戯志才「これは………すごいですね」
程立「もの凄い勢いでお皿の料理がなくなってますねー」
『(モキュモキュモキュ………)』
あの後、少女達の案内で街に辿りついた迦楼羅達は、
戯志才「ところで、見たところお二人は旅をしている様子ですが、それだけの武を持ちながら、何処かに仕官したりはしないのですか?」
食事も落ち着いたところで(迦楼羅以外)、戯志才が問いかけた
程立「これこれ、稟ちゃん。いきなりそんな質問をするのは、些か不躾だと思いますよー」
菖蒲「気にしないでいいですよ。そうですねぇ、師匠は路銀を稼ぐために幾つかの場所で客将をやらせて貰って居たそうだけど。僕はつい二ヶ月くらい前に賊に故郷が賊に襲われている所を助けてもらい、師匠に弟子入りして一緒に旅をしているのです。そういう5人こそ、何故旅をしているんですか?こんな物騒な世の中なのに」
迦楼羅はまだ食事中なので菖蒲が代わりに問いに答える。尤も、迦楼羅は人と話すのがあまり得意ではないのでこういう場合は菖蒲が話をする事に成っているからでもあるのだが
戯志才「我々は貴女方とは逆で、仕官できるような主を探しているのですよ。先ほどもご覧になった通り、我らには武の心得はありませんので、軍師として働くつもりですが」
程立「そですねー。稟ちゃんは自分は高みの見物で兵隊さん達に肉体労働を強いるのがお好きなんですよー」
戯志才「こら、風!」
菖蒲「ほぉ…文官をすっ飛ばして軍師とは………。そう言うからには、かなり智に自信があるので?」
程立「うふふ。風は一流ですので」
そう言って程立は袖で口元を隠して笑う。文面だけを捉えれば高慢なそれも、彼女が言うと何故か嫌味に聞こえない
菖蒲「そっちの3人は2人とは逆に武に自信が有るようだけど?」
太史慈「ああ。我等3人は武官として働こうと思っている」
姜維「私達、武には自信有るからね~」
菖蒲「ほぅ、そうですか。それで、どこか良さげな人はいたのかい?」
戯志才「そうですね…一角の人物は何人か見受けられましたが、仕えようと思うには至りませんでした」
菖蒲「例えば?」
戯志才「まぁ、いま突出しているといえば、袁紹、袁術あたりが思い浮かびますが、あそこは駄目ですね」
菖蒲「ふむ、その理由は?」
程立「派手すぎますー」
戯志才「先ほどお話しした、半年前まで一緒にいたという者は幽州の公孫賛の元で別れましたが、彼女も路銀稼ぎが目的のようですね。実際に食客として仕官すると言っていましたし」
程立「公孫賛さんは、よく言えば何でもできる。悪く言えば、目立つところがない、そんな人ですねー。それなりに優秀だとは思うんですけど、この時代をずっと生き続けるのはちょっと、という感じですー」
『(もきゅもきゅもきゅ……ゴクン)……公孫賛、白蓮殿トコに居た客将。星?』
戯志才「おや、知り合いでしたか?」
『……ん、俺は白蓮殿の所で客将やってた。傭兵として雇われてただけだけど(もきゅもきゅもきゅもきゅ)』
知り合いと同じような状況の人物が出てきた為、食事を一時中断してその人物の名を出し、少し話した後にまた食事を再開する迦楼羅
程立「なるほどー」
戯志才「西涼の馬騰は、かなり優秀と聞きますが………」
姜維「何しろ遠いですからねー。私達の足では無理ですのでー」
菖蒲「いろいろ悩んでいるんだね。………そういえば、曹操さんの名前が出てきこなかったけど、陳留はどうなの?」
戯志才「曹操のところは、最後に見に行こうと思っているのです。彼女は着々と力をつけ、その配下の武将も優秀、陳留の街も発展していると聞きますし」
程立「………と、冷静な振りをしていても、心の中では曹操さんに首ったけな稟ちゃんなのでした」
程立のからかいに、顔を赤くして抗議する戯志才であった
徐晃「…馬謖たちは何処で客将やってたの?」
菖蒲「え? う~~ん、僕が弟子に成ってから師匠は何処にも所属してないからな~。てな訳で、師匠。答えてあげて下さい」
『………公孫賛と袁紹』
漸く食事が終わった迦楼羅が質問に答える。因みに、食事を全て完食した事で、店内に居た全員(菖蒲除く)は信じられない物を見る目をしていた
太史慈「袁紹の所にも居たので?」
『……………ん。麗羽、噂程酷い人じゃない。偶に高笑いとかはするけど、良い人。噂は腐った部下の所為』
戯志才「……成程、その腐った部下を一掃するために敢えて噂に成る位酷い行いをしていると」
『……ん。領民達はみんな分かってる』
徐晃「…やっぱり噂は宛に成らない」
あの後は少し話した後、店を出た迦楼羅達は街外れまで来ていた
『………これから5人は如何する?俺達はまだ旅の途中だし。どうせなら、陳留近くまで送ってくが?』
戯志才「そうですね。これ以上お二人に負担を掛ける訳にも行きませんし。陳留までは近いですから。大丈夫です」
程立「凛ちゃんー、でも折角のお姉さん達の好意なのですからー、ありがたーく受け取っておいても損は無いと風ちゃんは思うのですー」
戯志才「しかし風」
『……別に、構わない。まだ昼を過ぎて間もない。この時間なら、夕暮れに成る前に、陳留に着ける』
迦楼羅が戯志才・程立と話して居ると
太史慈「馬謖殿!!」
『……ん?どうした?』
太史慈が声を大きくして迦楼羅の名を呼んだ。そして
太史慈「貴女と出会い!この太史慈の道が決まった!どうか私を配下に加えていただきたい!!」
『………何で俺?』
太史慈「私は馬謖殿ほど心優しく、また強い御人に出会った事が無い!それに、貴女は我らの窮地を救ってくれた。私は貴女の様な御人に仕えたい!!」
『……………………ん。俺の真名は迦楼羅』
太史慈「! 私の真名は緑と申します!」
『……ん。これからよろしく。緑』
姜維「えー!緑は馬謖さんの配下に成るのか。なら私も着いてくよ!!私の真名は神楽だよ!」
徐晃「…なら、私も。真名は桜」
『……ん。俺は迦楼羅。皆にも預ける』
戯志才「……宜しいので?」
『………ん。構わない。二人ともいい人そうだし』
程立「おぉ~、真名を預けられて此方だけ預けないのは失礼なのです~。風は風ちゃんなのです~。元よりお姉さん達には命を救ってもらった恩が有るので~、預ける心算では居たのですがー、中々機会が無かったのですー」
戯志才「貴女は最初からそのつもりだったようですね。馬謖殿、今日は時機を失っておりましたが、私も貴女方に真名を預けます。これからは稟とお呼びください。それから、戯志才は偽名で、本当の名前は郭嘉と申します。故あって偽名を名乗っておりましたことをお詫びします」
『………ん。別に構わない。人それぞれ』
凛「ありがとうございます」
菖蒲「僕を放置しないでくれるかなー!皆僕の事は菖蒲って呼んでよ!」
最後に菖蒲と全員が真名を交換した
風「ありがとうなのですよー、お姉さん達。予定よりも可也早く陳留に着けたのですー」
凛「ありがとうございました、迦楼羅殿」
『……ん、気にしなくていい』
全員が真名を交換した後、街から出て少しの所で銀狼を呼び、5人を銀狼の背に乗せ、迦楼羅と菖蒲も背に乗って一般人がグロッキーに成らない程度の速度(時速60㎞位。十分銀狼も化物でございます。大きさ的にも)で移動し、一刻半(1時間30分程)程で陳留に着いた
『………じゃあ、俺達は行く。これ、餞別』
そう言うと、迦楼羅はもはや御馴染と成った自作の酒が入った酒瓶を何処からともなく取り出して二人に一つづつ渡す
凛「これは……お酒、ですか?」
『………ん、俺が作った。味は保証する』
風「ありがたく受け取るのですー」
『…………ん。じゃあ、達者で』
そう言って銀狼に跨ると、銀狼は時速80㎞は有るのではないかと思える速度で掛けて行った
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第拾壱話