No.591933 英雄伝説~光と闇の軌跡~ 518soranoさん 2013-06-28 09:23:04 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:969 閲覧ユーザー数:907 |
~マインツ山道~
「あ…………」
「あれ?」
「?遠吠え………でしょうか。」
山道に出たティオは声を上げ、シャマーラとセティは首を傾げ
「ティオ、どうした?」
「もしかして………また、何か聞こえたの?」
「セティちゃん達も何か聞こえたのか?」
ティオ達の様子に気付いたロイドとエリィは尋ね、ランディは意外そうな表情でセティ達を見つめて尋ねた。
「ええ、私とシャマーラは人間より耳がいい種族―――エルフと闇夜の眷属の血を引いていますので………」
ランディの質問にセティは頷いて答え
「センサーの感度を上げます!アクセス…………!」
ティオは真剣な表情で言った後、魔導杖を掲げて何かを探った。すると
ワオーン…………
わずかに何かの動物の遠吠えが聞こえて来た。
「今のは………!」
「微かにだけど………」
「ああ、魔獣の遠吠えだろう。ティオすけ達が気付かなかったら俺達も聴き逃してたな。」
遠吠えを聞いたロイドとエリィは表情を厳しくし、ランディは頷いた後答えた。
「ふう………やはり今の遠吠えは山道方面から聞こえたようです。北北西40セルジュくらいかと。」
「北北西に40セルジュ………山道の途中あたりになるのか。」
「って事は………」
ティオの説明を聞いたロイドが呟いた言葉を聞いたランディは仲間達と共に山道を見つめ
「………どうしますか?話によると魔獣による襲撃事件についての犯人はわかっているとの事と先程お聞きしましたが………」
エリナはロイドに尋ね
「ああ………調べる価値はあるよ。その………エリィ。昨日に引き続いてこんな事を言うのもなんだけど。」
尋ねられたロイドは申し訳なさそうな表情でエリィを見つめた。
「ううん、気にしないで。これも巡り合わせでしょう。」
一方ロイドの言葉を聞いたエリィは微笑み
「セティちゃん達は大丈夫か?山道を登りながら魔獣と戦う事になるが………」
ランディはセティ達を見回して尋ね
「私達の事は心配無用です。」
「そうだよ~。あたし達なんか素材探しの為に火山にも登った事があるんだから。」
「皆さんの足は引っ張らないので、どうか気にしないで下さい。」
尋ねられたセティ達はそれぞれ答えた。
「それと今の遠吠えなのですが………どこか語りかけてくるような感じがするのですよね………」
「語りかけてくる………?」
「威嚇してるとか、そんな感じか?」
考え込みながら呟いたセティの話を聞いたロイドは首を傾げ、ランディが尋ねると
「いえ。もっとはっきりとした意志みたいなものが感じます。」
「………私も同じことを感じました。」
セティとティオがそれぞれ答えた。
「………そうか。ルバーチェではない可能性が高いと思うが、調べる必要はある。遠吠えの持ち主の魔獣を探そう。」
2人の答えを聞いたロイドは考え込んだ後、提案した。
「そうですね。それにしてもティオさん、凄いですね。人間の身でありながら、エルフの血を引くセティ姉様のように生き物の感情までわかるなんて………」
一方エリナはロイドの提案に頷いた後、意外そうな表情でティオを見つめ
「………ちょっとした体質なので。」
見つめられたティオは複雑そうな表情で答えた。
「さてと………今後の戦いを考えるとセティ達の戦い方も把握しておきたいんだけど………」
そしてロイド達はセティ達を見回し
「シャマーラちゃんはやっぱりその背に背負っているデカい剣か?」
ランディはシャマーラが背負っている大剣に視線を向け
「うん、そうだよ~。後、エリナやセティ姉さん程ではないけど魔術が使えるよ♪」
視線を向けられたシャマーラは大剣を構えてウインクをした。
「それにしてもそんな重そうな武器を持てる力があるように見えないけど……」
「ああ………それだけ肌を晒しているのに筋肉が全然見当たらないな………」
エリィとロイドは驚きの表情でシャマーラを見つめ
「下手したらその剣、俺のスタンハルバードより重いんじゃねえか?」
ランディは興味ありげな様子でシャマーラが持つ大剣を見つめた。
「なんなら持ってみる?」
「おう。………って!重っ!よくそんな細腕でこんな重い剣を持てるな………」
そしてシャマーラに渡された大剣を持ったランディは大剣の重さに驚いた後、シャマーラに大剣を返して驚きの表情でシャマーラを見つめた。
「あはは。あたしのお母さんは睡魔族だからね。睡魔の血を舐めちゃ、だめだよ~?」
(そう言えばカーリアンさんも睡魔族から生まれた人でしたね……あの人も筋肉が全然見当たらないのに剣でとんでもない威力を叩き出していましたし………)
(かかかっ!睡魔ってのは意外と力があるんだぜぇ?奴等の力はそこらの魔術より威力があるしな!)
(そうなのか………)
見つめられたシャマーラは笑った後ランディにウインクをし、ティオは”影の国”でのカーリアンの戦いを思い出し、ロイドはギレゼルの助言に驚いていた。
「エリナちゃんの武器は何かしら?」
エリィは次にエリナに尋ね
「………私はこれです。」
尋ねられたエリナは槍を構えた。
「槍か………リーチがある分、中距離からの攻撃ができそうだな………そういえばシャマーラの言い方だと、エリナも魔術が使えるみたいだけど………」
エリナの槍を見たロイドは考え込んだ後ある事に気付いてエリナを見つめ
「ええ。私は純粋魔術と光の魔術―――神聖魔術が使えます。天使である母様の魔力も受け継いでいますから、私の魔術の威力は結構あります。後はこの見た目でわかるように翼で空を飛ぶ事もできますから、空からの奇襲も行えます。」
見つめられたエリナは頷いた後説明した。
「ほ~……じゃあ、エリナちゃんはオールラウンダーって所か。」
「はい。そう理解してもらって構いません。」
エリナの説明を聞いたランディは感心した様子でエリナを見つめて呟き、ランディの言葉にエリナは頷き
(天使と人間の間に生まれた存在か………)
(………メヒーシャが身籠った子供もエリナみたいな見た目で生まれるのかしら?)
メヒーシャは複雑そうな表情でエリナを見つめ、ルファディエルは考え込んでいた。
「セティさんの武器はもしかして弓ですか?エルフ族の武器は基本弓と聞きましたし、母親のセラウィさんの武器も弓でしたし………」
「はい。………ただ、どちらかというと私は魔術で戦った方が強いとお母さん達に言われています。お父さんの護衛の魔術師の方も私には魔術師としての才能が高いとおっしゃっていましたし………ちなみに私は火、水、地、風、光に加えて治癒魔術が扱えます。」
一方ティオに尋ねられたセティは頷いた後弓を構えて説明をした。
「なるほど………セティ達だけでもバランスがいいな………戦闘経験があるって聞いたけど、もしかして3人共それぞれの役割を分担して戦っていたのか?」
セティの説明を聞いて考え込んでいたロイドはある事に気付いてセティ達に尋ね
「うん。あたしは大体前でこの剣を振るっていたよ。魔術はあんまり使わなかったかな~?エリナとセティ姉さんの魔術の方が威力があったし。」
「私は前衛と後衛………両方とも同じ頻度で戦っていました。」
「………私は2人の後ろから弓や魔術で援護をしていました。」
尋ねられたセティ達はそれぞれ答えた。
「そうか………じゃあ後で3人がどのくらい戦えるか見せてもらってもいいか?実際に3人が戦っているところも見たいし………」
「わかりました。………それでは、行きましょうか。」
そしてロイドに言われたセティは頷いた後先に行くよう促した。その後ロイド達が山道を登って行くと魔獣が数体現れた。
「シャマーラ、エリナ!行きますよ!」
「は~い!」
「はい!」
魔獣達を確認したセティは妹達に号令をかけた後魔術の詠唱を開始し
「行っくよ~!せーの!!」
シャマーラは跳躍し、敵陣の中に大剣を叩き付けて装甲をも貫く衝撃波を発生させるクラフト――――ジャンピングスマッシュを魔獣達が固まっている中心地に叩き付けて攻撃すると共に吹っ飛ばした!
「雷光閃!!」
そこにエリナが雷光の如くの早さで突撃するクラフト――――シャマーラによって吹っ飛ばされた敵の一体に止めを刺し
「火の精霊よ!今こそ力を!マナの轟炎!!」
魔術の詠唱を終えたセティが火の魔術で敵達の一部を焼き払った!
「……………」
一方小型の飛行する魔獣が前衛のシャマーラを襲った!
「っと!?えいっ!!」
攻撃に気付いたシャマーラは回避した後攻撃したが、シャマーラの大振りな攻撃では命中しなかった。
「だったら……切り裂け!!」
それを見たシャマーラは大剣を振るって竜巻を発生させて攻撃するクラフト―――烈風斬で滅した!攻撃を放った際にシャマーラには隙ができ、好機と見た魔獣がシャマーラの後ろから襲い掛かった!
「させません!!」
しかしセティが放ったクラフト―――二連射撃によって撃ち落され
「貫け!レイ=ルーン!!」
エリナが放った魔術によって止めを刺された!セティ達によって魔獣達は全滅したかのように思われたその時
「「…………………」」
大型の飛行する4体の魔獣がセティ達に空から奇襲して来た!
「わっと!?」
「!」
「ハッ!」
直感で危機を感じ取った3人はそれぞれギリギリ回避に成功した!
「………あれは………!」
「手配魔獣じゃない………!」
「おい、あの数で3人はやばくないか!?」
一方戦いを見ていたロイドとエリィは驚き、ランディはロイドに忠告し
「そうだな………3人共!今から俺達も戦闘に参加する!」
忠告に頷いたロイドはセティ達に呼びかけたが
「へーき、へーき!ロイドさん達に手伝ってもらわなくてもあたし達で何とかできるよ!」
「シャマーラの言う通り、見ていて下さい!」
シャマーラとセティが制止の声をかけてロイド達の行動を止めた後
「――――水那姉さん、お願いします!」
「一緒に頑張ろう―――アト姉さん!」
「お願いします――――クレール兄様、クレアンヌ姉様!」
セティは水精―――水那を、シャマーラは女性型の土精―――アトを、エリナは双子の木精――――クレールとクレアンヌを召喚した!
「へっ!?」
「おいおい………セティちゃん達も異種族と契約していたのかよ!?」
召喚された水精達を見たロイドとランディは驚いた。
「が、頑張ります!」
「よーし、行くぞ~!」
「へへーん、この僕がいれば大丈夫さ!」
「もう、クレールったら、調子に乗らないの!」
一方召喚された水那達はそれぞれ戦いの構えをし
「クレアンヌ!」
「ええ!」
クレールの呼びかけに頷いたクレアンヌはクレールと共に弓に風の魔力を宿らせた矢を上空に向けて番え
「「双精の乱風射!!」」
目にも止まらぬ早さで交互で次々と風の魔力が宿る矢を放った!
「す、凄い………」
「息もピッタリです………」
クレールとクレアンヌが放った双子の連携がなす乱射技にして協力技(コンビクラフト)―――双精の乱風射を見たエリィとティオは驚いていた。そしてクレールとクレアンヌが放つ乱射攻撃によって手配魔獣の一体は消滅した!
「水よ!」
一方水那は魔術で手配魔獣の一体に攻撃し
「………………」
攻撃された手配魔獣は標的を水那にして、水那に突撃した!
「危ない!」
その様子を見たロイドが警告したその時、水那の両手が鋭い氷の刃になり
「これで………倒れて下さい!氷剣乱舞!!」
魔獣が突撃する瞬間両手の氷の刃で乱舞攻撃を行って駆け抜けた!すると水那が突撃して来た魔獣の背後に立つと
「こ、恐かったです………」
水那が安堵の溜息を吐いた瞬間、魔獣はバラバラに切り裂かれて消滅した!
「……………!」
水那が放った氷の刃で乱舞攻撃を行い、敵を切り裂くSクラフト―――氷剣乱舞を見たロイドは驚きの表情で口をパクパクさせていた。
「やっちゃうよー!」
一方アトは拳にすざましい闘気を溜めこみ
「必殺!とるねーどあっぱー!!」
目にも止まらぬ早さで回転しながら跳躍して空中にいる手配魔獣の一体に拳で下から攻撃した!すると手配魔獣の身体に大きな風穴が開き、風穴を超えてアッパーの状態で攻撃したアトは地面に着地し、アトが着地した瞬間アトに攻撃された魔獣は消滅した!
「とんでもない跳躍力と速さだな………」
アトが放った回転を利用して威力を最大限にまで叩き出すアッパーを繰り出す技にしてSクラフト―――とるねーどあっぱーを見たランディは驚いてアトを見つめていた。
「そこっ!!」
「!?」
クレール達がそれぞれの相手に大技を放っている頃、エリナは飛行して手配魔獣の一体の翼に攻撃してダメージを与え
「……………」
攻撃された魔獣は標的をエリナに変えたのか、飛行して突撃したが
「ハッ!」
エリナは身体を横に向けて回避した後地面に向かって突撃した。
「…………」
突撃を回避された魔獣は旋回した後エリナに向かって突撃した。
「シャマーラ!」
「オッケー!」
そしてエリナの呼びかけに頷いたシャマーラは地面に突撃した後、急上昇するエリナと入れ違いの位置で武器を構えて、突撃して来た魔獣を武器で受け止めた!
「!?」
シャマーラによって受け止められた魔獣は驚いた。
「せーの!!」
そしてシャマーラは受け止めていた魔獣を剣の軌道を変えて近くの岩に吹っ飛ばした!
「!?」
吹っ飛ばされて、岩に叩き付けられた魔獣はダメージを受けると共に呻いた。
「氷の精霊よ!今こそ力を!猛吹雪!!」
そこにセティが放った魔術によって魔獣の身体のあちこちが凍結し始めて、魔獣の動きを鈍くした。
「2人とも、一気に決めますよ!」
「は~い!」
「はい!」
それを見たセティはシャマーラとエリナに呼びかけ
「ハッ!ヤァァァァ………!エリナ!」
セティは跳躍した後、一瞬の動作で無数の矢を魔獣に向かって放った後地面に着地した後エリナの名を呼び
「はい!ハァァァァァ………!次、シャマーラ!」
呼ばれたエリナは槍で怒涛の突きを放った後一端下がってシャマーラを呼び
「了~解………っと!」
呼ばれたシャマーラは大剣を魔獣の目の前の地面に叩きつけて衝撃波を発生させて、魔獣を舞い上がらせた!
「最後は!」
そしてシャマーラはセティがいる場所にまで下がって大剣に魔力や闘気を溜めこみ
「3人一緒に!」
同じようにセティやシャマーラと並んだエリナは槍に魔力を溜めこみ
「決めます!」
セティは番えた矢に魔力を溜めこんだ後矢を放った!セティが放った矢と同時にシャマーラとエリナは同時に突撃した!その技は互いを信頼し合い、同じ道を行く姉妹達の連携技(シスターズクラフト)!その技とは………!
「「「ステリナ=ディオン!!」」」
「――――――!?」
セティ達が放った連携技(シスターズクラフト)――――ステリナ=ディオンを受けた魔獣は身体に巨大な風穴を開けて、断末魔を上げながら消滅した………!
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第518話