EPFinal それから…
――現在
和人Side
「……ていうのが、俺と雫の馴れ初めだ」
公輝が雫さんと過去を語り終え、結構長い話しになったがみんな静かに聞いていた。
「あの~…」
「なんですか、珪子ちゃん?」
「肝心の公輝さんと雫さんが付き合い始めたところを聞いていないんですけど…」
珪子が非常に聞き辛そうに聞いた、すると公輝がニカッと笑いながら答え始めた。
「実は告白されてから3日経ったくらいに付き合い始めたんだよ」
「そうなんですか?」
公輝の意外な言葉に明日奈が少し驚きながら言った。
「雫が他の男子に告白されたのを見ちまってさ、恥ずかしい話し嫉妬してそのままの勢いで俺が告白したんだ///」
「しかも私に告白した男子の前で、ですよ///」
「うわぁ~、それはまた…」
少々照れた様子で話す公輝と雫さん、里香は笑顔が引き攣っている。
恐らくは目の前で失恋した男子に同情しているのだろう、俺もその話しを聞いた時は同情したよ。
ちなみにこの話しは幼馴染メンバーと直葉、奏さんが知っている内容だ。
「でも良い話しでした」
「そうだな」
幸の言葉に京太郎が賛成する……が、明日奈や他のみんなの視線が俺に向いた、一体なんだ?
「あ~、キリトよぉ。ハッキングは良くないぜ?」
「安心しろ、さっきの話しでは警察に事情は話してあるからな」
師匠や海童氏が説明してくれたお陰で注意だけで済んだ。
なお、ハッキングの腕を見込まれてスカウトされそうになったりしたのは良い思い出だ…。
それを聞いた一同は安心したようである。
「そういえば、2人は何をお願いしたの?」
「俺は雫と付き合い始めたからこれからもお願いしますって言ったんだ」
「和人は?」
奏さんの問いかけに公輝が答え、志郎が興味深そうに俺に声を掛けた。
「俺、か……その、だな…。この前の凜子さん、茅場の元恋人との会談場所を提供してもらったことだ…」
「「「「「……………」」」」」
「頼むから何か言ってくれ」
俺の回答にみんな沈黙…頼む、誰か喋ってくれ。
実際、雫さんと奏さんと知り合ってから2人もSAOのβテスターである事を知り、
交流を持つことになったのだが正直言ってそれだけで十分だったのだ。
それでも海童氏は何か望んでいたので凜子さんとの会談場所をお願いしたわけである。
「そ、そういえば、今日の夜はアインクラッドのボス攻略戦だよね。13層のボスってどんなのだっけ?」
「おう、重要な事だな」
「俺達は参加した事ないし」
それに続くように俺達は13層のボスについて話しをすすめ、オフ会は結局夕方まで続いた。
和人Side Out
キリトSide
オフ会が終わって各自が解散し、自宅に帰った俺とスグは夕食を取り終えたあとで、
各々シャワーや着替えを済ませてALOへとダイブした。
現在はイグ・シティの自宅にてアスナとユイと共にボス戦に向けての準備中である。
「回復結晶は持った、他に必要なものは……ないな、よし。
転移結晶があれば楽に移動できるんだが、まだ解禁されてないんだよな~」
「そうみたいです。転移結晶は20層を超えてから解禁されるみたいですよ」
「アインクラッドの中では飛べないから、急いでいる時は便利だよね」
俺の呟きにユイが答えてくれるとアスナも言葉を漏らした。
俺もボス戦とか急がなければならない時だけでいいけど。
しかしボス戦の約束まで30分か、他のプレイヤーに倒されていなければいいが…。
「ユイ、ボスは今のところ健在か?」
「ちょっと待ってくださいね……………はい、13層のボスは健在です」
場合によっては早くに出る事も考えないとな。
「パパ、ママ。わたしは少し情報を整理しますから、出発する時は呼んでくださいね」
「ああ、分かった」
「お願いね、ユイちゃん」
「はい。パパとママもごゆっくり」
そう言ってからユイは姿を消した。最後の言葉を察するに気を遣われたのかな?
「キリトくん♪」
「おっと」
アスナはソファに座る俺の膝の上に乗り掛かってきたので、彼女を優しく抱き締める。
簡単に言えば俺の膝の上でお姫様抱っこされている状態だな。
「あと、10層だね…」
「ああ、そうだな…」
アスナが呟いた言葉の意味、それはアインクラッド22層にあるはずの俺達のホーム。
新生したアインクラッドに対して俺とアスナ、ユイが想いを馳せていたのは彼の家のことだった。
今までの街の構想などは特にかわっておらず、変化しているのは迷宮内やモンスターぐらいだ。
つまりそれほど心配しなくともいいとは思うが、それでも気になるものは気になる。
「早くあの家に住めるようになりたいなぁ~…」
「それなら頑張るしかないだろ?次の層がアップデートされるまでは時間が掛かるから、
出来る限り家を購入する分の
「そう、だよね…うん、頑張ろう♪」
少し心配そうにしていたアスナだが、俺が安心させるように言えば微笑みを浮かべて元気になった。
俺も頑張らないといけないな……そんな風に考えていた俺の唇に彼女の唇が重なった。
「んん、ふぁ…//////」
「ん、ふぅ…」
どちらともなく漏れる声、重ねていた唇が離れればアスナは顔を紅く染めながらも笑顔を浮かべている。
俺にも笑みが浮かぶのが分かる。取り敢えずいまはこれくらいで抑えておかないとな。
「まぁ俺達なんてマシなほうじゃないか。他の面子を考えてみろ、ヴァルとシリカは47層、
ハクヤとリズは48層、クラインとカノンさんは50層だからな」
「ふふ、そういえばそうだね」
苦笑しながら言ってみればアスナも可笑しそうに笑う。
シャインとティアさんもホームは俺とアスナと同じで22層だから、あの2人も楽しみにしているだろう。
2人での時間を過ごしてから時間を確認、約束の時間だ。
「ユイ、出てこられるか?」
「はい。パパ、ママ」
俺は背に2本の剣を背負い、アスナは腰に細剣を据え、小さな妖精の姿で現れたユイはアスナの左肩の上に座る。
「それじゃあ、行こう!」
「うん!」
「はい!」
俺達は新たな戦いに向けてまた一歩、前進する。
キリトSide Out
END
後書きです。
というわけで『ALO~閃姫Next after~』は今回で終わりです。
公輝の告白シーンを見たかった方やキリト達がどうボスと戦ったなどが気になる方もいるとは思いますが、
あまり長く引っ張りすぎるのもアレなので今回の形で終わらせました。
まぁどうなったかは各々方でイメージしていただければ助かります(オイッ!)
また少し日にちを空けさせていただきますが、次の作品はGGO編ですので是非お楽しみに♪
主人公は和人&景一のW主人公でいきます。
それではまた・・・。
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EPFinal、つまり最終回になります。
過去話しが終わった直後からの話しです。
どうぞ・・・。