No.599568

超次元ゲイムネプテューヌ-Q-

藾弑さん

新作です。TINAMIが懐かしいです。相変わらずの駄文ですが、よろしくお願いいたします。

2013-07-20 14:18:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1284   閲覧ユーザー数:1252

 

 

この物語は俺が自分自身に『戻る』前の話だ。

この経験をして俺は━━━

 

数年前━━犯罪組織マジェコンヌは女神達の活躍により壊滅した。だが、訪れた平和はほんの一瞬で、世界が完全に平和になった訳ではなかったのだ。

寧ろ形は違えど、今の世界の状況は以前となんら変わりない。

 

「ねぇ、君?今の気分はどんな感じだい?」

若い男は俺に笑顔で質問してきた。

「…してく、れ」

「え?聴こえないなぁ。」

「解放し、てくれ…」

「それはダメ。君は貴重な『材料』なんだよ?それに君はもう家族もいないし帰る場所すらない。大体元から住んでいた環境が『ギョウ界墓場』近辺…どうせ解放したところでろくな生活もできやしないんだ。なら社会の為、いや、我々『犯罪組織』の為にその『人生』を捧げて欲しいんだ。」

「…っ」

そしてそれから10分ぐらいが経過した頃に若い男が「ちっ」と舌打ちをした。。

「…この調子なら『実験』は失敗か。」

「失敗…?」

「そ。失敗。本来ならこれぐらいの時間が経ったら何らかの反応が出るはずなんだよ…良かったね、解放してあげるよ。そこの雑用!この子を適当に捨てておいて!」

「はっ!」

若い男はそこにいるガタイの良い男に頼みその男は俺を担いだ。

 

暫く移動していると俺を担いでいる男が口を開いた。

「全く…ユゥラス先生は何て無謀な事をしようとしているんだ。」

ユゥラス先生?…さっきの若い男か?

「無謀な事…?」

俺はさりげなく男に質問した。

「…お前、まだ喋れたのか?」

男は不思議な顔をしながら俺を見た。

「…まぁ、な。」

といってもかなり辛いけど…

「…お前も可哀想だな、こんな状態で生きているなんて…だが、どのみち助からない。先生の人体実験で生きていた奴はいないからな。」

俺は…死ぬのか?いや、そっちの方が幸せだ。さっき言われた通りろくな生活はできないだろうし…

「なぁ、オッサン。」

「なんだ?それとオッサンはやめてくれ。これでも38だ。」

いやいや、どう考えてもオッサンじゃねぇか…

「どうせ死ぬなら最期に二つ…聴きたいことがある。」

「…ああ、いいぜ。」

「ありがとう…一つ目、だけど、ユゥラスは何を考えているんだ?」

人体実験なんて何か理由があるはずだ。とても気になった。

「お前は…『犯罪神マジェコンヌ』をしっているか?」

犯罪神…ああ。

「しっている。数年前に世界を滅ぼそうとした奴だろ?」

「そうだ。数年前、マジェコンヌを復活させようと『犯罪組織マジェコンヌ』が活動をしていた。その活動を止めるために女神候補生と女神達がその犯罪組織の『四天王』を討伐し、マジェコンヌの脅威は去ったと思われた…だが、それはマジェコンヌ復活の手伝いでしかなく、四天王が全て死ぬとマジェコンヌは復活する仕組みになっていたらしい。その後、女神候補生の一人…確か『パープルシスター』がマジェコンヌ討伐を成功させ今度こそ世界は救われた。」

「…それとこの人体実験は何の関係があるんだ?」

すると男は苦虫を噛んだ様な顔をした。

「先生は…いや、奴は自身を犯罪神にして世界を手に入れようとしている。」

俺は然程驚かなかった。どうせ死ぬし。

「ちょっとまってくれよ。あんた何でさっきまで先生って呼んでいた人を急に奴なんて呼ぶんだ?それに犯罪神復活は犯罪組織にとって嬉しいことなんだろ?」

「…ここにいる奴らの中には仕方なく犯罪組織に加担した奴だっている。なぜならここはリスクが高いぶん給料がいいからな。」

なるほどな…二つ目の質問は何で犯罪組織に加入したのか聴きたかったんだけど、聴く必要が無くなったな…

「あんたはその内の1人…なのか?」

「まぁな。俺の場合は家が貧しく家族は妻と娘1人が…二人とも病気で、特別にユゥラスから特効薬をもらうかわり、ここで働いている…娘はお前と同じぐらいの年頃だろう。」

「そう、なのか…」

それから話題が途切れ暫くすると光が見えてきた。

「そろそろ外だ。」

「…ありがとうな、オッサン。 」

「どういうことだ?」

「いや、最期にわかったことがあって。ここにいる奴ら皆が皆、悪い奴じゃあないってことがさ。…あともうひとつだけ、聞いていいか?」

聴いておこう。直ぐにわからなくなるかもしれないけどな……

「ああ。」

「あんたの名前は?」

「聞くより先に名乗れよ。」

オッサンは口元をニヤリとさせ言った。それにつられて俺もクスッと笑ってしまった。

「クアリアム、クアリアム・ユネィだ。どうせならクァムって呼んでくれ。」

「クアリアム、クァム、か…良い、名前だな…」

「ありがとう。それでオッサンは?ってオッサン?」

オッサンは泣いていた。

「すまねぇな…お前みたいな若い奴がこんな状態になっちまう前に俺が助けてやれれば…本当に、すまねぇ…」

本当に良い人、なんだな…

「それと…俺の名前は、バーズ・ベイムだ。」

「バーズさん、ね。」

「…ああ。それと、最後に小さな希望をやる。」

バーズさんは小さいカプセルを俺に渡してきた。

「…これは?」

「薬だ…といっても完治はさせることはできない。だが、少しだけ時間を増やせる。」

「良いのか?」

「ああ。…ここからそう遠くない所にプラネテューヌと言う国がある。今日中にたどり着き、体の事を言えば生きることができるかもしれない…」

「最後までありがとう…バーズさん、…っ」

初めて人の情に触れられた俺は涙を流していた。

 

 
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