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#40
洛陽。反董卓連合が到着し、董卓の首級を上げようとそれぞれが画策するなか、ここに唯一異なった行動をとる少女たちがいた。
「……やっぱり、嘘だったんだ」
「そのようですね…」
それは劉備軍。彼女たちは董卓軍に旧知の男を見つけ、董卓にまつわる悪政の噂の真偽を疑った。果たしてその疑念は的中し、だからこそ彼女たちはその行動方針を変える。
「それでは星さん、お願いします」
「うむ、任されよう」
ただし、おおっぴらに行動する訳にはいかない。周りに居るのは最早味方ではない。自分たちがこれから救い出そうとしている人物の、その命を狙っているのだ。
「鈴々たちはどうするの?」
「私たちは連合軍と共に行動し、星さんの報告を待ちます」
したがって、隠密行動を得意として『いそうな』趙雲が、宮廷に赴く事となった。
――――が。
「……戻りましたぞ」
「早いのだ!」
四半刻もしないうちに趙雲は戻ってくる。何とも言えない表情を下げて。
「どうしたんだ、星?」
「なぁ…アレが見えるか?」
「あれ?」
そして彼女は手を伸ばして遠くに聳える建物を指差す。そこには、立ち昇る煙。
「……火?」
「うむ。宮廷の一角から火が上がってな。兵に話を聞いた限りでは、連合が来た事で、董卓が腹心の賈駆と共に、自害したらしい」
「えっ……」
「説明の残りの部分は、他の
「はわわっ、私のネタをパクられちゃってます!?」
「えっ?」
「むっ?」
「にゃっ?」
「はわっ?」
「どうしたの、みんな?」
電波のおかげで、劉備軍の空気が固まった。
荒野。
とある軍が、戦を終えて帰還の途についていた。戦の戦果を思い、兵たちは意気揚々だ。
「董卓を得られなかったのは惜しかったが、汜水関と虎牢関を落としただけでも大きな収穫だったな」
馬上で、冥琳が口を開く。隣で同じく馬の背で揺られる雪蓮に向けた言葉のようだ。だが。
「……そうね」
答える声は重い。
「……どうした、雪蓮?」
その様子を訝しみ、冥琳は隣を振り返った。そこには、声と同じように重たい表情の雪蓮。
「いや、虎牢関の時の事なんだけどさ……」
「あぁ、呂布と戦った時か」
その当時を思いだし、冥琳も思わず身震いする。祭に思春、明命の3人がかりでも何も出来なかった。呂布が引いてくれたからよかったものの、あのまま続けていれば、どうなっていた事か。
「あぁ、私は戦ってないわよ」
「知っている」
「私が戦ったのは、一刀なの」
「…………は?」
そして、絶句。相方の口から飛び出してきたのは、自分もよく知る男の名だった。
「それがどういう事かわかるでしょ、冥琳?」
「……そういう事か」
雪蓮の問いに、冥琳はすぐに思い出す。以前、その男が妹を3人連れてきた時の事を。
「えぇ、そういう事みたいね。まぁ、諸侯の眼もあるし、しばらくは帰ってこないでしょうけど。それでも1人か2人、また妹が増えそうよね」
「そうだな……」
その件について一刀と話す時の事を想像して、冥琳は溜息を吐く。
それからまた数日。あと数日で懐かしの長沙に到着しようかというところまで来たある日のこと。
「――――どこの軍だ!」
孫策軍の前に、騎馬隊が立ち塞がった。問うは、宿将・祭。彼女の前に立つ軍は、旗を掲げていない。祭のその対応も当然であり、またその歴戦の将に違わぬ貫禄も当然のものだ。
「孫策、おるか?」
だが、その軍を率いる女将はその雰囲気に怯む事もなく、孫策の名を口にする。
「名乗らぬ者を、我らが王に会わせる訳がなかろうが!」
その物怖じしない雰囲気と態度に、祭の声音に怒りが混じる。しかしそれでも。
「一刀の紹介や、言うてもか?」
「……は?」
次いで出てきた名に、祭はぽかんと口を開けた。
一刀の名を出した事で、その将――霞はすんなりと雪蓮に会う事が出来た。
「――――とまぁ、そんな訳で孫策に会いに来たわけや」
「はぁ…相変わらず一刀は好き勝手やってくれるわね」
「貴女がそれを言うのか、雪蓮?」
「ぐっ…」
思わず零れた口に、冥琳が呆れた口調で返す。雪蓮は怯んだ。
「つー訳で、一刀がちゃんと『あの娘ら』をちゃんとアンタのトコに連れてきてくれたら、ウチはアンタの軍に入ったる」
「あら、軽いのね」
「どっちにしろ、『あの娘』はもう表舞台には立てんやろからな。せやったら、『あの娘』の居場所を守る為に戦うだけや」
はっきりと名前は出さないが、雪蓮も冥琳も、霞の言う『あの娘』が誰なのかを理解する。そして同時に、この状況に感謝もした。張遼という騎馬の名手が傘下に加わるだけでなく、呂布や華雄といった猛者もまた、共に戦ってくれる事になるのだから。
「じゃぁ、取引は成立ね。私の真名は雪蓮。貴女に預けるわ」
「おぅ! ウチの真名は霞や。これからよろしく頼むで」
こうして、霞と彼女の騎馬隊は、孫策軍に参陣する事となった。
とある森。
俺は部下や董卓軍の兵に指示を出し、それぞれ仕事に努めさせる。とある部隊は食糧や薬草を集め、別の部隊は木を切り倒し、またある部隊はその木を使って荷車を量産していく。
「おら、3班! 速度が落ちてるぞ。同じ作業なんだから、同じ速度と精度で次へ回せ」
「「「「「応!」」」」」
人数が多いので、手工業型の制作スタイルを試しにやってみたが、これが存外上手くいった。
「へぇ…こういうやり方もあるのね」
「効率がいいだろ? 力仕事が得意な奴もいれば、細かい作業を得意とする者もいる。あるいはその両方だったり。そういう奴らの能力や特性に合わせて仕事の分担を考えるのも、管理職の大事な仕事さ」
「まさに適材適所ってやつね」
俺の隣で作業を見ていた詠たんが、感心したように呟く。先人の知恵だけどな。
「月たん、あと幾つで目標数に達する?」
「あと12台ですね」
指示出しは俺と詠たんが行い、月たんは出来上がった荷車を点検し、カウントする係だ。
「おらっ、お前らの美少女があと12回だけ応援してくれるぞ! しっかりといいトコ見せつけやがれ!」
「「「「「応っ!!」」」」」
「美少女…へぅ……」
可愛いなぁ、もぅ。
荷車も完成し、食料や薬草も集まった。分隊しての旅は明日からとして、俺は各部隊に配置する部下を選択する。
「3番隊はちぃと気が強いから、お前が扱え」
「オス!」
「8番隊は割と真面目な奴らが多いから、この中では最下位に近いお前の能力でも十分にやっていける筈だ。むしろ、今回の機会を活かして人を掌握する術を覚えておけ」
「ありがとうございます!」
そんなこんなで、配置の指示も終わる。もぅ夜も遅い。俺は最後にと、月たん達のもとに向かった。
「明日の月たん達の配置なんだけどさ」
「はい」
「ボク達はどの部隊と一緒に行けばいい?」
詠たんも気になるようだ。だから、俺は告げてやる。
「決まってんだろ。俺の部隊だ」
「まぁ、予想はついてたけど」
「ちなみに、面子は俺、波才、恋たん、ねねたん、月たん、詠たんの5人だから。まぁ、恋たんもいるし、護衛とかは問題もないだろうな」
「「…………」」
「まぁ、本音はハーレム旅行がしたいからなんだけどな」
さて、次回からはギャグ多めでいきたいなー。
あとがき
なんとか#40までこぎつけた。
華雄たんがいないのは、眠くて書く気になれんかったから。
そしてもう限界だ。
またしばらく時間を貰うけど、
見かけたら読んでやってください。
ではまた次回。
バイバイ。
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5
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#40。
眠い。
どぞ。