翠屋の騒動から1週間がたち、現在は久しぶりのウイルス・コア集めをしている。
そのため今は、空間翔転移を使って次元世界の砂漠地帯に居る。
「マスター、二時の方向に敵が3体います。」
「了解、今から向かうよ。」
イースの指示により、僕は敵の居る場所へ向かう。
「見つけた。いくよ、イース!セットアップ!」
「はい、マスター、セットアップ!」
デバイスを起動して、バリアジャケットを展開する。
「イース、1stフォームの起動お願い。」
「はい、1stフォームを起動します。」
右手を宙にかざすと、刀身が紅色の刀が現れ、それを掴む。
「私たちも行くよ、シャル!セットアップ!」
「お任せください、お嬢様!セットアップです!」
隣に居るアリスもデバイスを起動させ、バリアジャケットを展開させる。
そして右手は、先端に星、その周りに白い翼が付いている杖を掴んでいる。
「よし、アリスは補助をお願い!行くよ、イース。」
「はい、マスター。」
僕は敵の前まで走り込み、懐に潜り込むと、足に魔力を籠めて蹴りあげる。
蹴りあげた後、自身も飛び上がり、飛び込み斬りからZ型に切り刻む。
「邪霊一閃!」
敵はZ型に切り刻まれ、倒れる。
「マスター、左右から敵が来ます。」
「よし、今だアリス!」
僕はアリスに指示を促すと、バックステップで後ろに下がる。
「まっかせてー!・・・聖なる槍よ、我にあだなす敵を貫け!ホーリーランス!」
アリスは術式を展開させ、複数の聖なる槍を中央に集まる敵に放つ。
放たれた複数の聖なる槍は、敵に突き刺さりそのまま後方へ敵を飛ばす。
「今だ、黄昏の腕輪術式解除!」
左腕を前方に掲げると、術式が発動し、腕輪が展開する。
「いっけぇ!データドレイン!」
展開された腕輪から、巨大なエネルギー砲が発射されて敵に激突する。
エネルギー砲に激突した敵は、霧状になって姿を消し、替わりに青い石が表れる。・・・これがウイルス・コアだ。
僕はイースをウイルス・コアに近づけ回収をする。
「よし、回収完了かな?」
「ふにゃ~、久しぶりの戦闘は疲れるよ・・・」
「そうだね。それじゃあ、戻ろうか。」
僕は砂の上に座りこんでいるアリスに手を差しのべる。
「は~い。」
アリスが僕の手を掴んで立ち上がると、突然地震が起こる。
「きゃあ!」
「っ、アリス!」
体制を崩して転けそうになるアリスを受け止める。
「大丈夫?」
「う、うん。それよりもこの地震は一体・・・」
「イース、敵の反応は?」
「敵の反応・・・近くに…いえ、来ます!」
「えっ!?」
ザッバァァァン!と大きな砂の音を経てて、砂の中から巨大なモンスターが出てきた。
「大きい・・・」
砂の中から出てきたのは、3メートル近くあるスライム型のモンスターだった。
「イース、敵の分析を。その間に僕たちで抑えるから。」
「わかりました、データ分析を開始します。」
イースから敵を調べる技、エネミーサーチが発動される。
「いくよ、アリス!」
「うん!」
僕は向かってくるモンスターに刀を突き刺し・・・
「秋沙雨!」
高速の突きをかます。
突きを受けたモンスターに複数の風穴があく。
「いっくよー!ホーリーランス!」
僕は後ろから来る複数の槍をかわす為に飛び上がる。
槍が当たったモンスターは、バラバラになる。
そして空中で体制を整え、バラバラになったモンスター目掛けて・・・
「崩雷殺!」
刀を突き立て雷撃を放つ。
雷撃を受けたモンスターは、粉々になった。
「終わり、かな?」
粉々になったモンスターを見るために、近づく。
「マスター、まだです!」
「え?どういう事?」
「よく見てください。まだ、完全には倒していません。」
「っ!?」
僕は驚愕した。・・・これは、元の形に戻ろうとしているのか!?
粉々にした筈のモンスターが、再び1つに戻ろうとしている。
「うぇ~、気持ち悪・・・」
隣にいたアリスも顔をひきつらせている。
・・・確かにグロイね、これは。
「マスター、分析完了しました。」
「それで、あれはどうやって倒すの?」
「はい、あのスライムは防御力と再生能力がすこぶる高いです。ですので、並大抵の魔法では倒せません。」
「・・・つまり、Sランク並みの威力の魔法でしか倒せないってこと?」
「その通りです。」
「でもでも、私もお兄ちゃんもそんなに魔力は高くないよ?」
確かに。・・・僕もアリスも魔力量は精々Aランク位だ。
「それでしたら、私に良い方法があります。」
「「良い方法??」」
僕とアリスは同時に首を傾げる。
「イエス、その方法とはマスターとアリス様がユニゾンをするという事です。」
「・・・ユニゾン、ってなに?」
「あ、私もそれ聞きたかった!」
「融合して、身体能力や魔力を驚異的に向上させる事です。ですが、その反面体に負担がかかるので、余り乱用するのは得策ではありません。」
「成る程、使うタイミングも考えなきゃいけないのか・・・でも、どうやってそれを行うの?」
「とりあえずは、私が指示をしますので指示通りにして下さい。」
「頼むよ。よし、行くよアリス」
「う、うん・・・」
返事をしながらも、アリスは不安そうにしている。
・・・やっぱり不安なのかな。
そんな不安を和らげる為に、僕はアリスの手をやさしく握る。
「あっ・・・」
手を握られたアリスは、小さく声をあげてこちらを見る。
「大丈夫だよ、僕を信じて。」
「・・・うん///」
アリスは頬を微かに赤く染め、笑顔で小さく頷く。
うん、大丈夫そうだね。
「イース、お願い!」
「はい。まずは、互いの手を重ねて下さい。」
僕とアリスは互いの右手と左手を重ね合わせる。
「次は、瞳を閉じて頭に流れる言葉を繰り返してください。」
瞳を閉じると、頭に文字が浮かびあがってくる。
「「我ら2人、その不滅なる永久の契約に誓わん・・・」 」
「汝、アリス・マクガーデンに宿りし我が白き鎧と力の一部よ、その力を開放せよ。」
「我、アリス・マクガーデンは汝、の白き鎧となりて汝に力を戻さん。」
「「ユニゾン・・・イン!!」 」
詠唱を終えた2人の体は白い光に包まれていき、光が収まると白髪だったエミルの髪はアリスのブロンド色になっており、瞳の色も赤色から水色に変化している。
「成功・・・ですね。」
「これが、ユニゾン・・・」
すごい!・・・体の底から力がみなぎってくるようだ。
「よし、行くよアリス!・・・ってアリスは?」
『ここに居るよ~』
「っ!?」
突如、アリスの声が頭に響いてきた。
え、え?どういう事?
「心配いりませんマスター、現在アリス様はマスターと1つになっておられるのです。」
「そうなんだ・・・」
ふぅ…よかった。
「マスター、敵は完全に修復しました。ですが今はこちらに気づいていませんので、やるなら今がベストです!」
「わかった、アリス、大技決めるよ!」
『うん!』
「『天光満つる所に我はあり、黄泉の門ひらく所に汝あり、出でよ神の雷・・・』」
詠唱を始めると、足元に術式が展開される。
「『インディグネイション!!』」
言葉と共に敵の頭上からドーム状の雷が巨大スライムに落ちる。
雷に直撃したスライムは跡形もなく吹っ飛んだ。
「なんて威力なんだ・・・」
余りの威力の高さに体が僅かに震える。それに、少し体が重く感じる・・・
「マスター、魔力が著しく低下しています。すぐにユニゾンを解除してください。」
「う、うん、ユニゾン解除・・・」
僕の体から光の玉が出てきて、やがてアリスの姿に戻る。
元の姿に戻ったアリスは、僕の姿を見るなり駆けつけて来た。
「大丈夫、お兄ちゃん・・・?」
そして、心配そうに顔を覗きこんでくる。
「ん、平気だよ。・・・少し、疲れただけだからさ。」
心配ないよと笑顔でアリスに笑いかけ、バリアジャケットを解除して立ち上がる。
「マスターもアリス様も大変お疲れの様子です。今は早く帰ってお休み下さい。」
「うん、そうさせてもらうよ・・・」
僕はイースの提案に感謝し、空間翔転移を使う為に刀を宙に掲げるが
「ダメだよ、お兄ちゃん!転移なら私がやるからお兄ちゃんはちょっとでも良いから休んでいて!」
アリスに止められる。
「う、うん。頼むよアリス。」
「うん、空間翔転移。」
足元に魔方陣が展開され、僕たちは家に転移
そのあと家に転移した僕は、夕食を作ろうとしたのだがアリスたちにダメと断られ、渋々自分の部屋に戻りベッドにダイブする
「はぁ…アリスに心配かけちゃったな・・・」
僕はユニゾンを解除した時の、アリスの心配そうな顔を思い出していた。
「もっと強くならなくちゃ・・・皆を守れる位に」
僕は拳をギュッと握りしめ、強くなる決意をするのだった。
エミル side end
アリス side
「はぁ・・・」
私は夕食を作りながら大きなため息を憑く。
「最近のお兄ちゃん、無茶しすぎだよ・・・」
ここ最近のお兄ちゃんは、無茶している・・・
毎日毎日、夜遅くまで鍛練してるし、それにあんまり寝ていない気がするし・・・
私たちの為に頑張ってくれてるのは凄く嬉しいけど・・・でも、無茶してまで体を酷使してほしくないよ・・・
「はぁ…ねぇ、シャル。私、どうすれば良いのかな・・・」
私は首に掛けているデバイスのシャルに話しかける。
「私は、お嬢様がエミル様にしてあげたい事をすれば良いと思いますよ。」
「私がお兄ちゃんにしてあげたいこと・・・」
私は・・・お兄ちゃんに無茶をさせたくない。
だから・・・私は強くなりたい。そして、お兄ちゃんを支えてあげたい!
「うん…ありがとうシャル。」
「いえいえ、私は貴方のパートナーですから。」
「ふふっ…ありがとうね。よし、美味しい物いっぱい作ってお兄ちゃんを喜ばせようシャル!」
「はい、お嬢様!」
お兄ちゃん・・・私、もっと強くなってお兄ちゃんを支えるからね!だからお兄ちゃんも無茶しないでね。
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エミルとアリスがユニゾンをします。
それにしても戦闘シーン書くのムズイ・・・