........チュンチュンチュン........
「うっ、ここは」
朝、眩しい朝日と小鳥の囀りで目が覚めた。
朦朧とする意識の中、次第に覚醒していき周囲を見渡した。
「やっぱり俺は帰ってきてたんだよな・・・。」
クリアになった思考で考える。゙こちらに戻ってきていたのが夢だったら"
そんな儚い願いは虚しく、現実は変わらず寮の部屋だった。
「はは・・・。どんな時でも、朝日と共に目覚めるのが当たり前になってたんだなぁ。」
゙例えどんな辛いことがあった後でも"とココロの中で付け加える。
こちらで生活していた頃にはありえないことだった。
向こうで生活していたからこそ、ついた習慣。
今はこんな事でも、彼女達との繋がりなような気がしていた。
どんな些細な事でも彼女達の事を、あちらの世界を思い出してしまっていた。
鳥の鳴き声や、朝日の眩しさは何も変わらず同じでも、彼女達がいないだけで何もかも色褪せてみえた。
それでも時は流れる。夜があけると必ず朝日が出てくるように。
........ドンドンドン........
部屋にノックの音がこだました。
「かずピー!朝やで!はよ起きな遅刻するでー?」
自分の気持ちとは裏腹に、底抜けに明るい声が聞こえてきた。
及川 祐
この学園で数少ない男子生徒で、悪友とも呼べる存在だった。
「おーい!ほんまに遅刻するで?はよ起きてーな!」
一刀は時間を確認しつつドアを開けた。
「...及川」
「お?起きてたんや!学校行くで!」
及川に催促される。
しかし、北郷一刀は動かなかった。
「悪い。今日は体調が悪いから、学校は休む。」
「え?風邪でも引いたんかいな?大丈夫か?」
「ああ...大丈夫だ。心配かけて悪い。」
「わかった!かずピーも無理しなや!ゆっくり休むんやで!」
「ありがとう、及川。あ...そうだ。昨日は一緒に登校したよな?」
現実を受け入れがたい一刀は、一縷の望みをかけて問いかけた。
「寝惚けてんか、かずピー?いつも通り一緒に行ったやん!」
「そうか...ありがとう。」
「...?じゃあ、学校行ってくるで!お大事にな!」
しかし、やはりというか現実は甘くなかった。
誰かに言えるはずもない、存在していたという証拠も確証もない世界。
きっと、誰に言っても信じてもらえないだろう。
よくて夢見がちな人、悪くて狂言者か精神異常者というレッテルを貼られてしまうだろう。
考えれば考えるほど、一刀は味方がいない、一人なんだということを実感させられた。
何故、自分は戻ってきたのか。
何故、あのタイミングで戻らないといけなかったのか。
゛使命が終わったから"
別れ際では強がってみたものの、実際には微塵も納得できていなかった。
本当は彼女の傍にもっといたかった。
平和になり、これからもっと自分の知識が役に立つところが増えるはずだった。
死ぬまで彼女を支えていたかった。
後悔ばかりが彼の頭を占めていた。
考えれば考えるほど、深みに嵌ってゆくような感覚。
後悔に苛まされている中でさえ、彼は考えることをやめることはできなかった。
考えることをやめてしまうと、彼女との繋がりが薄くなるような気がした。
窓を開け、彼は空を見上げた。
今日も空は晴天で、清清しい空だった。
「何が天だよ....チクショウ。」
しかし彼からすればそんな事ですら忌々しかった。
彼の呟きは、誰に聞かれることも無く喧騒に消えていった。
you~道化師にさえなれなかった御遣い~
今まで私の心を埋めていたモノ
失って初めて気づいた
こんなにも私を支えてくれていたこと
こんなにも笑顔をくれていたこと
゙ねぇ、華琳"
゙ボクのココロの中はキミで...キミたちでいっぱいなんだ"
゙離れてから強く実感するよ。どれほど大切だったかという事を"
゙キミがいるだけで強くなれていた...ココロの拠り所だった"
゙キミがいない世界はモノクロなんだ...色の無い世界で笑うことなんて出来ない"
後書き
覚えてる方がいらっしゃるかはわかりませんが、続きを投稿しました。
リアル事情が凄いことになってしまい、一時ココロが折れ
更新できない状況となっておりました。
しかし、なんとか立ち直り 余裕も出てきたので、再投稿させて頂きます。
待っていただいてる方なんていらっしゃらないでしょうし
自分でも忘れかけていた存在です。
ですので、新しく誰かの目の留まり、見て頂けたらな と思います。
短い上に、下手な文章で気分を害する場合もあるかもしれませんが
一人でも面白かったと言って頂ければ幸いです。
これから、亀ペースですが、定期的に更新できればと思います。
誤字、脱字報告や感想、批判等お待ちしております。
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受け止められない現実。
彼はこれからどうしてゆくのか?