第2章 反董卓連合編 05話 『 反董卓連合・諸侯会議と各勢力分析 』
この度集った連合軍の総兵力は17万
主な内訳は袁紹軍5万 袁術軍2万 曹操軍1万5千 劉備軍5千 陶謙軍8千 公孫賛軍1万 馬騰軍5千 孫策軍3万
その他の勢力2万7千といった処である
対する董卓軍は総兵力5万5千ほどで、汜水関には1万5千を率いて立て篭もっており
守将は張遼と華雄であるという情報が、事前折衝にてもたらされていた
攻城戦において、立て篭もられた兵数の三倍は必要、との基本条件は軽くクリアできていたといえ
数だけみれば連合軍が圧倒的有利といえた
この事前折衝にて”どよめき”が起こったのは、孫呉の動員した3万という総兵数が発表された直後であった
兵数が発表された中でも異彩を放っていたのが、孫策軍3万、曹操軍1万5千であろう
両軍が異彩を放つ理由とは一体!? 何なのであろうか!?
孫策軍を基準とするならば、曹操軍の動員数は、黄巾時(義勇兵の劉備軍合わせて2万5千)を鑑みても
実に心もとない数字に見えてしまう
逆に曹操軍を基準と考えた場合、孫策軍は曹操軍の2倍
黄巾時(総兵力6千程)の5倍に当たる兵力を動員していることになるからだ
黄巾の乱が収束してから、僅か2年程しか経っていないというのに、この兵数の膨張率はもはや異常ともいえた為の”どよめき”であった
袁紹軍5万は袁紹の地位、財力を如実に示した結果ではあるが、黄巾の乱に動員した兵数とそう変わらない
袁術軍2万に関しては、七乃のやりくりによる見得ハッタリの類である
白蓮に関しては、外的要因、つまり烏桓族に対しての備えで、そちらに多数の兵力を裂かなければなからなかったせいでもある
白蓮のそうした経緯をみても判る通り
孫呉は一刀を介して山越と友好・軍事同盟を成している為、3万もの大軍を心置きなく投入できたとも言える
一方、曹操軍のカラクリに関しては、最精鋭の部隊であるということが挙げられる
華琳は勿論の事、軍師は桂花を始め稟、風、司馬懿
武将は春蘭、秋蘭、季衣、流琉、凪、真桜、沙和と張三姉妹を除いた主要人物全員参加であるのに対し
孫策軍は宿将である祭以下、思春・軍師の冥琳と琥珀 武将では一刀直属の珊瑚・子虎・桜がこの戦に同行しておらず・・・
明らかに将に”欠け”が目立つのである
では逆に孫呉で戦に参陣している武将はというと、雪蓮、一刀、緋蓮、蓮華、 軍師では紅、穏、亞莎、藍里
明命と瑠璃の二人は、情報収集と霍乱が主で参加しているが、部隊を率いてはいない・・・
では孫呉の参加・不参加組にどういった違いがあるのだろうか?
冥琳は先の療養の延長で無理をさせていないだけ、シャオと王林は、いつも通りのお留守番は変わらずであるが・・・
ではこの3万の兵達の内訳はというと、隊長クラスの猛者達を除き、江東に移ってから徴用した者達が大勢を占めており
第2総軍を中心に組織され、第1総軍の親衛隊、戦慣れした者達を除いた構成だったのだ
即ち、孫呉はこの戦を”新兵達の育成場”として捉えていたのである
第1章 2話の編成を参照してもらえれば判るのだが、第1総軍の親衛隊を含めた旧主力及び水軍を呉に温存したままなのである
それは何故か? 全てはこの後に来たる”群雄割拠”のサバイバルを制す為に他ならない
群雄割拠の先を見据えた孫呉の一連の行動と、この戦で名を挙げ、他の群雄より一歩先んじようと計画していた華琳
一連の将の編成から導き出される結論は、孫呉はあくまでも通過点として、曹操軍はこの戦を重要な位置づけと据えているということが判る
孫呉と曹魏、どちらが先行してるのかは、説明するまでもなく一目瞭然であることが、皆様にもお判り戴けることであろう
この差が以後埋められ魏は逆転出来るのか? それとも一方的に差が開いてしまうのか?
現時点にて、余人にそれを推し量る事は、困難といえよう
それでは、前話以降の孫呉の動きを、簡単に追っていこうと思う
(※略式地図に関しましては、第1章 7話参照で追うと楽かも)
次の日の朝、建業を出発した雪蓮・一刀達率いる孫呉陸軍・第1総軍、兵1万5千は進路を南西にとって陸路を移動開始
阜陵港から水軍を利用して順次、長江の対岸、廬江・尋陽港へと丸二日をかけて渡り終えた直後
蓮華・緋蓮率いる第2総軍、1万5千と合流を果たす
この時、前話の会話にあった明日にでも渡すかなという言葉の通り、洛陽からの去り際に買ったお土産を夫々に手渡していく一刀
雪蓮には指輪、蓮華にはペンダント、緋蓮にはイヤリングといったように
戦争に携帯したとしても大丈夫なように、小物の装飾品を中心にセレクトして、皆に手渡していた一刀である
雪蓮の左手の”薬指”へと着けた指輪が、周りから”結婚指輪”と誤解され、その場が一瞬で凍りつき修羅場と化した・・・のであるが・・・
なんとかその窮地?を乗り越え、進軍を開始する孫呉の面々
3万に膨れ上がった軍を、陸路、袁術の街を経由した所々で、沿道にこぞって民衆が集い、皆感嘆の声を漏らして彼らを見送っていた
さもありなん 袁術の民達は、孫呉が如何に落魄れていたかをよく知っている
それが今や・・・自身を治めている主達の兵より、立派な身形と威容を纏い行軍している様を
民衆の皆に判るように示していたのだから当然といえる
そのまま北上し袁術領を抜けた孫呉陸軍は、二日ほどかけてゆっくりと汜水関西方20里の集合場所へと行軍したのである
当然の事ながら集合するのは最後であった為
麗羽や美羽を筆頭に諸侯から待たせた事による愚痴が、次々と飛び出していたようではあるが・・・
それも孫呉が率いてきた総兵数を聞いて、殆どの諸侯が押し黙ってしまったのである
美羽に関しては、七乃の前で猶も愚痴っていたようであるが・・・
「雪蓮さま! 緋蓮さま! 一刀しゃま! 冥琳さまからの密書が!
「相変わらず愛らしいわね瑠璃 そんなに急がなくてもいいわよ? フフ」
「瑠璃 報告そして長安・漢中への偵察もご苦労様 疲れたろう?」
緋蓮と一刀に慰められ、顔を真っ赤にした瑠璃は、急いで雪蓮に密書を手渡す
「ううん だいじょうぶ・・・」
「そうか えらいえらい」
「むふぅ~♪」
一刀が瑠璃を頭撫で撫でして慰労している間に、瑠璃から受け取った冥琳から来た密書に目を通していた雪蓮 すると・・・
「一刀!母さま! これみて!」
「ん? ・・・そうか ・・・こちらの予想より随分速く動いたな さすが賈駆だな 俺達と別れた後にやはり動いていたか」
一刀は賈駆の動きに驚嘆した様子をしめしていたが・・・
「・・・そうね 冥琳があちら側に居たのが運の尽きだけど・・・
お留守番の祭と思春と桜が、蔡瑁、黄祖相手の水上戦で怒りに任せて大暴れしたようね
相手するのも面倒だったから好きにさせた・・・ 要は放置したのね・・・そう記されてあるわ・・・」
さすがの戦闘狂である雪蓮と緋蓮の母娘であったが・・・
先に名前の挙がった三名の怒りの突撃を想像し、苦笑いを浮かべている・・・
もっとも思春の怒りは、蓮華と一緒にいられない怒りからであろうが・・・
「冥琳・・・ まぁ・・・こんな諸侯一同が介すお祭り騒ぎのような戦 もう二度とこの先ないだろうしな~
それに参加出来ないって悔しがって嘆いていたからな・・・ 特に祭さんと桜・・・」
と一刀がフォローしてみるものの・・・効果は薄かった
「董卓軍、劉表軍共に同情を禁じ得ないな 全てが空転しているといったところか・・・」
と皆が一斉に顔を見合わせ、苦笑いを再度浮かべるのであった そこへ・・・
「ご愁傷様と言えますが、そうなって戴かなければ、こちらが逆に痛手を被っていた訳ですけど?
雪蓮様 緋蓮様 一刀くん 代表者の集合時刻は一刻後にだそうです」
とそこへ陣へと帰って来た紅が、会話に参加してきたのだった
「了解したわ 紅と藍里お疲れさま」
「ええ 紅 いつもありがとう 藍里ご苦労だったわね」
「判りました 紅さん、藍里 事前折衝 お疲れさまです」
雪蓮と緋蓮、一刀の三人は、夫々紅と藍里に対して労いの言葉を述べる
「ふふ ありがと 雪蓮様 緋蓮様 一刀くん」
「雪蓮様 緋蓮様 一刀さま お気遣い痛み入ります」
と返事を返す紅と藍里の二人であった
「もう内容をご存知のようですけど、紅さん 冥琳から来た密書読まれます?」
「ええ 目を通させて戴きますわ」
「どうぞ 終ったら藍里に渡してあげてください」
「ええ 判ったわ ありがと」
と一刀から冥琳の密書を手渡された紅は目を通し始める
「このまま我々の予想通り事が進むのでしょうか?」
不安な面持ちで一刀に問いかける藍里に対し、一刀はというと・・・
「どうだろうな 俺の知る歴史とはすでに違ってきているし、すでに劉表が賈駆の要請を受けてこちらに手を出してきた
今の処、俺や冥琳、紅さんが想定した予想の範疇の出来事と言えるだろう
だが、洛陽で瑠璃によって暴かれた何進様達を殺害した不気味な相手がいるんだ どこの勢力の者かも判らないし
そうした者達が暗躍している以上、すんなり事が運べるとも思えないな 用心するに越した事はないさ」
「一刀さまのおっしゃる通りですね 肝に銘じておきます」
「そうしておいてくれ」
藍里の肩を軽くぽんぽんと叩いて落ち着かせてやると同時に、目を通し終えた密書が紅から回ってきて目を通し始めた藍里
ちょうどそこへ本陣へと入ってくる蓮華と亞莎
「一刀さま 汜水関の偵察及び仕掛けの機動準備を完了させておきました」
「兄様 すごい数の・・・を設置しましたけど・・・あれは?」
と蓮華は設置した物の正体を知って、あの仕掛けで有効に活用出来るのか?とちょっと疑問に思ったのだ
「おっ? 蓮華、亞莎ご苦労様 相手に気取られたり見つかったりしなかったかい?」
「はい・・・というより、ここからの攻撃は届かないと思っているのでしょう 完全に油断し無警戒でしたよ? 兄様」
「ですね・・・ 私達が砦に取り付いたりと、”下”から来るとばかり思っているのでしょうね」
と蓮華と亞莎は設置時に興奮しながらも・・・警戒心の薄い敵にやや拍子抜けしたという処が本音なのだろう
「琥珀にちょいと頼んでた物なんだけどね
人数少ない防衛戦で発揮出来ないかなって思ってさ 攻める側のここじゃ一回限りの手法だけどね
まぁ~折をみて、霞達董卓軍の面々を驚かせてやるとするかな!
それじゃ雪蓮 蓮華と亞莎が準備を整えてくれたみたいだし・・・
どうせ嫌がらせで先陣吹っかけてくるだろうから・・・受けちゃっていいよ くれぐれも渋々、厭々という演技を忘れないでね」
「渋々厭々ね・・・ 了解~♪」
「さてと・・・打ち合わせも終えた事だし、それじゃそろそろ参りましょうか 雪蓮、緋蓮さん、紅さん
今度も待たせたと袁紹始めお怒りだろうけどね
蓮華は設置で疲れたろう? 蓮華は会議に参加しても見てるだけになりそうだし
こっちの留守番役も必要な事だし、会議は退屈だろうから休んでてもいいよ?」
「判りました 兄様 それじゃお言葉に甘えまして、大人しく留守番に回ります」
と一刀の気遣いを嬉しく感じ、兄の言に大人しく従う蓮華
「それじゃ みんな留守番よろしく頼むわね 会議の参加に胸躍らせるなんて、初めての経験じゃないかしら?私 ウフフ・・・」
「雪蓮・・・自身の娘ながら・・・もう少しちゃんと主らしく振舞えないものか・・・」
と嘆く緋蓮に対し、雪蓮はというと・・・舌をぺろっと出し知らん振りを決めこんでいるようだ
「ふふふ 判ったわ 一刀くん
雪蓮さま・・・お判りですよね? あくまでもえ・ん・ぎ(演技)ですからね?」
「ぶ~ 判ってるわよ!紅 終始退屈な会議の唯一のお楽しみなんだから! ちゃんと上手くやるわよ!」
「それならよろしいのですが・・・ 蓮華様と亞莎が設置してくれた装置を、無駄にしないようにお願いしますね」
「はぁ~い♪」
雪蓮の余りの調子の良さに、不安になった紅は一刀に近づくと・・・
「雪蓮はあれくらいの方がいいのですよ
会議で眼を開けられて寝られる方が始末が悪いですから・・・」
自身の主の態度をどう評価していいものか・・・匙を投げたと言わんばかりで・・・事実その通りなのであろうが・・・
紅としては、諸侯が一同に会す緊張と思惑を湛えた場で、あまり無茶をしてかき回さないで欲しい
後の折衝で苦労するのは、私なのですから・・・と一人嘆く紅であった
そうした紅の心の内を知らない皆は・・・
「「いってらっしゃ~い」」
と蓮華を筆頭に亞莎、藍里、瑠璃達の無邪気で元気な見送りを背に感じつつ、諸侯会議本番へと出向く雪蓮、緋蓮、一刀、紅の四人であった
諸侯会議は、やはり参加した4人にとって、予想通りの展開で暇を持て余すモノであった
先ずは参加した諸侯の自己紹介に始まり、盟主は誰に? 兵糧担当は?といった議題が次々と取り上げられていく・・・
心中に含む処がある本人達にとっては、真剣そのものな会議なのであろうが・・・
通過点と認識していた孫呉の面々にとって、汜水関での先陣の一点にしか興味がなかった為
諸侯達の議論が紛糾し白熱して長期化している事は、興味も薄く、ましてや暇以外の何モノでもなかった・・・
緋蓮などは、さっきから欠伸を噛み殺し続けている始末である そう、紅一人を除いて・・・
紅は外交専門だけあって、議論が紛糾している場を見ているのが、楽しくて仕方ないらしい
以前、紅は多数が集る会議の様子を一刀へと語っていた事を想い出していた
こうした会議は、十中八九勝つと判っている場合にこそ、各国の態度、思惑が強く透けて見えてくるという
積極的に議論に参加してくる諸侯
タイミングを見計らい会話に参加し飛び込んでくる諸侯
思惑を抱きながらも動かない勢力
諸侯がそれぞれ勝手な意見を出すものだから・・・少しもまとまる様相すら見えてこない混沌とした状況に陥っていた
こうして黙って笑顔を湛えて控えている紅は、各勢力の動き思惑を把握、分析し整理している表情である
この穏やかに諸侯達へ微笑みかける紅に、何度、重要人物達が掌の上で無様に踊らされたことであろうか・・・
大胆でありながら繊細さを醸し出す紅は、突然諸侯達が紛糾している戦場へと・・・一歩前にそっと歩みを進めた
それだけで・・・先程まで紛糾していた諸侯達の言がピタリと止み、全ての視線を紅へ集め釘付けしたのだから・・・さすがと言えた
そして紅はゆったりとした身振り手振りを交え、ハッキリと聞こえる音量で居並ぶ諸侯へと話し始めた
「私は張紘と申しまして、孫呉で外交を担当しております ご存知の皆様もいらっしゃいますが、どうぞお見知りおきくださいませ
さて・・・議題に挙がっておりました盟主に関しまして
三公の出でもあり、この度の檄文、連合の発案者でもいらっしゃいます袁紹様にお任せして
兵糧の件に関しましては、盟主の立候補者でもある袁術さまに一任して戴くのがよろしいと心得ますが
いかがでしょうか皆様方?
まだ抜きもしていない洛陽へと続く汜水関、虎牢関を前にして
抜いた先の事をあれやこれやと議論しましょうとも・・・それは詮無き事
権力闘争で時間を浪費するのは、あまりに愚策極まりない・・・
それは、意気軒昂な兵達の士気を削ぐばかりか、刻も無駄に浪費するだけですわ
そうお思いになりません? ここに集いし義憤溢れる諸侯の皆様方?」
物腰柔らかい言葉遣いと笑顔を湛えられ、しかも力ある諸侯の一つである孫呉からの申し出であり
全てが正論で諭され周囲へ同意を求められては、熱く議論していた諸侯からその後、一切抗議の声はあがらなくなっていた
静かになった会議場に拍手が鳴り響くと同時に華琳が、紅の横まで進み出てきた
「私も張紘殿の言に賛同するわ 今は一刻も速く汜水関と虎牢関を突破することに注ぐべきだわ」
有力諸侯の一人の華琳が、紅の意見に賛同の意を唱えては、もはやそれは決定事項とも言えた
「おっほっほ~♪ わたくしに盟主の推薦がございましたようですけれどぉ~?
反対意見は・・・ないようですわね!」
と紅と華琳の二人に盟主にと推され、上機嫌となった麗羽であった
本音としては、麗羽の下につく事など絶対に嫌であった美羽であったが
前線へと出る必要もなく且つ兵の損失を防げ、全勢力の兵糧の管理という大役が転がり込んできた為、
渋々であったが納得し黙っていた美羽だった
そこからは盟主と決まった麗羽の独壇場となった
「それじゃ栄誉ある先陣を決めないとですわね
劉備さん 貴方どうかしら?」
「ええっ!? 私達がですか? そんなに率いている兵力が多くないのに?」
「おほっほっほ 劉備さんところには確か・・・腕自慢の家臣がいらっしゃったように存じてましたけどぉ~?」
と領国隣の平原を治めていた桃香に対し、この時とばかりに嫌がらせをしてくる麗羽であった
「ううっ・・・たしかに愛紗ちゃんや鈴々ちゃんに星ちゃんは強いですけど・・・そもそも兵数が全然足りません!
兵糧もですが・・・ボソボソ」
と最後の部分は諸侯達に聞こえなかったようであるが、窮状を情けなく訴える桃香に、溜飲を下げ満足したのか
麗羽はそれ以上、桃香達を追求する事もなく、辺りを見回していた
始め華琳が、先陣の名乗りをあげようかと試案していたのだが
精鋭なのだから急がなくても活躍の場は多く、不要な戦闘は極力避けて消耗を減らし、ここぞという時に全力を投入する
一度は敵の実力を見てから判断しても良い筈である
という桂花・稟・風の助言に一理あると思った華琳は、汜水関の先陣への名乗りを止めたのであった
「馬騰さん達はどう?」
「我らは騎馬ゆえ、攻城戦には向かないのでご辞退申しあげたい」
となると・・・と麗羽は華琳と孫呉に目をやる
華琳に先陣を与え活躍されると癪なので今まで避けていた
孫呉にもこれ以上手柄を与え、大きくなられても困るのだが・・・
自身が盟主を務める栄えある連合軍の先陣を、何度も断られることは極力避けたいという麗羽の葛藤があった
華琳か、孫呉かという選択に麗羽は・・・
「私を盟主へと推薦なさってくれた孫呉の皆さん いかがかしら?」
と苦し紛れに話を振ってくる麗羽
「そんな名誉ある先陣を・・・遅れてやってきた我らが受けては諸侯の皆様方に申し訳ありません
先陣の話はなかったことに・・・」
と普段はこんな肩苦しい断り方などしたこともない演技をする雪蓮に、必死に笑いを噛み殺す他の孫呉の面々であった
「そんな事をおっしゃらずに・・・どうかしら?」
と孫策をその気にさせようと必死の麗羽であった
「先陣には、精鋭と名高い曹操軍を推薦したく存じます 袁紹殿」
とあくまでも辞退し続ける雪蓮に、困り顔の麗羽は、渋々華琳へ話を振るものの・・・
「先陣には、麗羽を盟主へと推した孫呉軍が適任だと思うわ 兵数も多いし武将も一騎当千と噂が高い”天の御遣い”がいるのですもの・・・」
と華琳は、雪蓮の横に控えている一刀へ笑みを向ける
「・・・と精鋭を率いている華琳さんからのご推薦があったのだけど・・・本当に受ける気はないのかしら?」
と麗羽は名誉ある先陣をたらい回しにされ、不機嫌な空気を醸し出しながらうんざりしている態をみせる
それを頃合とみてとった雪蓮は
「そこまで偉大なる盟主殿に推され、断り続けるのも甚だ遺憾に思うところもあり、先陣の命、謹んでお受けいたします袁紹殿」
「フフフ よく決断してくださりましたわ 孫策殿」
とようやく先陣が決まったことに嬉しさを滲ませる麗羽
「お受けする条件を一つだけ・・・ボソボソ」
「・・・それくらいなら、お好きになさって結構ですわ それでは先陣の件 よろしく頼みましてよ」
「ハッ 袁紹殿 お任せあれ」
と条件を麗羽に提示し承諾させ”してやったり”の孫呉の面々であった
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先陣が決まった事により自然と解散となり、各所で話す者達もいたが
大勢の諸侯は長時間の会議で疲れ切ったのか・・・夫々の天幕へと帰っていく
当初の目的であった”先陣を受ける”ことに加えて”一つの条件”を麗羽に承諾させたことを
皆で喜びあい、雪蓮の演技を緋蓮、一刀、紅の三人で状況を回想し笑い飛ばす
会議が終り、閑散とした会議場に・・・
「お~い まだ会議始まらないのか?」
と暢気な声を出し、会議場となっている天幕へと入ってくる白蓮
「会議って・・・白蓮・・・ もしかしていなかったのか!? 今終って解散した処なんだが?」
と驚きの声と共に、居ない事に気付かなかった事を、申し訳なさそうに白蓮の問いに答える一刀に
「なんだってぇーーーーーー! またか・・・またなのかーーーーーーーーーーーーっ!」
白蓮の慟哭が虚しく・・・連合軍の天幕に木霊するのであった
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である
祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである
髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが
その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである
服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている
背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである
眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から
姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている
均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである
○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ)
荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると
知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる
以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま
呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている
容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女
(背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます
○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族
槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす
容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ
胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている
○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)
弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人
『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で
徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる
容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである
二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える
○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)
朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される
その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される
天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる
初期には転属させられた事に不満であったが
一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に
後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している
容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである
服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・
と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)
○太史慈 子義 真名を桜
能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者 桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し
騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)
本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という
両者の良い処をとった万能型である
武器:弓 不惜身命
特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く
隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった
容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子
眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める
一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる
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【あとがき】
常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます
いつもお世話になっております
前話にて温かいコメントを戴きました皆様 厚く御礼申し上げます
これまでは夜が若干涼しかったので、多少寝苦しさもなくマシだったのですが
ようやくではありますが、昼も夜も暑さがキツくなってきた感じがいたします
梅雨と重なってムシムシするのは、非常に勘弁願いたいものです
次にサッカー日本代表 WC出場決定おめでとうございます゚・:*:・。(=゚ω゚)ノオメットヽ(゚ω゚=)。・:*:・゚
実は直前でもう・・・TV消しそうになってたんですけどね!(滝汗
あきらめたら・・・という某先生の名言が思い起こされました試合でございました
本田さんが試合に出ると中々負けませんねぇ
持ってる発言をされておられますが、その底力を私に少しお分けして戴きたいものです
A組は混沌としてますし・・・B組2位以下と混戦を制するのは何処なのでしょうねぇ?
そこが今後の楽しみだったりします
話を物語へ戻しますと、お待たせ致しました 次回から汜水関戦が本格的に開始いたします
雪蓮が麗羽に飲ませた条件とは? 蓮華と亞莎が設置したモノとは?
色々な謎を含んだ汜水関戦へと突入します
それでは皆様、次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪
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常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております
この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
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