episode162 復活の翼
(・・・・!)
すると固定していたエネルギー刃とチェーンが無くなってリインフォースはふらつきながらも立ち上がり、隼人を見る。
(は、隼人・・・)
リインフォースは隼人を見て目に涙が溜まる。
(・・・・)
隼人はビームマグナムを収納するとゆっくりと歩みを進めてリインフォースに近付く。
(ほ、本当に・・・隼人・・・なのですか・・・?)
目の前の光景が信じられず、声を震わせていた。
(この姿を見て疑う余地はあるか?)
(・・・・)
(正真正銘・・・他の誰でもない、神風隼人だ・・・)
(・・・・)
(よく頑張ったな。・・・心配を掛けた、リインフォース)
(は、隼人・・・)
リインフォースは感極まって、すぐに隼人を抱擁し抱き締める。
(ほ、本当に・・・無事で良かった・・・)
涙を流し、強く抱き締める。
(・・・すまなかったな)
隼人はリインフォースの髪を優しく撫でる。
(いいんです。隼人が謝らなくても・・・)
(いいや。何度でも・・・謝るさ・・・・・・それでも許されるものではないがな)
(・・・・?)
(お前やみんなが必死になって俺を助けようとしているのに・・・生きる意味を失って、何もかもがどうにでもなれと、俺は無責任なことを思っていた)
(・・・・)
(やっぱり・・・・・・お前は最高のパートナーだ。何度お礼を言っても、足りないぐらいだ)
(・・・隼人)
(信じられねぇ・・・ナハトヴァールが完成した後でお前の意識が戻って精神が安定するなど・・・普通ありえねぇぞ?)
リインフォースの中に居た闇隼人は目を見開いて驚いていた。
(お前・・・リインフォースとユニゾンしているのか)
隼人はリインフォースから離れると、闇隼人に話し掛ける。
(ここは動きづらい空間だ。少しでも力を貸したんだが、それでもあいつには敵わなかったがな・・・)
(そうか・・・)
(しっかし、何が起きたんだ?普通じゃ意識が戻って更に平然としていられるやつなんか考えられないって言うのに・・・)
(・・・まぁ、色々と説教を受けたのでな。ノルンから)
(ノルンのやつからだと?そいつはまた予想外のやつから説教を受けたもんだな)
(あぁ)
(しかし、なんでまたノルンがお前の所に。あいつは意思だって言うのに・・・)
(さぁな。だが、あいつのお陰で俺はこうしてまた立っていられるんだ)
(・・・・)
(自分で言っておいて・・・・・・こんなに沢山の事を忘れていた事を・・・ノルンから改めて教えられた)
(そうか・・・)
(それに、俺は自分から宣言したんだ・・・)
隼人は一旦間を置く。
(・・・簪を守るって。命を掛けても・・・守り抜くと、な)
(隼人・・・)
(それなのに、俺は現実から逃れようとした)
(・・・・)
(そうしようとした自分が情けない・・・)
(確かにな)
(それにな、俺がこんな所でくたばってしまうのを、鈴は望んでない)
(・・・・)
(鈴の想いを踏み躙るわけには行かない。あいつが命と引き換えにして救ったこの命。無駄に無くすわけにはいかないからな)
(隼人)
(・・・しばらく見ない内に・・・精神面が以前より遥かに成長しているようだな)
闇隼人はリインフォースとユニゾンアウトして外に出る。
(俺だって・・・いつまでも同じじゃ無い)
(そうだな)
(・・・・)
(・・・おのれ・・・)
と、吹き飛ばされたナハトヴァールが海から水飛沫を上げて飛び出てくると、三人の近くに着地する。
(・・・そのまま眠っておれば楽なものを・・・あえて苦しみを味わうのか)
突き刺されて血を流している左腕よりグラディウスを引き抜くと投げ捨てる。
(俺だけが楽になるわけにはいかない。そんな苦難の無い人生など、人間として生きていく事など出来ない)
(・・・それもよかろう。だが、このままお前を自由にさせるわけにはいかんのでな)
背中の翼を広げて左腕のユニットのカートリッジをリロードする。
(・・・悪いがお前には死んでもらう。計画遂行の為にな)
(本性を表しやがったようだな)
隼人はナハトヴァールを見る。
(これ以上お前の好き勝手にはさせんぞ、ナハトヴァール)
(どうかな。お前の身体は我が乗っ取っている。今のお前にはどうする事も出来んぞ)
(だが、お前を滅ぼせば元に戻って万事解決だろ。分かりやすくていい)
(戯言を。今のお前に何が出来ると言うのだ)
(分かって無いな、ナハトヴァール)
(なに?)
ナハトヴァールは眉を顰める。
(俺には祝福の風が着いているんだぞ。最も信頼できるパートナーのな)
(何を世迷い言を。そんなもので何が――――)
(ならば、それを見せ付けてやるさ。信頼と言う名の力をな)
隼人はリインフォースの方を向くと、右手を差し出す。
(リインフォース。こういう時に言うのもなんだがな・・・)
(・・・・?)
(・・・こんな俺でも、また共に戦ってくれるか?)
(・・・・)
ちょっとの間を黙っているリインフォースに闇隼人は「返事ぐらいしてやれよ」と言う感じに右肘で突く。
(はい!もちろんです、隼人!!)
そうしてリインフォースは差し出された隼人の手を握る。
(これからも・・・ずっと!!あなたの傍で戦います!!)
(そうか・・・・・・ありがとう、リインフォース)
隼人は笑みを浮かべる。
((ユニゾン・・・インッ!!))
そして握られた手の間から光が出て二人を包み込む。
次第に光が人の形になり、細かく形状が形成されていって背中に四つの翼が出てくると、光が弾け飛ぶ。
((エクセリオン・・・ゼロッ!!))
光の中からエクセリオン・ゼロが顕現した。
(・・・力を完全に具現化したか・・・。しかしそんなもので我が倒せるものか)
ナハトヴァールは外と同じ姿に変えると背中のマウントラックより大剣を抜き放って刀身を伸ばす。
(そいつはどうかな)
隼人は両手にディバイドライフルを展開する。
(事に絶対と言うものは無い。例えそれが神の代物でもな!)
(・・・ほざけ!)
そして両者は同時に飛び出すと得物を振るって刃を交える。
隼人は相手の力を利用して離れるとディバイドライフルを放つも、ナハトヴァールは横に飛んでかわすが、五発目が左肩に直撃する。
(・・・っ!)
体勢は崩れなかったものも、すぐに背中の翼より漆黒の羽を飛ばすも、隼人は避けずに向かってくる漆黒の羽に飛び出し、すれ違うと同時に両手のディバイドライフルを振るって漆黒の羽を切り裂く。
隼人はディバイドライフルを振るうも、ナハトヴァールはとっさに後ろに下がって斬撃をかわすが、直後に飛び出し回し蹴りをしてナハトヴァールを蹴り飛ばす。
(・・・くっ!)
とっさに大剣を振るうも、隼人はディバイドライフルを交差して斬撃を受け止める。
(はぁぁぁぁぁっ!!)
隼人はディバイドライフルを振るい大剣を押し返すと、左手のディバイドライフルを振り下ろして胸部の発光部を切り付ける。
(・・・っ!?)
するとナハトヴァールは一瞬動きが鈍り、発光部に亀裂が入る。
(あれは・・・)
隼人はそれに気付く。
(さっきまであの箇所には攻撃を与えていません。と、言う事は・・・)
(・・・どうやら外で受けたダメージはここでも同じって事になるようだな)
(では、織斑達の攻撃は無駄に終わって無かった?)
(だろうな。それはそれで、ありがたい!)
隼人は一気に飛び出すとディバイドライフルを振るうも、ナハトヴァールはとっさに大剣を前に出して刀身の腹で防ぐ。
(ぐぅ・・・!)
ナハトヴァールは苦し紛れに隼人を押し返すと左手を広げて隼人に突き出す。
(ハッ!!)
しかし隼人は右足を振り上げて左腕を蹴り上げた。
(・・・っ!)
隼人は宙返りしながら両手のディバイドライフルを振り上げ背中の羽二枚を切り落とす。
(・・・貴様!!)
ナハトヴァールは周囲にエネルギー弾とエネルギー刃を出して一斉に飛ばすも、隼人はその場から飛び上がって逃れようとする。
(リインフォース!)
(はい!)
するとエクセリオン・ゼロが少し発光する。
((『アクセルフォーム』!!セットアップ!!))
そしてエクセリオン・ゼロの青い部分が発光して銀色に変わると、両サイドアーマーがスラスターを内蔵したウイングアーマーに換装され、ディバイドライフルが収納されて両手にトンファー型短剣『シュトルムエッジ』を展開して持つ。
(・・・姿を変えた所で何かが変わると――――)
しかし最後を言い終える前に、一瞬でエクセリオン・ゼロが視界から消える。
(っ!)
その瞬間隼人を追っていたエネルギー弾とエネルギー刃は一瞬で切り裂かれる。
(・・・っ!?)
そして胸部の発光部に威力は低いが何かで切り付けられる。
そのまま次々と目に見えない速さで何かが体中を切り付けられる。
(・・・な、何なのだ!?これは!?)
ナハトヴァールにすら姿を捉えることができず、されるがままだった。
そしてまた胸部の発光部を切り付けられ、直後に目の前にエクセリオン・ゼロが現れると、元のセイクリッドモードに戻る。
(・・・き、貴様・・・!)
胸部の発光部を押さえながら隼人を睨む。
(やっぱり十秒は短いな。武器も武器でヒット数は稼げるだろうが、威力が低いんじゃダメージは期待できないな)
(仕方がありません。アクセルフォームはその名の通り加速形態。それだけの加速を得るには制約は付いてしまいます)
(まぁ、当然か・・・)
隼人はナハトヴァールを見る。
(・・・もしこれが完全体であったら、制約は無くなるのですがね)
(今はそう言ってもそれがあるわけじゃないんだ)
(そうですね)
隼人は身構えると、再びエクセリオン・ゼロが少し発光する。
((『クラッシャーフォーム』!!セットアップ!!))
すると青い部分が赤く変色し、左腕にパーツごとに展開されて組み上がっていき複合ユニット『アルトアイゼン』のリボルバー式の弾倉が回転して後部の三つのブースターが細かく動いて調整する。
(・・・そんなもので!!)
ナハトヴァールは残された四枚の翼より漆黒の羽を飛ばすが、隼人は左腕のアイゼンを振るって漆黒の羽を払い除けると、瞬間加速並みに飛び出してナハトヴァールに蹴りを入れて吹き飛ばす。
(・・・!)
蹴り飛ばされるもとっさに体勢を立て直して周囲にエネルギー弾を出して一気に飛ばす。
隼人は両肩よりマシンキャノンを展開してエネルギー弾を撃ち落すと、背中のウイングを展開して飛び出す。
ナハトヴァールは後ろに下がってエネルギー刃を周囲に出して一気に飛ばすが、隼人はアイゼンを前に出すと前部側面装甲を展開してその装甲より無数のエネルギー球を放ってエネルギー弾を撃ち落す。
(ロードカートリッジ!!)
アイゼンのリボルバー式の弾倉を回転させて六発リロードすると、後部ブースターを噴射して勢いよく突き出し、ナハトヴァールの胸部発光部に杭をぶつける。
(がぁぁぁぁっ!?)
ナハトヴァールは苦しむも、アイゼンを左手で触れると掌の銃口にエネルギーを充填する。
隼人はすぐに六発分の衝撃を発光部に叩き込むが、ナハトヴァールは苦し紛れに左掌よりビームを放ってアイゼンを破壊する。
(ぐっ!)
爆発で隼人とナハトヴァールは吹き飛ばされるも、とっさに隼人はエクセリオン・ゼロをセイクリッドモードにしてディバイドライフルを両手に展開する。
(ぐ、ぐぁ・・・)
煙が晴れてその向こうに、胸部の発光部を押さえるナハトヴァールがいた。
発光部はもう亀裂が沢山入っていつ砕けるか分からない状態であり、黒紫のエネルギーが漏れ出していた。
(まだだ・・・・・・まだ、終わりでは無い!!)
ナハトヴァールは気合を入れるが如く出力を上げて発光部を更に輝かせ、大剣を振るう。
(諦めの悪いやつだ)
(えぇ)
隼人は右手のディバイドライフルを振るうと、勢いよくそこから飛び出すと、ナハトヴァールも飛び出し、両者同時に得物を振るって刃を交える。
両者同時に離れると一気に上昇し、隼人はディバイドライフルを放つもナハトヴァールは大剣を振るってビームを切り裂き、周囲にエネルギー刃を出してすぐに飛ばす。
隼人は避けずにそのまま飛び出してディバイドライフルを振るってエネルギー刃を弾き飛ばし、すぐに左手のディバイドライフルを放って一気に飛び出し、ナハトヴァールは左手でビームを弾くとすぐに大剣を振るい刃を交える。
直後に隼人を押し返してすぐに周囲にエネルギー弾を出して一斉に放った。
(ディフェンド!)
リインフォースはとっさにエクセリオン・ゼロの前にフィールドを張ってエネルギー弾を全て防ぐとそのまま爆発し、その瞬間に隼人は右のディバイドライフルを放って煙の向こう側に居るナハトヴァールの胸部発光部に直撃させた。
(ぐ、ぐぁぁぁぁぁ・・・)
発光部より放電が起きて一部が欠ける。
直後に隼人は瞬間加速を掛けて一気に飛び出し、両手のディバイドライフルを振るい発光部を切り付けて更に左足を振り上げて大剣を蹴り飛ばす。
ナハトヴァールはとっさに左手を突き出そうとするが、隼人は急速後退し、左手のディバイドライフルを放って発光部に直撃させる。
(う、ぐぅ・・・・・・ば、馬鹿な。お前達の何所に・・・・・・これほどの・・・力が・・・)
発光部が損傷した事でナハトヴァールは動きが緩慢になっていた。
(お前には一生・・・・・・いや、金輪際永遠に分かりはしない!)
隼人は右手のディバイドライフルで指差すように先端を向ける。
(何・・・?)
(ただ破壊を目的とし、何人もの人間を絶望に追いやった・・・お前にはな!!)
(・・・・)
(仲間を想い、信じる心。それこそが絶大の信頼を得て、絆を作り上げ、力になるんだ)
(何を・・・・・・戯言を・・・)
(そして・・・守るべき者の為なら、人は強くなれる。だからこそ、無限の可能性を秘めているんだ!)
(くぅ・・・)
(何も無い虚無の彼方に消え去るがいい、ナハトヴァール。永遠にな)
隼人は両手のディバイドライフルを側面同士に連結し、ウイングを展開してナハトヴァールに向ける。
(・・・・!)
ナハトヴァールはその場から動こうとするが、リインフォースはとっさに拘束リングを出してナハトヴァールを拘束する。
(っ・・・!)
拘束されてそれを解こうとするが、もはやリングを砕く程の力すらない。
(バーストリング・・・展開!)
リインフォースはツインディバイドライフルの銃身に青い帯状エネルギーリングを張って前方に大きなリングを出した。
(・・・・)
隼人はツインディバイドライフルをナハトヴァールに照準を定め、銃身の上下の刃の間にビーム磁場を発生させエネルギーを充填する。
(ま、待て!我を失えば、お前は一部の力を失う事になるのだぞ!!)
(・・・・)
(バインドとの戦いは激しさを増すばかりだ!我の力が無ければ勝つことなど不可能だ!!それでもいいのか!?)
(だから何だ)
(なに?)
ナハトヴァールは呆気に取られる。
(仲間を危険に晒してまで、俺は力を求めない。そんな危険な力などこっちから願い下げだ!)
(私も隼人に同感だ。むしろ居ないほうがこちらとしては清々する)
(正気で言っているのか!?破壊の王の力無くして『やつ』に勝てると――――)
(思っているさ!!)
そしてツインディバイドライフルのエネルギーが満タンになり、バーストリングにもエネルギーが溜まる。
(諦めない先にこそ未来はある!!)
(なに・・・?)
(だから、未来は俺達の手で切り開く!そんな力に頼らずにな!!)
(ぐぅ・・・!)
(いくぞ、リインフォース!!)
(はい、隼人!!)
((ディバイドゼロ!!エクリプス!!))
そして隼人は引き金を引き、ツインディバイドライフルより膨大なエネルギーを放った。
(っ!!)
膨大なエネルギーはナハトヴァールを飲み込み、装甲を焼く。
(まだだっ!!)
隼人はツインディバイドライフルより放たれるエネルギーを威力と量を増す。
(うぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
それによってナハトヴァールは徐々に焼滅していく。
(こ、これで終わったと思うな・・・!!我は滅びやしない!!人間の心に闇がある限り、我は永遠に存在し続ける!!それが絶対たる運命・・・抗えん定めだ!!)
(そうかよ!!だったら、その絶対運命をぶち壊す!!)
隼人はツインディバイドライフルの照射を中断し、後部の側面パーツを展開して排熱しながら飛び出すと、ツインディバイドライフルを切り離して上部同士に繋ぎ合わせるとカートリッジをリロードし、エネルギーを纏わせて一振りの大剣に変化させ身構える。
(っ!)
隼人は大剣を振り被って刀身にエネルギーを纏わせると、更にそれを何倍もの長さに伸ばす。
(こいつで全部・・・ゼロにする!!)
(・・・ッ!)
(エターナル・・・ゼロ!!)
そして勢いよく大剣を振り下ろし、巨大なエネルギー刃でナハトヴァールを切り裂いた。
(――――!!!)
ナハトヴァールは言葉ではない叫びを上げ、そのまま光に飲み込まれて消滅する。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!