No.580258

なんか神の不手際で転生するらしい

さん

第七十八話:決着

2013-05-26 09:49:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:14584   閲覧ユーザー数:12878

「本当に懲りないわね・・・しつこい相手は嫌われるわよ?」

 

 

 

そこには復活した守護騎士が主の八神を守るように立ちふさがっていた。

 

 

 

「我等の本質・・・お前が知らないわけがあるまい」

 

「・・・そうね。ザフィーラ。」

 

「・・・や」

 

「?」

 

「もう・・いやや。なんで・・・こんなこと・・・」

 

「じゃあ聞くけど・・・あなたは一体、何故今こうやって戦っているの?」

 

「・・・え?」

 

「嫌ならもうやめなさいよ。まあ、一人でも降参したらその瞬間貴方たち全員の敗北が決定するけど。別にあなたが困ることはないでしょ?ただ単にあの子が今のままなだけだし。貴方が困ることなんて何一つない」

 

「そんなことできるわけあらへんやろ!」

 

「なら弱音は吐かないことね・・・・甘いのよ。世の中は、現実は自分の『夢』や『願望』どおりのようにうまくはいかないのよ。それはあの時、『夢』を拒絶した貴方は知っているでしょ。貴方犯罪者舐めてるの?犯罪者はね、目的があって行動している。他者から見ればくだらなくどうでもいいことでもその人から見ればそれが重要なこともある。それが譲れない自分の意地であることもある。そのためならどれだけのモノを犠牲にする覚悟だってある。それだけの覚悟をして自分から人の理を外れた輩に『私は自分の持つ力は強大なんで人を傷つけるのは嫌だからどうか自首してください』なんて通じるわけがないでしょ?それは、貴方を救うために蒐集行為をした守護騎士を従えているあなたが一番よくわかっているでしょ?彼女たちは自らの意思で守りたいと誓った貴方に騎士としてのプライドを捨ててまで蒐集した。じゃあ、その行動に覚悟が無いなんてあなたは言えるの?覚悟足りえないなんて酷な事言えるの?」

 

「!」

 

「守護騎士は自分たちの意思であなたを守り貴方の命じるままに力を振るう。貴方のために力を使いそのためならどんなことでもする覚悟があるわ。なら・・・あなたはなぜ力を使うの?一体、どんな理由で力を使っているのかしら?」

 

「それは・・・」

 

「困っている人を助けるため?それとも弱い人を助けるとかいう奴?」

 

「そうや、うちには力がある。せやから」

 

「くだらないわね。」

 

「な!?」

 

「それが力を持つ者の責任というのならそれは違う。それはただの自分自身のエゴよ」

 

「な・・・そんなん違う!断じてそんな・・・」

 

「じゃあ聞くわ。一体いつその弱者とやらは貴方に助けを求めたの?」

 

「え?」

 

「だから・・・いったい何時、八神はやてに助けてもらいたい。なんて言ったの?言ってないでしょそんなこと。貴方はその人物を弱いと勝手に決めつけているだけ。」

 

 

 

抑揚のない淡々とした事務的な声でリインは八神にそれを伝えていた。当然当の本人は否定している。

 

 

 

「そんなわけあらへんやろ!どうしてそんな悲しいこと言うんや!」

 

「じゃあ、なんであなたは今ここにいるの?」

 

「え?」

 

「本当に困っている人を助けたいなら、今すぐ困っている人を助けなさいな。高町の件に関しては日にちの設定はいくらでも融通聞いたんだからそれ以外の融通の利かないことに時間を割きなさいよ。この瞬間にも、人は困っているわよ?それこそ、それが原因で死んだりもしている。いや、もっと言うなら世の中困っていない人間なんていないわ。私の主ですら困っているもの。そうね、それじゃあ今すぐうちの主を助けて頂戴。何に困っているかは知らないけどね。ほらどうしたの?助けなさいよ!この世から不幸なことで困っている人を不幸にするようなニュースとか根絶させなさいよ!王政を働かせて自分の思うままに国を動かして民を苦しめる暴君だって困っていることはあるわ。不安、悩みと言ってね・・・そら!助けて見せなさいよ!!」

 

「それは・・・」

 

「ほら、この時点で貴方が言っていることは矛盾しているのよ。目的があっていない。貴方はただ単に困っていると、弱いと決めつけた人間を強者たる自分が助けることで欲求を満たしているだけよ。まあ・・・もっと言わせてもらえば・・・あなたは偶然得た力で他人を見下し調子に乗りたいだけの力に酔った餓鬼よ。」

 

「違う!!」

 

 

 

八神はリインの言った言葉を大声で頑なに否定していた。

そこに、氷を突き破って何かが飛んできて五人に迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフ、流石、攻撃性能は全くない反面、補助性能に関しては右に出る者はいないな。まさかあの状況下で転移を行って俺の背後に回ることで危機を回避するとは・・・・評価を改めておこう・・・・ユーノ・スクライア」

 

 

 

ユーノはあの一瞬で高町達への魔力供給を止めて、四人を伸の背後へ転移させたのだ。

 

 

 

「流石スクライア・・・と、言っておこうか」

 

「?・・・・どういう意味?」

 

「なんだお前分からないのか?スクライア一族は考古学のために次元世界中を漂流して回る一族だ。故に過去の遺跡を調査する。この意味が解るか?」

 

「「?」」

 

「・・・・ロストロギアを発掘したりする以上、次元犯罪者と高確率で接触する危険性があるんだ。僕の部族は・・・」

 

「「!!」」

 

「そういうことだ。むしろコイツの部族をつけてロストロギアをかすめ取ろうという連中も居ただろう。ロストロギアはその筋じゃ高く売れるだろうからな。部族の中でコイツの立場はどうだったかは知らないが、一人でロストロギアを発掘するだけの大任を任せられるくらいだからな。それ相応の実力はあって然りだろう。」

 

「でもユーノ君って攻撃系ってからっきしじゃ・・・」

 

「馬鹿が。何もお前みたいな脳筋見たく攻撃するだけが戦いじゃねえだろ・・・第一ユーノに関しては戦う必要なんてねえよ・・・・なあ?」

 

「伸の言うとおり僕達の目的はあくまで遺跡発掘。犯罪者を捕まえることが目的じゃないから何も戦う必要はない。だから僕の部族はひたすら相手を拘束するバインド、それらから逃げるための転移魔法。もっとベテランの人になると罠を仕掛けたりもするんだけどね。だからあくまで戦う必要はないそれは管理局の仕事だからね。」

 

「それに攻撃魔法は俺のような例外を除けばほぼ必ずデバイスの力が必要になる。デバイスをそう毎回発掘はできないし数をそろえようにもバカにならない費用だ。その点さっき言った魔法はデバイスの力がなくとも鍛錬だけで行えるようになる。」

 

「ある意味僕と彼はよく似ている。僕は生まれつき魔力が少ない。なのは達みたいに『生まれつき高い魔力に頼って魔法を行使する』タイプとは違って僕やクロノそして伸は『少ない魔力でより効率よく魔法を運用し行使する』タイプだ。」

 

「彼はFランクでAランク以上の魔導師とだってやりあえるのがいい例だ。君には驚かされっぱなしだ・・・・それも自身の鍛錬と研究成果か?まさしく神童レベルだな君は。」

 

「お褒めに預かり光栄だ(まあ、だからこそお前たちは分かっているはずなんだが・・・人間の心は不思議なものだ。・・・・否定する気はないけどな) でも、そろそろ限界なのでは?」

 

「はは・・・そう・・・だね。もう魔力は・・・・枯渇・・・していて・・・飛ぶ・・のを・・・維持する・・・のが・・・」

 

 

 

それと同時にユーノは気絶してしまった。慌てて高町が必死に名を呼びながらユーノの身体を支えた

 

 

 

「即死級の攻撃の中で四人分の転移・・・負担は相当なものだったはずだしな・・・この結果は当然だ。まあ、でも・・・」

 

 

 

その時高町とテスタロッサが打って出た。

 

 

 

「A.C.S!ドライブ!!」

 

「プラズマザンバー疾風迅雷!!」

 

 

 

ガキィィィン!!!

 

 

 

「・・・・相手が悦に入っているときに攻撃するとは・・・少しはマシになったな」

 

 

 

それでも伸はシールドを出して対処していた。

 

 

 

「だが、想定内だ。」

 

「でも」

 

「まだだよ!」

 

「!?」

 

 

 

突如、レイジングハートが光りだした。

 

 

 

「スターライト・・・・」

 

「・・・・・・(愚かな)」

 

「ブレイカー!!」

 

 

 

桃色の巨大な閃光が伸を飲み込んだ。

 

 

 

「至近距離からの収束魔法・・・これなら・・・」

 

「な、なのは・・・伸、大丈夫かな」

 

「手加減はしているの!だから大丈夫・・・多分」

 

「それでもあの砲撃に飲み込まれた奴はトラウマになりかねないがな」

 

「そうそう・・・・!?」

 

 

 

伸の言った言葉に相槌を打ったフェイトが違和感を覚え隣に伸がいたことに気づき急いで距離を取った。

 

 

 

「そんな!?」

 

「なんで!?」

 

(気配は全く感じられなかった・・・・転移か?)

 

「攻撃したところよく見てみろ」

 

 

 

そう言われ高町達が下を見ると・・・・

 

 

 

「!!?」

 

 

 

そこにはアリアがいた。伸はSLBの発射タイムラグの間に幻術をかけておいたアリアを神威で転移して自分は神威で異空間へ逃げていたのだ。そして手加減しているとはいえ諸にそれを食らったアリアが無事でいれるはずがなかった。

 

 

 

「愚かしいな。俺がコイツを吸い込んだことを忘れたか?それを盾にする可能性を考えなかったのか?これぐらい少し考えればすぐわかることなんだがな・・・・これでお前はまた無駄に体に負担をかけたわけだ。寿命を縮める行為だな。さて、もう終わりにするか・・・・」

 

 

 

その言葉に三人が身構えるが

 

 

 

「少し吹っ飛んでいろ。」

 

「え!?きゃああああ!!」

 

 

 

まるで虫を踏み潰すかのようなあまりにも自然な動作で高町の心臓にめがけて掌底と突きを同時に放った

吹き飛ばされた高町はそのまま分厚い氷の壁を突き破った。

 

 

 

「プロテクションする間も無く掌底で心臓と突きでリンカーコアを破壊した。これで、三分は動けない・・・さてと・・・」

 

 

 

伸はテスタロッサ達のほうに向き直した。同時に二人とも

 

 

 

「そう身構えても遅いぞ。まあ、一人は無理だったがもう一人はもう遅いぞ―――ウイルスバインド」

 

「え?なにコレ!?クッ!!」

 

 

 

伸がそう唱えると。テスタロッサの身体を突き破って魔力の鎖が現れ、四肢を拘束され大の字で宙に拘束された。

 

 

 

「な!?これは・・・伸一体何をした!」

 

「答える義理は無いだろう。その可能性はすでにあったんだから(・・・・・・・・・・)

 

「?」

 

 

 

(相変わらずエグ・・・伸との戦いの攻略法は単純に短期決戦だからな・・・時間かければかけるほどアイツが有利になる。奴は異界結合によるアルハザードの知識を応用、発展させて空気中の魔素を自在に操るオリジナルの術式を開発した。そして、それは 同時に空気中の魔素に(・・・・・・・)己の魔力を混入させることもできる。言ってしまえば毒、ウイルスの類。そしてそれを吸ったリンカーコアは汚染される。まあ汚染されたからと言ってもそのままじゃ問題ないけど・・・彼の意思ひとつでリンカーコア内の魔力を暴走させての体内破壊攻撃、今のような体内からのバインドによる不可能回避拘束を可能とする。まあ、後者の魔力混入に関しては最低リミッター一つ解放しないと出来ないし攻撃して直接入れ込む方が楽らしいけどね。俺の場合は体内の魔力を高温による所謂殺菌をしてウイルスに対処できるけど・・・アイツ等にそんな芸当は無理だよな・・・まあ条件はAAAクラスの魔導師だから合格ラインはいっているけど。こういうのは万能型のクロノや補助特化のユーノ、シャマルあたりが得意とするところだし。そもそも、アイツは全てにおいてなのはを上回っているからな。アイツその気になれば360度全方位に砲撃打てるほどの空間認識能力持っているし。)

 

 

 

最初に放った魔方陣攻撃、スフィアアニマ、アビス・アース・レイの時から伸は仕込みを始めていたのだ。クロノは途中参戦に加え一度も彼の攻撃を食らっていないため仕込めなかったが長時間戦っていたテスタロッサは別だ。

 

 

 

「ク・・・こんなもの・・・・!!!?」

 

「やめておけ、魔力を出せば出すほど縛りと拘束が強くなる。さて、俺にはお前にどうしても聞きたいことがある。」

 

「?」

 

「お前・・・なぜ俺に挑んだ?」

 

「え?」

 

「なぜ俺に魔法で挑んだんだと聞いているんだ」

 

「それはなのはを・・・」

 

「治してもらうためか」

 

「そうだよ」

 

「・・・・嘘だな」

 

「!?」

 

「もしそうなら・・・・なぜ、たった12人、それも身内と友人だけで俺に挑んだ?クロノの参戦は最初からそういう作戦だったのかどうかは知らないし刃に至っては俺が頼んでいたからそっちについていないのは仕方ない・・・・・だが、あのバカ男共も連れて来られたはずだ。最低でもな・・・・」

 

「でも彼らは・・・その・・・」

 

「チームワークが無いか・・・だがそれがどうした?アイツ等は俺と一度戦って負けてはいるがそれでもアイツ等は高位の魔導師だ。それに今回は状況が状況。アイツ等も慢心はせんさ。仮にしたとしても最初の初陣は彼らにやってもらえばいい。そうすれば対麻井伸用の作戦だってリアルタイムでたてられたはずだ。アイツ等は無能で怠け者だ。故にお前たちの言うことなんて素直に聞いただろうよ。優秀なブレインもいたことだしな」

 

「それは・・・」

 

「時間が無いことはなかった。だって日にちの設定はお前たちが自由に決められたんだ。いくらでも戦力は増やせられた。なのに、お前たちはそれをしなかった。なんでなんだろうな?」

 

「・・・・」

 

「答えは一つ・・・・お前たちにとって高町の治療などさほど重要ではないからだ。」

 

「そんな!?なんでそうなるの?」

 

「それはさっき言っただろう?二度も言う気はない。まあいい、じゃあなぜおまえらは俺に挑んだか・・・答えは単純だ・・・・ムカついたんだろう?治してくれない俺を・・・・自分たちの思い通りに俺が事を運んでくれないことにイラついたんだろう?自分にとっての理想の麻井伸じゃなかったことがどうにも耐えられなかったんだろう?だからお前たちは俺に魔法で挑んだ。お前と前に模擬戦をしたあれを全力だと思い込んでな。馬鹿が、あの模擬戦をしたのはセイバーの力を確かめるためのものだ。全力等出すわけがないだろう。ましてやお前ごとき雑魚に。そして今回、あの時とは実力が上がっているとはいえそれは向こうも同じ・・・なら、ナハトヴァールを倒した戦力・・・・もっと言えばマテリアル時の戦力を整えればいくら俺でも勝てるわけがないと考えた。そして自ら降参すれば自分たちのほうが各上、俺はお前達より格下という烙印を押せる。そうすれば後はこっちのモノ。いつでも自由に俺を扱えるとでも思ったんだろう?」

 

「違う・・・」

 

「まあ、最初は高町を本気で治療したかったのかもしれないが、途中で潜在的本音が出たんだろう。自分と俺の実力を確かめたかったあの時はまだ可愛げがあったが・・・幻滅したよ。お前達は高町を治したかったんじゃない。お前たちは自分達が俺より各上だということを俺に知らしめ刻み付けたかっただけだ。」

 

「違う!どうしてそんなひどいことを言うの!?」

 

「だって俺からしたらそうとしか見えない。」

 

「え?」

 

「お前ら何様のつもりだ?俺がお前たちの考えていること全てわかっている本気で思っているのか?お前たちは俺のこと本気で解っていると思っているのか?バカらしい!本当の自分、他人の本当の姿なんて一生分からんさ。まあそれでも相手の立場になって考えることはできる。・・・・お前等病院でのあの時の俺のこと一秒でも考えたか?それとも、自分たちはこんなに頑張っているのだからそれなりの対価はあって当然とか考えたのか?アホか、報われない成果が世の中の道理だぞ。」

 

「それは・・・」

 

 

 

そう、彼女たちの最大の欠点。それは、単純に世の中の通り物事・・・必然を考えられないことにある。人には自我、意思、個性がある。故に自分の思い通りに動かないのは当然のことである。人が団結するのもお互いにメリットがあるからこそ行う。デメリットしかないのなら団結などしようとすらしない。彼女たちは才があっても無能であり、なまじ正義感があるからこそ手に負えなくなる危険性をはらんでいた。一方あのバカ達は確かに管理局に所属しているがその理由は単純に原作組といたい。もしくはハーレム形成のためである。つまり彼女たちが管理局をやめてしまえば必然的に彼らもやめる。現に、彼女達との任務にはこれ以上ないほどのやる気を出して指示に従ってくれるくせに、彼女、もしくは女性(美人限定)がいない場合即座にやる気を出さない。適当に指示を淡々とこなすだけであった。彼らはモチベーションの違いこそ激しいが、前世が前世なので基本怠け者の無能。故に彼等は他人の指示に従っている方が楽だということに本能的に分かっているのだ。

だが彼女たちの場合は違う。彼女たちの場合は自分のやっていることを自分で考えて行っている。こちらのほうが有能に見えるだろうが、その行動の結果、相手に与えるモノがなんなのか分かっていない。それが相手にどのような反感を買うかを考えない。その結果自分にもたらすものがなんなのかわかってすらいない。今回の結果がそうだ。そして、自分自身これが正しいと突っ走って疑わないのだからはっきり言って無能以上の無能だ。始末に負えない。交渉での考えるということは、損得についてももちろんだがそれ以上に相手への配慮をなによりも考えなければならない。相手の機嫌一つで、自分の目的が破綻してしまうからだ。しかし、彼女達にはそれが足りない。相手のことを考えることが、あの時の模擬戦という言葉が交渉対象の麻井伸にどのような印象をもたらすのかを彼女たちは考えもしなかったのだから。

 

 

 

「もっと言わせてもらえばお前は俺と戦ったことある数少ない人間の一人だ。魔法では分が悪いことぐらいわかっていたはず。ならもっと勝ちの眼がある勝負を俺に仕掛けるべきだった。例えば・・・・ポーカーや麻雀とかな。」

 

「そんな!なのはの怪我がかかっているのにそんなゲームで・・・」

 

「だが勝ちの眼はあった。だって運さえよければ勝てるんだから。運は人間では操れない。故に勝負の行方は文字通り神のみぞ知るだ。こんな分かりきった戦いなんかより数倍価値の眼があったさ。なぜ、チェスや囲碁、将棋が賭けゲームに使用されないかわかるか?それはな、前評判だけでゲームの結果がわかってしまうからだ。だが、さっきのゲームの場合は違う。なぜなら、ポーカーや麻雀は運さえよければ素人であろうとも勝てる(・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 勝負だからだ。故に結果が最後までわからない。少なくとも俺がお前たちの立場だったらそうする」

 

 

 

そういう伸はどこか遠い目をしていた。

 

 

 

「俺はあの模擬戦の時に悟ったよ。コイツ等は、外面は話し合いで解決しようとしているが実際は自分の持つ力で屈服させる方が好きなんだってな。しかも非殺傷設定ならいくら本気を出しても相手は死なない。正直お前等、レベルはバカ男と同レベルだぞ。自分の持つ力がどのような結果を産むかもわからないで力を振るっていたなんてな!」

 

「!!」

 

「さて、話はここまでだ。ちょうど三分。アイツも目覚めたころだろう。じゃあな・・・「ディバインバスター!」・・・・」

 

 

 

突如桃色の閃光が伸を横切りテスタロッサを縛る鎖を壊した。テスタロッサが自由になり氷の向こうから高町と八神、ユーノそして守護騎士が現れ。

 

 

 

「こっちも随分楽しそうなことしているのね。」

 

「リインか(このまま縛ったままにしていてもいいが・・・ちょうどいい)」

 

 

 

リインが空から降ってきた。

 

 

 

「あのさ、マスター。名前変えてくれない?私、もうあの子とは違うから」

 

「そうか・・・・うーんじゃあ、メリアで」

 

「いい名前ね。それ」

 

 

 

リインフォース改めメリア誕生である。

 

 

 

「さて、そろそろこの余興も終わりにするとしよう。」

 

 

 

伸は印を結んだ。長年練習してきた行為だ。淀みは無い

 

 

 

「口寄せの術」

 

 

 

そしてそこに現れたのは―――

 

 

 

「ギュオアアアアア」

 

「シュアアアアア」

 

「キュイイイイイ」

 

 

 

まあこれだけだと分からないだろうから名前を記す。上からデビル大蛇、ヘルボロス、パラサイトエンペラーがそれぞれ1匹だ。因みにあの世界で懐いてきた猛獣は全て口寄せ契約している。ただし、門の中にいる猛獣全てがそうとは言えないが

 

 

 

「まさか召喚術!?」

 

「それも三匹!!?」

 

「・・・まずいな、どれも桁違いに強い。」

 

「ありえないぞ!」

 

「アイツ本当に人間かよ!?」

 

「(メンタルケアでの精神のバランスはもう取れない・・・・襲い掛かられたらはやてちゃんたちは・・・)」

 

「そんな・・・うちらもう限界やで」

 

「そんな・・・じゃあ、今まで本気じゃなかったの!?」

 

「当然だ。その辺の石ころ相手に本気になる大人がいるか?」

 

 

 

こちらはメンタルケアで誤魔化してはいたがもはや度重なる死と戦闘とその空気により完璧に満身創痍と化していた。対して向こうは未だに余力があり、本体である伸は高見の見物を決め込んでいる。此れだけの魔獣(向こうから見れば)を相手にするのはまさに自殺行為だ。そして―――

 

 

 

「・・・・伸?」

 

「なんだクロノ?」

 

「降参だ。」

 

『!!?』

 

 

 

その言葉に三人が驚いた。だが他の者は納得していた

 

 

 

「降参か・・・その意味分かっているのか?」

 

「分かっている。それにそもそも、彼女たちが勝てなかった犯罪者を君は素の状態で倒している。その時点で勝ち目なんてないさ。(それに何も、絶対に勝たねばならないわけじゃないし)」

 

「クロノ君!」

 

「そんな!?」

 

 

 

当然納得いかない者達もいるが

 

 

 

「分からないのか!?これ以上やっても不毛だ。今の僕たち全員が挑んでも彼に勝てるわけがない!!」

 

「僕も賛成だよ」

 

 

 

ユーノも賛成していた。彼もこれ以上戦っても勝ち目がないと悟っている。

そして守護騎士全員もわかっていた。しかも、伸の様子を見る限り、魔力のリミッターは切っているから魔力だけなら全力だろうが、それでも彼が本当の意味で本気でも全力でもないことが分かってしまった。だからこそ異を唱えない。それに、これ以上のメンタルケアは意味を成さなくなりつつある。最悪このままいけば彼女たちの心も壊れてしまう。特に八神はリイン改めメリアに四度殺されている。もうここが限界だった。だが伸はそれでは納得しない。この戦いを持ちかけたのは彼女達だ。故に、それにつき合わされた者の敗北宣言では意味が無い。首謀者たる三人の口から言わせるのが伸の目的なのだ。だからこそ今まで一人は必ず生かし、一人は確実に殺すという手法を用いて終了条件である『全員気絶する』という状況だけは避けていたのだ。出なければ彼女たちはまた同じことをしかねない。

 

 

 

「で、でも・・・」

 

 

 

だがその三人は未だに諦めきれない。だが、心はもうさっきの言葉で折れ欠けていた。

 

 

 

「やれやれ、タマモ・・・アレやるぞ」

 

『よろしいので?』

 

「構わん。これ見てなおあきらめない場合は直接心臓全部抜き取るなり猛獣出牛裂きもどきや鉄の処女にぶち込む等のあらゆる拷問を月読で一年間させる。そうすりゃ人格変わるだろう。」

 

『了解しました。』

 

 

 

そう言って、伸は立ち上がった。それと同時に背中の部分から魔力が尾のように伸び、それが狐の尻尾の形をすると。そこから無数の毛が地面に突き刺さり人の形をしていった。しかもその手には数々の宝具が握られている。ざっと見て1万はくだらない地平線の彼方まで及ぶ大軍勢が出来上がった。

 

 

 

「さて、ここから先戦うというのならこの数百万の軍勢を相手にしてもらおうか。正直もう飽きた。」

 

 

 

因みにコレ尾一本分(・・・・)である。

 

 

 

「これだけの軍勢が一斉にSLB級の砲撃を放てば・・・どうなるかな?まあ好きにしろ。君たちが未だに諦められないドMなら立ち向かうもよし。身の程をわきまえて降参するもよし・・・まあ後は好きにしろ。俺はもう何も言わん。」

 

 

 

こうして勝負は決まった。圧倒的で絶望的な物量と質の前に。そして彼女たちの精神はギリギリで壊れずに済んだがとうとう心労に耐え切れずに気絶した。

 

 

 

 

ようやく終わったよ。散々悩んだ結果、物量的に不可能な状況に追いやることで決着をつけてしまった。やっぱ〆が一番ムズイ。

完全体須佐能乎だしてください。とか言われましたけど自重。もとい隠しました。いや、最初は須佐能乎でプチッにしようかと思いましたがこれ以上伸からしたら手札見せる必要性もないわけなので。そのかわり某征服王と某英雄王合体させましたけど(笑)

正直言うと馬鹿でかい個より最低自分達と同じくらい実力のある数百万の兵のほうが絶望感半端ないと思うのは自分だけでしょうか?少なくとも彼女達には効果薄い気がします。効果ありなら、ナハトヴァールの時に率先して潰そうとか考えませんしむしろ怯むはずですし。なので、そういう意味でも数による絶望にしました。

そして伸の戦い方についてですが。まあ単純に相手の持つ手札を一枚ずつ確実に潰しなおかつウイルスで手札を焼き切りつつ成す術がない状態に追い込み確実に潰すというスタンスですね。最も、自身の技量でリンカーコアの出力を上げて魔力を殺菌させれば問題ないんですけどね。でも知らなかったら確実に無理ゲーです。だって体内から回避不能のバインドとんで来たり、どこかの芸術家がしてたみたいにその魔導師を爆弾にして「喝!」できますので。そして輪廻眼で呼び寄せられる口寄せ獣のチートっぷり・・・他にも何か出そうかな・・・・なんかあとユーノの一族優遇しすぎな気がしますけど彼らの仕事考えればこれくらいあたりまえな気がするんですよね。

 

 

 

ウイルスバインド:リンカーコア内に入った魔力を用いて体内から拘束する。体内から出ているため回避は不可能であり、対象者の魔力を使っているので、相手の魔力がゼロになるまで効果が切れない。ただし発動までに時間がかかる。

 

 

 

次回!「もう飽きたから次から次回予告なし!!」

 


 
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