No.580375

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第七十七話 妖との遭遇と戦闘

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-05-26 16:47:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:24695   閲覧ユーザー数:21864

 「ピクニック♪ピクニック♪」

 

 「はいはい。浮かれ過ぎて転んだりするなよレヴィ?」

 

 2月も中旬を過ぎ、もうすぐ俺達は海小で卒業式を迎える事になる。

 そんな日が迫る中、今日は土曜日で俺とレヴィは朝から海鳴市から電車で40分、更にバスを使って30分程来た所にある山にピクニックに来ていた。

 というよりも去年、遠足で来た山だ。

 あの時は学校からバスで来たんだよなぁ。片道2時間弱掛かっていたけどやっぱ電車の方がかなり早いな。快速急行で最寄駅まではすぐだったし。

 

 「シュテル達も来れたら良かったのに」

 

 シュテル、ディアーチェ、ユーリの3人はそれぞれ私用があるらしく、今日のピクニックにはついて来ていない。メガーヌさんとルーテシアも家でゆっくりと休日を満喫中。

 故に俺とレヴィは2人でピクニックに来ていたりする。

 

 「ま、仕方ないよね~。シュテるん達は以前から予定入れてたみたいだから♪(おかげで僕とユウの二人っきりだ♪)//」

 

 一歩前を歩いていたレヴィが俺の方に振り返って言うが残念そうどころか少し嬉しがってないかコイツ?

 

 「(皆一緒に来た方が楽しいと思うんだがなぁ?)」

 

 目の前で鼻歌を歌いながら歩くレヴィを見てそう思う。

 

 「~~♪~~♪」

 

 まあ、アイツが楽しいならそれでいいか。

 

 「ユウ!遅いよ!!」

 

 「へいへい」

 

 レヴィの隣まで追い付き、肩を並べて歩く。

 

 「で、また山頂まで登るのか?」

 

 「勿論だよ♪今日は一杯遊ぶんだから♪」

 

 腕を絡めてきながら言うレヴィ。

 宝物庫には弁当以外にも遊び道具を入れてるので退屈する事は無いだろう。

 

 「(ただ、レヴィのテンションについていけるかどうかは分からないが)」

 

 ひたすら振り回されそうな予感が…。

 ……帰りは転移魔法で帰る羽目になりそうだな………。

 

 

 

 「うりゃあっ!!」

 

 バシッ!

 

 「よっ!」

 

 バシッ!

 

 「とりゃあっ!!」

 

 バシッ!

 

 「ほっ!」

 

 バシッ!

 

 現在俺はレヴィとキャッチボールの最中である。

 まだ時間は昼にすらなっていないので時間を潰すため、アスレチックや迷路を駆け回っていた。

 しかしある程度遊んで満足しても時間は言う程経っていなかったので現在は宝物庫からグローブとボールを取り出してお互いにボールを投げ合っている。

 

 「ねえユウ。もう早いけどお弁当食べようよ?」

 

 「ん?まだ11時頃だぞ?」

 

 「僕はお腹空いて来たよ」

 

 …まあ、かなりのハイテンションで遊びまくってたからなぁ。

 俺は体力をあまり使わない様に遊んでたからそこまで疲れてないしお腹も空いていないんだが…。

 

 「…しゃーない。早いけどお昼にするか」

 

 キャッチボールを中断するとブルーシートと弁当箱を宝物庫から出して地面に敷き、その上に座る。

 で、いざ食べようとしたところで

 

 「あらあら♪私もお昼に混ぜてくれない?」

 

 いきなり声が掛けられたのでそちらの方を振り向くと見知らぬお姉さんが立っていた。

 

 「「………巫女さん?」」

 

 俺とレヴィは声を揃える。

 巫女服っぽい服装をしているのでそう思ったのも無理は無いと思う。

 髪形はショートで帽子を被っている。ただ…

 

 「(……いつからいたんだ?)」

 

 はっきり言って人がいる気配なんて感じなかったぞ?

 しかしこのお姉さんは今こうして俺達の前にいるし…

 

 「おばさん誰?」

 

 ピキッ

 

 …レヴィよ。いきなり『おばさん』呼ばわりはどうかと思うが。

 

 「しょ…正直な子は嫌いじゃないけど私は『お姉さん』と呼んで貰いたいわね」

 

 見ろ。目の前のお姉さんは明らかに怒ってるぞ。

 

 「え、ええっと…『お姉さん』はお昼一緒に食べたいんですよね?」

 

 とりあえずこういった空気はとっとと変えるに限る。

 

 「ソッチの男の子は良い子ね♪」

 

 …ふぅ。機嫌が直ってくれて良かった。

 

 「っていうか、何も持ってないみたいだけど?まさか僕達のお弁当たかるつもり?」

 

 レヴィが指摘する様にお姉さんは手ぶらで何も持っていない。

 

 「ああ、その事は心配しなくても良いわよ」

 

 心配しなくて良いってどういう事だろ?

 

 「私のお昼って言うのは………アンタ達の事だからっ!!!」

 

 「「っ!!?」」

 

 突然雰囲気が変わったかと思うと自分の腕を伸ばし、襲い掛かってくるお姉さん。

 俺とレヴィは一瞬の硬直で反応が遅れてしまうが

 

 「イージス!!」

 

 相棒(ダイダロス)が即座に反応し、俺とレヴィを障壁で包んでくれる。

 

 バチインッ!!

 

 「ぐっ!」

 

 障壁に弾かれた腕はそのまま手元に引き寄せられ、元の長さに戻る。

 

 「なっ、なな、何!?あのおばさん、手が伸びたよ!!?」

 

 「…レヴィ、油断するな。あの人、ただの人間じゃない!!」

 

 混乱するレヴィを背に隠し、すぐに護れる立ち位置にいながら俺はバリアジャケットを纏う。

 

 「『ただの』じゃなく私は正真正銘人間じゃないんだけどねぇ。むしろアンタ達の方がただの人間(こども)とは思えないんだけど?例えば、その内に秘めている大きな力の事とか(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 っ!!?

 まさか!?魔導師だとバレてるのか!?

 

 「楽しみだわ。退魔師であるアンタ達を殺せば私の格を上げる事が出来るし、その血を吸えば私はどれだけ強くなれるのか…」

 

 …退魔師?

 俺達を退魔師と勘違いしてるのか?

 

 「…俺達は退魔師じゃないんだが……」

 

 「何ですって?」

 

 「ユウの言ってる事は本当だよ!!僕達は『魔導師』なんだ!!」

 

 おいレヴィ。そんなあっさりと言っちゃいかんだろ。

 

 「『魔導師』?聞いた事無いわね?…けど確かによく感じてみたら力の波動が霊力とは違う……」

 

 少し考え込んでいる人間じゃないお姉さん。

 

 「……まあいいわ。退魔師でないにしろ、アンタ達の血は美味しそうだし私の力になりそうだし。ここで見逃すつもりは無いわ……ね!!」

 

 ギンッ!!

 

 「「っ!!?」」

 

 突然瞳が怪しく輝いたかと思うと

 

 「(か…身体が動かない!?)」

 

 まるで金縛りに遭ったかの様に身動き一つ出来なくなる。

 

 「……っ!!……っ!!《ゆ、ユウ。僕、全然動けないよ…》」

 

 「《レヴィもか?俺もだ》」

 

 どうやら俺の後ろにいるレヴィも俺同様に全く動けない様だ。

 

 「ふふふ…。妖の目をまともに見るなんて本当に知識や経験は無い様ね」

 

 妖…。

 つー事はさっきのは妖術か。

 

 「まあ、出来るだけ痛くは無い様にしてあげるから大人しく私に食べられなさいな」

 

 ゆっくり近づいてくる妖のお姉さん。

 だけど…

 

 「(唯我独尊(オンリーワンフラワー))」

 

 即座に金縛り状態を解除する。

 例え、妖術だろうと異能力である以上、唯我独尊(オンリーワンフラワー)に例外は無い。

 

 「っ!!?私の妖術が打ち消された!?」

 

 「おお!!?身体が動く様になった!!ありがとユウ!!」

 

 「はいはい。お礼はいいからセットアップしろって」

 

 妖術を解除されるとは思ってなかったんだろう。驚いた表情を浮かべている。

 逆にレヴィは動ける様になった事でお礼を言う。そしてセットアップしたらしく俺の隣に並び、バルフィニカスを相手に向け構える。

 

 「ふっふーん。これで形勢は逆転だねおばさん」

 

 2対1。相手の実力がどれだけかは分からないが、少なくとも油断さえしなければ負ける事は無いだろう。

 

 「逆転?何処をどう見たらそんな言葉がでるのかしらねぇ?あと、おばさんて言うな」

 

 「僕とユウの2人を1人で相手出来ると思ってんの?」

 

 「…ああ、そういう事。残念だけど私が1人だけ(・・・・)だなんて何時言ったかしら?」

 

 その言葉と同時に

 

 「っ!!?レヴィ、上だ!!」

 

 「へ?…わわっ!!?」

 

 ドドドドドッ!!

 

 上空から突如柱が降ってきた。

 咄嗟に気付いた俺はレヴィに声を掛け、2人して回避するがレヴィと引き離された。

 

 「エヘヘ。私とモ遊ぼうヨ」

 

 また知らない声がするので俺とレヴィはそちらに向くと足が1本、大きな目が1つの子がフラフラと若干身体を揺らしながらも立っていた。

 …また妖か。

 

 「うええっ!!?目と足が1つずつしか無いよ!!?」

 

 驚くレヴィ。気持ちは分かる。レヴィにとって妖見たのはこれが初めてだろうし。

 海鳴市にいる妖…久遠は普段子狐の姿だからな。

 

 「沙砂!アンタはそっちの礼儀知らずなガキの相手をしなさい!!」

 

 「分かったヨ明夏羽」

 

 『沙砂』と呼ばれた妖が頷く。

 …これはちょっとマズいか?相手は妖で戦闘力も未知数だ。

 

 「《レヴィ、1人で相手出来るか?》」

 

 「《ううっ…どうだろ?分かんないけどやってみるよ》」

 

 …いつもなら自信満々で『当然だよ!』とか言うのに今日はやや自信なさげだ。

 まあ、妖の相手なんて初めてだもんな。

 

 「《無理そうならすぐに呼べ。こんなトコで死にたくは無いし…そうだろ?》」

 

 「《…分かった。ユウも気をつけてね》」

 

 念話で会話し終え、お互いの顔を見て軽く頷き合った後、俺とレヴィは自分の目の前にいる相手に意識を集中する。

 そしてお互い離れた所で戦闘が開始されるのだった………。

 

 

 

 ~~レヴィ視点~~

 

 僕は今、目の前にいる1つ目の子と対峙している。

 ……この子ってアレだよね。俗に言う『お化け』とか『妖怪』だよね?

 お化けに魔法なんて通じるのかなぁ?

 

 「じゃあ、遊ぼッカ。オ姉チャン」

 

 お化けが言うと同時にまた空から柱が降ってきた。

 

 「よっ…とうっ!!」

 

 バックステップで軽く下がった後、すぐに空を飛んで制空権を握る。

 

 「わっ!?空飛んでル!?」

 

 驚いた様子のお化け。

 

 「今度は僕の番だ!雷刃衝!!」

 

 槍状の魔力弾を4発。まずはこれで様子見だ。

 そのまま僕の魔力弾を眺めているお化けは…

 

 バシバシバシバシッ!!

 

 「わあアッ!!?」

 

 何もせずに全弾直撃した(・・・・・・・・・・・)

 

 「えええっ!!?」

 

 これには僕も流石に驚いた。勿論魔法が通じた事に驚いたんじゃないよ。何もせず直撃した事に驚いたんだ。

 だって、普通なら避けたりガードしたりするでしょ?

 まだ僕と戦い始めたばっかりなんだから避けられない程、ダメージを受けてる訳でも無いのに。

 

 「痛たたタ…」

 

 むっ?けどダメージはそれ程受けてない様子。

 まあ、様子見で放った攻撃だし威力は抑えたからね。

 

 「凄いネオ姉チャン。沙砂、何だカ楽しクなってきタヨ、クスクス…」

 

 …僕よりもお化けの方がどう見ても年上に見えるから『お姉ちゃん』って呼び方はどうなんだろう?

 お化けが笑い、再び僕の上から柱が落ちて来るけど

 

 「当たらないよーっだ」

 

 ただ落ちてくるだけなので簡単に躱せる。

 『あっかんべー』って舌を出して余裕ぶってみたら

 

 「じゃア、こんなノハ?」

 

 ビーーーーーッ!

 

 お化けは目からビームを照射してきた。

 

 「ええっ…うわわ!!?」

 

 ドオオオオオン!!

 

 ビームを避けられず、そのまま攻撃を僕は受けて

 

 「っ!!痛ぅっ…!!」

 

 そのまま落下する。けどすぐに空中で体勢を立て直す。

 ビーム攻撃はバリアジャケットを貫いて僕にダメージを与えてきた。

 

 「(僕、防御力は高くないからなぁ…)」

 

 全身に熱さと痛みが伝わってくる。

 バリアジャケットの破れた部分からは火傷を負った素肌が見えている。

 

 「大丈夫お姉チャン?まダ遊べるヨネ?クスクス…」

 

 ビーーーーーッ!

 

 再びビームが僕を狙ってくる。

 

 「くぅっ…」

 

 痛みを堪えながら旋回し、攻撃を躱す。

 向こうはお構いなくビームを連発してくる。時には痛みで動きが鈍り、当たりそうになるけど必死に我慢して攻撃を回避し反撃に移る。

 

 「コレを食らえ!!光翼斬!!」

 

 上段に構えたバルフィニカスを振り下ろし、光輪をお化けに放つ。

 うぅっ…。ちょっと動くだけでも痛い。

 だけど弱音は吐かないもん!!

 

 ガリガリガリガリッ!!

 

 お化けは今度も避けるどころか正面から光翼斬を受ける。

 

 「うばばばばバッ!!」

 

 「(…何で避けないんだろ?作戦かな?)」

 

 僕は疑問に思う。

 光翼斬はほぼ直進する攻撃だからそこまで避けるのは難しく無い筈なんだけど。

 

 「うゥッ…さっキノ攻撃よリ痛かッタ……」

 

 「……ねえ、何で攻撃避けないの?」

 

 気になったので聞いてみた。

 

 「沙砂ハ足ガ一本しカないカラ、不安定デ上手くバランスガ取れないンダ。ダカラ動くノ結構大変なンダヨ」

 

 「あ、そうだったんだ」

 

 成る程ー。そういえばずっとガクガク震えてるもんね。

 けど僕の攻撃受けてるのに倒れないなんて凄いと思う。

 

 「でモ、オ姉チャン強いネ」

 

 「そうだろそうだろ。僕は最強だからね♪」

 

 「おオー!最強カー!!じゃアあっちデ明夏羽と戦っテルオ兄チャンハ?」

 

 「ユウも強いよ。ていうか僕の家族は皆強いからねー」

 

 勿論最強は僕さ。

 あ、けどユウに唯我独尊(オンリーワンフラワー)使われると流石に辛いかな。

 それさえ無ければ負けるなんて事は無いと思うし。

 シュテルやディアーチェみたいな遠距離戦が得意な相手に距離を取られても『剃』や『ソニックムーブ』で一気に距離を詰めればいいだけだしね。いざとなったら『スプライトフォーム』もあるし。

 接近戦は僕の独壇場♪

 ユーリみたいに防御力が高いキャラでも何度も攻撃を当てればいつかはダメージを与えられる。

 

 「でモ明夏羽は沙砂よリ強いかラネー」

 

 「むむむ、そうなのか」

 

 ユウが負けるとは思わないけど苦戦はするかもしれない。なら僕が颯爽と現れてユウを助けなくちゃ。

 

 「(そうすればユウも僕に感謝するだろうしシチュエーション的にも格好良いし)」

 

 うん!そうしよう。

 なら今は…

 

 「悪いけど僕はすぐにでもユウを助けに行きたいから一気に勝負を決めさせて貰うよ!!」

 

 「ワッ!?何コレ!?」

 

 僕は雷光輪で相手を拘束、目も封じてビームを出せない様にする。

 

 「動けなイシ、目モ見えなイ…」

 

 「行くぞォ!パワー極限~~ッ!!」

 

 僕の周囲に展開した多数の魔力光から鋭い形状の雷を発射し、まず1つ目の雷が相手を貫く。

 

 ドスッ!

 

 「うばっ!?」

 

 その後、間をおかず複数の雷がお化けを貫き、僕は左手を突き出し

 

 「雷刃封殺ッ!爆滅剣ッ!」

 

 ドオオオオンンンッッッッッ!!!!!

 

 お化けを貫いた全ての雷を爆発させる。

 豪快な音と共に大爆発を起こし、周囲に砂煙が舞い上がる。

 僕の魔法は対してダメージを与えられなかったけど必殺技であるこれなら…

 やがて砂煙が晴れ、爆発の中心地となった場所には

 

 「きゅううウ~~~……」

 

 目を回してお化けが倒れていた。

 

 「強くてスゴくてカッコイイ!そう!やっぱり、僕・最強!」

 

 バルフィニカスを軽く回して決めポーズ!!

 お化け相手にも引けを取らない僕はやっぱり強い!!

 

 「~~~~~っ!!」

 

 うぐぐっ……痛い。

 

 「で、でも弱音を吐いてるヒマは無いよね」

 

 お化けを拘束し、その場に置いて僕はユウのいる方へ向かう。正直フラフラだけど今はそんな事よりユウの方が心配だ。

 ユウ、僕が行くまで待っててね………。

 

 

 

 ~~レヴィ視点終了~~

 

 俺と妖のお姉さんは山頂から少し離れた、これまた広い場所で競り合っている。

 

 「いい加減やられなさい!」

 

 ドウッ!

 

 「ちぃっ!」

 

 右側に大きく跳躍して妖気の砲撃を躱し

 

 「アルテミス!!」

 

 10発の誘導弾を妖に向けて放つ。

 

 「ふんっ!」

 

 すると片手に持った短刀で全ての誘導弾を斬って落とす。

 

 「はあっ!!」

 

 更に短刀を握った手が伸びて俺を斬ろうと迫ってくる。

 

 「せいっ!」

 

 ガキインッ!!

 

 クリュサオルで払いのけ、体勢を整えて中段に剣を構えたまま相手を見据える。

 相手はもう金縛りになる妖術は使ってこない。俺が常時唯我独尊(オンリーワンフラワー)を発動しているせいで通じないと悟っているからだ。それに自分も唯我独尊(オンリーワンフラワー)の範囲内に入らない様、距離を取って攻撃してくる。必然として攻撃は遠距離になりがちだ。

 

 「活きが良い子ね。それに強いし。アンタの血を啜れば確実に私の妖力は増すと確信出来るわ。この明夏羽様の格を上げるまたとないチャンス。これは絶対に見逃せないわね♪」

 

 明夏羽という妖は舌なめずりをしてコチラを見ながら言う。

 

 「お生憎様、血を吸われるなんて勘弁して貰いたいね」

 

 俺は周囲に炎を展開し始める。

 

 「火を操る術?さっきの妙な光の弾や剣といい…アンタ、子供の癖に多芸なのね」

 

 「多芸じゃないとアンタみたいなのとやり合う時に自分の身を守れないんで…ね!!」

 

 俺は炎を不死鳥の形に変え、明夏羽に向かって放つ。

 だがカイザーフェニックスを軽々躱され、向こうもお返しとばかりに妖気の砲撃を連発してくる。

 

 「(くっ!)」

 

 この砲撃、シュテルのブラストファイアーやなのはのディバインバスター並の威力を持っている。

 しかも、ほぼノータイムで撃て、連発も出来る辺りが正直厄介なこと極まりない。

 

 「うふふ♪避けるだけで精一杯?」

 

 余裕そうな表情がムカつくな。

 俺は両手で持っていたクリュサオルを右手だけで持ち直し、空いた左手の人差し指を相手に向けて

 

 「火銃!」

 

 ダダダダダダッ!!

 

 「っ!?」

 

 小さな火の玉を弾丸の様に一気に連射する。

 

 「ぐっ…この!!」

 

 間一髪で躱した明夏羽の反撃。しかし、体勢を崩す事には成功した。

 

 「(好機!!)禁猟区域(インポッシブルゲート)!!」

 

 すかさずクリュサオルを両手で持ち直してから禁猟区域(インポッシブルゲート)で瞬時に距離を詰めていき

 

 「うらあっ!!」

 

 バギイッ!!

 

 一撃を入れる事に成功した。

 

 「ぐふっ!!この…ナメるなあっ!!」

 

 ドゴッ!!

 

 「がっ!!?」

 

 しかしカウンターと言わんばかりに俺の脇腹へ膝蹴りが突き刺さり、俺もダメージを受けてしまう。

 

 「(あそこから反撃してくるなんて…この妖、そこらの魔導師なんかよりもよっぽど強い!!)」

 

 正直、海鳴市に在住してる魔導師と肩を並べられるぐらいの実力だぞ。

 バリアジャケットを纏っているのにも関わらずこの痛み…。

 普通の人間ならこれで骨を何本か持っていかれてるかも。

 

 「(…この明夏羽っていう奴が妖の中でどれぐらいの実力者かは知らないけど今の俺だと分が悪いな)」

 

 手を伸ばしたりノータイムでの妖気の連射、後は単純に体格の差等。

 

 「…今の一撃は効いたわ」

 

 殺気を込めて俺を睨む明夏羽。

 火に油を注いだ結果になっちまったな。さっきの一撃で倒せなかったのはマズかった。

 

 「生きたままの状態で血を吸い尽くすつもりだったけど止めた。バラバラに切り刻んでからたっぷりと吸ってやる。その肉は飢えた妖にでも食わしてやるわ」

 

 …さて、どうするか?

 

 「《勇紀…》」

 

 その時、モンスターボールの中のレスティアから念話が入る。

 

 「《レスティア?何だ?》」

 

 「《私が妖の相手をしましょうか?》」

 

 レスティアが俺の代わりに戦ってくれるらしい。

 確かにその方が確実に勝てるだろうな。レスティアもサウザーも今の俺じゃあ勝てないし。

 けど…

 

 「《そう言ってくれるのは有り難いけど、今回はパス》」

 

 「《何故?》」

 

 「《魔導師以外の相手と実戦経験を積める良い機会だから》」

 

 何つーか、こういう事って今の内に経験しとかないとまた同じ目に遭った時に対処出来るかどうか分からないからな。

 

 「《そう…貴方がそう言うなら私はその意思を尊重するわ。けど、今の貴方だとあの妖に一歩及ばないわよ》」

 

 「《ああ、理解してる。それにアイツ、勘が良いのか経験が豊富なのか全然バインドにも掛からないし》」

 

 正直言ってアポロンが命中すれば勝てる自信があるんだけど、若干とはいえ収束時間(チャージ)が必要になる。

 けど目の前の妖相手に動きを止めたら間違い無く迎撃されるし、バインドで捉えようにも全然捕まえる事が出来ない。

 …マジで厄介な妖と遭遇したもんだ。

 

 「《なら勇紀。私とユニゾン(・・・・)しなさいな》」

 

 「《ユニゾン?》」

 

 「《ええ、ならば貴方はパワーアップしてこの状況を覆せるし、自分で戦うのだから経験も積める。一石二鳥だと思うけど?》」

 

 「《ユニゾンか。そう言えばまだサウザーやレスティアとユニゾンした事は無かったな》」

 

 よくよく思い出してみると、ユニゾンデバイスであるコイツ等とユニゾンした事は無い。

 

 「(……ユニゾンを試す良い機会だな)」

 

 リンスと違い、完全に俺専用のユニゾンデバイスだ。少なくともお互いのポテンシャルを最大限に引き出せる筈。

 

 「《分かったレスティア。よろしく頼む》」

 

 俺はモンスターボールを放り投げる。

 中から飛び出すのは漆黒のドレスを身に纏った少女。出て来たと同時にその内に秘めていた魔力を解放する。

 

 「っ!?援軍!!?しかし何、この強大な力は!!?(あのガキを遥かに超えている!?)」

 

 レスティアの魔力を感じ取ったのか明らかに狼狽した様子の明夏羽。

 隣にいる俺でさえ身震いせざるを得ない程の圧倒的な力。

 いや、流石原作で最高位の闇精霊だわ。

 

 「じゃあ勇紀。準備は良い?」

 

 「お、おう…」

 

 少し気圧されながらも返事を返す。

 そんな俺を見て微笑するレスティア。そして…

 

 「「ユニゾン・イン!」」

 

 お互いの声が重なり、眩い光に包まれる。

 俺はその光を直視なんか出来る筈も無く、ユニゾン中に目を閉じる。

 一瞬の光の後、ユニゾンを終えた俺。光も収まったっぽいのでゆっくりと目を開けていくと

 

 「…おお」

 

 俺のバリアジャケットは形こそ変わっていないものの、本来の色から漆黒の黒へと染まっていた。

 まあレスティアの属性は『闇』だし、本人のドレスも黒色だったしな。

 続いて宝物庫から手鏡を取り出して自分の顔を確認する。

 

 「…コッチは変化なしか」

 

 俺自身、ユニゾン前も黒髪黒目だったので特に変化は見られない。

 後は、俺の右手に握られていた筈のクリュサオルが消え、別の剣を握っていた。

 原作でレスティアが精霊魔装と姿を変えた時の闇の魔剣、『真実を貫く魔剣(ヴォーパル・ソード)』を。

 

 「…一体何が?」

 

 そんな俺達に何が起こったのか理解出来ない明夏羽。

 

 「《勇紀。調子はどうかしら?》」

 

 頭の中にレスティアの声が響く。

 

 「悪くない…ていうか、何か流れ込んでくる。これは……精霊魔術を行使する方法?」

 

 「《ええ、今の貴方は原作の私が使っていたのと同じ精霊魔術が使える様になる》」

 

 成る程。

 魔導師が使う魔法とは似て非なる力。頭の中に流れ込んできた情報によると本来精霊との契約や精霊魔術を行使するのに必要なエネルギー『神威』の代わりに魔力で代用して使用出来るみたいだ。

 

 「《それとこのユニゾン状態では貴方のレアスキル、修正天使(アップデイト)のデメリットである代償も私が肩代わりする事が出来る》」

 

 「いや…肩代わりって……」

 

 「《心配しなくても良いわよ。肩代わりの代償と言っても五感のどれかを低下させる訳じゃ無いわ。ただ、ユニゾン状態から強制解除された後、貴方とのユニゾンがしばらく出来なくなるだけ》」

 

 つまりこの状態で修正天使(アップデイト)を使えば強制解除と共に2ヶ月間ユニゾンが出来なくなるのか。

 

 「まあ、使わないのに越した事は無いんだけどな」

 

 軽く苦笑した後気を引き締め直し、改めて明夏羽と正面から対峙する。

 

 「待たせたな」

 

 「アンタ、一体何をしたの?さっきの光は一体?」

 

 「ただ、ユニゾンしただけだ」

 

 「ユニゾン?」

 

 「レスティア…光が照らす前に少女が1人いただろう?彼女と合体して1つになったって言えば理解出来るか?」

 

 「合体って…」

 

 「悪いが今の俺はさっきよりもパワーアップしてる。それにレスティアとユニゾンをするのは今回が初めてでな。手加減できる自信は無いんだ。勘弁してくれよ?」

 

 真実を貫く魔剣(ヴォーパル・ソード)を構えて軽口を叩く。

 

 「っ!!ガキのくせに言ってくれるじゃない!!」

 

 先に動いたのは明夏羽だ。短刀を握った手が伸び、俺へグングン迫って来るが

 

 「(さっきより遅く感じるな)」

 

 全体的な能力も底上げされてるのか先程よりも相手の動きがより正確に捉えられる。

 真実を貫く魔剣(ヴォーパル・ソード)で下から斬り上げる様に剣を振るい短刀を弾くと同時に、その腕を掴み

 

 「おおおおおおりゃあああああっっっっっっ!!!!!!!」

 

 こちらに引っ張って明夏羽の身体を引き寄せる。

 

 「なっ!!?」

 

 明夏羽の身体が近付いてきたところで今度は上段から剣を振り下ろす。

 

 バキイッ!!

 

 「ぬあっ!!?」

 

 非殺傷だから思いきり肩を叩きつける様になってしまい、明夏羽は地面に倒れる。

 

 「痛つつっ!!このガキ!!」

 

 すぐさま立ち上がり蹴りが飛んでくるが俺は跳躍し、そのまま空中で止まり、明夏羽に向かって真実を貫く魔剣(ヴォーパル・ソード)の先端を向ける。

 真実を貫く魔剣(ヴォーパル・ソード)の刀身にバチバチと音を立てて電気が纏わり始め

 

 「「死を呼ぶ雷閃(ヴォーパル・ブラスト)!!《死を呼ぶ雷閃(ヴォーパル・ブラスト)》!!」」

 

 帯電していた電気を無数の黒い雷撃に変換して放つ。

 

 バチバチバチバチッ!!!!

 

 「きゃああああっっ!!!」

 

 避ける事が叶わなかった明夏羽はそのままよろめき、倒れそうになるのを何とか踏み止まる。

 

 「これでチェックメイトだ。もうソッチは満身創痍だろ?」

 

 剣の先端を向けたまま明夏羽に問い掛ける。

 

 「…何故、止めを刺さないの?」

 

 「ん?戦う前にも言ったけど俺は退魔師じゃないから。今回はソッチが襲い掛かって来たから応戦しただけだし」

 

 「とんだ甘ちゃんね。私は飛縁魔の妖なのよ?」

 

 「やっぱ、甘い考えなのかなぁ…」

 

 確かに薫さんも悪霊や妖怪はズバッて斬り伏せてるけど

 

 「……それでも出来れば殺さずに済ませられるならそれに越した事は無いし」

 

 「私をここで見逃せば他の人間が死ぬ事になるかもしれないわよ?」

 

 「…アンタはここで俺に殺されたい訳か?」

 

 そんな事言われたら『殺さざるを得ない』と言う思いがよぎるじゃんか。

 

 「……少なくとも『今後誰も殺さず大人しく過ごしてくれ』っていうのが俺の意見だな」

 

 少なくとも意思の疎通は出来るんだ。なら俺は薫さんみたいに斬り伏せるより那美さんの様に説得して解決したい。

 

 「《ま、確かに貴方は甘ちゃんかもね》」

 

 …言うなレスティア。

 

 「《けどその優しさも貴方らしくて良いと思うわよ》」

 

 …そこで持ち上げてくれますか。

 

 「……………………」

 

 「……………………」

 

 お互い無言でいる中

 

 「ユーーーウーーー…」

 

 俺にとって聞き慣れた声が聞こえてきた。どうやらアッチも終わった様だな。

 

 「大丈夫!?最強に強くてカッコイイ僕が助太刀に来たよ!!」

 

 「それは有り難い。けどコッチももう終わったから安心してくれていいぞ」

 

 「……ぶぅ」

 

 「何故不機嫌になるよ?」

 

 「だって、僕が颯爽と現れて助ける方がカッコイイじゃん」

 

 「知らんがな」

 

 「…ってあれ?ユウ、何かいつもと雰囲気違くない?」

 

 「ん?ああ、レスティアとユニゾンしてるからじゃないか?」

 

 「ユニゾン?……そういえばジャケットも真っ黒だね」

 

 マジマジと俺の方を見てくるレヴィ。

 

 「むむむ…それに魔力もすっごい溢れてるし」

 

 あ、また不機嫌そうに。

 

 「レスティアとユニゾンしてるからだって。普段の俺ならレヴィには勝てないから…な?」

 

 「そ、そうかな?(わわ、撫でられてるよ)////」

 

 「そうそう。ユニゾンしなきゃ俺なんかが最強のレヴィには敵わないって」

 

 「えへへ。わ、分かればいいんだよ(ふにゃあ~)////」

 

 とりあえず頭を撫でて諭すと段々機嫌が直っていくのが分かる。

 それと怪我もしてるみたいだから撫でつつ治療魔法を掛けてやる。

 

 「…随分と見せつけてくれるわね。勝者の余裕ってヤツ?」

 

 「別にそんなつもりは無いけど…。そういやレヴィ。お前が戦ってた妖はどうしたんだ?」

 

 「…んに~?あっちで気絶してるよ~////」

 

 「…だ、そうだけどどうする?このまま仲間と一緒にこの場を去るか、もしくはここで尽きるか選ぶのはソッチの意志に任せるぞ?」

 

 魔力を少しずつ溜めながら聞いてみる。

 

 「…アンタ、名前は?」

 

 「ん?俺は長谷川勇紀。もうじき中学生になる海鳴市在住の子供だ」

 

 「長谷川勇紀…ね。……ここで私を見逃した事、絶対に後悔させてやるから」

 

 そのままコチラを警戒しつつゆっくりと離れ、姿が見えなくなったところで溜めていた魔力を霧散させる。

 やれやれ、とんだ休日になったもんだ………。

 

 

 

 ~~明夏羽視点~~

 

 「明夏羽、機嫌悪そうダネ?」

 

 「当たり前でしょ!いくら強大な力を持っているとはいえ、鬼斬り役どころか退魔師でも無いガキに負けてこんな風に見逃しもされて不機嫌にならない訳無いじゃない!」

 

 不思議な力を持つ子供(ガキ)と一戦やったけど今思い出しても腹が立つわ。

 

 「明夏羽に勝つなんテ強いんダネ。沙砂も負けちゃッタシ」

 

 「…アンタは負けたのに嬉しそうじゃない?」

 

 「楽しかッタからネ♪」

 

 少しは悔しくしなさいよ。

 

 「…まあいいわ。ここで愚痴ってても仕方ないし。沙砂、これから『野井原』に行くわよ!」

 

 「『ノイハラ』ニ?何デ?」

 

 「まず、あの辺りに生息してる『ダイダラボッチ』を味方につけるわ。それと機がある様なら『天河』の鬼斬り役を倒して格を上げるのと同時に鬼斬り役の血を吸って私自身の妖力(チカラ)もパワーアップさせる」

 

 「おオ!?明夏羽はまダ強くなりたいンダ!?」

 

 「全ては長谷川勇紀(あのクソガキ)を倒してその血を啜り尽くすためよ!!」

 

 そうよ!!アイツの血を一滴残らず吸い尽くしてやる!!

 『見逃す』なんて屈辱を私に与えた事、絶対に後悔させてやるんだから!!!

 

 

 

 ~~明夏羽視点終了~~

 

 夜…。

 家に帰ってきた俺とレヴィ。今は自室のベッドに腰掛けている。

 あの後は大変だった。何せ、結界を張らずに戦り合ったもんだから至る所が破壊の痕跡だらけだったしな。

 いや、正確には妖の方が妖力で結界を張ってたみたいなんだけど人払いの結界だけで俺達魔導師が使う封時結界の類じゃなかったため現実(リアル)の被害が甚大だった。

 修正天使(アップデイト)で全て修復したので問題は無いと思うけど。

 それとレスティアの言った通り、修正天使(アップデイト)の代償は俺には掛からず、使用後はユニゾン状態が強制解除され、レスティアとのユニゾンが現在出来なくなってしまっていた。

 

 「(レスティアには悪い事したなぁ…)」

 

 2ヶ月の間はこのままか。

 一応那美さんに言って治療出来るか確認はしないと。

 治療が出来たらユニゾンが再度可能になるまでの期間はそこまで待つ必要が無くなるし。

 

 コンコン

 

 そんな事を考えていたら部屋の扉がノックされる。

 

 「ん?どうぞー」

 

 ガチャッと音を立ててドアノブを回し、入って来たのはパジャマ姿のレヴィだった。

 

 「レヴィ?何か用か?」

 

 「うん。ユウが修正天使(アップデイト)使ったから心配で心配で」

 

 「……その台詞、今日だけでもう8回目だからな」

 

 俺どころかレスティアも大丈夫だって言ってくれてるのに。

 

 「それでも心配なんだよ!!」

 

 『ぷう~』と頬を膨らませながら俺の隣に腰を下ろすレヴィ。

 風呂上りなのだろう。やや上気した肌からは湯気が立ち上り、シャンプーの匂いが俺の鼻孔をくすぐる。

 

 「…この台詞を言うのも8回目だけど、心配掛けてゴメンな?」

 

 「……本当だよ。心配掛けるユウは悪い子だよ」

 

 俺の胸元に顔をうずめて抱き着いてくるレヴィの頭を撫でてやる。

 

 「で、レスティアとユニゾン出来ない間ユウはどうするの?」

 

 「どうするも何もレスティアは単体として使うしか無いだろ?俺にはもう1体ユニゾンデバイスあるし」

 

 サウザーとユニゾンしたらどうなるんだろうか?やっぱ南斗鳳凰拳が使えたりすんのかな?

 そう言えば今日はやけに大人しかったサウザー。理由はひたすらモンスターボールの中で寝ていたかららしい。さっき一度起きたけどまた寝てしまった。

 ホント、マイペースな奴。てか寝過ぎ。

 

 「とにかく、俺とレスティアの事は大丈夫だから」

 

 「…うん」

 

 「…にしても今日は散々だったな。まさか妖と遭遇して戦う羽目になるなんて」

 

 「僕、お化けなんて初めて見たよ。また会えるのかな?」

 

 「会いたいのか?」

 

 「強いお化けと戦いたい!!魔導師とはまた違った感じの戦いで面白かった!!」

 

 ガバッと胸元から顔を離しながら言うレヴィの瞳はキラキラと輝いている。

 ……ああ、流石はオリジナルがフェイトなだけあるよお前は。

 

 「…そうだな。また会えるといいな」

 

 「うん!!」

 

 「じゃあ、そろそろ俺は風呂に入るからレヴィも自分の部屋に戻れ」

 

 確か今日は女性陣で1番最後に風呂を使う順番はレヴィだった筈だから今はもう空いているだろう。

 風呂に浸かって今日はもうゆっくりと身体を休めよう。

 

 「そうするよ……あ、そうだ!ユウ」

 

 「ん?何……っ!?」

 

 「んっ…////////」

 

 一旦立ち上がり離れたかと思うとすぐ戻って来たレヴィがいきなり俺にキスをしてきた(・・・・・・・・・・・・・)

 

 「…んくっ……ちゅっ……////////」

 

 「…ん……んふっ……////」

 

 しばらくしてからレヴィは唇を離し

 

 「えへへ。お、おやすみなさいユウ…////////」

 

 逃げる様にパタパタと足音を鳴らしながら部屋を去っていった。

 後に取り残されたのは顔を赤くしたまましばらく呆然としていた俺だけだった………。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
28
9

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択