No.571234

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編

さん

その5

2013-04-29 20:05:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:582   閲覧ユーザー数:572

ダンジョンの中は、妙に明るかった。

このダンジョン特有の光を放つ結晶が、暗っぽい空間を照らしているからだ。

だが、同時にそれは不気味さを醸し出していた。

暗闇の中に光る幾つかの光、それは星空を連想させるが、光から生み出された影は、何かが出現してきそうで額に汗が流れる。

 

「何だか、お化けでも出てきそうね」

「お化けかー、確かにいきなりにょろりと出てきそうな雰囲気だよねー」

「お、お化けさんは苦手ですぅ……」

 

やっぱり、コンパは苦手なんだ。

さっきから、俺のコートの裾を掴んで離してくれない。

因みに先頭はネプテューヌ、アイエフでその後ろに俺とコンパが居る。

手短く三人の長所を聞くと、ネプテューヌは刀を使ったファイター、アイエフは銃内蔵型のカタールに足に自信があり中距離型、コンパは注射器(針まで合わせれば彼女の身の丈はあるサイズ)により射撃と回復のサポート役とのことだ。なんだがいい具合にバランスが整っている。

因みに俺は、魔法と剣術両方使えるオールラウンダーだ。

 

「そういえば、紅夜の武器は?見た所、格闘?」

「いや、俺は剣だよ。【昏く、暗く、深くなること闇夜の如し】」

 

虚空に手を向け言霊を呟くと、突如として手に重りが感じられ闇一色に染まった漆黒の剣が姿を現す。

身の丈はある大剣に分類してもいいくらいの大きさで、刃の中に柄があり双剣に分離もできる俺の武器だ。

どこにでもありそうな、ダンジョンで見つけた。それにしては性能が高く何故か俺しか持てない不思議なもので名前は『黒曜日』だ。

普段は量子となって俺の周囲に浮かんでおり、俺が言霊を唱えると剣の形になる。

 

「すごーい!ねぇねぇ触っていい?」

「切れ味がするどいから危ない。だからダメ」

「えーーー」

 

キラキラ目線で好奇心MAXのネプテューヌから『黒曜日』を下げた。

本当に危ないんだから、ダメだと強く言うと頬を風船のように大きくして退いてくれた。

 

「あうぅぅ……」

 

それにしても、歩きにしくい。

コンパは、絶対にお化け屋敷とか苦手なタイプだな。

いつまでも裾を掴まれたままだと、モンスターに強襲でもされた場合、危険なので俺はコンパに左手を指し伸ばした。

 

「えっ………」

「明かりがあるっていっても、足元が危ないからな。手を繋げないか?」

 

ベールやケイブ先輩はよく『女性には優しく!』と言い聞かされてきたからな。

恐る恐るコンパは、俺の左手を握ってくれた。コンパの手は柔らかくて、温かった。

 

『このフラグメイカーめ!』

「えっ! どこから謎の声が!?」

 

あっ、このバカ……。

 

『キャプテンといい、君もだけど!何でそんな簡単に”手を繋げないか(キリッ)”と言えるね! イケメン補正全開じゃないか!』

 

剣を握った右手の甲に出現した黒い宝玉から喧しく吠えるデペア。

ネプテューヌ達は目を丸くしてる。

 

「ああ、俺に憑いている……変態だ」

天壌の邪悪龍(デスペリア・ベーゼ・ドラゴン)、またの名をおっぱいドラゴン!よろしくねぇ♪』

 

 

ぱきっ……………空気が凍った。

 

 

「こいつのことは、気にするな、気にもするな、一切の声に傾けるな。変な宗教に入っているからな」

『失礼なぁ!無限の可能性ーーーおっぱいの素晴らしさを君は理解しないのかぁ!?』

「えっと………なにそれ?」

「一応、俺の相棒に……なるのか?」

『えー、君のことをちゃんとサポートしているのにそんな扱いなのー? 悲しいなぁー』

 

お前の言動に最大に問題があるんだ。

口を開けば、お前から出るのは下ネタだけだろう!

コンパは顔を紅潮して、アイエフは半眼で、ネプテューヌは目を輝かせていた。

 

「ドラゴン!?すごーい!!ブレスとか吐けるの!?」

『ふっ、僕の炎はちょっぴりーーーヒートだぜ』

「ははははっ! 渋ーい!!」

 

ドン引きするかと思ったが、ネプテューヌの器は凄いなぁ……俺は最初コイツと話した時はガチで引いたぞ。

ネプテューヌとデペアは何か共鳴するものがあるらしく、先ほどまで緊張感は銀河の彼方へ消えてしまい大爆笑が響いた。

少しだけ、こいつを知られて怖がらせてしまうかもしれないと思ったが、アイエフを見ると苦笑で、コンパは頬を緩めて、少しだけ赤い顔で笑っている。

 

「…………っ」

 

だからこそ、俺の意識は一気に疑問で溢れかえった。

ここは、洞窟内で勿論、音も反射しやすい。

だからこそ、ここで騒ぐことはモンスターに自分たちの居場所を教えるようなことだ。

 

 

なのにーーーなんで、ここんなに静かなんだ。

 

『遅いよ』

 

俺の心境を読んでいたデペアは呆れた様に声を上げた。

ネプテューヌ達は、その発言に頭を傾げた。

 

『ここには、モンスターの一匹の気配しかしない。』

「ということはボスモンスター一直線なの!?雑魚モンスターでレべ上げとか、素材回収とかしてないよ!!」

『突っ込むところはそこなんだ……ネプちゃん。君は大物になるよ』

 

俺もネプテューヌは大物だと思うよ。

さっきまで緩んでいた意識を鋭くして、ダンジョンの奥に広がっている暗黒を目掛けて気配を探ると、凄まじい巨大な闘気を感じた。

今まで戦ってきたモンスター中でも、一位二位を争うぐらいだ。

 

「紅夜……?」

「かなり大物みたいだな……」

 

思わず、冷や汗が頬に流れる。

とんでもない任務を受けてしまったようだ。

 

「大丈夫だよ!」

 

ネプテューヌが拳を作って、俺に向けてきた。

 

「きっと、なんとかなるよ!」

「……理屈なさそうだな」

「私は主人公だよ!大丈夫!今の私は最高にハイだよ!」

 

向けられた拳を見ていると、左右から拳がネプテューヌの拳に繋がれた。コンパとアイエフだ。……誰かと真正面に語り合ってモンスター討伐に向かうなんて、ベールやケイブ先輩意外と考えられなかった。

同業者には、嫉妬や崇拝な視線ばっかりで、リーンボックスを離れれば、一人だったことなんて当たり前だ。希望が来たと感謝され、当たり前だと言われ、こんな状況で不謹慎だが、とても嬉しかった。

 

 

ーーー何やっているの?彼女たちを待たせちゃだめでしょ?

 

 

心の中でデペアが俺に語りかけてきた。

ああ、分かっているよ。相手はラステイションのエリート軍隊を壊滅させた恐るべきモンスターだ。

一筋縄ではいかないことは、百も承知だった。だかこそ……一人じゃないって、心強いな。

 

ーーーふふっ、当たり前だよ。

 

俺も拳を作ってネプテューヌ達の拳にくっ付けて、大きく息を吸って吐き、心を強く引き締めて俺は口を動かした。

 

 

 

「絶対に、勝つぞ」

 

そして、三人の掛け声と共に俺達のパーティーは、再び足を進ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

四人(+ドラゴン)で周囲を警戒しながら、暗闇の道を歩んでいくと光が見えた。

右手に握った黒曜日を更に強く握りしめ、光の指す場所に行くと……

 

「い、いかにもボスイベントが起こりそう場所だね」

 

自然で出来たとは思えない光景だった。

視るだけで分かる巨大なマンホールで、俺達はその端っこから出たのだ。

視線を上げれば、そこには青空が見えた。

闘技場のような広い空間だった。観客席らしきものない。

俺は警戒心を上げながら、最寄りの壁に触れた。

 

「絶対に、可笑しい……」

「……紅夜?」

 

風化した壁が砕けてこんな巨大な空間が造られたなら理解できるが、これはあまりに綺麗すぎる。

さっきまでの凸凹道が、嘘の様に平行になり、壁は鋭い物で切れられたかのように見える。

 

これでも、数々のダンジョンを渡り歩いてきたんだ。

地形を見る目はあるつもりだ。そんな俺でも、こんな自然の風味がする洞窟から一気に人工で造られたものでしか考えれない空間に出たのは始めてだ。

 

「……注意して進むよう」

 

ネプテューヌに何より自分に言い聞かせるように俺達は足を進めて、ちょうど中央に差し掛かった時だったーーー

 

『上だ!!!』

「「「「!?」」」」

 

デペアの声と共にミサイルが地面に直撃したと錯覚を覚えるほどの轟音と土煙を上げた!

 

「ボスの登場はいつだってダイナミックなのは知っているけど、やっぱりリアルとなると違うね……」

「そんなこと、言っている場合じゃないでしょ!?」

 

砂塵が風に流され、落ちてきた奴の全貌が現れになっていく。

大木のような太い二つの腕には、錆だらけの大斧が握られ、圧倒するほどの強靭な土色の肉体に、貌には二つの角が生えた兜を装着している。

凶悪と言えるほどの存在感、いままでのモンスターとは次元が違うとはっきり言える。

確かに、これは神宮寺教祖が言っていたようにーーーこれは鬼だ。

 

 

『■■■■■■■■■■■ッッッーー!!!!』

 

 

耳を抑えてしまうほどの咆哮、微かに体に纏っていた砂塵は、それだけで虚空の彼方へ消し飛んだ。

俺はそんな化け物の前にゆっくりと深呼吸をして、黒曜日の剣先を向ける。

 

「コンパ、大丈夫か」

「はっ、はいですぅ……」

 

やはり、ネプテューヌの様な能天気(ボジティブとも言う)や、慣れたアイエフとは違い、コンパにはーーー

 

「だ、大丈夫です!みんなの足手まといにはなりません!」

 

自分の足で、立ち上がり自身の武器である巨大な注射器を構える。

横に目を向けると既に、袖からカタールを構えるアイエフにーーー鎧を纏い刀を美女が

 

「…………誰だお前!?」

『おーっ、巨乳…Eか』

「私? 私はネプテューヌよ」

 

絶句した。俺の頭一つぐらいに背が低い奴が、いきなり俺と視線が同じくらいまでになり、幼い顔つきはクール系の美女へと変身して………変身?

 

「それが、お前の変身……か?」

「ええっ、本当なら戦闘中にしようかと思ったけど、流石に奴は伊達じゃないことは肌で感じたから、最初から全力を出すことにしたの」

 

レオタードと水着を組み合わせたような服装でそれは色々と素肌が見えて、露出が激しいと言うか……

 

『スタイルがくっきり……ハァハァ』

「お前は、黙ってろ!」

「ふふっ、やっぱり男の人はこれが好きのかしら?」

 

と、ネプテューヌ(?)は強調するように片腕で掬うように豊富な胸を持ち上げた。

 

「ぶっ…! あ、アホしてないでとっととモンスター討伐開始するぞ!!」

 

後ろから絶対零度の視線が感じる。

コンパ、なんでそんなに暗い瞳で俺を見てくるんだ!?。

アイエフはヤレヤレだわとか呆れているよ。強敵を目の前してこの空気はなに!?

 

「……………」

 

あの鬼のようなモンスターは、「えっと、もういいですかー?」って言いたげな困り顔でこちらの様子を見ているぞ!。

本当は兜で表情が見えないけど!きっとそうだよ!

 

「ぐっ、おいモンスター!お前は、俺が討伐する!!」

「……■■■■ッッッッッーー!!!!!」

 

俺の言葉にモンスターは、その手に握っている巨大な斧を構えて、俺達に襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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