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ゼロの使い魔 ~魔法世界を駆ける疾風~ 第二十七話

第二十七話です。二ヶ月ぶりの投稿で、大変お待たせいたしました

2013-07-30 02:10:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:6932   閲覧ユーザー数:6478

ルイズの部屋を訪れたアンリエッタ王女は、感極まった表情でルイズに駆け寄ろうとする

 

「ああルイズ、わたくしのおともだち―」

「はい、止まって下さい」

 

と俺は駆け寄ろうとした王女のフードを引っ掴む

 

「ちょっ、何ですの貴方は!?わたくしは杖を預けましたわ!」

 

王女は手を振り足を振り、声も荒げて抗議する

 

「杖以外にも魔法発動媒体はありますし、『フェイスチェンジ』の魔法を使っている可能性もありますからね」

 

実際俺も杖以外の発動媒体を持っている。右手と左手の指に嵌めている指輪とデルフ、それにマーキングクナイもそうだ

『フェイスチェンジ』とは風と水のスクウェアスペルで、その名の通り術者の顔をまったくの別人に変えてしまう魔法だ

勿論顔を実在の人物のものに変えることも出来るので、要人を守るときは警戒しなければならない魔法でもある

ワルドは風の単一属性スクウェアと聞いてはいるが、用心は必要だ

 

「ああもう分かりましたわ!『ディテクトマジック』なり何なりすればよろしいでしょう!?」

 

ディテクトマジックとは魔力を探知するための魔法で、どんな魔法が発動されているかも分かる便利な物だ

 

「では、失礼いたします」

 

俺はまだディテクトマジックをコピーしていないので『白眼』で透視をして媒体が無いかを調べる

 

 

 

結果として発動媒体となりえそうな不審物は見つからなかった

 

「大変失礼致しました、姫殿下。しかしこちらも、主人を守る為には万全を期する必要があるので」

「本っ当に申し訳ありませんでした姫殿下!!この使い魔が…!」

「もう過ぎたことですし、いいですわ。ルイズ・フランソワーズ。それにその堅苦しい行儀はやめてちょうだい?わたくし達はおともだちじゃないの」

 

ルイズが顔を真っ赤にして俺を睨みつけるが、それを王女が取り成し話を変える

二人が思い出話に花を咲かせている間に俺たちは雑談をする

 

「それにしても、ルイズがお姫様と知り合いだったとはねえ…。いや公爵家だから繋がりはあるんだろうけどさ」

「わたしもビックリしたよ。お姫様なんて始めて会ったもん!」

「公爵家だからって誰でも姫殿下に会えるわけではないわよ?マチルダ」

「わたしも姉さんも、数えるほどしか会ったことは無いわね」

「『おともだち』って言ってるからね。エレン、姫殿下とルイズの幼少期ってどんなのだったの?」

 

そう尋ねるとエレンは渋い顔を、カトレアは笑いを堪えているような表情になった

エレンは重苦しい表情で口を開く

 

「…一度、私とカトレアも姫殿下と一緒にお菓子を食べたことがあるわ。その時にね…」

「…ルイズは、一体何をしたんだい…?」

 

その表情から皆は聞いてはいけないような事だったか、と背筋を冷たくする

しかし次に口から出た言葉は予想外にも程があった

 

「ルイズと姫殿下が、そのときに出たクリーム菓子を取り合ってね。掴み合いの大喧嘩になったの」

「あの時は面白かったわね。姉さん?」

「面白くないわよ…。姫殿下が泣き出したときには背筋が凍る思いだったわ」

 

予想外過ぎるアクティブな幼少期に、俺とアルビオン姉妹は大口を開けて絶句する

それを面白がる、幼少期カトレアも恐ろしいといえば恐ろしいが―――

 

 

 

―――にっこりと微笑みながらこちらを見ている彼女が怖いので、この話は止めよう

 

 

 

「ええ、そんな事もありましたわ。あの頃は毎日がとても楽しかったわ。何にも悩みなんか無くって…」

 

深い憂いを含みながら、殿下は溜息を吐いた

 

「…姫様?」

 

様子がおかしいと殿下の顔をルイズが覗き込む

 

「あなたがとても羨ましいわ。自由って素敵ね。ルイズ・フランソワーズ」

「何を仰います。あなたはお姫様じゃない」

「王国に生まれた姫なんて籠に飼われた鳥も同然。飼い主の機嫌一つであっちに行ったり、こっちに行ったり…」

 

殿下は窓の外の月を眺めながら寂しそうに言った

それからにっこりと微笑みながらルイズに告げる

 

「結婚するのよ。わたくし」

「…おめでとうございます」

「あら、それはおめでとうございます殿下♪」

 

ヴァリエールの次女と三女がそれぞれ対照的な声色で応える

長女はというと、『私もですよ』と言わんばかりに俺の腕をしっかと抱いている

エレンに触発されたのか、反対側の腕をマチルダが胸に抱く

 

 

それを見た殿下が目を輝かせる

 

「あら?わたくし、お邪魔だったかしら?」

「いいえ!全っ然そんな事はありません!全く、こいつは使い魔の癖に…」

 

ルイズが俺に向かってグチグチと説教を始める

その内容に殿下が疑問符を浮かべ、ルイズに質問をする

 

「使い魔…ですか?彼が?」

「ええ。私の使い魔です」

 

殿下はきょとんとした顔で俺を見つめる

 

「失礼ながら、何処からどうみても人間ですが…」

「人間ですわ。…ちょっと自信ないけど」

 

ルイズは後半を蚊のなく様な声で呟く

失礼な。俺はれっきとした人間だぞ

でも少し、落ち込むなぁ…

 

 

俺が部屋の隅で体育座りをしてどよ~んとした雰囲気を醸す

慌てた様子のテファが近づいてきて、俺の頭を優しく撫でる

 

「大丈夫だよハヤテ。ルイズも本気であんな事を言ったわけじゃないよ~」

 

テファのぽわぽわしたオーラに当てられ、思わず少し涙ぐむ

その涙にまたテファが俺を撫で、俺が泣くという悪循環(?)

数分続けていると、ルイズと殿下の話の雰囲気がピリピリとした物に変わった

 

「…ルイズ・フランソワーズ。今から話すことは、誰にも話してはいけません」

 

重苦しい表情の殿下が告げる

暗に、人払いをして欲しいと言っているのだろう

 

「では、私たちは外に」

「いえ、メイジにとって使い魔は一心同体。席を外す理由がありません」

 

ですが…と殿下がヴァリエール姉妹とアルビオンの姉妹に目を向ける

メイジと使い魔は一体だが、彼女らはそうではない、という事だ

 

「彼女らは私の婚約者です。婚約者同士も一心同体ではないのですか?」

 

『婚約者』という言葉に殿下が綺麗な顔を歪める

結婚に関する、もしくは連想させる言葉はタブーのようだ

 

 

 

 

結果として、殿下はその事には一切触れず話を続けた

 

 

 

 

殿下の話を纏めると、結婚の妨げになる手紙をレコン・キスタに取られる前に、アルビオンの皇太子から受け取って来て欲しいということだった

 

 

そう今現在『戦争状態』のアルビオンから、だ

ふざけている

話を聞き終わって真っ先に浮かんだのがその言葉だった

 

結婚の妨げになる物を取ってきて欲しいというのは、まあ良いだろう

このゲルマニアとの婚姻が成立しなければ、アルビオン王家を落としたレコン・キスタが攻めてくるのは十中八九、トリステインだ

ゲルマニアは国力が高く、その高さに比例して戦争も強い

婚姻を妨げる理由なんて、あちらからしたら幾らあっても足りない位だ

 

しかし戦争中の他国に、幼馴染を潜入させる神経が分からない

それは間違いなく、部下に命じるべき事柄だ

どう考えても途中で死んでしまう可能性のほうが高い

 

 

 

 

だから言った

言ってしまった

 

 

 

「ふざけないでください」

 

 

 

約二ヶ月ぶりの投稿です

遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした

高校が夏休みに入ってやっと時間が取れました

これからは出来るだけ早くに投稿できるようにします

 

 

 

ただ成績が酷かったのでパソコンの存在自体が危ういんですよね←

推薦取れっかな…。正直ギリギリなんですよね

一応自分は理系なんですけど、数学と物理が特に…

何かいい勉強法ありませんか?

 

 

 

 

さて、次の投稿をお待ちください


 
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