No.597838

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 574

soranoさん

第574話

2013-07-15 07:48:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:847   閲覧ユーザー数:792

ウルスラ病院に到着したバスから降りたロイド達が病院の受付に向かっていると、聞き覚えのある女性の声が聞こえて来た。

 

~ウルスラ病院~

 

「あら………?」

「あ………」

声を聞いたロイドは声がした方向―――セシルを見つけて嬉しそうな表情をした後、セシルに近づいた。

「セシル姉………!」

「………お久しぶりです。」

「ふふっ………2人とも元気そうね。記念祭はお疲れ様。色々忙しかったんでしょう?」

ロイドとティオに見つめられたセシルは微笑みながら言った。

「はは………まあね。正直、とんでもなく密度の濃い5日間だったよ。」

「またその後の1週間が色々とあったんですが………」

「あら、その割には2人とも疲れてはいなさそうだけど………あら、その子は………」

ロイドとティオの話を聞いたセシルは意外そうな表情をした後、キーアに気付いて黙って考え込んだ。

「ねえねえ、ロイド。このおねえちゃんもロイドたちのシリアイ?」

「ああ、そうだよ。セシル姉っていって俺の姉さんみたいな人なんだけど―――」

一方セシルの様子に気付かなくセシルの事を尋ねて来たキーアにロイドが答えかけようとしたその時

「………そ、そんな………ま、まさかロイドが私に内緒で………するなんて………」

セシルはショックを受けた様子で呟き

(………また、始まったわね………)

その様子を見ていたルファディエルは溜息を吐いた。

「へ………」

そしてセシルの呟きを聞いたロイドが呆けた声を出してセシルを見つめたその時

「まさかロイドが私に内緒で結婚しちゃったなんて………!」

セシルは大声でとんでもない事を言った!

「はああっ!?」

一方セシルの叫びを聞いたロイドは大声で驚いた!

「ううん、隠さなくてもいいわ!ねえあなた。お名前は何ていうの!?」

「キーアだよー。」

「キーアちゃん………ふふっ、可愛い名前ね。ロイドには似てないけどお母さん似なのかしら………でも、ティオちゃんに似ているわけでもないし………」

「あの、セシルさん………?」

「だあああっ!落ち着いてくれよ!俺がキーアの父親って………いくらなんでも年齢に無理がありすぎるだろう!?」

キーアと話した後考え込みながら呟いたセシルの言葉を聞いたティオはジト目でセシルを見つめ、ロイドは苦笑しながら突っ込んだ。

「あら………よく考えたらそれもそうかもしれないわね。」

ロイドに突っ込まれたセシルは声をあげた後、微笑みながら言った。

「いや、考えるまでもないと思うんだけど………」

「セシルさん……ここまで天然だったとは。」

「ほえ~?」

セシルの様子を見たロイドは苦笑し、ティオは溜息を吐き、キーアは首を傾げていた。その後ロイド達は一端落ち着いた場所で話をする為にセシルに連れられて寮の食堂にあるソファーで向かい合わせに座った。

 

「ふふっ、私ったらちょっとあわてんぼうね。18歳のロイドが、9歳くらいのキーアちゃんのパパであるはずないのにね。」

「はあ………当たり前だろ。そもそも、なんで親子なんて突拍子もない考えになるのさ?」

苦笑しながら言ったセシルの言葉に頷いたロイドは指摘した。

「だって、何だかすごく家族って感じがしたから………直感的に、キーアちゃんのパパがロイドって思いこんじゃったのよね。」

「へっ………」

「キーアのパパってロイドだったのー!?キーア、知らなかったー!」

そしてセシルの話を聞いたロイドが呆けたその時、キーアはセシルの言葉を信じて嬉しそうな表情でロイドを見つめ

「いやいや、違うから!」

見つめられたロイドは慌てながら即座に否定した。

「ふふっ………ねえ、ティオちゃん。そうやって2人が並んでるとそんな風に見えないかしら?」

「………言われてみれば確かに。顔の造形は似ていませんが親子という感じがします。」

「そ、そうなのか………?」

「えへへ~………ロイドがパパかぁ。……ロイドじゃなくってパパって呼んだ方がいい?」

「うっ………今まで通りでいいから!」

(フフ、今一瞬『いいな』と思ったわね?)

(お?新たなジャンルに手を出すのか、ロイド!)

キーアに尋ねられ、一瞬迷ったロイドを見ていたルファディエルは微笑み、ギレゼルは興味深そうな表情になった。

「んー、そっか。でもでも、セシルっていいヒトだね!キーア、セシル大好き!」

「ふふっ………私もキーアちゃんが大好きよ。気が合うわね、私達。」

「うん!」

(くす、あっという間に仲良くなりましたね。)

(ハア、それはいいけどなんかどっと疲れたよ………)

キーアと微笑みあっているセシルを見たティオは静かな笑みを浮かべ、ロイドは疲れた表情で溜息を吐いた。

「………それで………キーアちゃんの記憶だったわね。」

「あ、ああ………大体の事情は話した通りさ。この病院にある『神経科』にキーアを見て欲しいんだけど………どの先生に頼めばいいんだ?」

「ふふ、あなた達も面識があったんじゃないかしら?ヨアヒム・ギュンター先生よ。」

「ええっ………あの人が『神経科』の!?」

「そうだったんですか………」

セシルの口から出た意外な人物の名前を聞いたロイドとティオは驚いた。

「ふふっ、普段は釣り好きで呑気そうな人に見えるけど………ああ見えて、外国の医療機関で凄い研究成果を上げた人らしいの。この病院では『薬学』『神経科』の2部門を取り仕切っているわ。」

「そ、そうなんだ………それじゃあ、キーアの事はあの先生に相談すれば………?」

「ええ、きっと力になってくださるはずよ。さっそく受付に行って問い合わせてもらいましょう。」

その後セシルと共に受付に向かったロイド達は事情を受付嬢に説明し、キーアを診て貰えるか受付嬢に尋ね、受付嬢は通信機で件の医師と通信をした。

 

「………はい、はい。わかりました。それでは研究室へお通しします。ヨアヒム先生なら丁度時間が空いているそうです。研究棟にある研究室まで直接お越しくださいとのことでした。」

通信を終えた受付嬢は受付に戻ってロイド達に説明し

「そうですか………良かった。」

説明を聞いたロイドは安堵の溜息を吐いた。

「ふふ、それじゃあ私はこのあたりで失礼するわね。」

「うん、ありがとう。帰る時にまた声をかけるよ。」

「ふふ、わかったわ。キーアちゃん、また後でね。」

「うんっ!」

ロイドの言葉に頷いた後キーアに微笑んだセシルは階段を昇って去って行った。

「相変わらず忙しそうですね………」

セシルが去った後ティオは呟いた。

「ふふ、この病院でセシルさんほどの働き者はちょっといませんから………サボりがちな先生方にも見習って欲しいくらいです。」

「はは………(あんまり無理をして欲しくはないんだけど…………)」

受付嬢が呟いた言葉を聞いたロイドは苦笑した。

「そういえば………ヨアヒム先生の研究室はご存知でしたか?研究棟の4階ですけど、よかったら案内しましょうか?」

「いや、多分大丈夫だと思います。よし、それじゃあその先生に会いに行こうか?」

「うん、行こうー!」

その後ロイド達はヨアヒムという医師を訪ねる為に研究棟の4階のヨアヒムがいる部屋に向かった………

 

 


 
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