No.586312

一刀の晋王転生録 第四章最終話

k3さん

一刀、ついに決断す。

2013-06-11 22:46:06 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3775   閲覧ユーザー数:2990

 

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  最終話

   「たとえ、破滅を抱えようとも」

 

 

 華陀との話から一刻程たった時、一刀は瑠理の居る部屋に向かった。華陀の言うどうしたいかと言う答えが出たためだ。

 

 部屋の前に着いた一刀は深呼吸すると、扉に手を掛ける。

 

「姉上、一刀だ。入るよ」

 

 そして部屋に入った。

 

「一刀……!」

 

 瑠理は一刀を見た瞬間、暗い表情で顔を俯かせる。

 

「どうしたの?」

 

「……私、顔が醜い」

 

 すぐに顔の傷の事を言っている事が分かった。

 

「俺はそうは思ってないよ、だから顔を上げてくれ」

 

 対して一刀は微笑みながら言った。瑠理は目でチラチラと一刀を見てそれが本心からだと理解した後、ゆっくりと顔を上げた。

 

「……ありがとう」

 

 彼女は僅かに微笑みながらそう言った。

 

「姉上、大事な話があるんだ」

 

 その瞬間、瑠理は真剣な、それでいて不安げな表情になった。

 

「華陀から聞いたよ……俺の子を身ごもっているって」

 

「……」

 

 瑠理はさらに不安げな、というより恐怖に満ちた表情となる。怖いのだ。これから一刀から告げられる言葉が。彼女はこの先の言葉

 

をある程度予測していた。このまま子を産もうとし、育てようとすると、その子の出生の秘密を隠し続けなければならない。己の天下

 

が実現するまでは。その時までは司馬家を滅ぼす要因になり続ける。はっきり言って隠し続けるのは難しい。ならばそうならないよう

 

にしたほうが確定的に良いのだ。それが分かり、予想したからこそ、彼女は恐怖で震えている。

 

「それで何だけど……」

 

 瑠理は思わず一刀から目を逸らし、瞑る。

 

「……姉上はどうしたい?」

 

「……え?」

 

 予想とは違う言葉に瑠理は一刀に振り返る。

 

「……どうしたい?」

 

「わ、私は……」

 

 瑠理は意を決して一刀に言った。

 

「……産みたい、一刀と私の子を……」

 

「そうか……」

 

 一刀は神妙な表情になり、瑠理に告げる。

 

「それをするには一つ条件があるんだ」

 

「……産めるの?」

 

「ああ、その条件さえ聞き入れてくれればな」

 

 一刀は瑠理の手を両手を握る。

 

「まず姉上には隠蔽工作のため、しばらくの間、特別な人間以外は誰にも目の届かない場所に居て貰う。理由はそうだな、戦の怪我の

 

治療の最中に暗殺されることを防ぐためとしておくか、そして美華にも目の届かない場所に居て貰う。理由は俺の子を身ごもり安全に

 

出産してもらうためにだ」

 

 つまり、瑠理の出産を、美華の出産と誤魔化す隠蔽工作をしようと言っているのだ。

 

「それを実現するためには一つ問題がある。それは姉上ほどの地位のある人間がしばらく何処にも姿が見られないと言う状況が、理由

 

が何であれ非情に不味い。だから……」

 

 一刀はひと呼吸をし、言う。

 

「姉上には、今の地位、権力を捨て、俺に託して貰わなくてはならない。つまり、姉上には天下を諦めて貰わなくちゃいけない、これ

 

がさっき言った条件だ」

 

 これが、一刀が出した答えだった。

 

 瑠理の暴走を止めたい、瑠理には出来れば辛い想いをさせたくは無い、子を殺したく無い、それらを実現させるにはこれが一番言い

 

方法だと思い、この決断をした。

 

 これから、この秘密を抱えて、破滅の危険を抱えて生きることになる。だが一刀はそれでもそうすると決めた。

 

「良いの?」

 

「ああ」

 

 瑠理は嬉しかった。理由はどうあれ一刀が子を産む事を許し、協力してくれる事に。

 

「産みたい……産ませてぇ」

 

 瑠理は涙を流す。

 

 流した分だけ、野心が消え去って。

 その後、一刀は美華に話を持ちかけた。

 

 話を聞いた美華は少し間沈黙した後、何かに耐えるように言った。

 

「分かった、協力する」

 

「え? 良いのか!?」

 

 一刀は驚いた。かなりの反発を覚悟で話を持ちかけたのだが、けっこうあっさりと協力を得られたからだ。

 

「話を持ち込んだ俺が言うのもおかしいが、大丈夫か?」

 

「うん、あいつと争った後、いろいろ考えたの……」

 

 争ったとは、瑠理との大喧嘩の事だ。あの時、美華は瑠理に敗北感を抱き、悔しさでいっぱいだった。

 

 その後、どうやって彼女に勝つか、その後に訪れるかもしれない敗北の危機にどうするのか、それを今まで考えてきたのだ。

 

「私、一君にとって、一番の女になりたい! 誰にも負けたくない! だから苦しくても、それが一君のためになるなら、それで一番

 

の女になれるのなら、私は耐えてみせる!」

 

「美華……」

 

 一刀は申し訳なさと、感謝の気持ちでいっぱいになった。その想いを美華に一言で伝えた。

 

「美華みたいな良い女を妻に出来て、本当に良かったよ」

 

「うん! 私、頑張るね!」

 二人と話をつけた一刀は江里香、闇那、澪羅、理奈、綺羅の五人を自分の部屋に集め、隠蔽工作の協力を仰いだ。流石に一刀、瑠理、

 

美華、華陀の四人だけでは実行に移すのは無茶があるからだ。そのため、絶対の信頼を持てる、この五人の協力はどうしても必要だっ

 

た。

 

 当然ながら、一刀と瑠理の間で起こった出来事も全て話した。話した直後は五人とも驚愕したが、何処か納得をしたような表情をし

 

ていた。

 

 実は五人とも、もしかしてと思っていたが、姉弟なのでそんな事にはならないだろうと思い込み、今まで特に気に止めなかったのだ。

 

「一刀、あなた……本当に罪な殿方ね」

 

「う、それは……」

 

 理奈にそう言われても、言い返すことが出来ず、口ごもる。

 

「ですが、一刀様らしいですね! ますます好きになりました!」

 

「え!? その理屈はどうなんでしょう?」

 

 闇那の感想に、いま一つ付いて行く事が出来ず戸惑う江里香。

 

「まぁ、協力する事自体はやぶさかじゃないよ、お頭。けどさ……」

 

「王元姫の方はどうするの? 協力してくれるとは思えないけど……」

 

 澪羅、綺羅は不安げな表情でそれぞれ言った。

 

「それについては大丈夫だ。すでに了承してもらったよ」

 

 五人とも一瞬、一刀の言葉が理解出来ず、固まってしまう。

 

 時間の経過と共に、少しずつ意味を理解していき。

 

「えー!?」

 

 五人とも絶叫する。

 

(まさか、了承するにしても、こんなに早いとは!?)

 

 理奈は神妙な表情になり。

 

(え? え? 何が起こったのですか!?)

 

 江里香は混乱し。

 

(し、信じられません!?)

 

 闇那は唖然とし、口が塞がらない。

 

(……)

 

 澪羅は思考が付いていかず、放心する。

 

(て、天変地異が起こらなきゃいいけど)

 

 綺羅は世を憂うようなった。

 その後、九人による隠蔽工作が始まる。

 

 まずは瑠理が怪我の治療に大幅な時間が掛かると言う理由で今の地位を一刀に託し、姿を消す。そして、美華も妊娠を理由に姿を消

 

した。

 

 二人に接触するのは事情を知っている、七人のみ。二人は多少窮屈になりながらも、万民に姿を晒されないように注意しながら過ご

 

していった。

 

 そして、司馬昭体制が出来上がった頃、ついにその時が訪れる。

 

「司馬師、女の子だったぞ!」

 

 華陀はそう言いながら、瑠理に赤子を手渡す。

 

「そう、一刀と王元姫に報告をお願い」

 

「ああ、分かった」

 

 華陀が部屋から出て行った後、瑠理は赤子をあやしながら、呟く。

 

「あなたの名は司馬攸、真名は……由理。あなたは私と一刀の子……」

 

 由理は、公けには一刀と美華から生まれた子で、瑠理に養子として出されるという事になり、彼女の手で育てられるようになった。

 

 この後から、瑠理と美華が仲良く話し合っている姿が、何度か目撃されるようになったと言う。

                          次章予告

 

 

「行くぞ! 司馬昭! 今度こそ貴様に勝つ!」

 

「来い! 姜維!」

 

 三度、激突する二人。

 

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「あなたが…… 姜維、ですか」

 

「誰だ? 貴様は?」

 

「私は鐘会と言います」

 

  姜維と鐘会の邂逅、これを意味するものとは

 

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「今こそ、司馬家と戦う時!」

 

 曹操軍、ついに司馬昭に戦いを挑む。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「よくも、よくもお母様を! 許すまじ! 曹操!」

 

 馬超、怒り狂う。その真相は。

 

  第五章

   「宿敵三度! そして曹操の乱」

  あとがき

 

 ようやく四章が終わりました。これからは一刀が司馬家を引っ張っていくことになります。

 

 実は読者の皆様にご報告しなければならないことがあります。

 

 最近忙しくなってしまい、しばらく投稿が遅れるか出来なくなる可能性が出てきました。大変申し訳ござい

 

ません。

 

 これからもよろしくお願いします。


 
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