No.565913 【獣機特警K-9IIG】ミクとミルク2013-04-14 01:34:46 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:951 閲覧ユーザー数:885 |
桜の花びらが舞い散っている。
ミク・デハヴィランドは、桜祭りが行われている公園へと向かっていた。自然に笑みがこぼれる。
「ん?」
公園の入口に、一人の女の子が立っているのを、ミクは見つけた。イエネコファンガー型のロボットだ。
「あれって、たしか…」
ミクの家の近くに住む、ミルク・ボーイングだ。公園に入ろうか入るまいか迷っているようにも見える。
「こんにちは!」
「みっ!?」
いきなり背後から声をかけられて、ミルクは跳ね上がった。振り向くと、白いウサギ型ファンガーの女性が立っている。
「えっと、ミクおねえちゃん?」
「どうしたの? 桜祭りやってるよ。公園に入らないの?」
ミルクは少しためらっているようだった。彼女の視線の先に、ある親子の姿がある。シーナ・ヴァイス警視正と、ラヴェンナ・ヴァイスの親子だ。
「あー…」
ミクは何かを察した。
「ね、ミルクちゃん、ちょっとお散歩しよう。ジュース買ってあげる」
「え?」
きょとんとするミルクの手を引いて、ミクは公園から少し離れた遊歩道に向かった。
「オレンジジュースでいい?」
「うん…ありがと」
ミクは、ミルクのためにオレンジジュースを、自分はカフェラテを自動販売機で買った。
「…」
ミルクは黙ったまま、ジュースを飲んでいる。
「ね、ラヴェンナちゃんたちと何かあったの? お姉さん、相談に乗ってあげるよ」
ミクは水を向けた。実際の所、ミルクが悩んでいる理由は想像がつく。
「…あのね、この前、ヘビみたいなオバケをつれた男の子がね、ミルクのこと、『許されない機械』って言ったの。ロボットってきらわれてるの? …ミルクって、ここにいちゃいけないのかな…?」
ミルクが握りしめている缶に、大粒の涙のしずくが落ちた。
あの日、エルメシオン教の狂った教皇、メディウスの放った言葉が、幼い心を深く深く傷つけていたのだ。
黙りこんでしまったミルクを見て、ミクは世間話のように話し始めた。
「お姉さんの大切な人はね、ロボットなんだ。かっこいいし、運動神経もいいし、ゲームだって作れる素敵な人。おねえさんは、テオ君が…その人が大好きだよ」
「テオって人、ミクおねえちゃんの『カレシ』? ミクおねえちゃんって、『リアジュー』だったの?」
「どこでそんな言葉覚えたの?」
ミクは苦笑いした。そして話し続ける。
「あのメデューサ…オバケをやっつけたリク君とソラちゃんもロボットだよ。でも、ロボットとかファンガーとか人間とか、そんなことは全然関係ないの。リク君もソラちゃんも、そしてテオ君も、あたしの大切な友だちなの」
真剣な表情でミクは語り続ける。
「テオ君やリク君やソラちゃんが…大切な人たちがいなくなったら、あたしはすっごく悲しいな。ラヴェンナちゃんも、このはちゃんも、ミルクちゃんがいなくなったらすごく悲しいんじゃない?」
ハッとしたようにミルクが顔をあげる。
「…ミルクちゃん!」
後ろからかけられた声に、ミルクは振り向いた。そこには、ラヴェンナと、戸ノ上このはが立っていた。ミルクの、友達だ。
「おそいよ! いっしょに桜祭り、見にいこっ!」
ミルクの顔に、笑みがはじけた。
「うんっ!」
3人の小さな女の子たちは、しっかりと手をつないで駆け出した。その手が離れてしまうことは、二度とないだろう。
その様子を微笑みながら見送るミク。3人の姿が見えなくなってから、ミクは一瞬厳しい表情になった。物陰に隠れ、誰にも聞かれていないことを確認すると、彼女は通信機を耳に当てた。
「…カナコお姉ちゃん、ユキヨお姉ちゃん、タカトお兄ちゃん、聞こえる? …うん。前も言ったけど、やっぱりあたしは…怪盗バニーは…」
ラミナ市内に数箇所点在する、エルメ教の秘密教会。
そこに、一通の手紙が投げ込まれた。
親愛なるメディウス教皇
ご機嫌麗しゅう存じます。我々トリッカーズは、生命を尊ぶエルメシオン・リリジオンの教義に賛同しております。
ただ、残念なのは、便利な科学技術を全て否定していることで、これでは我々が面白おかしく盗みを働くこともできません。商売上がったりでございます。
加えて、心を持ったロボットの存在まで否定されては、我々の良き遊び相手であるK-9隊をからかうという、我々の最大の娯楽まで奪われてしまいます。
その点について我慢ならないので、我々は、貴方と、エルメシオン・リリジオンに対して宣戦を布告する次第でございます。
スポーツマンシップに則り、お互い正々堂々と戦おうではありませんか。
怪盗トリッカーズ
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自キャラ同士がくっちゃべってるだけ。
http://www.tinami.com/view/565421 と同時系列。
ミク http://www.tinami.com/view/557165
ミルク http://www.tinami.com/view/556092
このは http://www.tinami.com/view/556116
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