No.600304

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 599

soranoさん

第599話

2013-07-22 09:28:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:905   閲覧ユーザー数:869

同日、18:50――――

 

ロイド達がウルスラ病院に到着すると既に夜になっていた。

 

~夜・ウルスラ病院~

 

「日が落ちてしまったわね………でも、あれは………」

エリィは照明の付いていない病院を見つめて真剣な表情をし

「屋外の照明はともかく建物の明かりが点いてねぇ。どう考えても様子が変だぜ。」

「………まだ早い時間なのに正門が閉じられていますね。警備員の方はどこに………」

ランディとティオは照明の付いていない建物や閉じられた正門を見つめて呟き

(なっ!?これほどの多くの”魔”の気配は一体どういう事だ!?)

(ありえん………!もはや”悪魔”の巣窟と言ってもいいほど、”魔”の気配が強すぎるぞ………!)

(……今の状況を考えると一番あり得るのは恐らく―――)

メヒーシャやラグタスは驚き、ルファディエルは目を細め

「くっ………とにかく中の様子を――――」

ロイドが唇をかみしめて呟いたその時

 

グルルル………

 

唸り声が聞こえた後なんとルバーチェの軍用犬達がロイド達の背後に現れた!

「こいつら………!?」

「マフィアの軍用犬………!」

「チッ………気配を感じなかったぞ!?」

軍用犬達を見たロイド達は驚き

「!後ろからもです………!」

「なに………!?」

何かの気配に気付いたティオは振り向いて警告し、警告を聞いたロイドが仲間達と共に正門に振り向いたその時マフィア達が現れた!

「あんたたちは………!」

「姿が見えないと思ったらこんな所に………!?」

「てめえら………一体何をしてやがる!?」

現れたマフィア達を見たロイド達は驚いた後、マフィア達を睨んで声をかけたが

「「……………………………」」

マフィア達は無言で武器を構えた!

「くっ………」

「問答無用みたいね………」

「気を付けてください……良くない気配を感じます!」

「来るぞ………!」

そしてロイド達は戦闘を開始した!

 

「……………」

戦闘開始時鉈を持ったマフィアはすざましいスピードでロイド達に近づき範囲攻撃のクラフト―――ぶった切りを放った!

「な………ぐっ!?」

「チィッ!?」

マフィアの攻撃に驚いたロイドはダメージを受け、ランディはギリギリ武器での防御が間に合ったが

「グルルル!」

「グッ!?」

軍用犬が放ったクラフト―――空牙を受けてダメージを受けると共に怯み

「ロイド、ランディ!この………!」

2人の様子を見たエリィは銃で攻撃しようとしたが

「………………」

「きゃっ!?」

銃を持ったマフィアによる攻撃によって、銃を取り落とし

「ガウッ!!」

「うっ!?」

さらに軍用犬が放ったクラフト―――空牙を受けて怯んだ。

「グルルル!」

そして残りの軍用犬もクラフト――空牙でティオに襲い掛かって来た!

「ハッ!」

しかしティオは翼を羽ばたかせて空に飛んで回避し

「動きを止めます!デミガンナー起動………アブソリュート……ゼロ!!」

「「!?」」

空から絶対零度の氷の魔法弾を放って、マフィア達を凍結状態にして動きを止め

「エニグマ駆動!ブレス!!」

さらに駆動を終えたオーブメントでダメージを受けたロイド達の傷を回復した。

「ありがとう、ティオ!はぁああ………だぁあああっ!!」

そして傷が回復したロイドは炎の闘志で限界突破の力を得るクラフト―――バーニングハートで大幅に自分の身体能力を上げ

「ガウッ!!」

「うぉおおっ!たぁあああっ!!」

「ギャンッ!?」

さらに光の魔力を纏った突撃技―――セイクリッドスマッシュを放って、突進して来た軍用犬にダメージを与えると共に怯ませ

「せいっ、はっ、たぁっ!!」

続けてクラフト―――アクセルラッシュで追撃を加え続け

「お返しよ!聖なる光よ!我が剣に力を!エクステンイング!!」

「ガッ!?」

鞘から細剣を抜いたエリィの光の魔力を纏った魔法剣技―――エクステンイングを受けて止めを刺された!

「「グルルル!!」」

一方2体の軍用犬達はランディに再び襲い掛かり

「これで終わりだ…………喰らえ!」

「「ギャン!?」」

襲い掛かられたランディは全身に闘気を纏った後スタンハルバードを回転しながら突進して軍用犬達を吹き飛ばした!

「…………わりぃな………」

そして突進を終えたランディが静かに呟くと軍用犬達の全身にすざましい闘気の刃によって切り刻まれた!戦域を自在に駆け抜け、鬼気迫る勢いで敵を蹂躙するランディのクラフト―――デスストームを受けた軍用犬達は全身から血を噴出させて絶命した!

「行きます………ハアッ!!」

「「!?」」

一方空中にいたティオはクラフト―――ビームザンバーで強襲して凍結して動けなくなっているマフィア達にダメージを与え

「ダイヤモンドダスト!!」

攻撃前に駆動させておいたオーブメントでアーツを発動し、さらにダメージを与えると共に溶けかけている凍結状態を酷くしてより動けなくし

「そこだっ!!」

「おらっ!!」

その隙を狙ったロイドとランディがそれぞれの武器を振るってマフィア達を吹っ飛ばし

「「………………」」

吹っ飛ばされたマフィア達は戦闘不能になったのか地面に膝をついた!

 

「はあはあ………なんて強さなの!?」

「やっぱり例の薬で身体能力を強化しているみたいだな………軍用犬の方もそうかもしれない。」

戦闘を終えたエリィは息を切らせた後足元に落ちていた自分の銃を拾って腰のホルダーに収め、ロイドは警戒した様子で地面に膝をついたマフィア達を睨み

「しかし………こいつら一体どうしたんだ?一言も喋らないで黙々と襲ってきやがって………」

「………感情の揺らぎがほとんど感じられませんでした。これではまるで―――」

ランディはマフィア達を睨みながら戸惑い、ティオは静かに呟き、何かを答えかけた。するとその時

「………ゥルルル………」

「………ァァア………」

マフィア達は唸り声を上げた後、全身にすざましい”魔”の気を纏って立ち上がった!

「こいつら………!?」

「チッ………完全に無力化したはずだぞ!?」

「これが………”グノーシス”の力………!」

「ど、どうすれば………」

立ち上がったマフィア達を見たロイド達が驚いたその時!

「フフ……―――やれやれ。面倒をかけてくれる。」

どこからか聞き覚えのある声が聞こえた後、突如針が飛んできてマフィア達に刺さり

「がっ………」

「ぐっ……」

針に刺さったマフィア達は呻いた後地面に倒れた!

「今の針は………!」

それを見たエリィは驚き

「”銀(イン)”――――殺したのか!?」

ロイドは真剣な表情で叫んだ。するとその時!

「フ………経絡(けいらく)を突いて気の巡りを遮断しただけだ。いかに身体を強化しようともしばらくは眠ったままだろう。」

なんと銀がロイド達の傍の空間から現れた!

「そ、そうか………」

「しかし、相変わらず神出鬼没な野郎だな………ルバーチェの動向を探ってここに辿り着いたって所か?」

銀の説明を聞いたロイドは安堵の溜息を吐き、ランディは溜息を吐いた後真剣な表情で尋ねた。

「ツァオからの依頼でな。しかし思っていた以上に厄介な事になっているようだ。”グノーシス”………眉唾物だと思っていたのだが。」

「どうしてその名前を……」

「貴方達………何をどこまで知っているの?」

銀の話を聞いたティオは驚き、エリィは警戒した様子で尋ねた。

「フフ………お前達が掴んでいる程度だ。ルバーチェどもの失踪と”D∴G教団”残党の存在………それ以上の事は私もツァオも掴めてはいない。」

「そうか………」

銀の話を聞いたロイドは頷いた後仲間達と共に構えを解いて考え込み

「―――そちらの目的がどうあれ、今は緊急事態だ。おそらく病院内は、マフィア達に占拠されている可能性が高いだろう。一刻も早く病院関係者の安全を確認しなくちゃならない。だから”銀(イン)”――――この場は協力してくれないか?」

驚くべき提案を口にした。

「ええっ!?」

「おい、そいつは………」

ロイドの提案を聞いたエリィとランディは驚き

「クク………何を言い出すかと思えば。お前達が本来、取り締まるべき犯罪者の力をアテにするというのか?」

銀は不敵な笑みを浮かべて尋ねた。

「言っただろう、緊急事態だと。それに、あんたはあんたで真相を突き止めるつもりのようだ。だったら病院関係者を助けて話を聞くメリットはあるだろう?」

「フフ………あくまで対等な協力関係というわけか。―――いいだろう。この場は力を貸してやる。だが、足手まといになるようなら私は私で勝手にやらせてもらう。それでいいな?」

「ああ、構わない。」

銀の確認にロイドは頷き

(フフ、柔軟な考えができるようになってきたわね………)

(そもそもその”女”がロイドの提案を断るなんてありえないがな。くかかかかっ!!)

その様子を見ていたルファディエルは微笑み、ギレゼルは陽気に笑い

「まったくもう……思い切りがいいというか。

「こういう時のロイドさんは大胆過ぎますよね………」

エリィとティオは呆れた。

「ま、ウダウダ迷ってる場合じゃねえのも確かだしな。そんじゃあ、さっそく病院内の捜索を始めるかよ?」

「ああ、とにかく病院関係者の安全を確認していこう。ついでに話を聞けば何が起こったかわかるはずだ。」

「ええ………!」

「了解です。」

「フフ………それでは行くとしよう。」

ランディの言葉にロイド達はそれぞれ頷いて病院を見つめ

(セシル姉………どうか無事でいてくれ。絶対に……みんな助けてみせるから!)

ロイドは決意の表情で病院を見つめた後仲間達と共に探索を開始した。その後銀を加えたロイド達は近くの建物―――看護師や医師の寮に入り、扉を守っていたマフィア達を気絶させた後、扉の奥に行き、通路にある扉を開いて部屋の中に入った。するとそこには多くの一般市民達がいた………!


 
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