No.578081

【獣機特警K-9ⅡG】アイヴィー長官のラミナ署訪問【交流】

古淵工機さん

それは、新たな伝説の幕開け…。
◆出演
K-9隊の皆さん
エルザ署長:http://www.tinami.com/view/551405
フュア総監:http://www.tinami.com/view/553789

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2013-05-19 23:08:25 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:823   閲覧ユーザー数:794

「…というわけで今回、司法省刑事局の長官がラミナ署を訪問されることになったそうだ」

ラミナ警察署…。その最上階にある署長室では、同署の署長であるエルザ・アインリヒトと、

彼女の姉にして現ファンガルド・プラネットポリス総監のフュア・フランバージュが話をしていた。

「なるほど、刑事局の長官どのがね。しかし何故わざわざラミナ署(うち)に?視察なら、普通は本庁のほうを見られるのではないか?」

「それが長官たってのご希望で、是非ラミナ署に来たいということらしいのだが…エルザ。ここで問題だ。現刑事局長官の名前はわかるな?」

「おいおい総監(ねえさん)、私とてこの立場だし…だいいちその前にロボットだぞ。それぐらいのことはインプットしてる。アイヴィー・ヒルトン…アイヴィー…はっ!」

と、その名前をつぶやいたところで、何かに気づいたエルザ。その様子を見たフュアはさらに続ける。

「ならば、なぜアイヴィー長官どのがラミナ署を訪問されるのか…その理由もわかっているだろう?」

「ふぅ…そういうことか…わかったよ総監(ねえさん)。各部署にはしっかりその旨を伝達しておく」

「ああ、頼むぞ」

と、会話を終えたのち互いに敬礼する姉妹。そしてフュアは署長室を後にするのであった。

…翌日8:30、中央ロビー。

「…と、いうわけで諸君に集まってもらったのは他でもない」

集められたK-9隊や幻獣部隊、ライドアーマー隊に機動3課、それに捜査課、生活相談課の面々を前にエルザは続ける。

「既に書類を配布したとおり、ファンガルド司法省刑事局の長官が本署に訪問されるとのことだ」

するとどこからともなく質問の声が響いた。幻獣部隊の淵野辺霧香だ。

「しかし署長。なぜラミナ署(ここ)なのです?通常は本庁を視察されるのでは」

「その件について私もフュア総監に確認したのだが…長官の名前を知っているのならば答えはわかるはずだ」

するとK-9隊の隊長である久遠・ココノエが答える。

「ああ!アイヴィー・ヒルトン前総監ですよね!」

「そのとおりだ。今回の訪問はそのアイヴィー長官たっての希望でな。とくに新生の最中であるK-9隊の様子をご覧になりたいのだそうだ」

「なるほど、そうなんですか…」

「とにかく、長官は本日11:00にこちらに到着されるそうだ。ヘタな気は起こさなくていいから普段通りの仕事をしていてくれ。以上!」

…かくして、ラミナ署の長いようで短いような一日が幕を開けたのであった。

…10:50、ラミナ警察署の入口にはエルザ署長、田宮魁副署長、捜査課のジース・ミンスター警部が並んでいた。

三人とも緊張した面持ちである。やがて門の向こうから姿を現したのはシルバーグレイの車。

ベティ社のベストセラー車種であるスピアGT-R、6年前くらいに出たモデルだろうか。

使い込まれて入るものの、その車体はしっかり磨かれている。そしてその車内に目をやると、白い制服を着たピューマ形ロボットの女性が一人。

…やがてその女性は車を敷地内の駐車場に止めると、ドアを開けてその姿を現した。淡いブロンドの人工毛髪が風になびく。

 

「…お待ちしておりました、アイヴィー・ヒルトン刑事局長官殿」

と、エルザが敬礼すると、それに続きツトムが、ミンスターが敬礼する。

「ええ、いつもご苦労様エルザ署長」

と、アイヴィーも敬礼で返すと、そのままエルザのほうに歩み寄ってその肩に手を添える。

「それにしてもラミナ署の署長さんだなんて、すっかり立派になったものね。嬉しいわ」

「お褒めに預かり光栄です、アイヴィー前総監。それで本日はどういったご用件で?」

「たいしたことじゃないわ。K-9隊も代替わりが進んでいるという情報をフュアさんから聞いてきてね。どうなっているのかなーって見に来ただけよ」

「わかりました。どうぞこちらへ」

同時刻、K-9ルーム。

「しっかし『白服組』がまさかここを訪問するなんてなァ、うちも有名になったってことなのかな?」

と、愛用のリボルバーガンを回しながら呟くのはジョナサン・ボーイング。

「有名にって…まだ代替わってそんなに経ってないじゃないですかw」

と苦笑するのは、ナタリア・天神・フトライミツィ。

「そうそう。だいいち隊員だってまだ完全にそろってないんだし」

と、煌月空。

 

「でも相手は白服組の中でもイチバンのトップなんだよね…あー緊張してきたなぁっ」

と、筑波未来が続くが、そこにジョニーがすかさずツッコミを入れる。

「ミライ、お前はじっとしてればいいから。ヘタに動いたらとんでもねーことになるから」

「なっ!なんですとぉ!?」

と、漫談を続けているところにクオンが割って入る。

「まぁ、みんなそれぞれ思うこともあるだろうけれど…まもなくアイヴィー長官がこちらを回られるので各員準備しておくようにね」

「了解!」

…それからしばらくして、エルザがK-9ルームの目の前で足を止める。その後ろからはアイヴィー。

「こちらです、長官」

と、エルザはキーを操作し、入り口のドアを開けた。

 

ドアが開き、エルザとアイヴィーの姿が見えると同時に立ち上がるK-9隊の一同。

そしてクオンが隊員たちに向け、勢いよく声を上げる。

「K-9隊!アイヴィー長官に全員敬礼ッ!!」

その掛け声とともに、全員がいっせいに敬礼する。しかし、その様子を見ていたアイヴィーは…。

「まあまあ、そんなに緊張しなくてもいいわよ。みんな座ってちょうだい」

と、苦笑いを浮かべていた。K-9ルームにはどこかほっとした空気が流れる。

 

「フフ…それにしても」

と、アイヴィーはクオンの方に近づくと、その頭に手を置いてひと撫で、そしてふた撫でしながら続ける。

「まさかあのクオンちゃん…今はクオンさん、といわなければ失礼かしら?K-9隊の隊長なんて、随分立派になったのね」

「え…い、いや、僕はそんなたいしたことは…」

と、思わず頬を赤らめてしまうクオン。

「その制服姿、よく似合ってるわよ。そういえばカチャーシーで蘭さんに聞いたのだけど、お子さんが生まれたんですって?」

「ええ、まぁ…まだロールアウトしたてですけど…元気な小学生ですよ」

「そう、隊長にママと掛け持ちで大変じゃない?」

「いやいや、前の隊長だったエルザさんもそうだったし…アイヴィーさんもそうでしょ?激務の合間を縫って二人の可愛い娘さんの面倒見てきたんだから」

「あらら…こりゃ一本取られたw」

と、アイヴィーが笑う。エルザも笑う。そしてクオンが笑い…つられてK-9隊の隊員たちにも笑みがこぼれる。

「ところで…」

と、アイヴィーはテーブルの上でソニックブレードの手入れをしているレッドドッグ形ロボットに目をやる。

「はいっ!K-9隊9号機の筑波未来巡査長です!」

「そうそう、最近入ったミライ巡査長ね。…あなた、焼肉が好きなんですって?」

…と、アイヴィーの目つきが鋭く変わる。その鋭い表情にはクオンもソラも見覚えがあった。

先ほどまで笑顔だったクオンの顔が引きつる。そんな状況をよそに、ミライはさらに続ける。

「もっちろんですよ長官!あたし焼肉が大好きなんです!食べ放題なら大歓迎ですよ!!」

「それはよかったw実はポニーヒルズ駅前に焼肉のおいしいお店ができたのよ。今度の週末食べに行かない?」

「あっ!『焼肉味悠(みゆう)』ですね!行きます行きます!!…よぉぉーーーーし…待ってろ食べ放題!!」

開いた口がふさがらないジョニーとソラ、妙にテンションの上がるアイヴィーとミライを前に、クオンは心の中で叫んでいた。

 

(逃げろー!焼肉屋ー!!全速力で逃げるんだ!潰される前にーーーー!!!!)


 
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