみに、シャイン(公輝)ティアさん(雫さん)は朝霧関係の事情で、カノンさん(奏さん)も家の用事で、

クーハ(九葉)リンク()も八雲師匠関連の手伝いや同伴で来ることができなかった。

 

「さて…ここからメンバーを絞らないといけないんだが、どうしようか?」

「キリトとアスナは確定だろ? あと、トンキーが一番懐いてるリーファちゃんも決定」

 

俺の言葉にハクヤが答えた。みんなの反応も同じようなものなので、俺達3人は決定だろう。残るは4人か…。

 

「俺は残る。どうにも、ヨツンヘイムで行われてるキャリバー獲得クエが怪しい。そっちを調べたいからな」

「なら、僕もハクヤさんにつきますね」

「ハクヤが残るなら、あたしも残るわ」

「あたしも。ヴァルくんが残るのなら…」

 

ハクヤが気に掛かっているという『聖剣エクスキャリバー』獲得クエスト。

それはアスナ達が見つけたトンキーのクエストとは違い、ヨツンヘイムでNPCが提示した別種のクエストが見つかり、

それが他のプレイヤー達が行っているものらしい。

しかも内容が虐殺系(スローター)クエストで、指定されたモンスターを多く討伐するものということ。

俺とハクヤはそれを怪しく思い、彼が取り掛かってくれるようだ。

ヴァルも思うところがあるらしいし、リズとシリカはまぁ2人と一緒の方がいいということだろう。

 

「なら残りの4人はルナリオ、ハジメ、シノン、クラインで決定だな。ユイも、頼むぞ」

「了解っす!」

「……心得た」

「OK」

「よっしゃ! いっちょ、やってやるか!」

「お任せください、パパ!」

 

4人とユイがそれぞれ応える。

パーティーメンバーは俺、アスナ、リーファ、ルナリオ、

ハジメ、シノン、クラインの7人とナビゲーションピクシーのユイで決定した。

 

「リズ、わたし達の装備のメンテをお願いね」

「任せなさい! バッチリと全武器フル回復させてあげるから!」

「シリカ。僕達はみんなの分の回復アイテムを買いに行こ」

「うん! ピナもおいで」

「きゅう~♪」

 

アスナはリズに武器のメンテを頼み、ヴァルはシリカとピナを連れだって買い出しに行ってくれた。

俺達も装備の状態を確認しながら、リズによる武器の調整を待つ。

 

「そうだ、キリの字よぉ。上手くキャリバーをゲットできたら、『霊刀カグツチ』取りに行くの手伝ってくれや」

「それなら私も。『光弓シェキナー』が欲しいかな」

「わたしも『神杖ケリュケイオン』が欲しいな~って…」

「あ~、はいはい。手伝うよ」

 

まったく…クラインは言うとは思ったが、まさかALOを始めて2週間程度のシノンまでが伝説級武器(レジェンダリーウェポン)を所望するとは…。

アスナの分は元々手伝うつもりだがな。

 

「……ふむ。ならば私の望む『妖刀ムラマサ』の時も頼む」

「お。じゃあ『魔鎌クロノサイズ』も頼むわ」

「くっ、分かった…」

 

ハジメとハクヤまでそんなことを言いだすとは……しかもハクヤに至っては同行しないのだが、まぁいい。

世話になっているし、俺もそれらの武器に興味が無いわけじゃないからな。

 

「はぁ~…ルナリオとリーファ、リズはどうだ?」

「えっと、ボクの狙い目は『壊鎚シャルウル』っす」

「ん~一応だけど、あたしは『雷剣タケミカヅチ』かな」

「あたしはレアインゴットの調達を手伝ってもらおうかしら。作る側だもの」

 

一応聞いてみれば、ルナリオとリーファは少々遠慮気味に答え、

メンテを行っているリズもちゃっかりとインゴット調達を頼んできた…。

 

「戻りました」

「ただいまです」

「きゅる~」

 

そこにヴァルとシリカとピナが帰ってきた。

2人から小瓶や木の実などのアイテムを受け取り、きっちりと金額分の(ユルド)を払う。

こういうのは大事なんだぞ。

 

「ヴァルさんとシリカさんは、欲しい伝説級武器はありますか?」

「う、うん、あるよ。僕は『光槍ブリューナク』を狙っているんだよ」

「あたしは特にないよ。あ、でも『白剣カルンウェナン』は気になるかも…」

 

ユイの質問に答えるヴァルとシリカ。多分、話しを聞いたらこの2人は遠慮するだろうから、自然に手伝おう、それがいい。

さて、あとはリズの武器メンテを待つのみだな。

 

「それにしてもよぉ。ハクヤが言った通り、地下クエストの方はなんか変だよな?

 ダンジョンの地下に封印されてるっていうキャリバーが、なんでまたクエストの報酬なんだ?」

「確かに、そうですよね…」

「ま、行って確認してくるわよ」

 

クラインの疑問点に同意するシリカ。一方のシノンは冷静にそう言い放った。

 

「武器のフル回復、全員分終わったわよ!」

「サンキュー、リズ」

 

リズが武器のメンテを終えて声をあげ、真先にハクヤが労いの言葉を掛け、次いで俺達も武器を受け取りながら声を掛けた。

オブジェクト化したポーション類をそれぞれのポーチ内に収納し、持ちきれない分はアイテム欄に格納。

現在の時刻、11時を確認し、俺は全員に視線を向ける。

 

「ハクヤ、ヴァル、リズ、シリカ、ピナ。例のクエストの調査、頼むぞ」

「「「「ああ(ええ)(はい)(きゅっ)!」」」」

「他のみんなも、覚悟はいいか?」

「「「「「「勿論!」」」」」」

「ユイ、サポートをよろしく」

「はいです!」

 

みんなに言葉を掛け、最後に少しだけ覇気を放つ。

 

「よし……行くぞ!」

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」

 

俺はリズベット武具店のドアを開き、行動を開始した。

 

 

俺達はアルンの裏通りの奥にある、円形の木戸の前までやってきた。

リーファが銅の鍵をポーチから取り出し、その扉にある鍵穴に挿して回すと扉が開いた。

扉を潜り、最後尾のクラインが扉を閉めると自動施錠され、奥へと進む。

 

「こりゃあ何段くらいあるんだよ?」

「アインクラッドの迷宮区タワーが、まるまる1個分だったかな」

「マジかよ…」

 

クラインの問いかけにアスナが答え、彼は項垂れる。まぁその気持ちは分からないでもない。

 

「……だが、安全かつ最も早いルートであることに変わりはない」

「トンキーと友達になったボクらの特権っすからね」

 

ハジメとルナリオの言葉の通り、ここの鍵を持っているのはリーファだけで、この奥に辿り着いたとしても、

空中ルートな為にトンキーなどの飛行型邪神がいなければ進むことは出来ないのだ。

仮に落下を選んだとしても、その先は中央大空洞(グレートボイド)と呼ばれる大穴になっているわけである。

 

「とにかく、先に進もう。時間は限られてるしな」

 

そう言うとみんなが頷き、足早に階段を下りる。

そこから5分ほど経過した頃、ついに階段トンネルを抜け、階段の続く限りの場所へと辿り着く。

そこでアスナが俺達に凍結耐性を上昇させる支援魔法を掛けてくれた。

俺はその間も、世界樹の根に支えられるかのように存在している、氷の逆ピラミッド型の迷宮を見据える。

その迷宮の最下部、僅かに光が放たれているが分かる…あれが、『聖剣エクスキャリバー』。

以前に権限を用いて出現させたようなものではない、本物のキャリバーだ。

ゲーマー魂か、将又(はたまた)剣士としての本懐か、思わず笑みが浮かんでくる。

 

「お兄ちゃん、そろそろ呼ぶよ」

「ん、あぁ。頼む」

 

リーファに声を掛けられ、それに応じる。リーファは右手の指を唇に当て、口笛を高く鳴らした。

すると、風の音に紛れながら、くおぉぉぉんという啼き声が聞こえてきた。

そう、4対8枚の翼を持ったトンキーが現れたのだ。

 

「トンキーさ~ん♪」

 

ユイがそう呼べば、トンキーは嬉しそうな声を上げ、俺達が乗り移り易いように、階段の傍に身体を横付けした。

初めての対面であるシノンは僅かばかり後ずさりし、クラインも大戦の折に同形態の邪神を見たので、表情が少し強張っている。

 

「トンキー。久しぶりっすね」

「今日もお願いね」

 

ルナリオとリーファはそう言ってからトンキーの背に乗った。

 

「……行くぞ、シノン」

「ちょ、きゃっ///!」

 

後ずさりしたシノンの身体をハジメが抱きかかえ、飛び移る。

 

「よ、よし。とりゃあっ!」

「よろしくね。トンキー」

 

クラインも意気込んでから飛び移り、アスナは軽快に飛び上がった。

俺はトンキーの鼻のつけねを撫でてから、背中に乗る。

 

「それじゃあトンキー。ダンジョンの入り口までお願い!」

 

―――くおぉぉぉぉぉんっ!

 

リーファの言葉を聞き、俺達を背に乗せたトンキーは8枚の翼を羽ばたかせ、空中移動を始めた。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

伝説級武器・オリジナル設定&解説

 

霊刀・カグツチ

炎を纏う火炎属性の刀

由来は記紀神話における『火の神・カグツチ』から

 

光弓・シェキナー

光を纏い聖属性である智天使の弓

由来はユダヤ、キリスト教の神話『智天使の長・ケルビエル』の持つ弓『シェキナー』から

 

神杖・ケリュケイオン

光を纏う聖属性の神の杖

由来はギリシア神話の『伝令の神・ヘールメス(ヘルメス)』が持つ杖『ケーリュケイオン』から

 

妖刀・ムラマサ

闇を纏いし闇属性の刀

由来は徳川家康の親族の命を奪ったとされる禁忌の刀『村正』から

 

魔鎌・クロノサイズ

大地の力を纏う地属性の大鎌

由来はギリシア神話の『大地と農耕の神・クロノス』が持つ大鎌から

 

壊鎚・シャルウル

水を纏う水属性のハンマー

由来はルガル神話の『戦闘と農業の神・ニンギルス(ニンウルタ)』が持つ棍棒から

 

雷剣・タケミカヅチ

雷を纏いし雷撃属性の長刀

由来は日本神話の『雷の神・タケミカヅチ』から

 

光槍・ブリューナク

雷と光を纏う雷撃属性5割、聖属性5割の槍

由来はケルト神話の『太陽神・ルー』が持つ穂が5つに分かれた槍『ブリューナク』から

 

白剣・カルンウェナン

短剣の中でも最大級の攻撃力を持つ短剣

由来はアーサー王伝説の人物『アーサー王』が持つ短剣

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、今回からキャリバー編に入ることに相成りました。

 

読んでいただいて分かったと思いますがリズとシリカは原作と違いお留守番です、ハクヤとヴァルが行きませんからねw

 

代わりにルナリオとハジメが向かうことになります。

 

それと途中で名前だけ登場した伝説級武器、今後で入手の様子を描いていこうと思います。

 

まぁ、『聖魔の剣』終了後だと思いますが。

 

それでは次回で・・・。

 

 

 

 

 


 
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