No.597149

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 リーンボックス編

さん

その3

2013-07-13 09:47:29 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:565   閲覧ユーザー数:543

「模擬戦、しようよ。紅夜」

 

俺はその日、昼前まで寝ていた。

深夜にベールとモンスター討伐をしてとにかく眠いんだ。徹夜に慣れているベールはけろっとしていたが、俺はそうとはいかず、更にラステイションでの激闘の疲労もまだ抜けきっていない。

ベールたちに無駄な心配もさせないために、何も言ってないが、とにかく体が疲れた……今日は、一日ゴロゴロする予定だモンスター狩りは自分の体を売りにしているものだから、体調管理はしっかりしないとダメだ。いざって時に無理しすぎて本来の力を発揮できなかったら失笑ものだ。休む時は休む、大切なことだとスヤスヤいい気分で眠っていたら、チャイムが鳴ってドアを開けてみたら、お客は煌々とした金色の髪と真っ白なコート姿が特徴とした空だった。

 

「……………」

 

『……………』

 

デペアも俺も思わず開いた口を閉じれない。……なんで俺の家の場所を知っているんだ?一度だって招待したことないし、そもそも教えて事すらない。

疑問が浮かぶ、俺に対して空はニッコリと笑みを造ったまま、口を開いた

 

「なんで、住所知っているか?って感じだね」

 

「……あぁ」

 

疑問に顔を歪める俺に対して、空はコートから見たことがない器具を取り出した。

携帯のスライド式かと思ったが、それはボタンが一つしかない。何故ならあまりに薄すぎるからだ。ディスプレイには、ここら辺の地形とこの場所が矢印で示されていた。

 

 

「君にご飯作った時のこと、覚えているよね?」

 

コクっと頷く。ラステイションで倒れた時、面倒見てくれたことは、最近ではっきりと覚えている。

 

「実は、あの時、監視用のナノマシンカプセルを入れていたんだ。ばれるかなーと思ったけど、うん鈍感な紅夜には気づかなかったようだね」

 

「そうか」

 

「そうだよ」

 

……………ちょっと、待て!!!。こいつ、今なんて言った!?

 

「最新式じゃないけど、まぁゲイムギョウ界内なら場所はどこでも把握できるよ」

 

『わぁー、なんて真っ直ぐなストーカーだー』

 

「な、な、なんで!?」

 

「それは勿論、監視するために決まっているじゃん?」

 

まるで、当たり前の知識をなぜ聞くかのようなもしろ疑問を浮かんだように空は頭を傾けた。俺は思わず頭を抱えた。

 

『はぁ、そんなに心配しないでも罪遺物はちゃんと封印されているって』

 

「そっちは心配していないよ。ただ『死界魔境法(ネクロノミコン・ディザスター)』が恐いんだよ。あれは、ありとあらゆる邪神召喚の媒体にして生贄にできる。更にその核は『アザトースの種子』で、芽生えればゲイムギョウ界は余裕で滅びる。そんな無自覚で無意識のまま核ミサイルのような物とボタンが動き回っていれば、監視ぐらいしないと安心して眠れないよ」

 

『………つまり、お前は何がしたいんだ?』

 

「ちょっとした確認だよ。この紅夜がどれだけ邪神の妖気を出さずに一人で全力を見たい」

 

『………だって、紅夜。破壊神は君の危険性を評価したいんだって』

 

「うっ……わ、分かった」

 

頭を掻きながら俺は答える。『死界魔境法(ネクロノミコン・ディザスター)』それは空から凄く危険なものだとは聞いた。しかし、事実それがどんなものであるのか、俺には理解できないところがある。それを見定めたいと言われても非情に困る。

しかし、デペアも嫌いと言っている空の提案には乗り気だし、空も心配そうな顔で真剣な眼差しを送ってきているので、断れる雰囲気ではない。

俺はため息交じりに空と模擬戦することを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備はいいかな?」

 

流れる川の様な落ち着いた声が風に溶けて耳に届いた。

ここは、街から少し放たれた森林の開いた場所だ。そこで俺と空は対峙していた。

空の手には、ラステイションで見た白銀の鱗で覆われた鞘に封じ込められた灼熱の剣が握られていた。

脳裏に思い浮かんだのは、多くのモンスターを一薙ぎで焼き尽くし、自分の背丈を数倍はあるロボットを一撃で消滅させ、近くに合った廃棄工場を余波で溶かしたあの剣に頬に冷や汗が流れた。

 

「…紅夜?なんだか顔色悪いよ?」

 

「その剣は、ちょっとチートだからな怖いさ」

 

空間すら焼き尽くしたあの超高熱の斬撃、当れば……いや、当たる前の余波で消される。

空自身も模擬戦だと言っている以上、殺すつもりで攻撃するとは思えないが……。

 

「大丈夫、この模擬戦のルールとして僕が抜いたら君の勝ちだから」

 

「…………」

 

少しだけ眉が細めた。客観的に考えても確かにあっちの方が強いのは分かっていても、確実になめられている発言には頭にくる。

 

ーーーニヒル、冷静に…だよ。

 

分かっている。仮にもノワール事ブラックハートの一撃を弾き飛ばしたパワーにいつのまにかそこにいる忍び足とスピード、スペック的にあちらの方が圧倒的に有利だ。

やるからには勝つつもりだ。勝算は心元ないが、それでもあっちは真剣に頼み込んできた以上、それに答えなければならない。

腰を微かに下ろして、両手で握りしめた黒曜日を斜めに立てて構える。

 

「やる気になった?」

 

「あぁ、やるからにはやるさ、全力でな」

 

「ふふっ、その姿勢、逞しくて素敵だよ」

 

「……茶化すな」

 

「顔真っ赤で言うセリフじゃないよ♪」

 

嬉しそうに笑顔を咲かせる空は、懐からコインを取り出して指に置いた。

伝えなくても分かった。あれを空目掛けて弾き落ちた時、戦闘開始だと。

そして、空の親指からコインが弾かれた。垂直に回りながら浮かぶコイン、息を止めて足に力を入れる。空はただ立っているだけだ。

コインは一瞬空中にて止まり落下を始める。黒曜日を魔力でコーティングして切れ味を極限に落す。空は変わりなく立っているだけだ。

 

そして、コインが地面に落ちた。

 

 

「魔斬閃・斬刀ッ!!!」

 

地面を蹴って、刹那に空の懐に跳ぶ。空の手にはあの剣が握られているがあれは、かなり長いこれだけ近寄っていれば当てることは、困難のはーーー

 

「!?」

 

顔に衝撃が走った。いつの間にか俺の視線に映ったのは青い空だった。そして追撃するように地面に体が衝突した。

 

 

「因みに僕は煉獄ヲ裁断スル切ッ先を抜かないとは言ったけど、使わないとは言ってないからね」

 

顔に襲い掛かった激痛を抑えつつ、起き上がるとそこには剣が合った。

空の持っていた剣が、意思を持っているかのように宙に浮かんで俺に鞘で納められた状態で剣先を向けていた。

 

「……おい、デペア。あいつはマジックアイテムでも作るのが趣味なのか?」

 

『うん、あいつは他世界に存在する魔剣とか聖剣を回収して、魔改造するのが趣味だよ』

 

襲い掛かってきた閃光のような突き、黒曜日の腹でその一撃を逸らして弾き飛ばすが、直ぐに剣は体制を整えまた襲い掛かってきた!

その場からバックジャンプして躱せば、地面ギリギリの体制で止まり剣先を直ぐさま飛んできた。

 

「ぐっ……!」

 

かなりの速さだが捉えれないほどじゃないが、弾くのが背一杯だ。一撃が一撃が腕を痺れさせほど重たい。誰も握っていない剣に俺は防戦を強いられていた。

 

「ほらほら、頑張ってー」

 

「ぐっ……!」

 

剣に振り回されている時に耳に届く空の応援の声は、焦りを積もらせる。

これじゃ、模擬戦にもなっていない。今の俺はただ遊ばれているだけだ。

 

ーーーニヒル、鎧の使用はいつでもいいよ。

 

頭に直接語りかけてくるデペアの声、このままだと本当に何も出来ず負けてしまう!デペア頼む!

 

Armageddon(アルマゲドン) Dragon(ドラゴン) ovre(オーバー) booster(ブースト)!!』

 

「ほぅ……」

 

左手の黒い宝玉を中心に荒々しい装甲が体を覆う。

ドラゴンを模ったような鎧、デペアの力を具現させた漆黒の鎧。そして、俺の一分だけの切り札!

 

「邪魔だぁぁぁ!!」

 

ステータスが莫大に強化された俺に剣の奇襲は軽かった。

ドラゴンの力で大剣となった黒曜日で剣を大きく弾き飛ばし、背中の突起物から魔力の火を吹かして空との距離を一気に詰める!

 

「……!」

 

そのスピードに驚いたように空は足を一歩下げた。

俺はそれを見逃さず、手と足の装甲から追加ブーストを吹かして、空の横を取った!

黒曜日を腕のブーストを吹かしながら威力と速度で強化した『魔斬閃・斬刀』を放つが俺が切り裂いたのは空気だけだった。

 

「なかなか、速い。けどちょっと大振りかな」

 

「!」

 

背中から優しげな声で語られる。

ブーストを吹かして俺は体を回転させて黒曜日を振るうが、白い影はそれを跳ぶことで躱してトンッと黒曜日の腹に乗った。

 

 

「一応、模擬戦だからそろそろ攻撃するね」

 

いつのまにか、持ち主の手に握られている鞘に納めれている剣。

見上げれば、太陽の光に反射して見惚れる程、美しく輝く黄金の髪が風と遊んでいた。

そして、そいつは天使の様な笑みを浮かべて、次の瞬間には無慈悲な蹴りが顎に叩き込まれ俺は、あっさりと意識がなくなった。

 

 

 

 

 

 

明るい光に意識が覚醒する。

思わず、その明かりに手で覆い影を造って俺は体を起こした。周囲を確認すると遠い場所にリーンボックスの町が見えて、ここは俺と空が模擬戦をした森林から少し放たれた場所だと理解した。

 

『負け犬』

 

「……いきなり、キツイなお前…」

 

辛辣な言葉をデペアに叩きつけられた。よっぽど空に負けたのが悔しいのか声に不機嫌が濃く込められていた。

頭が冴えてきて、さきほどの戦いとは言えない戦いを思い浮かべる。

俺と空じゃ全く話にならない。勝負とは互いに攻撃と防御が出来ることだが、まず俺が出来たのは突っ込んで軽く反撃されたことぐらいだ。

鎧を使っても、一瞬不意を突けたくらいで一撃で意識を持って行かれた。

 

「…俺は、弱い……な」

 

『あいつが規則外だから落ち込む必要ないよ……まぁ、一発くらい殴ってほしかったけど』

 

何も握っていない砂埃で汚れた手を見る。

いままで自分だけの手でモンスターを狩ってきて、ネプテューヌ達と出会ってラステイションに暗躍したアヴニールを倒して……一人だけじゃ化物を倒すことしかできないのか、俺の手は。

 

「なんだか、思い悩んだ顔をしているね」

 

振り返るとそこには空がいた。無造作に美脚を伸ばして、地面に手を付けて視線だけをこちらに向けていた。

 

「君は動いている。何かを成そうとしている。難しいことを考えるだけ無駄、無理なく手を伸ばせすことが出来れば、それで十分だよ」

 

……それじゃダメだ。それは自分の中で限界を決めてしまう行いだ。

そうしてしまえば、もう進歩を諦めてしまうことと同異議になってしまう。そんなことは嫌だ。

 

「………力、欲しい?」

 

「…………」

 

背筋が凍るような冷徹を感じさせる銀色の双眸が射抜く様に見つめてきた。

思わず息を呑みこんだ。空は真剣な表情だった。しばらくの思考を動かして俺は答えを口にする。

 

「欲しい。みんなを守れる力が救える力が……」

 

「……つまり、女神の様な力が欲しいの?」

 

深く俺は頷いた。

『女神』この世界に存在する絶対無二の存在。

その力は存在するだけで守護の力が動き、人々からモンスターを守る力がある。

俺には、モンスターを殺すための力しかない…ただの暴力的な力しかない。

ずっと俺は女神を信仰することが出来なかった。人々を導く希望であり続けるその姿勢に俺はずっと憧れていた。

 

「……頑張れ」

 

「えっ」

 

「僕に言えるは、それだけ」

 

空は立ち上がり手を無造作に振るった。その軌跡に火炎が生まれ、それは空の手に集約されていき一本の剣を具現させた。

 

「デペアが言ったかもしれないけど、これは聖属性と魔属性を持つ聖魔剣『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』」

 

白銀の鱗のようなもので形成されている鞘から抜かれた刃はどこまでの白く、そして禍々しい空気を醸し出していた。

まるでそれは煉獄ーーー天国と地獄の狭間に存在するどちらでもあり、どちらでもない罪をどちらに送るか裁判する場所。

 

「まぁ、本当はある世界の剣を参考して僕なりに改造したものだけどね。ただ作るだけじゃ迫力が微妙だったから、他世界の魔剣と聖剣を溶かして混ぜ込んだらこんなものが出来た」

 

太刀とも呼べる薄く、長く、反りがあるその剣の腹を空は自慢の息子を撫でるように指でなぞった。

 

「因みに君を自動的に攻撃したのは、これに混ぜた聖剣の能力、名前は『光り輝く追撃の宝剣(クラウ・ソラス)』だよ」

 

『おぉ、かなり有名な聖剣をよく入手できたねぇ……』

 

「……知っているのか?」

 

『キャプテンはいろんな魔導書を見ていたからね、世の天智が生み出した宝具をよく実物を見に行ったりしたものだよ。それに……』

 

「……それに?」

 

『空間すら焼き尽くす炎、更にその聖なるオーラからしてあとは……そうだね。かの聖剣エクスカリバーを越える聖剣と言われる巨悪を断罪する業火の聖剣(マルミアドワーズ)、世界を滅ぼすほどの炎と言えば天地終始を刻む破滅の炎(レーヴァティン)を素材にしているんじゃないかな』

 

「おぉ、正解。流石、紅夜の使い魔だね」

 

『お前に褒められても、全く嬉しくないね』

 

嬉しそうに微笑む空と思いっきり舌打ちをするデペア。

なんだかよく分からないが、その剣が物凄く危ないものなのは理解できた。

 

「とりあえず、紅夜。使命感(・・・)に動かなくていいから、自分で作ろうよ。零崎 紅夜はただ一つだけ、魂も心も自分だけが証明できるもの……いつだって、正しいと思うことを自分で創造して進めばいつか答えが得られるよ……ファイト♪」

 

 

元気に俺の肩をトンッと叩くと空は、手を振りながらどこかへ行ってしまった。

涼しげな風が吹いて頬を撫でた。あっさり完敗してしまって少し気分が落ち気味だったことも下らないと思うほど、雄大な自然と広大な青空が何処までも広がっていた。

 

 

 

 

Fate風に空の持つ聖魔剣『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』を解説!

 

煉獄ヲ裁断スル切ッ先

ランク:A+(解放時はEX)

種別:対界宝具

空が作り出したとある世界の最恐のドラゴンの骨を骨子として、気の遠くなるような長い年月を重ねて結晶された至高の宝石『光炎の大龍玉』を使用して更に火力を底上げ、更に炎系統の魔剣や聖剣を溶かして合体させるという魔改造を施し、ありとあらゆるものを燃やし尽くす聖魔剣へと完成された。(空曰く、巨悪を断罪する業火の聖剣(マルミアドワーズ)光り輝く追撃の宝剣(クラス・ソラス)天地終始を刻む破滅の炎(レーヴァティン)を素材にしているらしい)

一度振れば、それは大地を震動させマグマを吹き出させ、剣からは全てを灰燼へと化す灼熱の火炎が咆哮を上げ、海ですら真っ赤に染め上げ蒸発させる程。

持つ者にはドラゴンの加護が付与させ、生命力を増幅させ、炎系の宝具であるならAランクまで無効化することが可能、この聖魔剣は煉獄から生み出された物で持つ者には、精神的に業火に体を焼かれるような苦痛が襲ってくる、更に荒々しい凶暴なドラゴンの魂も込められている故に使用者には、焼かれる痛みに耐えドラゴンの激情を抑えるほどの強靭な精神力は必要。

元となったドラゴンの名前を真名とし、魔力を乗せた言霊の詠唱により解放されるその名は『破壊と創造に輝く凶星(グラン・ミラオス)』。空間すら焼くほどの火力での斬撃を放つ。

事実上防御不能、回避は出来るが、煉獄の斬撃から発せられる高熱の余波に当たれば溶けるか、燃えるか、消えるかで完全に回避することは難しい。

更に真名時に放つ斬撃の熱は自分も浴びることになり、空の様な緻密なコントロールにより、余波などの熱を全て斬撃と共に乗せているので対象だけを焼き斬るようにしなければ放った自身もダメージを負う可能性がある。

造った本人曰く『スペックを重視しすぎて扱える者が極端に少なくなってしまった』とのこと

 

 


 
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