No.575549

真・恋姫無双 ~新外史伝第102話~

魏と晋の動きを書きましたが…上手く書けているかな。

そして紫苑は…やはりこうなったか。

2013-05-12 14:29:15 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5452   閲覧ユーザー数:4445

~魏・陳留~

 

「華琳様、無傷で合肥を占領することができました」

 

桂花の報告を聞いて華琳は満足していた。

 

「そう分かったわ。秋蘭たちには合肥周辺を慰撫してから、こちらに参陣するように伝えなさい」

 

「では華琳様…」

 

「ええ、春蘭。兵の準備は出来ているでしょうね?」

 

「はい、華琳様!準備は万端です。いつでも兵を動かせますので問題有りません!」

 

「桂花、糧食の準備は?」

 

「万全です。出陣の号令を受ければいつでも出立出来るよう準備してあります」

 

「そう。二人とも、よくやってくれたわ」

 

「か、華琳さま~」

 

「華琳様~」

 

「フフフ、可愛いわね…。春蘭、貴女は猪々子、七乃を引き連れ直ちにたちと合流しなさい。私たちもその後

 

にそちらに向うわ」

 

華琳はここが最初の勝負所だと思っていた。司馬懿を倒してこそ蜀や呉と雌雄を決することができることもの

 

だと。

 

「果たしてこの作戦うまくいくでしょうか」

 

春蘭と桂花が準備のため広間から去った後に残った稟が、一時的とは言え二面作戦を懸念する声を敢えて上げ

 

たが

 

「心配しなくていいわよ。合肥を奪えば長江北岸の豪族たちは動揺して呉も迂闊には動けない。その動揺して

 

いる隙に秋蘭たちをこちらに引き戻し、私たちと合流そして晋と雄を決する。まさか晋も自分たちの主力を引

 

き寄せるため、私たちがこのような事をするとは思わないでしょうね」

 

「分かりました。それなら多分大丈夫でしょう……」

 

華琳は態と晋の主力を引き出すために態と二面作戦を取った事を説明。稟も説明を聞いて安心したのか一応同

 

意したものの、呉を裏切った鐘会を完全に味方として考えるのはどうかと危惧の念を抱いていた。そしてこの

 

時まだ蜀と呉が手を結んだことを知らないでいた。

 

丁度その頃、合肥では

 

「失礼しました」

 

今回の出征の主将である秋蘭と風の元に来ていた鐘会が報告を終え部屋から立ち去ったところであった。

 

「風、あれをどう見る」

 

「非の打ちどころが無さ過ぎて、逆に不審に感じてしまいますね~」

 

今まで鐘会の行動等を見ている限り、不審点は全く無くその為、風は逆に疑念が抱くようになったが、しかし

 

今のところ証拠も何もないので鐘会に気付かれない様、動向監視をするしか手が無かった。

 

「何か企んでいれば必ず何らかの尻尾を出します。それ待つしかないですね~」

 

「仕方ないか…」

 

風の言葉に秋蘭は苦笑を浮かべるしかなかった。

 

そして自分の部屋に戻った鐘会の元に一人の女性が待っていた。

 

「おう、葵無事だったか」

 

「何もしてないのだ。無事に帰ってきて当然だろう」

 

「アンタの事だ。何か要らん事を言って一悶着起こしそうだからな」

 

鐘会の真名を呼ぶこの女性、名を胡奮、字を玄威、真名を燕と言い、自信家の鐘会の元で将軍として働いてい

 

るが、武に優れそして陽気で男前な性格もあり兵から慕われていた。

 

「それでこれからどうするつもりだ?」

 

「どうするって…前から言っているだろう。私たちから態々動く必要はないと」

 

「ヘイヘイ分かっているよ。ただ聞いてみただけさ。ここにいても魏の将軍さんに不審がられるから真面目な

 

振りをして仕事でもしてくるわ」

 

燕の邪気が無い言い方に葵はただ苦笑していたのであった。

~晋~

 

「曹操軍が合肥に進出して、更にこっちにも兵を繰り出して来ているわ」

 

白雪こと蒋済の報告を聞いて陽炎こと司馬懿は表情を崩さずに

 

「こちらに来ているのは?」

 

「ああ、夏候惇と文醜、張勲の部隊にそれに曹仁、曹洪の勢も加わっている。恐らくその後に曹操が後詰でくるだろうな」

 

「……只今戻りました」

 

「どうだったの、曹操軍の様子は?」

 

「はい…夏候惇軍の後に曹孟徳本人に許緒、軍師の荀彧と郭嘉が出陣したのを確認しました。

 

「おいおい…王自ら出陣か、容赦ないね」

 

小柄で隠密働きに優れている梅香こと郭の報告を聞いて、白雪は態とおどけて首を竦めたが、陽炎はそれには

 

答えず

 

「じゃ梅香、あの子に『時が来た』と一言伝えればいいわ」

 

陽炎がそう告げると梅香は黙って頷き静かにその場を去ると

 

「相変わらず暗いね、アイツは…。で、あれにも伝えるか?」

 

「向こうには伝えなくてもいいわ。知らせを聞いて自分たちで判断して動くわよ」

 

「それよりも私たちも出陣して曹操軍を叩くわよ」

 

陽炎はそう言いながら、晋軍も動き出したのであった。

 

一方、一刀たちも早急に魏の動きを調べると共に呉と共に今後の対応策を取る為の話し合いが行われていた。

 

しかし雪蓮は同席していたものの

 

「めんどくさいことは冥琳に任せるわ」

 

交渉事を丸投げ状態にしたため、一緒にいる蓮華が説教するもどこ吹く風の様に聞き流していた。

 

「まずは今、荊州の華容にいる我が軍を南郡に引き上げ、江夏にいる呉の軍勢も守備兵を残し引き上げること

 

でいいですか」

 

「ああ、このままだと建業が危なくなるからな。まずは我々も濡須で守備を固め反撃を窺うことにする」

 

朱里が現在荊州で対峙して軍勢の双方の同時撤退を提案すると冥琳もこれに同意したのであった。

 

「それで一つ相談なのだが、今そちらは魏との不戦の約を結んでいる話だが、我々と手を組んだのだ。これを解消する訳にはいかないか?」

 

「解消ですか…」

 

朱里は困った顔をして一刀の顔を見た。

 

冥琳が魏との不戦条約の解消を提案したのも理由があった。呉とすれば蜀が魏と不戦条約を結んでいる限り、

 

蜀の援護が限定的になってしまう恐れがあり、それでは同盟の効果が薄れてしまう。それを危惧した冥琳は魏

 

との条約解消を言い出したのであった。

 

一刀も呉の提案に対し、困った表情を浮かべていると紫苑が助け舟を出した。

 

「ご主人様。ご主人様が困っている理由は先に魏との不戦の約を結ばれたことでこちらから約束を破られるこ

 

とを気にされていると思いますが、実際どうなのですか?」

 

「流石紫苑だね。その通りだよ」

 

「ではこうしたらどうでしょうか」

 

紫苑が提案したのは

 

魏に対し蜀呉との同盟を宣言する。そしてこれ以上、呉を攻めるのであれば魏との不戦条約を打ち切る。

 

この条件を飲むのであれば、蜀は魏と晋の戦いに介入はしないことを約束する。

 

紫苑の提案は呉の同盟を尊重しつつ、先に条約を結んだ魏に対しての折衷案的な物であった

 

「一刀殿そちらにも事情があるとは思うが、もし魏がこれを受け入れなかった場合でも、蜀は魏との戦いを決

 

意がおありか」

 

冥琳は紫苑の意見を聞いて同意する意向はあるものの、もしこの提案を魏が拒否した場合、蜀は魏に対する対

 

決する意志を確認のため敢えて聞いた。

 

「その時は躊躇なく呉を助けるつもりです」

 

一刀がそう言い切ると今まで黙っていた雪蓮が

 

「その言葉信じるけど、もしその言葉を違え私たちを裏切った時には貴方の命で購って貰うわよ」

 

雪蓮が態と剣呑な雰囲気で告げるも一刀も態と首を竦め

 

「雪蓮の期待を裏切らないようにするよ」

 

「その言葉期待しているわ。それで貴方に興味があるのよねぇ~。貴方も私と同じような理想を掲げている訳

 

だし。しかも男なんだから。興味が沸くでしょ?生い立ちとか、今までのこととか、知りたいと思うの。今夜

 

あたり二人っきりでどうかしら♪」

 

「お、お姉様!何を言っているのですか!?一刀には紫苑殿という奥方がいるのですよ!」

 

先程の剣呑な雰囲気から一転、雪蓮の発言に慌ててふためく蓮華。

 

「それ位分かっているわ。ただちょっと味見させて貰うだけよ♪」

 

「馬鹿者!味見って料理を摘むのと訳が違うのだぞ」

 

ゴッ!

 

「いっ……たぁ……冥琳、何するのよ!」

 

「それはこっちの台詞だ!一国の王が王の奥方を目の前にして娼婦みたいな真似をしてどうする!」

 

流石に雪蓮の言動に業を煮やした冥琳から拳骨が振り下ろされる。

 

「交際するとしてもちゃんと手順を踏め!手順を!」

 

冥琳は別に雪蓮と一刀との交際を認めた訳では無かったのだが、雪蓮はこの言葉を逆手に取り

 

「ふ~ん。手順を踏めばいいのね」

 

「まさか、雪蓮!?」

 

「手順を踏めって言ったでしょ?手順を踏んだら文句ないわよね?」

 

「ねえ、一刀」

 

「な、何、雪蓮?」

 

話の流れから嫌な予感がする一刀であるが、その予感が見事に的中してしまう。

 

「我が孫呉に天の御遣いの血を入れたいのよ。だから一刀、私や蓮華、もし良ければ私たちの家臣でもいいか

 

ら孕ませちゃってね♪」

 

「…はぁ!?」

 

「はわわ!?」

 

「お、お姉様!何を考えているのです!?」

 

「あらあら」

 

「……お前は手順を何と思っているのだ、雪蓮」

 

「好きだってはっきり分かったら、それを本人に対して宣言したらいいじゃないの?」

 

雪蓮の発言に一刀と朱里、蓮華は驚く一方で、紫苑は微笑を浮かべ、冥琳は呆れかえっていたが、発言した当

 

の本人は平然としていた。

 

「しかし……一刀殿には紫苑殿を始め情人が幾人もいる、手強いぞ」

 

「敵が多勢だからとか、手強いからって手を引くような者は、孫家の女じゃないわ!ねぇ蓮華♪」

 

「え、えっお姉様!?」

 

「貴女の様な堅物が一刀の名を呼んだり、真名を預けるなんて今までの蓮華じゃ考えられないわ。後で色々聞

 

かせて貰うわよ」

 

そこで姉妹の痴話喧嘩が始まってしまい、それを見ていた一刀と紫苑は

 

「なあ紫苑…」

 

「何ですかご主人様♪」

 

「あれ止めなくていいの…?」

 

「フフフ…あれでいいのですよ。ああやってご主人様を気にいっていただけたらこれから蜀呉との間で戦をす

 

る可能性が低くなりますから」

 

「紫苑…」

 

「ご主人様は、私や璃々の事を気に病まずとも宜しいのですわ。自由に気の向くままに。もし問題があるので

 

したら、その時の最善の方法を私や朱里ちゃん、そして皆で探るやり方を探せば宜しいですわ」

 

「でも何かそれって…、俺だけに都合良過ぎるじゃないか…?」

 

「あら、私はご主人様が皆を愛し幸せに出来ると信じていますわ。勿論私は皆に負けるつもりはありません

 

し、正妻の座は譲る気はありませんけど♪」

 

そう言いながら紫苑は、妖艶な微笑を浮かべるのであった。

 


 
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