episode147 本当の目的
「ちっ!」
輝春はグラストロランチャーを放ってレギナを数体巻き込んで撃破するも、直後にレギナが背中のバインダーライフルを放ってきて左脚の増加装甲に直撃する。
直後に両腕のシールドライフルを放ってレギナを牽制してグラストロランチャーを放って撃破する。
(まずいな。何機かネェル・アーガマに行っちまった!)
ネェル・アーガマの防衛についていたが、やはり数的に全てを防ぎきれてない。
輝春は両腕のシールドライフルを放ってレギナを撃ち落していく
「っ!?」
しかし背後よりレギナがビームファンを振り下ろしてグラストロランチャーを切り裂き、そのまま爆発して輝春は吹き飛ばされる。
「く、くそ!やってくれたな!」
輝春はとっさに振り向こうとするが、さっきの爆発でスラスターに異常が発生していた。
「こんな時に!」
その間にもレギナ三体がネェル・アーガマへと向かっていく。
自動迎撃システムでレギナを迎撃しようと副砲が向くも、周囲に居た他のレギナの攻撃によって破壊される。
「離れるべきじゃなかった!」
輝春はスラスター不調でも何とかネェル・アーガマに戻ろうとする・・・
すると上部左側格納庫の隔壁が開いていた。
「・・・?」
輝春は一瞬疑問に思ったが、その直後に隔壁の奥より二つのビームが飛んできてレギナ二体を撃ち抜いた。
「今の攻撃は?!」
すると格納庫より一体の機体が歩いて出てきた。
「これ以上好き勝手にはさせんぞ・・・バインド共!!」
と、両手のGNバズーカⅡを構えるセラヴィーを纏うラウラが叫ぶ。
「ラウラ!もう目を覚ましたのか!?」
「えぇ。ご迷惑をお掛けした事は申し訳ない」
「それはいいんだ。だが、助かった」
輝春は何とか補助スラスターでネェル・アーガマのカタパルトに着地する。
「しかし、今はどういう状況ですか。なぜ我々はドイツの総司令部に」
「説明すれば長くなる。簡潔に言えばバインドに占領されたドイツ奪還作戦を決行中だ。今総司令部をクラリッサ案内の元アーロン達が攻略中だ」
「クラリッサが?」
「ドイツ占領を聞いたのも彼女が教えてくれたからな。首都は昨日の内に奪還した」
「・・・私が捕まっている間に・・・そんな事が」
「とにかく、今は船の護衛だ。やつらが退くまでな」
「了解です」
ラウラは両膝のGNキャノンⅡを展開し、全砲門による砲撃を開始する。
「っ!」
隼人はクィン・マンサが胸部、頭部の拡散ビーム砲より放たれたビームを掻い潜ると右腕のアームドアーマーBSを放つもクィン・マンサは右手の大型ビームソードを振るって切り払う。
直後に飛び出して左手の大型ビームソードを振り下ろしてくるも、隼人は左腕のビームトンファーを展開して最大出力でビーム刃を大きくし、刃を交える。
「これでようやく対等か!」
隼人は後ろに下がって頭部バルカンを放ってクィン・マンサの気を逸らすも、頭部拡散ビームを放ってきてとっさにかわす。
(クィン・マンサの大きさはオリジナルと同等。なら簪はどこかに閉じ込めてあるはず・・・)
隼人は冷静さを取り戻し、デストロイモードを完全に克服して頭をフル回転させる。
(生体反応があるのは・・・頭部か)
すぐに簪が埋め込まれているとされている場所を把握する。
(頭部に丸ごと入れられている。なら、他の箇所に攻撃して行動不能にして、中から簪を引き出せば!)
隼人はクィン・マンサが胸部拡散ビームを放ってくるがすぐにかわし、アームドアーマーBSよりビームを照射してクィン・マンサの右腕を切り落とす。
更に左腕のアームドアーマーVNを閉じて勢いよく突き出してクィン・マンサの胴体に叩きつけて超振動で内部フレームと内部機器を全て破壊する。
それによってクィン・マンサの動きが止まり、隼人は右腕のビームトンファーを展開して長く太いビーム刃を出して横に振るうが、直後にクィン・マンサの頭部が上に向かって飛び立つ。
「ちっ!」
隼人はクィン・マンサを真っ二つに切り裂くと、すぐに頭部に向かって飛び出すが、その瞬間頭部が分散して中より一体の機体が現れる。
「なっ!?」
その機体は右手にビームサーベルを抜き放つと勢いよく突き出して先端がバンシィ・ノルンの左眼を抉る。
「ぐっ・・・!」
隼人はスラスター全開で体当たりをして吹き飛ばす。
(ヴェルデバスターからフルアーマーガンダム七号機に変わっているだと!?)
抉られた左眼より放電が起き、その奥で赤い光一点が出る。
(だが、外見は違えど・・・間違いない。簪はこの中に・・・!)
隼人は再び振るわれるビームサーベルをアームドアーマーVNで防ぐ。
そのまま強引に攻撃を押し返すも背中の右側のビームキャノンを展開して放ってくるもビームはバンシィ・ノルンの周囲に起きるサイコフレームの磁場で湾曲して外れる。
隼人は左腕のビームトンファーを振るうもその機体もビームサーベルを振るって刃を交える。
「くっ!」
直後に両者は離れ、その機体は両脚の増加アーマーの側面ハッチを展開してミサイルを放ってくるも、隼人は勢いよく飛び出してビームトンファーを振るい、一瞬でミサイルを切り裂いて背後で爆発させた。
それによって起きた光で機体は動きを鈍らせた。
「今だっ!」
そのチャンスを逃さまいと隼人は瞬間加速を掛けて体当たりし、アームドアーマーVNを展開して左手を機体の頭部を掴み、そのまま押していく。
そしてすぐにサイコジャックを行い、機体を行動不能にし、装甲を強制解除した。
「・・・・」
隼人はとっさに中から出てきた簪を抱き止める。
「・・・・」
すぐに調べて怪我が無い事を確認する。
「・・・よかった。本当に・・・」
抉られた左眼からは、まるで血の涙の様に赤い液体が流れる。
「ここで最後か」
「あぁ」
その頃地下区画に入って調べていたアーロンとクラリッサは最後の区画の前に来る。
「ここだけは私も分からない。中で何をしているのか検討が付かん」
「俺もだ」
クラリッサは以前に受け取っていたパスコードでロックを解除し、隔壁を上げて中に入った。
「中は暗いな」
「あぁ」
中に入っても中は電気が無かったので暗い。
(この辺りにあったはずだ・・・)
クラリッサは手探りで壁を探ると、レバーを見つけてそれを上に上げると天井の電灯がつく。
「なっ!?」
「そ、そんな馬鹿な・・・!?」
そこで二人は信じられない物を目にする。
そこにはいくつか筒状のカプセルがあり、その中にあるものが入っていた。
「これは・・・」
「・・・どうやら俺達はとんでもない物を見てしまったようだな」
カプセルの中には・・・影の様に全身真っ黒な機体が溶液に浸されていた。
「なぜ地下で・・・バインドがこうもたくさん・・・」
少なくとも二十基以上のカプセルが並べられていた。
「それも最も初期に見られたやつばかりだな」
どのカプセルには全身真っ黒のバインドが溶液に浸されて保存されている。
アーロンは近くのカプセルの管理システムを見る。
「こいつは三十年前に保存されているな」
「・・・・」
「恐らく他のもかなり前のだろうな」
「・・・なぜ、こんな」
クラリッサはショックを隠し切れなかった。
「少なくともドイツは四十年前からバインドと接触があったようだな」
「・・・・」
「それを何らかの方法で捕獲し、研究を行っていたのか」
「・・・・」
「そこから得た技術が今の軍事兵器に転用されているのだろう。無論ISにもな」
「では、我々の技術力は・・・こいつらから得られた物だと言うのか」
クラリッサは衝撃を受けていた。
「この状況じゃそうなるな」
アーロンは奥に進んでいく。
「だからバインド達はドイツだけを占領したのか。この施設があるのを知って」
「・・・・」
「謎が解けたな。バインドは自分達の何かを他の者に知られない為に口封じとしてドイツを攻めた・・・」
「大体は正解ですね」
「「っ!」」
すると奥より声がして二人はとっさに臨戦態勢を取る。
そこから宙に浮くフェニックスゼロが現れる。
「お前は・・・」
「上に居る上位クラスのものか」
「あなた方から見ればそうなります。私はフェニックスゼロ。以後はお見知りおきを」
「・・・・」
「先ほどのあなたの見解・・・確かに我々はこの事実を流出しない為にこの国を占領した。ですが、目的はそれだけではありません」
「別の施設にあった・・・繭を確保する事か」
「察しが言いようですね。事実上それが本来の目的と言っても過言ではありません」
「・・・お前達はその繭について何か知っているのか」
「もちろん。ですが、あなた方は知る必要はありません」
「・・・・」
「まぁ教えた所で理解などできませんがね・・・」
「・・・・」
「もう一つは、この施設で開発されていたある物を貰いに」
「ある物?」
「人間にしてはよくこれほどの物を作れたと言うのが驚きの物です」
「お前達バインドでもか」
「えぇ。人間と言うのはどうして大量破壊兵器を簡単に生み出せるのか・・・分からないものです」
「・・・まさか・・・核兵器を!?」
「いいえ。むしろそれよりも更に強力で恐ろしい物です」
「・・・・」
「最も、これよりも危険な存在が近くに居ますけどね」
「・・・どういうことだ」
「それは自分の目で確かめる事・・・・・・?」
するとフェニックスゼロは会話を中断する。
「せっかくの操り人形も、御役目御免という事ですか。残念」
と、右手で指を鳴らす。
「あなた達のお仲間はお返ししましょう」
「なんだと?」
「どういう事だ」
「我らの王はどうやら計画の変更があったようです」
「何だと?」
「・・・・」
「では、私はコレで」
と、フェニックスゼロは姿を消した。
「それと、いつまでもそこに居ないほうがいいですよ」
最後にそう言い残した。
「っ!」
すると周囲より電子音が鳴り響いた。
「やつめ!ここを爆破するつもりか!」
「証拠を残すつもりは無いようだな!」
アーロンとクラリッサはとっさにその場から走り出す。
「一つでもデータが欲しいが、仕方が無い」
「・・・・」
悔しいが、時間的にデータを取る暇が無かった・・・
「何?どういう事だそれは?」
隼人はネェル・アーガマに一旦戻って簪をラウラに預けた時に通信を受ける。
バンシィ・ノルンは一旦ユニコーンモードに戻っていた。
『戦っている最中に突然更識楯無のISが動きを止めたのだ』
『わたくしもですわ。エリーナさんのサバーニャが戦闘中に突然動きを止めて・・・』
『義姉さんのヘビーアームズ改も動きを止めたの』
マドカ、セシリア、颯の通信内容は突然専用機持ちの機体が突然動きを止めたと言うものだ。
『今の所動き出す気配は無い。このまま更識楯無を連れてそちらに戻ろう』
『わたくしもエリーナさんを連れて行きます』
『私も義姉さんを連れて行きます』
「頼む」
「どういう事でしょうか・・・師匠」
簪の様子を見て、ラウラは隼人に聞く。
「分からん。なぜやつらは急に専用機持ちを切り捨てたんだ・・・こっちとしては手間が省けるものだが・・・あまりにも不自然すぎる・・・」
「・・・罠・・・でしょうか?」
「ありうる話だな・・・だが、それにしては突然すぎる」
「・・・・」
「っ!」
すると突然膨大なエネルギー反応をセンサーが探知する。
「何だ!?この膨大なエネルギーは!?」
「ラウラ!どこから発せられている!」
「場所を特定・・・・・・これは・・・」
「・・・・」
「・・・基地上空です」
「っ!」
隼人はとっさに見上げると、基地上空が歪み始めていた。
「何が起きるんだ」
様子を見ていると、その歪みより何かが出てきた。
「あれは・・・」
それは異質的な存在感を放っていた。
全身藍色をしており、各所に朱色が施されていた。黄色いツインアイに頭部に黄色いモノアイを持っていた。そして背中には孔雀の羽の様に広げたウイングがあった。
(バルバトス・・・ミラージュ)
「っ!あの機体は!」
ラウラは驚きの声を上げる。
「知っているのか?」
「知っているも何も、あの機体が私達専用機持ちを連れ去った要因を作ったのです!」
「なるほど・・・あれがそうか」
隼人はバルバトス・ミラージュを見る。
「専用機持ちを一瞬で全滅させたやつか・・・侮れんな」
隼人は首を横に向ける。
「ラウラ・・・簪を頼むぞ」
「了解です。命に換えてでもお守りいたします!」
ラウラは敬礼し、隼人は甲板を蹴ってジャンプし、スラスター全開でバルバトス・ミラージュの元に向かった。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!