No.587200

町対抗リレー

即興小説で作成

お題:ラストはジジィ 制限時間:15分

2013-06-14 20:23:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:442   閲覧ユーザー数:442

 僕は走る。ただただ走る。目の前が真っ暗になりながらもただ走る。

 なんでそうなったのかはよく覚えてない。でも、隣町との対抗リレーなんかに僕は参加させられている。住民のほとんどが強制参加で、僕もその一人だった。

 ところで僕は今のところ圧倒的差をつけている。ものすごい差をつけてはいる。でも僕は必死に走っている。

 なぜか。答えは簡単だ。ラスト……アンカーはジジィなのだ。なんでこのジジィがアンカーになったのか分からない。立候補でもしたのだろうか?

 だから僕はできるだけ差をつけておきたい。あのジジィだとどれだけの差があったとしても不安だ。

 しかし、なんで僕はこんなに必死に走っているのだろう? 僕はそこまで町に思い入れがあったのだろうか? いままで本気で生きてこなかった僕が、どうしてここで本気になるんだろう? 訳が分からない。

 でも、僕はみんなの期待を一身に受けて走っている。

 別に負けたっていいじゃないか。友だちはそう言っていた。でも僕は手を抜かない。ただただ、必死に走り抜ける。本当人間て不思議なものだ。

 そろそろジジィの姿が見えてきた。

「おい、ジジィ。こんだけ差をつけてやったんだ!! 負けたら容赦しねえぞ!!」

 そう言って、僕はジジィにバトンを託した。


 
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