No.56955

再会の時

さん

まだまだ妄想は止まりません!
私立入試前日ですがそんなものは気にしない!
ではスタート!

2009-02-09 04:08:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2202   閲覧ユーザー数:2046

エミルがマルタに自分の今の思いを話し、共に(エミルは最後まで拒否しようとしたが)身体を寄せ合って眠りについた・・・はずなのだが。

 

「(・・・ここはどこなんだろう?)」

 

おかしい。自分はマルタが積極的に身を委ねて来る中、こみ上げてくる恥ずかしさから何とか眠りにつけたはずだ。

 

しかも意識がさっきとは嘘のようにハッキリとしている。ここで一つの仮定ができた。

 

「(・・・ぼくの夢の中・・・なのかな?)」

 

エミルはここが自分の夢の中なのでは?と思った。

 

今まで数々の夢を見てきたが、ここまでハッキリと鮮明に写る夢は自分が旅の中でリヒターに殺される夢以来だった。

 

しかもこの空間をよく見渡してみると、かつてエミルの人格とラタトスクの人格が互いの思いをぶつけ合った場所によく似ていた。

 

いや、もしかすると「似ている」のではなく「同じ」なのかもしれない。

 

『(よう。)』

 

「(っ!?」)

 

エミルは急に声がしてきた方向で驚きつつも振り返った。

 

「(えっ!?)」

 

そして再び、驚いてしまった。そこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(久しぶりじゃねえか、俺。)』

 

世界の新たな理を引く為に、ギンヌンガ・ガップの前で今も世界を守り続けているはずの、精霊ラタトスク、もう一人のエミルがいた。

 

「(な、何でキミがここに居るの!?え?えぇ!?)」

 

『(少し落ち着けよ・・・。俺がここに居る事に驚くのは分かるけどよ・・・。)』

 

「(そ、そうだよ!キミは今ギンヌンガ・ガップをリヒターさんと一緒に世界を守ってるんじゃなかったの!?ま、まさかやっぱり人間が憎いからまた世界を滅ぼそうと・・・。)」

 

『(ち、ちげぇよ!お、お前なら俺の考えてる事分かるだろーが!)』

 

「(・・・あ、そうか。ぼく達は元々一つだった存在だから連絡も取り合える事ができるんだったね。何か最後のほうにテネブラエがそれっぽいこと言ってたけど。)」

 

『(・・・お前、自分の記憶思い出したんだからそれぐらい分かるだろーが・・・。)』

 

「(何かこの設定ってアビ○っぽいよね?)」

 

『(おっ、おい馬鹿!何気にメタな発言してんじゃねえっ!)』

 

口ではそういってるラタトスクも何気にギリギリな発言をしている事に気がつかないのだろうか?

 

『(だってキミも何かあの「この屑がっ!』とか言ってるあのアッs『(もういいその話からはずれろっ!』)

 

もうめちゃくちゃである。

 

「(ごっ、ごめん・・・。まさかもう会えないって思ってたキミといきなりこんな形でまた会うとは思わなかったから・・・。)」

 

『(・・・まさか俺もお前と会っていきなりこんなこと言われるとは思ってなかったよ。)』

 

お互いにパニくり過ぎなのではないのだろうか。

 

「(あっ、そういえば!リ、リヒターさんは・・・元気かな・・・?)」

 

エミルは人柱になるために残ったリヒターの身を心配していた。

 

彼なら知っているだろう。だからエミルは自分が今ものすごく気にかけていた疑問をぶつけた。

 

「馬鹿。元気も何も、今は魔族どもに扉を破られないように人柱になってるからな。)」

 

「(・・・そうだったね。)」

 

『(・・・だが、時折俺と会話ぐらいはできる。別に大丈夫なみたいだぜ。)」

 

「(ほ、ほんと!?」)

 

『(ああ。ま、会話も長くは続かないがな。」)

 

「(良かった・・・。本当によかった・・・)」

 

エミルは安堵感から、思わず腰を抜かしてしまった。

 

初めて出会った、自分に勇気をくれた人。

 

色々と、臆病だった自分を後押ししてくれた人。

 

いくら自分のした事を償う、といっても元々彼に罪はなかった。

 

むしろ悪いのは彼の大切な親友を殺した、自分だというのに。

 

自分のせいで、今回のような騒動を起こした。

 

最終的には、その事を許してはくれたが、自分にはまだ踏ん切りがつけていなかった。

 

そのこともあって、エミルはラタトスクである彼と分離して人間エミルとしての生を受けた後もリヒターの事を気にしていた。

 

『(そう言うお前は?)』

 

「(え?)」

 

『(そういうお前は、今何してんだよ?)』

 

「(ぼくは・・・)」

 

その後エミルとラタトスクは、最近の自分達の様子をお互いに話した。

 

エミルは、ラタトスクとリヒターが共に守った世界を守ってゆく決意をして、魔物退治屋になった事。

 

ラタトスクは、世界の理を変える作業が思いのほか順調に進んでいる事。

 

お互いにとても楽しそうだった。

 

『(しっかし、お前が魔物退治屋か・・・。ひ弱な坊やだったお前とは思えねぇな。)』

 

「(ひ、ひ弱って・・・。ま、まぁそうなんだけど・・・。)」

 

『(ははは・・・。ん、そろそろお前が目覚める頃だな・・・。)』

 

「(あれ、もう朝なの・・・?)」

 

『(ああ、じゃあな。また夢で会おうぜ。)』

 

「(うん。リヒターさんによろしくね。)」

 

『(ああ・・・。)』

 

こうして、エミルの意識はそこで途切れた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エ~ミ~ル~ッ!!起きてよ~っ!!」

 

「う、ううううん・・・。」

 

「はぁ・・・寝顔のエミルって可愛い・・・じゃなくて!起きてよエミルッ!朝一に魔物退治に行くんでしょ!?」

 

「・・・あ、あぁぁぁぁ!!そうだった!」

 

「も~、早く行くよ!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってルイン付近の小村。

 

「えーと・・・。あなたが魔物退治屋の・・・?」

 

「は、はい。エミルといいます。」

 

「そちらの方は・・・?」

 

「はい、エミルの助手を務めている、マルタといいます。」

 

「そうですか・・・。では今回の依頼ですが・・・。」

 

説明を受けたエミル達は、早速例の魔物が潜むと言われている洞窟へ向かった。

 

今回の魔物はドラゴンらしい。

 

目撃情報からして、おそらくウィルムと呼ばれる地属性の魔物であろう、とエミルは判断した。

 

一人ならおそらく苦戦しただろうが、今回はマルタがいる。

 

二手に別れ、前後から挟撃すれば楽に勝てると踏んでいた。

 

 

 

 

 

 

グォォォォォッッ!!

 

「くっ・・・!マルタ!大丈夫!?」

 

「わたしは何とか・・・!それよりエミルは!?」

 

「うん、ぼくも無事だけど・・・。」

 

ガァァァァァッッ!!

 

ガキィンッ!!

 

「くっ!瞬連刃ッ!」

 

フォンフォンッフオォンッ!!

 

ガァッ!!

 

 

 

 

誤算、だった。

 

先ほど考えていた事は、あくまでもウィルム一体のみの場合だった話だ。

 

だが目撃証言とは別のドラゴンが二体いた。

 

その二体がシャドウドラゴンとファフニールだった。

 

どちらもドラゴンとしては上位クラスの方だったので、エミルとマルタは苦戦を強いられていた。

 

「エミルッ!危ない!!」

 

ゴァァァァァァ!!!

 

「うわっ!!」

 

シャドウドラゴンの火球がエミルを襲った。

 

この死角から繰り出された攻撃で少し反応が遅れた。

 

身体に当たりはしなかったものの、とっさに剣で受け止めたためその衝撃がエミルを吹っ飛ばした。

 

地面に叩きつけられる直前に受身を取って更なるダメージは免れたが、攻撃は終わらない。

 

ガァァァァァァァ!!!

 

ゴァァァァァァ!!!

 

グォォォォォォ!!!

 

「くっ・・・!」

 

襲い掛かる、三体のドラゴン。

 

エミルはこの状況を打開する策を考えようとしたが、時間がない。

 

まさに万事休す、かと思われたその時だった。

 

「魔神剣・双牙ッ!」

 

「レイトラストッ!」

 

グォォォォォ!?

 

突如現れたロイドとコレットによって放たれた技がドラゴン達に直撃した。

 

予想外の奇襲でドラゴン達は警戒したのか、少しロイド達と距離をとった。

 

「二人とも!大丈夫か!?」

 

「ロ、ロイド!どうしてここに!?」

 

「話は後だ。それよりこいつらを!」

 

「うん!」

 

エミルとマルタはロイド、コレットの助力を得て、体勢を立て直した。

 

四人はすぐさまフォーメーションを決め、個々の役割を確認してドラゴン達にあたった。

 

「御許に仕える事を赦し給え。響け、壮麗たる歌声よ・・・。」

 

コレットの詠唱と同時にエミルとロイドがドラゴンに向けて突っ込んだ。

 

「皆を守って!ホーリーソング!!」

 

コレットのホーリーソングにより、力が漲る様な感覚を受け、果敢に攻撃を開始した。

 

「はっ!虎乱蹴ッ!」

 

グォォォォォ!?

 

「くらえっ!獅子戦吼ッ!」

 

ガァァァァッ!!

 

「はぁっ!烈風燕波ッ!」

 

ゴォォォォッ!!

 

ホーリーソングにより物理攻撃が上がったため、あまり効かなかった攻撃が少し届いていた。

 

だが、それでも倒すにはまだ攻撃力が足りなかった。

 

「予想通りだな・・・。エミル!俺と一緒に敵を抑えるぞ!」

 

「分かった!」

 

「マルタ!コレットと一緒に術の詠唱を!」

 

「オッケー!」

 

グオォォォォッッ!!!

 

ドンッ!!

 

「火球だ!避けろエミル!」

 

「分かってる!」

 

ズドーンッ!!

 

誰にも当たらなかった火球はそのまま地面に直撃した。

 

そしてエミルは火球を撃った後に空中から降りてくるドラゴンを狙った。

 

「今だっ!雷神、烈光刹ッ!!」

 

グガァァァァァッ!!

 

ズゥゥゥン・・・!!

 

連撃で相手を攻撃し、とどめの斬撃と共に素早く相手の背中に回り込みダウンさせる奥義、雷神烈光刹がシャドウドラゴンに決まった。

 

シャドウドラゴンは体勢を崩し、そのまま倒れこんだ。

 

「吹っ飛べ!獅吼旋破ッ!!」

 

ガァァァァァッ!!

 

ゴガァァァァァッ!!

 

ズズゥゥゥゥン・・・!!

 

回転斬りのあとに獅子の闘気を飛ばし、敵を後退させながらダウンさせる奥義、獅吼旋破が決まり、こちらもエミル同様体勢を崩して、その場に倒れこんだ。

 

「今だっ!コレット、マルタ!!」

 

「裁きの光を!!ジャッジメント!!」

 

「剣に秘められし七色の裁きを受けよ・・・プリズムソード!!」

 

ズドドドドド!!

 

グガァァァァァッ!!

 

ゴォォォォォォォッ!!

 

ガァァァァァァァッ!!

 

上空からの裁きによって敵全体を攻撃する天使術と、対象を中心に6つの水晶が降り、その中央に巨大な剣が突き刺さる上級魔術がドラゴンを攻撃した。

 

ドラゴンの断末魔が響き渡り、光が消えるとドラゴン達も沈黙していた。

 

「余裕だな!」

 

「楽勝だね!」

 

「ヨユピンだね!」

 

「ピ、ピンはどこからきたの、ねぇ?」

 

お決まりの戦闘後ボイスも忘れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、どうしてロイドたちがここに?」

 

「ああ、リーガルからエミル達を迎えに行ってくれって頼まれてな。ところがお前らが朝早くに魔物退治に出かけたって聞いてな・・・。助けに来たんだ。

 

「ロイド・・・。ありがとう。」

 

「気にすんなよ。俺達は仲間だろ?」

 

「うん!そうだね!」

 

「・・・にしても、お前なんで魔物退治なんかやってんだ?」

 

「あはははは・・・。ま、まあそれにも色々と理由があって・・・。」

 

「エミル、理由って何?」

 

と、コレット。

 

「また後で話すよ。」

 

「よおし!魔物退治も終わったし、早速アルタミラへ行くかぁ!」

 

「「「おぉーっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

魔物退治編、如何でしたか?

まあまあ駄文なりに満足していただければ嬉しいです。

 


 
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