文字サイズ:
幅:
拠点:美華
「美華の掃除日常」
ある部屋から鼻歌が聞こえる。その鼻歌は美華から発せられている。
現在美華は部屋の掃除をしている。
本来なら料理も含め侍女等の役目ではあるのだが、彼女がそれを断る。
(私達の愛の巣に入れてたまるものですか)
これが理由である。尤も仕事上などで部屋に入れるのは仕方ないと何とか受け入れている。しかしそれ以外で
は断固拒否だった。
ふと一旦掃除を止める。
床に顔を近づけ何かを見つける。
(あ、一君の髪の毛だ!)
うっとりしながらそれを拾う。
(ふふふ、また一君の髪の毛が増えたわ……これで一万八千五百二十七個目ね)
彼女は一刀の髪の毛などを集めてはコレクションのように集めていた。
その後、気を良くして鼻歌の音が高くなる。
そして床から何かを見つける。
(こ、これは……司馬望の毛!)
それを素早く拾う。
拾った後はそれをこの世に存在してはならないと言わんばかりの汚物として見る。
(消えろ!)
それを持参した小さな木箱の中に入れる。そこらにある埃以上に乱雑に。
今度は気を悪くし鼻歌が無くなる。
(ん? これは私のだ)
自分のものは普通に処理をした。
(あ、これは賈充のね! ……これは鄧艾! そして王濬! ……杜預まである! あの女もやはり警戒すべき
ね! 匂いを覚えよう……)
美華は杜預の髪の毛を手のひらに乗せ、匂いを嗅ぐ。
(……覚えたわ……)
実は彼女、大半はこの方法で一刀に付いている女性の匂いの元を覚えるのだ。
その後も掃除を続け、一刀のは大事に取っておき、自分や彼の父の物は普通に処理、自分以外の女性の物は木
箱に入れるという作業を繰り返す。
――そして彼女にとって悲鳴を上げたくなる事が起こる。
(な、なによこれ……)
それは二人が寝ている閨にあった。
(な、なん、なんで司馬師の髪の毛がこんな所にあるのよ! し、しか、しかも一君が寝るところに! あの
女! なに考えてんのよ!)
彼女はそれを引っ手繰るように拾う。
(何してるのよ! 一体!)
瑠理が何をしようとしていたか想像しそうになるが慌てて頭を振って消す。
(しょ、処分よ……処分しなくちゃ!)
そう決意した美華は急いで掃除を終わらせた。
美華は外に出て、木箱に入れた女性の髪の毛を下に落とす。そして火を付け燃やす。
(アハハハハハ! 汚物ハ消毒ヨ!)
完全に燃え尽きるまで、彼女はそれを睨み続けた。
Tweet |
|
|
28
|
2
|
美華の日常風景の一つ。