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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第2章 10話

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2013-07-10 20:30:42 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5725   閲覧ユーザー数:4393

第2章 反董卓連合編 10話 『 反董卓連合幕間(まくあい)前編 覚悟と罪悪 』

 

 

 

 

汜水関の攻防戦1日目の夜更けに、詠によって霞、恋、ねねの下にもたらされた情報とは一体何だったのであろうか?

 

 

それは恋とねねが汜水関へと向けて洛陽を発った・・・その日の午後に事は起こった

 

宮廷広場に集められた群衆へ向けて、洛陽を棄て長安への遷都をするという

帝の名を借り十常侍筆頭・張譲により、大々的に発表されたのだった

 

張譲の考える事も判らなくはない 董卓軍と連合軍の兵力差は歴然 

しかも派閥の馬騰は、連合軍へと走り、劉表、劉璋は援軍にも駆け付けられない有様では

いかに恋という強者がいた処で、董卓軍の負けは時間の問題で必至といえた

 

月が首を斬られるのは我慢できるが、殺してもいない何進の罪を着せられて、自分達の身の上まで危うくなる事態に悲観し

暴挙とも言える行動に走ったのも無理はなかったと言えなくもない

 

そうした暴挙に至った張譲に思い直すようと月と詠は立場も省みることなく縋りつく

例え引き摺られようと蹴られ様とも、何度も思い直してもらえるよう説得を試みた

 

最後は張譲に、自身の事を棚上げにして、そんなに自身の命が惜しいのかとも

ツバを飛ばしながら罵られた月であった

 

もちろん月が張譲に縋りつき、思い直すよう説得していたのは、自身の命が惜しいという訳ではない

今、汜水関で必死に命をかけて戦ってくれている、自軍の将や兵士達の事を思うとやりきれなかったからである

 

月や詠が事の推移を直前まで知らされなかったくらいだから

当然の事ながら霞や恋、ねねにとっても突然の遷都の話は、まさに寝耳に水の出来事といえた

 

 

「上は戦っているうちらをなんとおもおとるんや!!」

とこの事を伝令より一部始終を聞いた霞は激昂し、目の前に置かれた机を思いっきり拳で叩く

 

月や詠を始めとした董卓軍の面々は、汜水関の戦い以降、遷都までの時間稼ぎともとれない 発表された瞬間まさに捨て駒にされたのだ 

そして連合軍側としても、遷都の話などたまったモノではなかった

 

帝を奉じて立ち上がった救国の士になるのが狙いであるのに・・・

 

洛陽同様に天嶮の地である長安に拠られては、 さらに戦闘の長期化が予想されてしまうからだ

この暴挙と言える遷都を連合軍に知られては、もはや力づくで洛陽へと進軍するに違いない

 

そうなってしまっては、汜水関を抜かれると同時に、雪崩の如く洛陽へと押し寄せられてしまう事が予想できた詠は  

仕方なく汜水関を放棄して、より堅固な虎牢関へと撤退するよう伝令を出したという推移である

 

霞、恋、ねねの3人は、兵達に遷都の事は心苦しくもあったが伏せさせた 

明かせば家族の安否を気にして、兵が離散してしまい、戦闘どころの話でなくなってしまうからだ 

 

詠の提案を受け入れ、悶々とした気持ちを抱えたまま、汜水関を放棄して虎牢関へと速やかに撤退していったというのが事の真相である

 

 

遷都内容を携えた明命の部下が、戦中の一刀達の下へと辿りつき、その情報を知ったのは

董卓軍の面々よりかなり遅く、皮肉にも華琳が混乱に乗じて汜水関を落とし、駐屯した結果もたらされたようなものであった

 

この困難さから、董卓軍の洛陽から汜水関の間の警戒が、かなり厳重だった事が伺えよう

 

孫呉首脳で話し合った結果、すぐさまこの情報を紅が携えて、麗羽の陣を訪問

この情報を聞くや事態を重く見た麗羽は、各諸侯を招集 今後の対策を練るべく、会議を始めるのだった

 

汜水関を落とし漸く沈静化を見せ始めた矢先に、また新たなる嵐が吹き荒れ、驚愕の色を隠せない連合軍諸侯達の面々であった

 

汜水関を下した連合軍は、遷都の情報を得た今となっては、虎牢関へと撤退した董卓軍を直ぐにでも追うべき処だったのだが・・・

初日に恋によって蹴散らされた連合軍の食糧被害が事のほか大きく、急いで周辺各都市から不足分を調達しようと躍起になったのだが・・・

 

近隣諸国で食糧の物価が高騰、品薄で必要数を調達できなかったという、惨澹たる有様となってしまっていたのだ

 

何故周辺諸都市の食糧が品薄で高騰していたのだろうか?

 

そもそも華琳を始めとした周辺諸侯もまた、戦の為に食糧を調達するのは当たり前の行為といえる

それだけではもちろん、物価はある程度高騰するだろうが品薄状態にまで陥ることなど皆無に等しい

 

ならば、答えは一つ それに輪をかけて・・・調達した勢力があったというだけの話だった・・・

 

 

その勢力とは・・・何を隠そう『孫呉』であった

 

 

調達には、汜水関の戦闘に参加していなかった穏と藍里の2人が、各都市へと受け取りに出かけており

陳留を始めとした小沛等の各都市の魯家支店を通じ、ほぼ限界まで食糧を買い入れたものだから・・・

 

その後、麗羽がいくら大金を積んで金額を提示しようとも、品がないのだから売る事も出来ない

そうした理由もあって、近隣諸国から必要数の食糧を調達出来なかったという絡繰なのであった

 

またこの際に、穏と藍里を各都市の魯家支店に派遣した事による恩恵も、孫呉にとって幸運に働いた

 

その恩恵とは、華陀達が近く大規模な戦争が行われる事を聞きつけて

戦争で傷ついた者の治療に当たるべく、魯家の支店に繋ぎを入れてきていたのだった

 

かくして、穏と藍里と共に華陀と変態2人を途中で拾い、孫呉の陣へとやってきたのだった

 

この幸運により、応急処置の終えた緋蓮の治療を華陀へと託し、一刀は治療の助手として看護に回り、緋蓮の命をなんとか取り留めたのだ

 

 

では何故孫呉が戦の最中までも、食糧の調達に走ったのであろうか?という疑問が残る

 

これは事前に一刀の情報により、袁術軍に食糧を補給してもらえず、孫呉軍は寒さと飢えから壊滅状態に陥る事を

事前に知っていた為の対策であったのだが・・・この時点で孫呉の兵糧は困窮せず

今となっては、この孫呉の一連の行動が裏目に出た格好と言わざる負えない 

 

ならばここから比較的近い寿春からも調達したいのはやまやまだったのだが

七乃がかなり無理をしたやりくりをして、見栄を張って2万もの兵で遠征した為に

当然のことながら兵糧もかなり買い込んでいた為、高騰した周辺諸国よりもさらに高値になっていたという・・・

そんな目も当てられない悲惨な状況に陥っていたのを知った袁紹の遣いは、すぐさま退散したというオチだったのだ

 

汜水関を落とした後の会議で、食糧被害量を参加諸侯で”等分”する案が了承されたばかりで、

今更会議の内容を変更するみっともない真似など、麗羽のプライドが許さず、また出来様筈もなかった

しょうがなく遠方ではあるが、麗羽の治める(ぎょう)から順次送る手筈となった訳のだが、話はこれで終らなかった・・・                                                                                     

美羽に預けた諸侯の食糧事情に、元々大きな差異があった為だ

 

麗羽などは多大な軍勢を擁している為、持参してきた食糧も莫大な量で、恋の襲撃の被害を等分したとしても微々たる損害で済んでいた

しかし麗羽や孫呉、華琳のように、食糧を潤沢に用意できた諸侯は僅かであり

人数が少なめの諸侯達は、食糧をあまり余裕をもって持参して来てはおらず、”等分割”は諸侯にとってかなりの重荷となってのしかかる

 

こうした経緯もあった為、すぐにでも虎牢関へ兵を進めて

一刻でも早く董卓軍と十常侍を排除し、遷都を目論む帝と洛陽を押えるべしと主張する、麗羽・華琳を始めとした勢力と

長安まで長引く恐れを懸念材料に挙げ、麗羽が送る(ぎょう)よりの食糧補給を待ってから進軍するべしと主張する

兵糧の心もとない陶謙・馬騰を始めとした”等分割被害増大派”諸侯との間で会議が紛糾

空転してしまい・・・貴重な時間が刻一刻と過ぎていってしまうのであった・・・   

 

ちなみに孫呉としては、どちらにも理があったので中立を保つと宣言し距離をおく

桃香や白蓮は”等分割被害増大派”寄りの本音を心に秘めつつも、孫呉と歩調を合わせる形で中立側に立っていた

 

麗羽や華琳は、時間がジリジリと会議で浪費されていく事に、怒り・苛立ち・焦りを見せ、歯噛みして悔しがるものの・・・

中立派と否定派の考えを変えるには到らず、麗羽・華琳を始めとした勢力だけでは、虎牢関はおろか・・・

次の洛陽を落とすのにも、多大な被害を覚悟しなくてはならず・・・

 

会議が紛糾し時間を取られるのならば、食糧補給してからの進軍の方が確実だという意見が

次第に連合軍の多数を占めていくのだった・・・

 

 

 

 

連合軍の進軍は、汜水関にて止むを得ず停止せざる負えなくなりはしたものの・・・

食糧調達の間も休む間もなく、様々な事象が諸侯の中で進行していたのだった

 

その様々な事の1つに、汜水関で霞の足止めをした”弩弓砲”の存在、緋蓮の容態の2つを『前編』にて

現状の連合軍の維持の様子と劉表軍を退けた一戦後の呉の様子の2つを、次回の『後編』と2度に分けて挙げようと思う

 

 

汜水関の戦いが終盤を迎えた頃、司馬懿と鍾会は弩弓砲があった”形跡”の崖へと足を運んでいた

というのも形跡ー全てを証拠隠滅する為に孫呉が焼却処分したのだろう まだ所々で白煙が立ち込めていた

 

司馬懿が箱状だったモノの中を覗き込んだ処、中心部分は見事なまでに焼け焦げ、絡繰内部の詳細は不明といえた

 

「中心部は真っ黒焦げですけど、コレ持ち帰りますか?」

司馬懿の眉を顰めた表情を読み取った鍾会は、もはや意味もなさないゴミだと思っていたが、念の為に聞いてみる

 

「ああ 頼む 主へはここに来たという証になろう 

 しかし見事なまでに焼却処分したようだな これでは絡繰内部の詳細までは不明だ

 ”謎の火を噴く矢の兵器”という、主には先程目にした光景のままの報告となりそうだな

 しかし、北郷よ 我を少々侮っていたようだな・・・ この臭い・・・くんくん なるほど」

 

と鍾会には司馬懿の行動に理解出来ないでいたが、鍾会の首を傾げる様を気にする様子はなく

白煙立ち込める辺りをウロウロしては嗅ぎ出すという行為を繰り返す司馬懿

 

「これは・・・『火薬』を使ったやもしれんな」

「『火薬』・・・ですか? 司馬懿様 『火薬』とは一体?」

 

「仮に1里飛んで大きな岩を破壊する兵器があったとしよう 火薬を使うことで2里先の同様の大岩を破壊する事ができるという便利な薬だ

 既存の弩?弓?では到底届かない距離から人馬毎貫いた威力と飛距離・・・」

 

「この灰になったチンケな兵器は、そんな珍しい薬を使った兵器というのですか? ちょっとにわかには信じ難いですね」

「辺りを漂う独特の”臭い”といい、十中八九間違いあるまい」

 

そこへ新たなる影が近づいてくるのを感じた鍾会は身構えるものの・・・

「ここにいらっしゃいましたか お探し致しました司馬懿様 鄧艾様の遣いとして参りました」

「鄧艾の? ご苦労 聞こう」

 

「十常侍筆頭の張譲が、長安への遷都を実行に移すべく画策しているとのこと 

 司馬懿様の判断を仰ぎたいとの鄧艾様よりの言伝であります」

 

「うむ ならば張譲に従い手伝うが良い ただし遷都実行時期は出来る限り遅らせよ 計画倒れにしても構わん

 鄧艾は張譲に近づき、常に奴の居場所の把握に務めよと、鄧艾の下へと帰り伝えるがよい」

 

「ハッ 承知致しました では!」

司馬懿の命を受け取った伝令は急いで去ってゆく

 

孫呉の過ちーそれは兵器に初使用した『火薬』の存在を、この時代を生きている司馬懿が”臭い”を知っていたという事実だった

この後漢末期には、すでに火薬の存在はあったものの・・・とても高価で実用化にはほど遠い存在の代物であった

 

司馬懿は辺りに充満していたと思われる”臭い”に着目し、その臭いを嗅ぎ取り『火薬』の存在を確信したのである

ただ亞莎にこの失態を押し付けるというのは、酷というものであろう むしろ気付いた司馬懿を褒めるところであろうが

司馬懿に火薬の存在を知られたのは痛く、今後対策をとられる可能性も出てきた訳で、証拠隠滅を指示していただけに失態とも言える

 

歴史上に登場する火薬は、三国時代よりも後の中国の唐代(618年 - 907年)に書かれた

「真元妙道要路」には、硝石・硫黄・炭を混ぜると、燃焼や爆発を起こしやすいことが記述されており

既にこの頃には、黒色火薬が発明されていた可能性がある

 

日本人が初めて火薬を用いた兵器に遭遇したのは、13世紀後半の元寇においてが有名である

次に種子島に鉄砲が伝来し、戦国の世の戦い方を一変するまでに至るのは、皆さんもご承知のことであろう

 

調査を終えた司馬懿は、華琳の下へと帰還すると、陣中では汜水関を落とし切れず、雰囲気も重苦しいものだったが

司馬懿の態度になんら変わる様子もなく、陣中で淡々と仕事をこなしていたようである

 

それはそうと、司馬懿は帰還後の華琳への報告で、孫呉により焼却処分されており詳細は不明

鍾会に焼け焦げ残存した弩弓砲の残骸を持ち帰えらせただけで、”火薬”の存在を華琳へと報告する事はなかったようである

 

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一方、華琳が汜水関を落とした夕刻に、『弩弓砲』の運用試験結果報告書が、亞莎により一刀の元へと届けられ

緋蓮の看護の間に目を通す一刀

 

亞莎の報告書の内容はこういったものであった

 

1:報告者   呂 子明

2:日時    朝~昼前にかけて

3:場所    汜水関前

4:相手(敵) 汜水関より出てきた張遼へ向けて

5:目的    弩弓砲の運用試験

6:打ち合わせ事項 

         機密保持のため運用試験後の焼却処分との命を一刀様より受ける

7:所見

 

約4里~4里半といった距離まで楽々に矢が届いておりました                        ※1里=500mで換算

 

弩弓砲の良き点を挙げますと

 

見た目も派手で敵味方共に目を釘付けにでき、敵の士気を挫き味方の戦意向上へと繋げる事も可能

火薬量を調節する事によって”火矢”としての効果も期待できる点

導火線の長さ調節により発火までの時間調節が出来る点

 

次に弩弓砲の悪き点を挙げますと

 

飛距離は実験成績より格段に上がったものの・・・火薬を大目に使った為か矢が燃えながら飛来してしまいました

長距離の滞空になればなるほど、矢の強度が落ち、飛距離も短くなる事が予測され効果が薄れる懸念があります

 

大きさ、持ち運び、矢の数、設置時間がかかる事も難点の内の一つで

やはり主に拠点防衛用に使用するのが得策という結論に到りました次第です

 

大きさ、持ち運びという観点から、拠点以外の実用方法を勘案致しまして

車等に乗せたまま移動、固定後、実用可能に改良できないものでしょうか? また小型化して連射可能にするのも手かと思われます

 

まだまだ事細かく指摘されてあったが、内容を吟味すればこんな所に要約することができる

 

うむ あの短時間の試用で良く纏められているな これなら報告書をそのまま冥琳や琥珀へ送るとしよう

と近くの伝令を呼びいれ、亞莎の報告書に自身のサインを記し、冥琳へと手渡すよう言付ける一刀

 

この火薬の使用は”将来への布石”といえるが

便利な反面、大量殺戮兵器を開発することになる事は確実で、同時に戸惑いをもった一刀である

 

火薬がこの世に存在するという事は、遅かれ早かれ鉄砲、大砲が開発される恐れ

更に進めば原爆、水爆という人類の滅亡すら行う事のできる、危うき大量殺戮兵器まで技術は達することまで予測できた

 

そして自身が知らないさらなる技術まで・・・

そう思うとゾッとし、肩にズシリと重きものを背負ったような感覚に一刀は襲われる

 

 

この事は雪蓮や冥琳を交えて、何度も話し合った事を想い出していた

 

「これは人を初めて殺すことと同義さ 北郷・・・ 

 人は『慣れ』によって、いとも容易く畏怖の感情という壁を取っ払ってしまう 殺した事に関する個人の意思など無視してな・・・

 大量殺戮兵器を使用する事に罪悪感が無い訳じゃないし、使用することの是非など、後の世の平和を貪る歴史家などに任せておけばいいさ

 

 戦争には犠牲がつき物なんだから 多くの人が死なない戦いなど戦争などと呼ぶものか

 非情なようだが北郷 要はその大量殺戮兵器を用いてでも、その先にどんな世界を築きたいのか、築き上げたのかが問題なんだ

 罪の意識無く無闇やたらと使用するのは駄目だろうが、要は使いようだと私は思っている 

 

 泰平の世を”長期間”作り出せたのなら・・・

 大量殺戮兵器を使用した事実は消える事はないが・・・使う事への抑制ともなろう

 また世代を越えれば、多少なりとも”使用した罪”は薄れはするものさ

 

 そしてその罪は・・・命を下した我々が責任を背負い、墓の下までもっていけばいいだけさ 

 その覚悟から目を逸らしたり、責を背負うつもりがないのなら、先頭をきって戦争なんて最初からすべきでない!」

と冥琳は一刀と視線を合わせ、強い意志の篭った瞳を向けてくる

 

「一刀 罪を背負ちゃうのはしょうがないけれど、決して押しつぶされちゃダメ

 私達は殺した人の死を無駄にせず、何時の日にか乗り越えて

 『明日』という希望に満ちた世界を、共に歩み生き抜く人々に、見せ続けないといけないんだから・・・

 振り返るなとは言わないけれど、一刀も私達と孫呉を率いる以上、下を向いている時間すら惜しいの

 

 技術を私達に提供したのが、一刀が罪というならば・・・使用するという命を下す私達も一刀と同罪 いえそれ以上の罪よ

 私は母さまから”王”を継ぐと覚悟を決めた時に、全ての咎を背負うと覚悟したから・・・」

と冥琳の後を受けて答えた雪蓮の瞳にも、強い意志が篭る瞳を向けてきた

 

2人の言い分も頭では判っていた 理解もしていた・・・しかし・・・

 

孫呉にだけ被害がなければ、それで良いのか?という倫理観にも苛まれる一刀 

いずれその大量殺戮兵器が、孫呉に住まう大事な人々の命を無残にも奪う事も覚悟しなければならないかと・・・

 

今までは孫呉が豊かになるから、強くなるからと、目を瞑ってきた部分であった為

雪蓮や冥琳のように、例え他人に追及されようとも揺るがぬしっかりとした覚悟を持たないと・・・と思い返し悩む一刀であった

 

数刻前に目を醒ました緋蓮の看病をしつつ、横目に時折見える汜水関に落ちゆく夕日を見つめながら・・・独り考えに耽る一刀であった

 

 

 

 

目を醒ました緋蓮は、今ではうんざりした表情を、掛け布団を顔まで上げ覆い隠している・・・本音は耳も塞ぎたい処であったが・・・

ちなみに華陀の付き添いである貂蝉と卑弥呼の2人は、怪我人には刺激が強すぎるとの理由で病床へは出入り禁止処置となっていたのだ

 

緋蓮が顔を隠し拗ねる、こうした状況に陥る事になったのは、目の醒める数刻前へと話は遡ることとなる

 

目を醒ました緋蓮と最初に目が合った華陀と一刀に笑顔が戻り

まだ緋蓮の頭はぼんやりしつつも、何処かへ一目散に駆けていく一刀を目で追う内に、倒れる以前の記憶を朧げながらも辿る緋蓮

 

問いかけたのが、一騎討ちの詳細を知らない華陀だった為、どうやら華雄に勝てたらしいという事実だけ聞く事が出来た

自分の役目を果たせた事に、ホッと一安心し胸を撫で下ろす緋蓮であったが・・・

落ち着く間もなく、一刀と共に雪蓮や蓮華を始めとした将達に、寝ている周りを一斉にとり囲まれる緋蓮

 

涙を流し抱きつく楓や蓮華を視線だけで追い困惑を隠せない緋蓮であったが

抱きつかれた箇所の体が痛い・・・原因を作ったのは他ならぬ緋蓮自身であったので、痛いと声をあげる事も出来ず・・・

 

自身を取り囲む皆の潤む目を見れば、皆にも随分と心配をかけたことに

心苦しく思う緋蓮であったが、殊勝な緋蓮もそこまでだった・・・

 

「母様の馬鹿! すっごく心配したんだから!

 ブツブツブツ・・・ブツブツブツブツブツ・・・ ブツブツブツブツブツ・・・ ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ・・・・・・」

 

あ~の~蓮華? 心配かけたの申し訳なく思ってるんだけど・・・ね?

何言ってるのか判らないし・・・最初小さくて判らなかった文言が、次第に大きく長くなってるのは・・・

コレ私への愚痴ダヨネ 気のせいじゃないよね?  シクシク・・・

蓮華ったら、どれだけ私への愚痴を溜め込んでいたのかしら・・・ 今となっては空恐ろしくて聞けない・・・わ・た・し

 

そこから蓮華の愚痴を皮切りに・・・

「ううっ 穏 すっっっっごく心配しちゃいましたよぉ~ 緋蓮さまぁ~ ぽかぽか(殴る音)」

 

穏の暢気な声は、どう聞いても心配したという雰囲気が一切感じられない・・・とは口が裂けても言えない

失礼な思いをひた隠す緋蓮を知ってか知らずか、怪我人である緋蓮の存在を忘れ、情け容赦なくぽかぽかと叩く穏

 

瞬間的な痛みなら息を止めて我慢できるのだが、この断続的に続く”ぽかぽか”痛みに耐えるのは勘弁して欲しいと願う緋蓮だったが

終には断続的に続く痛みを、計画的な犯行と受け取りキレたのだろうか?

最後には、誰かこの性悪で失礼極まる大きさの巨乳娘を、誰でもいいからふん縛ってでも止めさせて!

と切に願いを込める緋蓮がいたのだった

 

それから孫呉諸将による怪我人に塩を塗りつけるが如く

数々の愚痴のオンパレードが、緋蓮の枕元でこれでもか!と披露される事となった

 

「あの~皆も 緋蓮様が無事、目を醒まされたんでskr・・ヒィ!!!!」

と楓は敬愛する緋蓮の不利を見かねて、皆を宥めつつも・・・最後までその言葉を続ける事はできなかった

 

「楓? ここから呉に帰る?」

と紅に笑顔で睨まれては、祭と双璧をなす宿将・楓さんでさえ即轟沈し沈黙させてしまう・・・

首を横に素早くブンブン振りつつ、後ろへすごすごと戦略的撤退を計る楓さんでありましたとさ

 

孫呉の両宿将を、こうまで簡単に黙らせる事の出来る人物も、そう多くない筈なのだが・・・

冥琳といい紅といい、うちの軍師達の優秀さが、この時ばかりは恨めしく思う寝込む緋蓮さんでありました

 

あぁ~ 楓に代わる我が援軍は・・・と華陀と一刀を瞳をキラキラさせて、期待の眼差しを送る緋蓮さんでありましたが

その抵抗も虚しく・・・華陀にはそっぽを向かれ無視されてしまい、一刀はというと・・・

 

「母さん! 使用を禁じていた『神速』 全力で使ってくれましたよね~ 全力でし・よ・うしても良い許可出した記憶ないんですが?」

と引き攣った笑顔を浮かべ、緋蓮へと顔を近づけてくる一刀であった

 

一刀! 顔が近い近い近い近い近い近い近い!

母さん嬉しくて失神しそうだけど、すご~~~~く 今はその笑顔が恐ろしく怖いデス!!!!!

 

お母さんは病人デスヨ? そのキュンとする怖い笑顔も、すごく素敵でいいのだけれど

お母さんを脅迫するのヨシテ! 優しくシテヨ!と声を大にして一刀に訴えたかった緋蓮であったものの・・・

 

最後の追い撃ちをかけるように

「母さま・・・隠居したんだし もうちょっと歳 考えて闘いなさいよ」

雪蓮から非情なるトドメの一撃を喰らい・・・ 見事轟沈する緋蓮さん・・・

 

歳のことをいうのは禁句よ・・・ 乙女の母さんだって、現実を突きつけられるとすっごく辛いんだから・・・

死にかけた事より歳を気にする辺り、反省したようなしていないような、思考をしていた緋蓮である

 

もはや周りの人達では、逃げるところ等ない事を悟った緋蓮は

掛け布団をそっと顔まで上げ、現実逃避を計るしか抵抗する手段が残されていなかった

 

緋蓮が掛け布団で顔を隠し、現実逃避して気まずい雰囲気が周囲へ漂う中

察した遣いの者が恐る恐る覗き込み、緋蓮を取り巻く首脳達へ向けて静かに、馬騰親子が緋蓮と面会したいとの事で訪れた事を伝えに来る

 

「母さん 馬騰さんと知り合いなの?」

との一刀の問いかけに対して、緋蓮は掛け布団を顔に覆っていたのを下げ、顔をちょこんと出して答える

 

「翡翠がねぇ? 以前の会議で久々に会ったというのに、無視決め込んでいたみたいだったから、放置してあげたというのに・・・

 この期に及んで一体私に何の用なのかしら?  翡翠の事だから、私にとってどうせロクでもない事なんでしょうけどね

 

 お客様だしこのまま話すのも失礼でしょうから、一刀 身体起こすの手伝ってくれるかしら?」

と緋蓮にも馬騰の意図を察する事は、今の処できない様であったが、

緋蓮の身体を起こすのを蓮華と共に手伝いつつ、言葉から察するに良い関係とは到底思えなかった一刀であった

 

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緋蓮の周りには、一刀、雪蓮、蓮華、紅の4人がここに残り、その間に起こった処理は楓と穏とに一任する事になった

華陀も緋蓮の病状に何か変化があったら、遠慮なく呼んでくれと言い残し、すでに退出していた

 

紅に導かれ、天幕へと入ってくる馬騰、翠、蒲公英の3人

「翡翠 いらっしゃい 昔と相変わないわね」 

 

「久しいわね お元気だったかしら? 緋蓮 後ろに就いて来ているのは、娘の馬超と姪の馬岱よ

 そ・れ・と・・・呉公様はお元気かしら?」

とそわそわする馬騰の紹介に従い、翠と蒲公英が皆へ頭を下げる

 

怪我人の緋蓮を一目みれば、元気かどうかなんてすぐ判別できる筈なのだが・・・

 

自身の言葉がおかしいことには、一切気にした様子もないにも関らず

周囲をきょろきょろと見回し、落ち着きがない様子で手で髪を梳いたりと、挙動不審な行動をし出す馬騰に

 

「・・・聞いてないの? あの人は随分と昔に、劉表の計略から私を庇って亡くなったわ」

と思い出したくもない事実であろうに、緋蓮はぶっきらぼうに馬騰へ答えた

 

「・・・・・・そう・・・あの劉表からの流れてきた噂 本当だったのね・・・ 

 黄巾時に我らをコキ使いながら・・・ あいつ今度会ったら1度、本当に地獄を見せて殺してやろうかしら」 

と鋭い殺気を放ち、恐ろしい事をさらりと言ってのける

これが大陸に聞こえし、馬騰と呼ばれる武将の実力の片鱗を、鋭い殺気で知る事が出来たと言えよう

 

「呉公様の情報に関しても、聞いてない訳じゃないわ 緋蓮 

 

 ただ西の最果ての西涼に届く情報は、ご多分に漏れず嘘や真が入り混じってることが多いから・・・

 それを確かめる術を羌族などの異民族が多くいる地で、私的に使う余裕もないから、出来るだけ信じないようにしてるのよ

 

 そう 呉公様に会える事を楽しみにして来たのだけれど・・・」

とそわそわした態度は消え失せ、変わって馬騰からは悲しげで重苦しい雰囲気を漂わせ始めていた

 

「それはそうと緋蓮 貴方のそばにいる男の子は貴方と呉公様の間の息子さん?って訳ないわよね?

 貴方確か息子さんはいなかった筈だし・・・顔貌は似ていないけれど、呉公様が纏う空気というか

 温かな雰囲気が少し似ているかしら?」

 

「今では私の息子よ 血の繋がりはないけれど、世間では”天の御遣い、三英雄”の一角を担う男の子よ 一刀は

 それと私の実の娘は、隣に控えている右にいる上の子が孫策 下の子が左の孫権よ 挨拶なさい」

 

「母に代わり、今は孫呉の王を務めております 孫策と言います 以後お見知りおきください」

「母より紹介がございました 孫権と申します」

 

「たしかに・・・緋蓮譲りの桃色の髪なのね そ・れ・と へぇ~ 貴方が天の御遣い・・・なのねぇ?」

と好奇の目を向け、一刀の周囲を覗き込んで回りだす馬騰であったが・・・

瞬時に馬騰を纏う空気がガラリと変わり、懐から剣を素早く抜き放ち、緋蓮の喉元へと突きつける

 

自身の母親が、無礼を働き緋蓮に剣を突きつけたことに関して、こちらに完全に非があると思っていた翠と蒲公英であったが

何か理由があったからこそ、母は孫堅へ向けて剣を突き立てたのだろうと考えていた2人

 

そして馬騰のとった行動に対し、緋蓮はその場から無理に動こうと抵抗することはなかった

雪蓮は即座に、蓮華が腰に佩く剣を抜き放とうとするのを抑え、紅は変わらぬ笑顔でいつつも、瞳は無礼を働いた3人を射抜いていた

 

一刀はというと、緋蓮へと剣を突きつけている馬騰になんら気にした様子もなく

緋蓮の寝ている布団へと近づき、少し乱れた布団を直している最中に、馬騰がしたように『殺気』を垂れ流す一刀

 

「馬騰殿 お戯れも程々になさいませんと・・・

 なんでしたら、そこに控えていらっしゃる娘さん達ごと、この世界から消してご覧にいれましょうか?」

 

などと、とんでもない事を易々と馬騰へ言ってのけ、尚も強烈な殺気を垂れ流し続ける一刀

 

馬騰はこの時始めて、この青年の殺気に飲まれ、恐怖を感じ震えている自身がいる事に気づいてしまったのだ

その証拠に緋蓮へと剣を突きつけ、優位を保ったと思っていた自信の手が、小刻みに震えているのが判った

 

翡翠としては、この行為に至った経緯は、緋蓮達、孫呉の力を借りたいという今は明かせない裏事情があったものの・・・

昔の腐れ縁を頼り、遠き昔に緋蓮に言われた事を、試しにそのまま実行に移した”一時の戯れ”に過ぎない

 

しかし、この目の前にいる青年から迸る殺気は、”一時の戯れ”さえ度が過ぎて許せないという事を物語っていた

 

この子、大切な母である緋蓮が殺されることを、瞬時に良しと判断したというの?

それとも・・・私や翠、蒲公英の3人相手に、緋蓮を本当に救い出せる当てがあるとでもいうの?

 

”一時の戯れ”を演じた翡翠の方が、逆に一刀の殺気で一転、窮地へと追い詰められていたのだった

 

そして、馬騰を取り巻く周囲に控えていた孫策、孫権、張紘の3人もまた

一時の動揺を良く抑え込み、殺気を垂れ流す一刀を見つめ信じ、一切動こうとはせずにいた

 

その3人の瞳に宿る意思に揺らぎがない事、緋蓮が殺されるとは微塵も思っていないことを感じとった馬騰であった

 

この巷で噂される天の御遣い、三英雄と呼ばれる青年に、一体どれだけの信頼を寄せているのかが、この時瞬時に掴めた馬騰であった

 

一方、容易に母だけでなく、自身の首と蒲公英の首を取ると宣言されては

武人と少しは自負している2人にとって、たまったものではなかった しかし・・・

 

「なんだとっ! お前! うぐっ・・・」

「叔母さ・・・ま・・・」

 

翠と蒲公英もまた、視線を向けられた訳でもないのに、声が出なくなり身体の震えが止まらない

その2人の様子を見て取った馬騰は、一刀が公言した通りになる事を悟り、自身らの敗北を悟ったというのだろうか?

 

緋蓮の喉元から剣を引き納剣するや、溜息をつきつつ一刀へ投げ渡す馬騰

 

そんな翡翠の様子をみてとった緋蓮は

「一刀 翡翠も引いたみたいだから、殺気を収めて頂戴 私は大丈夫だから

 

 翡翠? 私を動かしたいのなら、剣で脅迫するのではなく、言葉で私達を納得させなさい

 それとあんまり一刀を怒らせないで・・・ この子は家族を失う事を極端に嫌う優しい子なんだから・・・」

と殺気を和らげた一刀を手招きし近くへと呼び寄せ、緋蓮は不自由な手を伸ばし一刀の頬や頭を撫で回す

 

「そう・・・ 以前の貴方とはまるで”別人”ね 私にも緋蓮 貴方にも色々なことがあったのがこれで判明したわ

 それにこれ以上、周りにいる貴方の娘達にも誤解されたくないし・・・ 

 こうして貴方に腹を割って話すのは、”あの時”以来でしょうけどね」

 

「あまり昔の事を思い出させないでくれる? 翡翠

 英雄なら女妾を侍らすのも甲斐性の内とかって吐いた貴方に言われたくないわ・・・

 ホント図々しいったらありゃしない・・・ また思い起されてムカムカする! だから貴方の顔なんて見たくもなかったのに!」

 

「フフフ やっぱり昔、力づくで奪ってみなさいと言い放った貴方も健在なわけね」

と何か悟ったように緋蓮にいう馬騰と、馬騰の言にバツの悪い表情をみせる緋蓮

 

一刀にはなんとなく、緋蓮と馬騰の2人の遣り取りから

以前、緋蓮との会話の遣り取りした記憶から、ぼんやりとだが、その因縁めいた出来事に思い当たったようだ(第1章 拠点ー緋蓮編参照)

 

一刀から殺気が消え失せ、重苦しい雰囲気が霧散した途端に

 

「面白くな~~~~~い! 一刀今からでも遅くない! いいから殺っちゃいなさい!」

と先程までの真面目な王の仮面は、いつの間にやら脱ぎ捨てたようで・・・地を曝け出していた雪蓮であった

 

「姉様・・・ そういう問題ではありません!」

と暴走しようとしている姉を強く抱きかかえ、止めようと対応をする蓮華

 

「ほほほ 寿命が延びてよかったですねぇ? 馬騰様を始めとした皆様

 緋蓮様を本気で殺す気だったのでしたなら・・・ 軍毎皆殺しにして差し上げましたのに・・・」

 

雪蓮と蓮華の2人を他所に、笑顔で紅がボソッと口から零す

 

一刀の殺気が萎んだ事で、息を呑んで動けなかった翠と蒲公英は、漸く一息つけた情けない有様で

3人のそれぞれの言葉を聞き、ゾッとする翠と蒲公英の2人

 

ここに集う人物で、1番まともなのは妹の孫権ぐらいだと感じた2人であったが・・・

事情を知っていれば、蓮華も只者ではないと判明するのだが・・・

 

短時間では到底理解出来ない世界があるのを、付き合いの浅い2人が知るのは随分後のこととなる

 

先程の剣を喉元へと突き立てた行動といい、孫堅と因縁めいた憎まれ口を叩き合う姿は

翠や蒲公英にとっては新鮮で、妄想癖より未知の領域だと感じつつも

皆の破天荒さにほとほと参り、やっぱり着いて来たのは失敗だったと疲れ果てた脳で感じた翠と蒲公英の2人であった

 

 

 

 

「先ず始めに先程の行為に対し無礼だったわ ごめんなさい

 でも私も本気にならざる負えない事情もあるのよ 先程のはその覚悟の程を示しただけ」

と翡翠もまた、先程の行為に至った経緯を漸く説明しだす

 

「翡翠 貴方は昔からそうよね 口より先に手が出るんだから・・・

 うちの人をたぶらかして、譲れって一騎討ちを挑んできたり

 どうしてそう、口より手や身体が先に動くのかしら・・・はぁ」

と呆れ果てた緋蓮は、碧のぶっとんだ過去の逸話を暴露する

 

「母さま! あんた一体何やってんだよ!」

「叔母さま・・・」

と緋蓮の言葉を聞いた2人の娘達の視線は、ますます呆れ果て冷たくなるものの・・・翡翠は一向に気にした風もなく

 

「ほっほっほ やぁねぇ~♪ 緋蓮! 若気の至りじゃない~♪」

とすこしも悪びれた態度をみせない だからこそ、緋蓮と並び称されるほどの偉大な人物として、西涼の民達から讃えられるのであろう

 

ただ緋蓮も口より身体が先に動くタイプの人間である事はすでに明白であり、その性格はちゃんと雪蓮へと受け継がれているわけで・・・

その緋蓮に注意される翡翠が、この一件も含めてどれだけ規格外の行動派なのかが言わずとも知れよう

 

翡翠のこの規格外の行動原理が、翠にもちゃんと受け継がれているのだから・・・血の繋がりとは誠に面白いものである

 

「はぁ~~ もういいわ翡翠 争うような事はもうないと思うけれど

 何か用事があるのならそちらを優先なさい いつでも退出して結構よ」

と雪蓮と蓮華・紅の3人に、緋蓮は気遣いをみせる

 

 

「それで? 私を人質にしようと狙った理由・・・ そろそろ聞かせてもらえるかしら?」

と本題へと進むよう翡翠の行動の核心部分へと踏み込む緋蓮

 

「・・・貴方が血の繋がっていない天の御遣いくんを『息子』と呼ぶように

 私にも”母”と慕ってくれる血の繋がっていない心根の優しい『娘』がいるのよ 

 

 その優しい『娘』は今、最大の命の危機に晒されている 母である私が命を賭けるのは当然の事よ

 

 この秘密を打ち明けるに足る緋蓮であったのかを確かめたかったから・・・

 無礼を承知で先程、剣を突きつけさせて貰ったわ・・・」

と翡翠が事の真相を述べ終える

 

「そういう事だったのね 理由は判ったわ それでその貴方の娘さんのお名前は?」

と翡翠の言葉に疑問に思った事を素直に述べる緋蓮

 

 

「月・・・・・・ 董卓と言うわ」

と翡翠が語った名前に、居並ぶ孫呉の面々に衝撃が走り、お互いの顔を見合わせる

 

 

「・・・・・そう あの頃にそういった繋がりは見られなかったと思うのだけど、奇妙な縁があったものね 

 董卓さんの事なら、貴方の横に控えている一刀から詳細を聞くといいわ 

 貴方に嘘を言っても始まらないから、私の口から言うけれど

 私達は董卓さんの命を救いたいという”一刀の願い”を受け入れ、現在の孫呉は連合に参加しているわ」

 

「・・・・・それ本当なの? 緋蓮」

今度は翡翠が絶句する番であった 一体どこに月と接点があったというのだろうか?

今も連合軍側で戦っている孫呉が、敵方の大将とも言える将を救うためだと

口が裂けても簡単に述べていい言葉でもなかった 

 

バレたならいつ何時、連合軍10数万が孫呉へ兵を向けて殲滅してくる事も予想できたからだ

 

「二度は言わないわ 翡翠 誼のある貴方に今更嘘を言っても始まらないでしょ?

 

 そろそろ私は疲れちゃったわ 寝たいから一刀に蓮華 横になるの手伝ってくれるかしら?

 そのまま添い寝してくれると、母さん嬉しいのだけれど?」

 

「ああ 横になるんだね 少し待っててね 母さん」

と添い寝に関して見事にスルーする一刀を蓮華は手伝いつつ、しょぼぼんと落ち込む緋蓮を

雪蓮と紅の2人に見守られ、苦笑いを浮かべられてしまう始末

 

「ありがとう緋蓮 この恩、生涯忘れない・・・」

と娘の命を救えない自身の不甲斐なさを噛み締め、藁にも縋る想いで決死の覚悟でここまでやってきたのであろう

緋蓮達へ頭を深々と下げ涙を流す、翡翠の絶望の深さを(おもんばか)る緋蓮であった

 

「おおげさねぇ? まぁ 連合側に誰も味方がいなくて

 大方、大将の袁紹や左翼を統括していた曹操といった将軍派の面々から斥候を放たれ

 疑いの目を向けられていたでしょうから 無理もないけれど

 後は一刀 みんな 翡翠達の事よろしく頼むわね」

 

身体を横たえた緋蓮は、集っている皆へ向けてそう言葉を紡いだ

 

「大切な家族を守る為に馬騰殿は命を賭けられた その行為は俺と同じですから 

 

 承知したよ 母さん 後は俺たちに任せてゆっくり横になっててくれ

 それじゃ 皆 隣の天幕へ移動しようか」

 

と緋蓮の身体を厭いつつ、寝所から足早に去っていく一同であった

 

 

その後、麗羽に飲ませた約束事を含めたかなりの綿密な作戦内容を、翡翠、翠、蒲公英の3人へと順次公開していく一刀達孫呉首脳陣

孫呉の汜水関での動きを追っていた馬騰達は、ここにきて漸く不可解だった孫呉の汜水関での一連の行動に辻褄が合い納得する

そしてこれからの行動は、臨機応変に情報の遣り取りをしつつ

情報が決して外部へと漏れ出さぬよう、注意する旨を了承しその日は解散となった

 

孫呉の陣を立ち去ってゆく翡翠の顔にはもはや一切の翳りがなく

その様子を笑顔を浮かべ温かく見守る翠と蒲公英の明るく振舞う姿が

多くの馬騰軍の兵士達に目撃され、馬騰軍の士気が大いに盛んになったという

 

 

 

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

 (背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で

  徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

 

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる 

  初期には転属させられた事に不満であったが

  一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え、一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっている 華雄さん お気の毒に・・・

 

  当の本人(緋蓮)が華雄さんと再戦した際、もうこのやつあたりの事を覚えておらず、真相は闇の中へと葬られることとなったが

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

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この度宣伝を挟まさせて戴きます

※次週更新時には自己紹介より下方へと下げさせて戴きますのでお許しを

 

もうお知りの方もいらっしゃるかと思いますが、お友達付き合いをさせて戴いてます九条様とツナまん様

○二次創作 恋姫小説 『真・恋姫†無双~家族のために~』

http://www.tinami.com/search/list?prof_id=47445&keyword=&search=&genrekey=&period=&offset=20

○二次創作 恋姫小説 『真・恋姫無双-道』『真・恋姫無双~裏切者達の外史録~』

http://www.tinami.com/search/list?prof_id=46704

を執筆中であります御二方と共に”8月~9月最初”を目処に、テーマに沿った作品を皆様へお披露目の予定でいます

 

テーマは『夏モノ』と題し、作品を完成させるべく、日夜制作に励んでいる処でもあります

 

出来上がりました際には、UP日時を今回同様、再度皆様に宣伝させて戴く事になるとは思いますが

何卒ご一読くださいますよう、九条様、ツナまん様の作品共々、皆様、今後とも応援よろしくお願い致します<(_ _)>

 

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【あとがき】

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつもお世話になっております

 

前話で汜水関の戦いが終り一段落しましたので、色々と差込みたい事もございまして

この度は幕間(まくあい)前編と題させてお送りさせて戴きました

※幕間=演劇で、一幕が終わって、次の一幕が始まるまでの間。舞台に幕が下りている間。

 

呉側ではないですが、久々に真名のある武将、馬騰(翡翠)さんを出すに至りました

オリキャラ紹介にも掲載しておきましたので、馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)さんの紹介に目を通していただけると嬉しく思います

 

また翡翠さんの件は、文中でも触れました通り、以前に緋蓮さんの件で少し出しておりました

 

緋蓮さんと翡翠さんの呉公さんを巡る、熱き女の闘いの一端を垣間見せる事が出来たのかな?と思います

娘の翠との関係も含めまして、今後とも孫呉とは縁の深い間柄となることでしょう

 

そして今週、前編をおおくりしましたので、来週は後編をお送りすることになります

後編が終り次第、虎牢関編へと進行させる予定でおりますので、お楽しみに~

 

一刀の苦悩につきましては、ノーベルさん(ダイナマイトやノーベル賞を創設された方)の逸話を参考に作らせて戴いております

 

オーバーテクノロジーを導入する一刀に、他人には及びもつかない苦悩を背負い込みます

今後ともついて回る課題とも言える事柄だと思います

 

これからも皆様のご忌憚のない御意見・ご感想をお聞かせ下さいませ

完結まで皆様のご支援、何卒よろしくお願い致します<(_ _)>

 

それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪


 
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