No.59391

帝記・北郷:五~彼方の面影:後之壱~

帝記・北郷の五作目後篇です。
今回も分割です。

オリキャラ注意。

2009-02-21 05:42:26 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:10050   閲覧ユーザー数:7815

『帝記・北郷:五~彼方の面影:後之壱~』

 

 

魏王・曹操重体。

呉王・孫策生死不明。

蜀王・劉備戦意喪失。

 

もしもこれだけの事を抱えて、それでもなお戦に勝つことができるのは戦神だけであろう。

かくして、三国の連合軍は魏郡郊外の戦いにて維新軍の前に一敗地まみれ、魏軍は冀州の大都市・鄴へと撤退。蜀軍は曹操を射た矢に劉備の名があったことを魏に糾弾され、領地に引き返していた。

呉は孫策の行方を探るべく最後まで前線付近にいたのだが、これ以上単独で行動することは自殺行為であると判断し大量の斥候を置いて青州方面へと引き上げる。

これにより、維新軍の勇名は一気に高まり当初の予定通りに内乱を企てていた者達をある者は暴走させ、ある者は釘づけにすることに成功する。

ただ一つ、魏王・曹操の負傷という誤算を除いて。

 

 

金色の月に照らされる魏屈指の大都・鄴。

維新軍の接近により戒厳令が布かれたこの城は、夜間ということも相まってまるで建物だけ残して人が消え果てしまったかのような様態を現わしている。

ただ時折見られる警備の兵の松明だけが、この街の命を辛うじて感じさせてくれていた。

そんな街中、立ち並ぶ家々の屋根の上を行く影が四つ。

長い髪を翻す深紅の美女。

鳳嘴刀を肩に担ぎ銀髪を夜風に流す女武者。

白衣を身に纏い、前を行く二人に遅れぬよう必死に駆ける美男。

武芸者姿でいつもの大槍ではなく弓を背に担いだ若武者。

言うまでもない、維新軍の長と重鎮とされる三人であった。

「…紅燕。目的の屋敷はどれだ?」

「買収した兵の話によると、この辻を曲がってまっすぐ行ったところにあるお屋敷よ」

「……信頼できるんだろうなその情報は」

「勿論よ。大抵の人間なんてお金さえ見せれば、すぐに尻尾を振るんだから」

「むう…確かにそれはそうだが」

買収という手段が性に合わない華雄は複雑そうな顔をした。

そんな先を行く二人の会話を聞きながら、その後ろで一刀は息を荒くして横目で目的の屋敷の位置を探る。

「……少し休まれますか?」

一刀の姿に、後ろを警戒していた龍志が追い付いて来て声をかけた。

「いや…休んでなんかいられない」

疲れを隠し切れてはいないが迷うことなく言った一刀に、龍志は何か言いたげな顔をするも何も言わず、再び背後の警戒に戻った。

数日前。

決戦で勝利を収めた維新軍だったが、湧き立つ兵はともかく首脳陣はこれからの事に暗欝たる気分に陥っていた。

言うまでもなく華琳こと曹孟徳の重体の為である。

そもそも今回の維新の目的は程度の低い乱を強制的に起こし反乱の種を根こそぎ断つことと、三国の同盟強化であった。

されど魏の、そして三国の要である曹操の重体は間違いなくその目的に大きな影響を起こす。

増してやその傷を負わせたのが蜀王・劉備であるということがそれに拍車をかける。

「予想できない事態ではありませんでした」

魏軍の城で華琳重体の報告に取り乱した一刀に突き飛ばされた蒼亀が、打った頭の痛さに眉をしかめながら言っていた。

「反乱を煽っていた者達が行動を起こすことを想定して、あれこれと対策を考えてはいましたが……まさか合戦の最中に呪矢を使うとは」

今までに無い程悔しげな表情をした蒼亀に、その場にいた全員が息を呑んだ。

「おそらくあの矢は、始めから曹操殿に当たるよう呪いがかけられていたようです。それに何らかの方法で劉備の名を書かせて彼女に撃たせたのでしょう……」

「そうなると、事前に孫策さんを確保していたのは正解でしたね~彼女も何らかの方法で命を狙われていた可能性がありますし~」

風が横目で躑躅を見たが、彼女は相変わらず蠱惑的な笑みを浮かべたまま。

「それよりも問題はこれからでしょうね……私だったら曹操を生かしてはおきません。彼女の命が気がかりです」

躑躅の言に、一刀を始めとする諸将に緊張が走る。

ちなみに一刀は戦後に孫策を捕えた真意を問いただすつもりだったのだが、華琳のことで頭がいっぱいになりその時はその事を忘れていた。

「じゃあ、助けに行かないといけないかしら?尤も、それを見越して罠が張られている可能性も否定できないけどねぇ」

「行くんならぁ…少数の、それでいてかなりの手練でないといけないわねぇん」

紅燕と貂蝉の発言を最後に、会議場に沈黙が落ちる。

それを始めに破ったのは、意外な事に龍志であった。

呂布に斬られた左手の義手はすでに新しいものと取り換えており、両手で一刀に拱手の礼をとりながら膝をついて。

「一刀様……そもそも私が呪矢を止めていればこのような事にはなりませんでした。また、貴方様にに維新を起こすよう促したのは私です…この身に変えても、曹操殿をお救いしたく思います」

「義兄さん……」

あの状況で呪矢を止めることなど翼があろうと出来なかったであろうし、維新の責任は彼一人にあるものではない。

だが、龍志が一刀のことを『北郷』ではなく『一刀』と呼ぶのは決意を固めているときだけである。

それが解る周りの皆は、何も言う事が出来なかった。

一刀は、取り乱していた時の激情が嘘のように冷静な目で龍志を見下ろし。

「……ふ」

小さく笑った後。

「条件を…つけさせてもらっても良いかな?」

「条件?」

「ああ……華琳の救出作戦、俺も参加させてくれ」

 

 

それからが大変であった。何を考えているんだと蒼亀を筆頭とする全家臣に猛反対を食らい。霞や参入したばかりの真桜や沙和には馬鹿呼ばわりまでされた。

それでも一刀がここに来ることができたのは、龍志の言葉による。

「畏まりました……曹操殿も一刀様も、私がこの身命を賭してお守りいたします!!」

新参入の者達はともかく、幽州以来の家臣達にとって彼の言葉はまさしく鶴の一声であった。

そうして、救出部隊の編成が成された。

鄴の警備と現状から言って侵入できるのは四人までという答えを出した軍師団と龍志によって、すでに決まっている一刀と龍志に加え、軍師団の中でも武闘派で機転が利く紅燕(蒼亀は全軍の指揮を預かるため動けず、貂蝉という意見もあったが目立ちすぎるということで却下された)龍志と誰よりも連携の取れる華雄が選ばれたのである。

かくして賄賂や脅迫により鄴に侵入した四人は冒頭部であったように、華琳の屋敷へと急いでいるのであった。

「……見えてきましたな」

再び隣に戻って来た龍志の言葉に一刀が前を見ると、周辺でも一際荘厳かつ豪奢な佇まいを見せる屋敷が道の先にどっしりと構えていた。

「ああ…手筈はどうなっているんだ?」

「すでに門番を買収しています」

「わかった」

短く答え、一刀は腰の白狼を強く握る。

「待ってろよ……華琳」

 

一刀達が華琳の屋敷に近づく一刻程前。

鄴の一室で、四人の女が額を合わせていた。

「華琳様はまだ目を覚まされんのか……」

やつれ果てた魏の大剣が虚ろな目で隣に座る妹に問いかける。

「ああ…李斯の話ではなかなか呪いが解けんそうだ」

姉の姿を痛ましげに見ながら、淡々とした声で秋蘭がそう告げた。

「華琳様……」

彼女の向かいでは泣きはらした目の桂花がポツリと呟く。

決戦の後、呪矢の事で蜀への糾弾が行われた席で彼女は周りに予想を裏切って取り乱すことなく事実の究明に努めていた。

劉備の証言であの矢が李斯が劉備に渡した物であるということがわかった時には彼にも疑惑の目が行ったが、彼が華琳の暗殺をもくろんでいたのならばもっといい方法があったであろうということと、苦悶の表情を浮かべて呼吸もやっとという有様であった華琳が彼の祈祷により容態を安定させたという事実で、むしろこの状況下における彼の信頼感は高まり、逆に李斯の口から呪矢の内容を知った魏の諸将にとって蜀への不信は深まったばかりであった。

だが桂花は李斯への疑惑を解いていないらしく、ここ数日は間諜を放ち可能な限りの情報を集めている。

誰も見ていないところで、その眼に涙を溜めながら。

「すでに、華琳様亡き後の身の振り方を考え始めている者達も出始めているようです。このままでは、魏国は内部崩壊をしまねません」

「そんなことをさせるか!!」

稟の言葉に春蘭が激高し立ち上がる。

「魏を、華琳様と我らが造り上げたこの国を…滅ぼしてたまるか!!」

彼女の言葉に、他の三人も力強く頷く。

「あら、たまにはまともな事を言うじゃない」

桂花の皮肉にも刺々しさは感じられない。

常日頃からの犬猿の仲とはいえ、魏と華琳への思いは二人とも間違いなく同じものである。

二人を口元にほんの僅かな笑みを浮かべて見つめる秋蘭。

されど人一倍冷静な彼女は二人に賛意を示す反面、現実が嫌というほど見えていた。

魏国は良くも悪くも曹孟徳という一人の英傑のカリスマの上に立っていると言っても過言ではない。逆にいえば、曹孟徳なくして魏もまたありえないのだ。

後継者の不在もそれに拍車をかける。元より華琳に子はおらず。兄弟姉妹もすでに無い。血縁と言えば夏侯姉妹に曹仁、曹洪あたりが有力株だが、四人とも一、二州を治める器ではあっても一国の器ではない。

華琳に万が一があった時、その混乱を治める力のある人物の存在が必要なのは明確であった。

(しかし、そのような人物など……)

ふと、秋蘭の頭をよぎる一人の男の顔。

主や姉と共に愛し、敵味方問わず不思議な魅力で周りの者を惹きつける天の御遣い。

彼ならば魏国を再び一つに纏め、今を超える国とまではいかずとも今に負けない国を造れるのではないか?

「北郷……」

秋蘭の呟きは、気焔を吐く春蘭にかき消されその場にいる誰にも聞こえることはなかった。

 

 

「季衣~交代だよ」

「あ、流琉…」

鄴の曹操邸。

寝ずの番の交代にきた流琉と、寝ずの番を終える季衣。

庭石に腰かけたままぼんやりしている季衣に「仕事サボらないの」と苦笑しながら流琉もまた季衣の隣に腰をおろした。

未だ幼い少女二人の顔を、月光が照らす。

静寂に満たされた夜闇の中、はぜる松明の音が耳を打つ。

それ以降は虫の音も鳴く、木の葉の囁きも無い。

ただ、ほんの微かに二人の息遣いと衣擦れの音が聞こえるのみ。

「……華琳様の事を考えてたの?」

「……それも」

「春蘭様と秋蘭様のことも?」

「それも」

「……じゃあ…兄様のことも?」

「……うん」

「そっか……」

再び落ちる沈黙の帳。

ぼんやりと空を見る桃色の髪の少女と地を見る水色の髪の少女。

目に映る物は違おうとも、心に映る者は同じ。

(どうして、こんなことになったんだろう)

この戦いが始まってから幾度となく自問してきた言葉を再び繰り返す流琉。

かつて三国の決戦が終わった時は、明るい未来しか見えていなかった。また、明るい未来が来ると信じていた。

しかし現実はどうだろう。決戦の直後に一刀が消え、魏から大切なものが失われた。

主は迷いを断つかのように仕事に明け暮れ、将達は哀しみに押しつぶされんとするかのように前のみを見る。そんな平和だけれど不幸な世界。

そうして今、戻って来た親愛なる兄は魏に叛意を翻し敬愛する主は呪いに倒れた。

(どうして…兄様)

一刀が意味もなく乱を起こすとは思えない。だが、その理由を察するには流琉はまだ未熟すぎた。

「……流琉」

「あ、うん」

急に声をかけてきた季衣を流琉は見る。

じっと、先程まで月を見ていた瞳で流琉を見つめながら季衣はただ一言こう言った。

「ボクは…兄ちゃんを信じてる」

何の脈絡もなく放たれた言葉。

だが流琉には不思議と彼女ならそう言うような気がしていた。

「……うん、あたしも信じる」

だから自然と流琉はそう返す。

どれだけ思い悩んでも、どれだけ問いかけても、揺るがぬ思いを。

「そっか」

ピョンと勢いよく季衣は立ち上がると、ニカッといつもの笑顔を見せて。

「じゃあ、ボクはいくね。流琉も仕事頑張って!」

「うん。部屋に夜食置いておいたから、帰ったら食べて」

「ありがと。じゃあまた後でね」

松明に照らされたながら闇の向こうに消えてゆく季衣を見送り、流琉もまたおもむろに立ち上がるや。

パシン

軽快な音をたてて自分の両頬を張った。

「よし、頑張ろう!!」

そうして屋敷の中へと戻っていく。

彼女を見つめる四対の目に気付くことなく。

 

曹操邸は外から見ればただの屋敷にすぎないが、その内部は複雑な造りをしている。

暗殺者や間諜といったものから主や重要な情報を守るために。同じような部屋が幾つもあり。時折思いがけない所に曲がり角があったり行き止まりがあったりはたまた隠し扉があったりと、さながら日本の忍者屋敷のような構造であった。

実際、警備隊長時代の一刀が昔読んだ本を参考に考案したものなのだが。

その屋敷内を、静かに流琉は歩いて行く。

本来ならかなりの数の警備兵がいるのだが、今も華琳の回復の為に祈祷をしている李斯の命により彼が選んだ僅かな精鋭しかこの屋敷内にはいない。

当然この警備の薄さには皆反対したのだが、祈祷の成功の為だと言われてはそれ以上何も言えず、妥協案が流琉と季衣を交代で配備することだった。

暗い屋敷の廊下を流琉は行く。

行先は華琳が眠っている大部屋である。本来なら彼女の寝室で寝かせるべきなのだが、これも李斯の意見により祈祷がしやすく敵の意表を突くためということで大部屋を華琳の治療の間にしていた。

大部屋の近くに来て、ふと流琉は歩みを止めた。

部屋で誰かが会話をしているようなのだ。

祈祷の為に李斯以外の者でここに入ることが許されているのは季衣と流琉だけのはずである。

(誰だろう?)

気配を消して扉の隙間から中を伺う。

中にいたのは、李斯と彼と共に魏に仕官した李信という若い将であった。

「それで、于吉、何時までこうしているんだ?」

不機嫌さを隠そうともせず、李信が李斯に問いかける。

李斯は口元に笑みを浮かべたまま。

「もう少しですよ、左慈。明日か明後日の晩にでも曹操を助け出しに北郷一刀自らがここに来るでしょう」

(兄様が?それより、于吉と左慈って?)

戸惑いながらも息を殺して流琉は聞き耳をたてる。

「そうか……」

「嬉しそうですねぇ」

「まあな、ようやく北郷をこの手で殺すことができるんだ」

(!!)

思わず声を出しそうになり、慌てて流琉は口を押さえた。

「それにしてもこの女…大したものだ。本来ならばもう死んでいてもおかしくないというのに」

「強い思いが彼女を引きとめているのでしょう……思いの強さは外史において何にも勝る力ですからね。尤も、北郷を釣ることができたらもう要済みですが」

「ふん…下らん。所詮、外史に踊らされる傀儡にすぎん」

「ふふ…それは私達も同じですよ」

「黙れ、殺すぞ?」

「くく…怖い怖い」

最後の方はもう聞いていなかった。

華琳暗殺の黒幕があの二人であった事と、一刀に危険が迫っていること。その二つが流琉を弾丸のように走らせた。

(伝えないと…秋蘭様に伝えないと……)

必死に屋敷の門へと足を動かす。

兵達はあてにならない。すでに于吉達の手に落ちている可能性が高い。

この決して狭いとは言えない屋敷の中で、文字通り流琉は孤立していた。

「おやおや、そんなに急いでどうしたのですか?典韋将軍」

「!!」

欄干を越えて庭に出た時、木立の闇の中から声がかかる。

それは、先程冷淡な口調で一刀と華琳の死を語った男の声。

「どうやら…知ってしまったようですね……詮索好きは長生きできないという言葉を知らないのですか?」

「はっ!!」

軽口に付き合うことなく流琉は葉々を声のする方へ向けて放った。

轟音と共に崩れ落ちる庭木。

されどそこに、于吉の姿はない。

「いきなり攻撃するとは、礼儀知らずな方ですね」

「なっ!?」

今度は声は流琉の後ろから聞こえた。

再び葉々を投げんとする流琉の耳に、于吉の鋭い声が響く。

「縛!!」

途端に、凍りついたかのように動かなくなる流琉の体。

「く…どう…して……」

必死に動かそうとするが、手足は文字通り石になったように流琉の言う事を聞かない。

「じっとしていたほうが身のためですよ。無理に動こうとすると筋肉が壊れる」

流琉の目の前で、涼しげな美貌が月光を浴びて彼女を見下している。

「おい。そいつをどうするんだ?」

何時の間に現れたのか、左慈が于吉の隣に立っていた。

「さて…下手に操り人形にして術が解ければ色々とやっかいですし、記憶を消しても戻らないとは限らない……」

「ならば…殺すか?」

「そうですね。後の処理は面倒ですがそれが一番でしょう」

于吉の言葉を聞いて、左慈はニヤリと笑うと足を肩幅に広げて構える。

(動け動け動け動け動けぇ!!)

それを見ながら、必死に流琉は心の中で叫び続ける。

「あばよ」

だが無情にも、左慈の鋭い蹴りが流琉の頭めがけて放たれた。

(華琳様!!秋蘭様!!)

自分はここで死ぬのか、役目を果たすこともできずに。

無念さで目をつぶりながら、大切な人達の名を叫ぶ。

(春蘭様!!季衣!!)

左慈のつま先が、彼女に迫る。

(兄様!!)

ゴガアァ!!

されど、夜闇を震わせたのは骨の砕ける鈍い音ではなく、硬い物同士がぶつかったようなくぐもった音だった。

「え?」

次の瞬間、横から飛び込んできた何者かに流琉は抱えられる。

「っ!!まさか!?」

于吉の驚愕の声と同時に、矢が空気を割く音が聞こえた。

「くっ!」

「ちぃっ!」

短い呻きの後、矢が地面に刺さる音がする。

「こっちは行き止まりよぉ!!」

「くあっ!!」

「于吉!!」

女の声が響き、于吉の苦悶の声と左慈の叫びが響いた。

(何が…起こってるの?)

おそるおそる流琉は瞼を上げる。

そこにいたのは……。

「やれやれ、受け止めたのは華雄とはいえ風に続いて流琉も助けるなんて、俺も少しは成長したってことかな?」

「察するに、この局面でそのような軽口が叩けるならば、充分に場馴れしています」

「兄…様……?」

月光を背景に佇む白衣の青年。

北郷一刀。愛する者の為、今ここに参上す。

 

                   ~後之弐に続く~

 

 

中書き其弐

 

どうも、タタリ大佐です。今回更新が遅れて申し訳ありません。

 

今回、最後にえらく臭いけれどらしい登場をした一刀君です。書いていてニヤニヤが止まりませんでした(でも、真の一刀君はこういうのが似合うから不思議だ。蜀ルート以外は)。

 

前作の終わりから、決戦がまだ続くと思われた皆様。すみません。物語冒頭にもあったように、正直あれだけの状況ではもはや維新軍の勝利は確定したようなものだと判断しましたので、次のステップに進ませていただきました。

恐らく次かその次の更新で第一部は終わります。第二部に関しては希望があれば続けようかと(正直、二部から恋姫版蒼天航路になりかねないと判断しましたので)

 

それから、とりあえず龍志と華雄に関しては恋愛云々は置いといて作中で色々と二人のやりとりを書いてみたいと思います。最終的な判断は(二部があるとすれば)またいつかお聞きしたいと思いますので。

 

あと、読んでお分かりになられたかもしれませんが霞、風、流琉の待遇がいいのは作者の趣味です。すみません…本当にすみません。

 

さて、今回はあまり実のない中書きでしたが、それでは自作でまたお会いしましょう。

 

 

 


 
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