箒達は目を開けると森の中にいた。
「ここは・・・・一体・・・・・」
箒達は辺りを見渡していた。すると山田先生が一人の黒人の少女に気付く。
「あ、あの、すいません。ここはどこですか?」
山田先生は少女に尋ねるが少女は答えようとしない。少女は片手で箒達にこっちに来るようにと手を動かす。
「あれって呼んでいますの?」
「ど、どうする?」
「と、とりあえず付いて行こうよ。」
「だな。どの道ここが何処だかわからない以上着いていくのが得策だな。」
箒達は少女に歩み寄る。ある程度の距離に近づくと少女は箒達に背を向け走り出した。
「あ、待って!」
箒達は少女を追いかける。しばらく歩くと謎の遺跡が見えてきた。
「あれって・・・・・遺跡ですよね。」
「ああ・・・・だが何だあの遺跡は見たことが無い。」
「あの子は?」
箒達は辺りを見渡すが少女の姿は見当たらない。
そのとき頭に語りかけてくるような感覚がしてくる。
「なんか・・・・呼んでる・・・・・」
「あの遺跡から?」
箒達はおそるおそる遺跡に近づいた。近づくほどに不気味な感じがする。
「中に入ってみる?」
「ど、どうしましょう・・・・」
「しかし私達はここで立ち止まっていても何のしようも無い。」
「いっくんのことが知れるなら入ってみようよ!」
束の言葉に一同頷き遺跡の中に入る。遺跡の中に入ると壁に古代の時代から書かれていると思われる物が壁に飾られていた。
「ねえこれって・・・」
「ウルトラマン?」
「ビーストも書かれているぞ。」
「でもこれってだいぶ昔だよね。」
「なんなんだここは?」
箒達は遺跡の最深部へと向かう。最深部には石の状態のストーンフリューゲルがあった。
「これって・・・・」
「あの時の・・・・」
「石の・・・飛行体。」
箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、千冬は見覚えがあった。バグバズンの戦闘終了後に目撃した謎の石の飛行体・ストーンフリューゲルであった。
「ど、どうしますか?織斑先生。」
「とりあえず・・・・触れてみるか?」
「もし何か起こったら・・・・」
「その時はその時で対処をすればいいですわ。」
「そ、そうだな。」
「そうね。」
セシリアの言葉に一同賛同し、石の状態のストーンフリューゲルを囲む形で一同並ぶ。
「皆さん、無理をしなくてもいいんですよ。」
「山田先生が言いますか?」
「ふふふ、そうですね。」
「ここまで来たら最後までいこうよ。」
「じゃあ行くぞ。せぇの!」
一同同時に触れた瞬間、またしても光に包まれる。
そして箒達は謎の空間に浮いていた。
「ここどこ?」
「もう何がなんだか・・・・・」
「・・・・あっ!」
「どうしたのよシャルロット?」
「み、皆!あ、足元!」
シャルロットの言う通りに足元を見ると足場が無かく浮いていた。自分達が浮いていることに今はじめて気付いたのである。
その時、目の前にネクサスが現れた。
「い、一夏!?」
鈴が訊ねるとネクサスは首を横に振った。
「この人は今織斑一夏君と離れているよ。」
ネクサスの前に黒い肌の少女が現れた。
「彼は人の言葉が喋れないの。代わりに私が彼の伝えたいことを話すわ。」
「あの・・・・・あなたは?」
「あ!自己紹介がまだだったわね。私はセラ。ジュンの友達。」
「ジュン?」
「うん。」
「あの、聞いてもいいですか?」
「なに?」
山田先生がセラに訊く。
「どうしてあなたはここにいるんですか?」
「私はもう死んでいるから。」
箒達はセラの発言に驚きを隠せなかった。
「私は戦争の中で死んじゃったの。今は魂だけ。」
「そんな・・・・」
「でもジュンが私の生きている写真を撮ってくれた。だから私は後悔なんてしてないよ。そろそろ本題に入ろうか。」
セラはネクサスの方を向く。ネクサスは頷いた。ネクサスはf15と赤い発光体が接触する映像を空間に出した。
「彼が地球にあいつを追いかけてやって来たときに地球人と接触した。その時あいつと青の人は融合した。」
「必然的にか?」
千冬がそう聞くとセラは首を横に振った。
「偶然にも、いえ、彼はそのことを運命と言ったわ。その人の名は真木純一。初めてウルトラマンになった地球人よ。」
「どうしてこの星に来ましたの!?」
「地球人が接触してはいけない敵、あなたたちの仲間はそいつを『ザ・ワン』と呼んだわ。」
「まさか!?」
千冬は察した。
「多分あなたが考えているのと同じよ。覚えてる?『新宿大災害』を。」
「僕聞いた事がある。でも確かあれって・・・・」
「表向きは隕石が落ちてきたってことになっているとけど、本当は違うの。」
ネクサスはザ・ワンに食われた男性の姿が映し出された。
「彼は有働貴文。ザ・ワンに憑依された人間。」
「どういうことよ。」
「彼はザ・ワンに偶然にも遭遇した。彼は肉体も心もザ・ワンに食われてしまったわ。彼は真木と戦う宿命となってしまったわ。これがその映像よ。」
そこにはザ・ネクストになる真木の姿とザ・ワンになる有働が地下で戦っている姿が映し出されていた。
「なんだ・・・これは・・・」
「驚くのも無理はないわ。これは表には公開されてないんだから。彼らのことはそこの三人は覚えているみたいだけどね。彼らは地下で戦っていたわ。でもザ・ワンはネズミを身体に融合させて進化したわ。真木も守りたい気持ちから進化したわ。二人は地上で、食う空で戦ったわ。その時に新宿が被害を受けた。彼も死者を出してしまったことに後悔しているわ。彼はザ・ワンを粒子状に分解したわ。」
「それで戦いは終わったんですか?」
「いいえ。あいつを完全には消せなかったわ。その影響でビーストが生まれた。そして五年の月日が流れた。彼は自分と融合できる地球人、デュナミストを探したわ。」
「デュナミスト?」
「的能者のことよ。無理に人間と融合するとその人の命を落としかねないの。だから彼は昔からやって来た方法で探したわ。」
「昔から?」
「ええ。彼は太古の昔しから光の継承者を探し、何度も傷つき、何度も倒れ、何度も立ち上がり、人々に光を与えたわ。希望という光をね。そして二人目の継承者は彼よ。」
ネクサスは姫矢の姿を映し出した。
「姫矢さん!?」
「楯無さんも知っているんですか?」
「ええ。前に一夏君がウルトラマンなのか聞いたわ。でも彼は答えなかったけど。」
「それはそうね。ジュンが言うべきことじゃないもの。」
「ジュンって・・・・まさか姫矢さんのことですの?」
「そうよ。ジュンは自分が生きている写真を撮っていないのに賞を取ったことに後悔をしてたわ。そんなジュンに彼が光を与え、そして自分のなすべきことを教えたわ。」
「なんだったんですか?」
「守れなかった分を、光で人々を守り、写真で伝えることよ。」
「そうなんですか。」
「そして彼が光を継いだわ。」
ネクサスは千樹憐の姿を出す。
「憐さん!?」
「ええ。彼はクローン人間よ。でも彼は細胞のアポトーシスが身体全身に起こったわ。止まることなくね。」
そのことを聞いた山田先生は驚きを隠せなかった。
「そんな!」
「彼はそのことを知って施設から飛び出し、一人生きていたわ。死の恐怖に犯されながらね。そんな彼に彼は光を与えた。そして彼女と出会わせたわ。」
ネクサスは瑞生の姿を映し出した。
「瑞生さん!?」
「彼女はTLTのメンバーで彼を監視する役目だったわ。でも、彼女は彼に恋をした。彼がウルトラマンだと知っても彼女はその恋を諦めなかった。そして彼は全ての集合体と戦ったわ。」
「全ての・・・・集合体?」
「そう。あなたたちはそれをこう読んだわ。『イズマエル』と。」
「イズマエル・・・・」
「イズマエルは今まで戦ったビーストの集合体よ。弱点がないといっての過言ではないわ。彼は死にかけている状態で戦ったわ。」
ネクサスはイズマエルとネクサスが戦っている映像を出した。
「でも彼は倒れた。そして彼は気付いたの。光が希望であることを。そして彼は死ぬためでなく生きるために立ち上がり、イズマエルを倒したわ。彼のアポトーシスはプロメテの子達が治したわ。」
「これで終わったのですね。」
「いいえ。知っているかもしれないけど奴らは宇宙から恐怖心を餌にして地球に来ているわ。戦いは終わらないの。それにこの話にはまだ続きがあるの。」
「なんでですか?」
「気付かない?どうしてこうもいきなりビーストが出現したのか。」
「確かにそうですわ。」
「それが誰かによって引き起こされていたの?」
「そうよ。」
ネクサスは石掘光彦の姿を映し出した。
「この人がしたのか?」
「とてもそんな風には見えないわ。」
「見た目はね。正体はこれよ。」
ネクサスはダークザギの姿を映し出す。
「ウルトラマン!?」
「いいえ。これはさそり座球状星団M80で人工的に作られたウルトラマン。いえ、ウルティノイド・ザギよ。」
「ウルティノイド?」
「ウルトラマンのまがい物。ビーストを戦うための兵器。でもこいつは歪んだ自我に目覚めてしまったわ。自らの進化のためにビーストを増殖・進化させてしまったわ。その星に住んでいた人たちはザギの脅威を防ぐために自らの星を超新星爆発させたわ。そして彼らは『来訪者』として今もこの地球に住んでいるわ。」
「宇宙人が地球に!?」
「おかしなことではないわ。ウルトラマンだって宇宙人よ。それに外の星から見てもあなたたちは宇宙人に見えるわ。」
「そ、そっか・・・・そうだよね。」
「来訪者たちは地球人に色々な技術を教えたわ。篠ノ之博士、あなたの開発したISも来訪者達が教えた技術を応用されているわ。」
「束さんが作ったISに!」
「ええ。そして四人目のデュナミスト、西条凪が光を受け継いだ途端に奴は活動を活発化させたわ。彼女が変身した途端、彼の姿になった彼女は闇に取り込まれたわ。」
ネクサスは西条凪の姿を映し出した。
「この人って!」
「知っているのかシャルロット。」
「うん。一夏と一緒に出かけたときに出会った人だよ。」
「彼女はザギに母親を殺されたの。彼女にはビーストへの深い復讐心だけがあったわ。彼女は復習のために変身をしたわ。でも彼女は闇に摑まってしまったわ。そんな彼女を彼が救ったわ。」
ネクサスは弧門の姿を映し出した。
「この人って・・・・・」
「彼は弧門一輝。彼は織斑千冬さん、あなたと似ているところがあるの。」
「私と似ているところ?」
セラは頷く。
「彼は最愛の人をビーストによって殺され、その人を操り人形にされたの。」
「マドカと同じということか。」
「そう。彼女を操っていた人物は光を自身の意思で得て、そして光として死んだわ。マドカちゃんに力を貸してあげたわ。」
「マドカは今・・・・」
「彼女は今あなたたち兄妹を見守っておるわ。たまに私とお話もするわ。」
「そうですか・・・・・よかった。」
「話を戻すよ。彼は何度も絶望の淵に立たされたわ。それでも何度も立ち上がったわ。そして彼が六人目のデュナミストとなったわ。彼は光を得て、絆を得たわ。そして彼は彼を本来の姿に戻したわ。」
ネクサスはウルトラマンノアの姿を映し出した。
「これがウルトラマンの本来の姿・・・・」
「そして彼はザギを倒したわ。ザギがまいた種は今もはびこっているわ。世界はビーストと戦ったわ。」
「でもそれが本当なら何故一夏がデュナミストになったのだ。無理やりさせたのか!」
「いいえ、光を受け継ぐのは本人の意思よ。」
「なんで一夏はデュナミストになることを選んだのよ。」
「それは、彼が彼に助けられたからよ。」
「何時だ、何時ウルトラマンに助けられたんだ!」
「あなたならわかるはずよ、織斑千冬さん。」
「・・・・・・まさか!」
「そう。一夏君が誘拐された日よ。」
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目を開けると箒達は森の中にいた。そして箒達は光を受け継いだ者達の歴史を知る。