No.581679

一刀の晋王転生録 第四章二十七話

k3さん

さらなる悲劇が孫権軍に訪れる。

2013-05-30 21:02:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2589   閲覧ユーザー数:2288

 姓:司馬 名:昭  性別:男

 

 字:子上

 

 真名:一刀(カズト)

 

 北郷一刀が転生した者。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:懿  性別:女

 

 字:仲達 

 

 真名:理鎖(リサ)

 

 一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:師  性別:女

 

 字:子元

 

 真名:瑠理(ルリ)

 

 母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。

 

 

 

 

 姓:張  名:春華 性別:男

 

 真名:解刀(カイト)

 

 一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。

 

 

 

 

 姓:王  名:元姫 性別:女

 

 真名:美華(ミカ)

 

 一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。

 

 

 

 

 姓:鄧  名:艾  性別:女

 

 字:士載

 

 真名:江里香(エリカ)

 

 後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。

 

 

 

 

 姓:賈  名:充  性別:女

 

 字:公閭

 

 真名:闇那(アンナ)

 

 司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。

 

 

 

 

 姓:王  名:濬  性別:女

 

 字:士治

 

 真名:澪羅(レイラ)

 後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。

 

 

 

 

 姓:司馬 名:望  性別:女

 

 字:子初

 

 真名:理奈(リナ)

 

 一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。

 

 

 

 

 

 

 姓:杜  名:預   性別:女

 

 字:元凱

 

 真名:綺羅(キラ)

 

 一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。  

  第二十七話

   「劉備・孫権の乱 赤壁の戦い 孫権軍二度目の悲劇、司馬師の策」

 

 

 司馬師・曹操軍は孫権軍を確認すると彼女達に矢を浴びせる。

 

「ぐえ!」

 

「ぎゃ!」

 

 孫権軍の兵を次々と討たれていく。

 

「! 応戦しろ!」

 

 周瑜は何とか指示を出した。そして孫権軍は必死に戦う。

 

(く! 動揺している場合では無い! 状況を整理しなくては!)

 

 普通ならばすぐに撤退指示を出すところだが、そうすればまた何か起こった時に対処しずらくなる。そうしなかったのは流石は周公

 

瑾というべきだろう。

 

 まずは此方の策が見破られたのだろう。それも埋伏の毒、連環の計、火計、全てが。何故見破られたかを一瞬考えたが止める。今、

 

重用なのは見破られた策の理由の答えあわせでは無く、この状況にどうするかなのだから。

 

(あの燃えている船は……恐らくは祭殿の……っ!)

 

 そして矢が刺さった燃える船は黄蓋が乗っていたものと理解する。彼女が、策が見破られていたとは分からなったとなれば火矢に対

 

応出来たとは考えずらい、だとすれば彼女の生存はほぼ絶望的だろう。

 

 無念と悲しみを押さえつけ、これからどうするかを考える。そして、今、この場で勝つのは不可能と結論し、撤退するように孫権に

 

意見しようとするが、彼女達にとって、さらなる悪夢が訪れる。

 

「周瑜! 我等の背後から何者かの部隊が!」

 

「なっ!?」

 

 周瑜と近くに居た孫権は表情が真っ青になった。孫権は急いでその部隊の確認をさせる。

 

 少しして、兵が駆け寄って来た。

 

「分かったか!?」

 

「はい! 王の旗と杜の旗、恐らく王濬と杜預かと思われます!」

 

「ま、まさか……」

 

 周瑜は身体に力が入らなくなり膝を付く。

 

(ば、馬鹿な!? 我等が進軍した直前には周辺に奴等の船は無かったはず! だとすれば敵が一部の船を迂回させた!?、だがそう

 

するには、恐らく祭殿の船を燃やしてからでなければならないはず! だとすればあまりにも時間が少ない! そしてどうして我等が

 

気付かなかった!? そのような事、我等でも出来るか分からんぞ!? 王濬は……我等の水上戦の技術を上回ると言うのか…

 

…!?)

 

 その時、彼女の身体から何かがこみ上げてくる。

 

「がは!」

 

 周瑜は盛大に口から血を吐き出し、ついに倒れる。

 

 実は、彼女の身体は孫策が死ぬ少し前から既に病に犯されていた。今まで強靭な精神力で耐えてきたが、精神的ショックが強すぎて

 

支えてきた精神力は、ついには耐え切れなくなったのだ。

 

「! 冥琳!」

 

 孫権は彼女に駆け寄り、身体を抱き支える。

 

「蓮華様……申し訳ありません……貴女をこのような危機に陥れ、この状況を脱する前に死ぬことになるようです……」

 

「冥琳! しっかりして!」

 

 孫権が必死に彼女の名前を叫ぶが周瑜はただ弱弱しく呼吸をするだけであった。

 

「冥琳様! これ以上は持ちそうに……! 冥琳様!」

 

 周瑜に指示を仰ごうと彼女の所に来た呂蒙は、目の前の光景に絶句し、彼女に駆け寄る。

 

「亜沙……か……」

 

「冥琳様!」

 

「もう私は駄目だ……お前に託すしかない……何としても蓮華様を……無事……に……」

 

 周瑜は薄れていく意識の中で、ふと少し昔の事を思い出す。

 

 それは走馬灯なのだろうか、その光景は一刀と孫策、周瑜が楽しく語り合っている姿だ。

 

 一刀は自分の実力より、姉や部下を褒めていた。彼女達は自分の器用貧乏と違い、ちゃんと自分の得意な部分を生かし、頼りになる

 

と、何度か同じこと言っている。。

 

 孫策と周瑜は、一刀が器用貧乏とは言えない実力があるだろうと思い、苦笑しながら聞いていた。

 

(雪蓮……司馬昭の言うとうりだったよ……司馬師は予想を超えるほど強大で強かった……)

 

 周瑜は息を引き取った。

 

 最後に映った光景が楽しげな光景だったためか、最後の表情はほんの少しだけ穏やかなものだった。

 孫権達の背後を付くことに成功した澪羅、綺羅は彼女達の部隊を確認するとすぐに矢を放つように命じる。後はそのまま突っ込んで

 

本隊と挟撃して直接叩くだけだ。

 

「それにしても綺羅、よくアタシについて来れたね」

 

「伊達にアンタの訓練を見てきたわけじゃないわよ」

 

 二人は互いに不適に笑う。

 

「それにしても瑠理の姉御には驚かされるね」

 

「ええ」

 

 二人が驚いているのはもちろん瑠理の策の事だ。

 

 瑠理は黄蓋と周瑜の策を見抜き、それを利用する事を決定。

 

 まず黄蓋を策が通用していると思い込ませる。そのための一環として、彼女の提案した火計を倍増させるための連環の計を採用した。

 

そうしておいて、次は火矢を打たせ、これを防ぐ。どうして防ぐことが出来たのか、それは黄蓋が策を実行する前に見た、水で濡らし

 

た布が関係している。実はあの布、闇那の部隊により、現在火矢が放たれた船に敷かれている。つまり火矢は水でびしょ濡れになった

 

布に当たったのだ。だから火矢が当たった時に火が消えた。ちなみにその布は全ての船に敷かれていた訳ではない。そうしてしまうと

 

時間が掛かるし、かなりの人数とかなりの数の布を必要とするのでかなり目立つ。それでは流石に黄蓋にばれる可能性がある。そこで

 

瑠理は黄蓋が仕掛ける場所をある程度割り出したのだ。その箇所は五つ。そして彼女の予想どうり黄蓋はその内の一つに仕掛けた訳だ。

 

 仕上げに、黄蓋の船を燃やす。そして燃えた船を見て、周瑜に策が成功したと誤解させたところで誘き寄せる。その間に、澪羅と綺

 

羅の船の鎖を急いで解き、孫権軍に回りこませ、挟み撃ちで孫権を撃破する……と言うのが瑠理の策だ。

 

 ここで三つほど疑問が出る。それは何故黄蓋がその布が敷かれている事に気が付かなかったのか。そもそもどうして黄蓋に火計を実

 

行させるという危険を犯したか。最後に澪羅と綺羅の迂回に孫権軍が気付かなかったのかと言う事だ。

 

 一つ目は、これは夜で視界が小さくなった事と、布の色が船と同じ物だったからだ。だから黄蓋は気付くことが出来なかった。瑠理

 

は黄蓋が夜に仕掛けるのは予想していた。というよりも自分達の動きをぎりぎりまで悟らせないようにするには、仕掛けるのは夜が望

 

ましいのは必然だ。

 

 二つ目は、これは瑠理の用心深さだ。瑠理は黄蓋と周瑜の策の実行に時間の決まりごとがあったのではないかと思ったのだ。仕掛け

 

るのが夜と分かっていても、何か決まりごとがあったのなら、早くに此方が仕掛けると、疑問に思われ進軍をためらうかもしれない。

 

そのため多少危険はあっても、誘き寄せる時間は黄蓋に合わせる必要があった。

 

 三つ目、これは孫権軍の心理状態が原因だ。雄一の勝機である火計が成功したと言う高揚、そしてその後の健在の司馬師・曹操軍の

 

大船団を見たときのかなりの動揺、これらの要因が周辺の確認を怠ってしまったのだ。そのため孫権軍の誰もが気付かなかったのだっ

 

た。

 

 さらに孫権軍にとって皮肉な事に身動きが出来なくするはずの連環の計は、反って瑠理達に二つの事を助ける事にしてしまった。

 

 一つは船酔いの心配を無くしてしまった事だ。これで司馬師・曹操軍の体調はほぼ正常にしてしまい、本来の力を引き出せるように

 

なってしまった。

 

 もう一つが、策のための布を敷かせる事の問題が解決してしまったことだ。水で濡らした布はその分重量が増す、そうなると布の重

 

さで船のバランスが崩れてしまう危険がある。しかし、鎖で繋いでしまったことで、他の船によってバランスを整えさせる事となって

 

しまった。

 

「ほんとどうなってるんだが、あの人の頭の中は……ん?」

 

 澪羅は孫権軍に動きが出たところを目にする。全ての船の進路を此方の方向に変え、澪羅と綺羅の軍団に突撃したのだ。

 

「へぇ、どうやらアタシ等に強行突破しようって魂胆か」

 

「ふうん、どうやら此方が側面の陸地に伏兵を忍ばせてあることは分かったようね」

 

 陸地には江里香と理奈を配置している。無論、側面に逃げられても対応するためだ。

 

「だとしたらどの程度忍ばせているか分からない側面を選ぶより、目で見えて、尚且つ本隊より数の少ないこっちに突破を仕掛けよ

 

うって言うのは当然ね……瑠理様の言うとおりになったわね」

 

「だな! が、それでもよ」

 

 澪羅は武器を構える。

 

「アタシ等相手に突破しようなんて、随分と舐められているようだ……痛い目に会わせようかじゃないか!」

 

 そして彼女は獰猛な笑みを浮かべる。


 
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