マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START
三十一話 敗北へ
アスカ SIDE
「新種のBETA・・・」
呼吸困難から数時間後
司令部に新種のBETAが出現したと報告されシルヴィオを除く大尉以上は集められていた
各機関は情報を集めるのに必死だが詳細な情報は得られず、どんなBETAなのか分かっていない
始めは驚いていたが、航空兵器の対応を比べたら遅いと感じた
だが、新種はいままでの兵器に対応したBETAに間違いないだろう
「―――モン・サン・ミシェル基地は基地防衛のため動くことができない、そこでツェルベルス大隊には新種の情報収集及び撃破をやってもらうことになった」
上層部は当然の判断だ
BETAに制圧されたヨーロッパに唯一ある基地を失えば、ヨーロッパ奪還作戦の足掛かりを失ってしまう
それを避けることと生存率が高い精鋭部隊であるツェルベルスが派遣という流れで最低限の被害で抑えようとしている
「さらに国連は、我々の様子を伺いつつ艦隊を集結させている」
またか・・・という空気になる
はじめは分からないが数日間過ごすとしょうがないと思っていた
言葉が悪いが大西洋方面軍は欧州連合をパシリに使っているらしい
国連が情報を掴み、欧州連合に対処を任せて高みの見物
とくにツェルベルスは毎回要請されるから24時間体制のデリバリーだ
「では解散とする!ツェルベルス大隊に健闘を祈る」
話が終わり司令部から出ようとすると呼び止められ振り向くとシルヴィオは誰かに気づき敬礼していた
アスカ SIDE END
ツェルベルス SIDE
西独海軍第一空母テュフォーンのブリーフィングルームには、ツェルベルス大隊、ケニー、唯衣のほかにまだ部隊に組み込まれていないイルフリーデ達の姿があった
イルフリーデはケニーのCBの制服や唯衣の帝国の制服に気になるが新種の話になり視線をそらした
「あいつら、一体何種類出せば気が済むんだ?」
「俺たちが滅びるまでだろ・・・こっちが降参しますと言っても向こうは聞いてくれないだろが」
「ブラウアーの言うとおりだ、言葉すらないヤツらに何を言っても無駄―――我々はただ倒すだけだ」
「「「了解ッ!!」」」
全員が敬礼すると、ブラウアーはケニーと唯衣を見てあることに気づいた
「隊長、新種に対抗して電磁兵器は?」
「電磁兵器は極秘のため使用許可できないのである―――そしてタイフーンの改修は来週行われる」
「遅っ!それじゃあアスカの機体から拝借すれば」
「止めておけ、ファントムに装備されている武装は全て規格外すぎていまのタイフーンには使えない」
「宝の持ち腐れだろ、だったらアスカに作ってもらうとか・・・」
「そんなご都合主義はない、それよりも時間がなくて作れないぞブラウアー」
ブリーフィングルームにアスカとシルヴィオが入り、ヴィルフリートに詫びを入れケニーの隣に立つ
「改修するなら電圧系統や電磁兵器に合う装備に変えないといけない、テュフォーンよりもいい設備じゃないと改修に一週間掛かる、ほかにも・・・・・・etc」
「すまんアスカ!」
「―――新種は未知数、卿らには気をしき締めてもらうのである」
「「「了解ツ!」」」
全員が敬礼をする中、ルナは自分にはない電磁兵器の知識を持つアスカに後日語り合うため狙いを定めたことを言うまでもなかった
ツェルベルス SIDE END
アスカ SIDE
空母テュフォーンは偵察部隊がロストした場所に近い沿岸にいる
周囲は静かで波は穏やか西の空には夕日が見えて嵐の前の静けさと思えるほどだ
警報が鳴りタイフーンが発信準備にかかる
機体と衛士のコンディションは最高潮で新種にも負けないと思えるが、脳量子波が強くなってきたのか不安が心の奥で引っかかる
「ツェルベルス全機、発進準備完了!―――繰り返す、ツェルベルス全機、発進準備完了!」
ヴェルフリート少佐が操る漆黒のタイフーンが空母から飛び出し、その後に続き各機が発進する
そんな彼らに俺は無事に帰ってくるように敬礼をしていると艦長が隣に立つ
「彼らが心配かね?」
「はい、新種がなにかに対応しているBETAであれば実弾兵器を持つツェルベルスにとって苦戦を強いられるでしょう、そんな彼を送り出した技術官としてやるせない気持ちですよ」
「大丈夫だ、彼らはいつも通り戻ってくる」
艦長は笑いながら自分のたち位置に戻っていた
ツェルベルスと空母テュフォーンにはかなりの信頼関係があると思えるが今回は次元が違いすぎて彼らでも解決できないだろう
この新種は俺が介入した結果だ
この世界に来て、ふっと気づいたことがある
自分の行動を思い返すと、良いと思う行動がすべて裏目に出ていた
BETAの日本進攻、二つのハイヴ建設、G弾の使用、電磁兵器を使用したテロなどが立て続けに起こっている
それは世界が変化して仕方ないことだ理解すればいいが、俺は簡単に割り切れない
普通に介入しなければ死ぬはずもない人がいたかもしれない、CBように裏から干渉すれば効率が良かったのでは?と思えてくる
結局、俺は人類を破滅の道を加速させただけなのか?
「大丈夫ですか?顔色が優れませんが?」
振り向くとポニーテールでプロンドの女性が心配そうに見ていた
苦笑いしながら手を挙げ、「大丈夫・・・」と言いつつ座り直す
篁さんとシルヴィオはモニターに釘付けでケニーは相変わらず一部女性を見つけてアタックする
さき声をかけた女性が驚くが「気にしないで」と言っておく
「ツェルベルス、予定ポイントに到着!」
「いつでも重金属雲が形成できるよう、AL弾は装填しておけ!」
「了解ッ!」
CICは張り詰めた空気に包まれるがレーダーにBETAの影はなかった
5分10分と時間が過ぎても何も進展しないまま稼働限界時間に近づき、部隊は補給のため一部を残し帰艦を始めた
「なにも起きないな・・・」
「(なあアスカ?)」
「(どうしたケニー)」
「(なんかさぁ・・・決闘に似ていないか?)」
「決闘がとうした?」
「か、艦長?」
「いや、すまない・・・それより決闘がどうしたんだ?」
「この前、アスカの携帯で読んだことがある話しと同じだ・・・」
ケニー・・・人の携帯勝手に見るなよ(T△T)
「たしか寒流島だったような観光島のような・・・」
「それってたぶん巌流島の戦いだ」
「巌流島?」
「日本にとって有名な話なんだシルヴィオ」
その場にいる全員に説明を始める
日本人なら知っている宮本武蔵と佐々木小次郎の剣豪二人が決闘した島だ
諸説様々な話があるが、有名なのは試合時間になっても武蔵は来る気配がなく小次郎は苛立つ
そこに遅刻した武蔵が現れ試合をするが、余裕を持たない小次郎が負けたと言われている
ま、この話の通り焦っては結果が出ないということだ
「つまりオレたちはコジロウというヤツと同じなんだな?」
「それは分からないさ」
40年近くBETAと戦争して、人間の特長を理解しているはずだ
BETAは関係無く突撃をするが、偵察部隊だけを孤立させ殲滅するって初めて戦法を使っている
一体なにがあったんだ?
『ならオレたちはムサシになればいいじゃないか』
「ほへぇ?」
『ブラウアーの言う通り、部隊を下げ新種を待つ』
「ハイ!焦らされるのは大好きです!」
『貴様は黙っていろ』
「罵られるのも好きだ!」
『・・・・・・』
「ちょ!?なんでツェルベルスまで繋がっているの?」
オペレーターを見ると「全通信繋げていたわよ~」と顔をされていた
「ちょっと待ってください、これは憶測で確証もないです」
ただの昔話が作戦に採用されるのは不味いだろう
そして俺は作戦に参加できないはずだ
「オペレーター、戦闘記録の編集は終わったか?」
「まもなく完了します」
はい?
今ものすごいこと聞いたような?
「シルヴィオ中尉」
「オレは指令でサクラザキの護衛を任された、何も見ていない」
ちょっとなにやっているのこの艦は?
人のこと言えないが軍規を平然と破ったら不味いだろ
「というわけだサクラザキ、西ドイツから了承を得ている」
なぜ西ドイツ!?
あの人もそうだし、四番目から出向してきた俺を自由にさせるなんて何か得でもあるのか?
それか俺が知らないところでなにかあったのか・・・
「テュフォーンよりツェルベルスへ補給せよ!繰り返す、テュフォーンよりツェルベルスへ直ちに補給せよ!」
「待ってください!ツェルベルスにBETAが接近!」
「―――!?」
「数は?」
「一体!」
「単独だと?」
「ほかに反応がありません」
ほかの機器を使っていても一体だけしか表示されない
いままで物量で進攻はずが単独で仕掛けてくるなんてBETAはなにを考えているんだ?
「映像出します」
モニターに表示されたBETAは今までの姿を覆すほど異形だった
蜘蛛みたいな体をして背中にカマキリの鎌ようなモノを持つ、サイズは要塞級(全高66メートル)と同じだ
「昆虫?」
「AL弾発射!補給が完了した機体は発進を急がせろ!」
「了解っ!」
アスカ SIDE END
ツェルベルス SIDE
『全機、砲撃開始!』
タイフーンに装備されていた突撃砲が火を吹き新種に被弾する
煙がが晴れると傷の一つもつかない新種がいた
『こいつの装甲どうなっているんだ』
『36mmでも破壊できないなんて・・・』
偵察部隊同様の反応だが、常に戦場を駆け巡るツェルベルスは誰も近接戦闘を仕掛けず射撃に専念しながら一定の距離を保っていた
新種はタイフーンに近づき鎌を振るうが砲弾で逸らす
『鎌も体と同じ強度かよ!』
『まともに構うな!
『ったく、人類相手なら要撃級でも十分だろ!馬鹿でかい体になにがあるんだよ』
各部隊は攻撃を避けつつ、さらに距離をとる
しかし新種は跳躍してヴェルフリートの前に降り立ち再び鎌でなぎ払う
それに対しヴェルフリートは鎌の軌道をずらすためBWS-8を振るうが、鎌の力に勝てず刃が砕け左腕が砕ける
『くぅ!』
『少佐!離れてください!』
ヴェルフリートが離れようとすると新種は逃がすつもりもなく追撃を行う
そこにゲルハルトとブリギッテの二人が120mm砲弾全て叩き込む
新種は動きが鈍くなり攻撃が外れた
『テュフォーンよりツェルベルスへ、情報収集は終了した!これより艦砲射撃を行う、ツェルベルスは帰艦せよ!』
『ツェルベルス1より大隊各機、これより撤退を始める!新種に構わず気を抜くな!』
『『『了解ッ!』』』
『撤退ルートはこちらが指示します』
マップに表示されたルートはレーザー照射範囲外と各機の推進剤残量に合わせて作成されている
こんな正確すぎる撤退ルートに不信感を覚えるが、艦砲射撃に巻き込まれないように意識を集中させてしまい誰もがと忘れてしまった
ツェルベルス SIDE END
アスカ SIDE
ツェルベルスは撤退の最中でも新種は艦砲射撃の猛攻にさらされるが効果がない
あの分だとS-11でも・・・・・・いや、電磁兵器を耐えられる
どうして新種は一体だけなんだ?
いままでのBETAを合わせて物量で押せばこの戦いに勝利していたはずだ
「艦砲射撃は継続させろ!全機体の帰艦が完了しだい離脱する!」
「了解!」
・・・・・・硬い装甲を破壊するにも零距離でリニアライフルを撃つ?
いやいやだめだ、鎌の餌食になる
それじゃあ、遠距離で威力が高い兵器がベストだが、”アレ”はまだ不完全だ
―――――改変者――――確認――――
「ッ!?」
「どうしたサクラザキ?」
「ナンデモナイヨー」
「そ、そうか・・・」
なんだ、寒気がするほどの声は?
周りを見てもさっきの声に気づいていない
耳鳴りではないし、前の怪我以外は健康だ
一体なにが起きたんだ?
「新種に動きあり!」
モニターに目を移すと新種が体を持ち上げ、空に向かってレーザーを照射した
レーザーは重金属雲に阻まれ爆発するが続けて照射する
「バカな、新種はレーザー級のようなインターバルが存在しないのか!?」
「それに空に向かって照射だと?一体なにを考えているんだ?」
「・・・なあ、アスカ―――アレって」
ケニーが言っていることに頷いた
「どいうことです?」
「篁さん、あの新種には照射粘膜が三つもある、ひとつずつ照射していけば途切れることなく照射することができる、そして今の行動は・・・・・・」
「新種の上空に気温上昇!そんな・・・重金属雲が消滅します!!」
「な、なんだと!?」
新種の上空に大きな穴が開き、その穴に風が流れていく
気象に詳しくないが、暖かい空気は上に移動し、冷たい空気は下へ移動する
その特性を利用し、レーザー自体高温で周囲の空気を急激に暖め上昇気流を発生させたんだろう
「これって不味くないか?」
「分かっている・・・」
この状況をどうやって打開する?
ろくに戦術機に乗れない、近くにガンダムもない
使えるものは頭と不完全な脳量子波だけ
「新種が狙いを定めました!」
「体を持ち上げて照射範囲を拡大させてきたか!!」
くそっ!
考える暇も与えてくれないのか!
「AL弾の使用許可を使用する」
「ですが上昇気流で形成が不可能です」
「そうではない、艦前方に形成し盾として使う」
たしかに重金属雲は新種のレーザーを防いでいた
その方法なら防げる
しかし今は上昇気流のおかげで大気が不安定過ぎて重金属雲がすぐに消えてしまう
それなら・・・
「艦長、もう一つ加えていいですか?」
「もうひとつ?」
「はい」
アスカ SIDE END
ALL SIDE
『テュフォーンと連絡が取れない、一体どうなっているんだ?』
新種がツェルベルスの電波を阻害していることは誰も気づかなかった
そのツェルベルスの横をレーザーが通り過ぎる
一瞬の出来事に唖然となるが照射に合わせAL弾が発射されテュフォーン前方に重金属雲が形成され粉塵爆発が起きた
さらに新種が照射すると小さな粉塵爆発が起こし爆発の反動でテュフォーンが横に流され掠る
さらに新種が照射するがテュフォーンは同じことを繰り返し掠るだけ
『空母でレーザーを回避するなんてありえねー!?』
『うちの艦こんなにすごかったの』
ヴェルフリートはアスカたちがやっている行動に気づき、跳躍ユニットをさらに吹かす
『各機、テュフォーンはそう長くは持たない―――俺とララーシュタインの二班に別れ帰艦する、粉塵爆発に巻き込まれるな』
『『『『了解ッ!』』』
ツェルベルスが二班に分かれるとテュフォーンは動きに合わせ後退を始める
その間にも新種の攻撃は続き甲板には火の手が上がりアスカがいるCICは常にアラームが鳴り響いていた
「艦内の被害15%を超えました」
「火災現場に消火班を送れ、浸水箇所は隔壁閉鎖!モン・サン・ミシェル基地への通信はどうなっている?」
「新種からと思われる妨害電波で通信できません」
「ならば発光信号を送れ!」
艦長が的確に指示する中、ケニーと唯衣は負傷者の救護にあたり、日が浅いイルフリーデ達は待機を命じられていた
アスカはヴェーダを使い周囲の風速を入力して最適な重金属雲の計算し、シルヴィオはサポートに徹する
「一瞬で計算するプログラムは一体なんだ?」
「四番目の副産物と考えてくれ、そろそろテュフォーンは限界に近い離脱ルートを作成したから艦長に渡しておいて」
「いつの間に・・・」
シルヴィオは手が止まっていた
機密と思われるプログラムを平然と使い今の現状を打破させるアスカの姿が、親友を失ったアルジェリアでのできごとを連想させる
―生き残るヤツが持つ強さだよ―
なにをバカなことを考えているんだと思いつつ自分のやるべきことに集中すべく親友の言葉を振り払う
離脱ルートを艦長に渡し戻ると、急にアスカが立ち上がる
何事だ!と思い見るとアスカの目は大きく開いた瞳孔に一瞬だけ光が走った
シルヴィオは幻覚だと思いもう一度見るといつもの目
そしてアスカがゆっくりと口を開けた
「あんなものまで用意してたのか・・・」
どういうことだ?と尋ねるが、アスカの表情が強張り使える外部スピーカーを繋げる
「全員!物陰に隠れろ!!!」
数秒後にガラスが割れ、壁に穴に無数の穴が開く
雨のような破壊に艦内に悲鳴が上がり、端末機は破壊されショートを起こす
障害物がない甲板にいた作業員は手足が吹き飛ばされる者いて周囲に血が飛び散る
CICにいた全員は物陰に隠れ新種からと思われる攻撃から身を守っているが、艦が大きく揺れイルフリーデが飛び出してしまった
「え・・・?」
「イルフリーデ!」
ヘルガが叫ぶが自由が利かない空中ではただの的になってしまう
「ちっ!!」
アスカが壁を蹴り上げ、空中でイルフリーデの手を掴むとヘルガに向かって投げ飛ばす
するとアスカに拳サイズの黒い針が突き刺さり壁に激突する
「サクラザキ!」
シルヴィオが駆け寄るが、頭と刺されたわき腹からおびただしいほどの血が流れ床を血溜まりが出来上がる
それを見たイルフリーデは放心して手が震えていた
「イルフリーデ、しっかりしろ!」
「・・・・・・私・・・・・・・・・私・・・・・・」
「医療班をCICへ今すぐよこせ!」
艦長が怒鳴り声を上げているとケニーと唯衣が入りアスカの姿を見て驚愕した
「しょ、少佐!」
「アスカ!?」
唯衣がアスカを突き刺している針を抜こうとするが傷口から大量出血するためシルヴィオに止められた
「クラフト、壁から針ごと引き抜く手伝ってくれ!」
「おう!」
サイブリット化したシルヴィオとケニーの力で壁から引き抜こうとするが、ビクともしない
彼らが手間取っていると余計に傷口を広げてしまい血が流れる
「中尉、それ以上やると出血多量で死ぬことになる!今は医療班を待て!」
「だが!「そんなに騒ぐなよ、頭に響くから・・・」・・・・・・!?」
誰もがアスカに注目する
アスカは口から血を吐き出しながらも手足を使い壁から離れ針が刺されたまま立ち新種を見た
新種は様子を見ているように止まっている
そこにツェルベルス全機が集結し、甲板に黒いタイフーンが降り立ちその場に落ちていた支援砲を構える
『全機、これ以上被害を出すな』
『『『了解ッ!』』』
『了解!・・・ってアスカ、血が出ているぞ!』
「ブラ・・・そんな・・・はあとだ・・・」
アスカが倒れそうになると両脇をケニーとシルヴィオが支えた
だが形勢は不利のままである
新種が攻撃をすればアスカたちは壊滅してしまう
そんな絶望の中、アスカはニヤリと笑うと別な方向から砲弾が飛来し新種に被弾する
全員が発射された方向に視線を移すとテュフォーンと同じ空母がいた
『こちらアークロイヤル!テュフォーン応答せよ!』
「イギリス海軍がどうして?」
「ツェルベルスが・・・・・・撤退開始したときに・・・・・・」
「これまで読んでいたのか?」
シルヴィオが尋ねるがアスカは意識がなく一刻も早く運ばないと危険な状態になるが、新種の攻撃がいつ来るのか分からなく、二人は動かずその場に留まることにする
アークロイヤルからレインダンサーズ所属のタイフーンが発進し砲門が新種向けられる
新種は依然として動くそうぶりを見せず沈黙を保ち、アスカを見て後ろに跳躍し地面に向かってレーザーを照射
土と瓦礫が舞い上がりレーダーで捉えることができず新種は姿を消した
「逃げた・・・?」
「ヤツの方が有利なはずだろ・・・」
新種の不可解な行動に誰も答えられず時間だけが過ぎていく
レーダーには反応なく、聞こえるのはアラームと波の音だけ
艦長は時計を見て警戒態勢のまま救護の指示を出しレインダンサーズはテュフォーン周囲を旋回し新種を捜索する
イルフリーデが落ち着きを取り戻すとアスカに駆け寄る
「あの・・・!」
「サクラザキの命が危ない、譲ってくれないか」
二人に担ぎ出されるアスカの後ろを唯衣が追い、イルフリーデはただ見ていることしかできなかった
1時間後、テュフォーンは応急修理が完了しスクリューが大きく唸る
船首は一番近いモン・サン・ミシェル基地に向けられゆっくりと前進
その様子を一体の兵士級が口から体液を垂らしながら見ていたことは誰も知らない
あとがき
どうもーマブラヴの次回作で生身で大気圏突入しても大丈夫な前主人公の活躍を期待する作者です
ま、声優さんがあの人なんで種割れ状態で圧倒するかもしれませんが・・・
また龍浪が歌ったまりもちゃんの曲はでるのか!
というわけで今回はアスカ退場と言う名目で負けてもらいました
新種に針を持たしたのは、レーダーで捉えず硬い装甲を持っていても関節などの隙間を破壊できるのでは?という考えで思いつきました
そんなことでまた会いましょう
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タイトルどおり負けフラグが発動!