「今日もありがとう」
「何言ってるの?」
「感謝の言葉」
「気持ちじゃないんだ」
「君は何かしたのか?」
「何もしていないから、感謝の言葉を呟かれたのかわからない」
「気にしなくてもいい」
「気になるね」
「困ったな、これはもう君の存在を消すしかないな」
「君はメンヘラだったのか」
「いいや」
「だと思ったよ」
「実は昨日病院で医者に余命宣告されたんだ」
「あとどれくらいなんだ?」
「9時間27分18秒なんだ」
「一日ももたないのか」
「嘘だよ」
「知っているよ」
「あと3時間27分29秒なんだ」
「そっちの嘘?」
「うん」
「じゃぁ本当に3時間27分43秒後に死ぬのかい?」
「あぁ」
「今日は4月1日じゃないよ」
「そうだったのか」
「うん」
「じゃぁ今日は何日だい」
「今日は6月14日だよ」
「全然違ったね」
「近いとでも思っていたのかい?」
「3日前後ぐらいだと思っていたよ」
「君は馬鹿だね」
「君には言われたくないな」
「失礼だな」
「君が先に言いだしたことだろう?」
「そうだけれども」
「なら文句はないね?」
「文句しかないよ」
「そうか、なら今日は特別に愚痴を聞いてあげよう」
「珍しいね」
「まぁね、今日はなんだか機嫌がいいんだ」
「いつもは愚痴話になったとたんに寝たふりとかするのに」
「いつまでこの機嫌がもつだろうね」
「なら機嫌が悪くなる前に言わせてもらおう」
「そうするといい」
「そうだな、千個ぐらいあるんだ」
「どうやったらそんなに愚痴が溜まるんだ」
「どっかの誰かが愚痴をしようとすると寝たふりをするからなんだ」
「それは困ったものだね」
「ちなみにこれは愚痴の一つだ」
「さすがに千個も聞けないな、十個ぐらいに絞ってくれないか?」
「百日間毎日十個ずつ聞いてくれるのかい?」
「お断りさせてもらおうか」
「なら今日で千個聞いてもらおう」
「なら早く言わないと今日が終わってしまうよ?」
「そうだね」
君は馬鹿だ
なぜ誰にも頼らない
こんなにも近くに人がいるじゃないか
確かに頼りないかもしれない
しかしこんなになるまで黙っていなくてもいいだろう?
君とはあと3時間も経たないうちに
さよならをしないといけないじゃないか
言いたいことは山ほどある
子供の時からからかわれたことを今でも根に持っているぞ
中学の時もそうだ
高校もそうだ
今もそうだ
生まれてから今までずっと君にからかわれっぱなしだ
これからもそうだ
きっと全部嘘で騙されて
歳をとっても変らず君に騙され続ける
君のおかげできっと詐欺には引っかからないだろう
君のせいで大きく人生が変わってしまったんだ
責任を取ってもらうぞ
「心地よい子守歌だったよ」
「何を言っているんだ」
「眠たくなったんだよ」
「もう寝るのかい?」
「子守歌までしてもらって寝ない方が失礼だと思わないか?」
「話している最中に話を止める方が失礼だと思わないか?」
「君には話していなかったな、実は今風邪をひいているんだ」
「なら薬を飲んで早く寝て、明日続きを聞いてもらおう」
「そうしたい事は山々なんだが、生憎風邪薬を切らしてしまっててな」
「なら今から買ってこよう」
「ここまでもって来てる間に睡魔に負けてしまうよ」
「そうか」
「そうだ」
「明日聞いてもらうぞ」
「あぁ」
「千個は無理なことが今日判明したので毎日十個ずつ聞いてもらうぞ」
「あぁ」
「たぶん十個ずつ話してても増えるだろうから百日以上だ」
「あぁ」
「約束だぞ」
「あぁ」
「おやすみ」
「おやすみ」
「そうだ言い忘れていたことがあった」
「聞いてあげよう」
「次の時代でまた会おう」
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オリジナルだよ
こんな人生になってみたい