episode145 ドイツ本土奪還戦
そうしてネェル・アーガマは修復を終え、作戦開始の時刻になって飛び立った。
「やはりかなりの大群を率いているな」
ネェル・アーガマのカタパルト上に隼人達が立ち、隼人が遠くの様子を見ていた。
「これまでの戦闘よりか」
と、エピオンを纏った千冬が聞く。
「えぇ。今までと比べ物にならないぐらいの数ですよ」
「そうか・・・」
「それに・・・やはり上位クラスのバインドが二、三体ほど居ます」
「やはりか」
「それに・・・ちょいとでかいやつも居ますね」
「・・・・」
「それで、お前的にはどう攻める?」
「そうですね。普通に戦うのもアリですが、総司令部の掌握を行えば軽くなりますね」
「私も同意見だ。だから、突入部隊を編成した」
と、千冬が後ろを向くと・・・
「と、言うわけだから、護衛よろしくね♪」
と、そこには束とアーロン、フェイ、フィア、クラリッサがいた。
「船の管理はあのくーって子ですか?」
「何が起こるか分からないからな。まぁ、彼女ならできる」
「そ、そうですか・・・」
「で、クラリッサが司令部の案内役と言うわけか」
「あぁ。総司令部の内部構造は頭に叩き込んでいる」
「頼もしいな」
「ま、まぁ、軍人である以上・・・当然の事だ」
クラリッサは少し動揺するも、当然輝春はその変化に気付いてない。
「そういう事だ。私とお前達で周囲のバインド達の殲滅に当たる。なるべくなら単独行動は避けろ」
「「「「「「了解」」」」」」
そうしてアーロンはダークハウンドを展開し、フェイとフィアもクロスボーンガンダムX1SH、クロスボーンガンダムX2を展開し、束もISを展開する。
「姉さん・・・そのISって・・・」
箒は驚いていた。もちろんそれは周囲も同じであった。
「ん?これ?私が作り出した専用IS・・・その名も『スターゲイザー』だよ」
「スターゲイザー・・・」
『星を見る者』の意を持つその機体は神秘的にも思える姿であった。
全身白い装甲を持ち、全身に黒いラインが入っており、特に特徴的なのが背中にあるリング状のパーツであった。その顔つきはガンダムに似ていた。
「本来このISは戦闘用じゃない・・・ある意味ISが本来目指すべき姿だね」
「本来目指すべき姿・・・」
「スターゲイザーは宇宙進出を目指した機体だよ。特殊システムを搭載している上、学習型コンピュータも搭載している。将来的には無人稼動で宇宙探査を行うISとして開発したの」
「なるほど」
ISは本来宇宙進出の為のパワードスーツとして開発された。しかしその高性能から兵器と言う間違った道を歩んでしまった・・・
スターゲイザーはISが歩むべき本来の姿とも言える。
「つまり・・・このスターゲイザーはその名残と言う事ですか」
「そういう事。昨日はっくんに言っていた試作機って言うのは・・・このスターゲイザーのことだよ」
(で、あのコアを搭載したと?)
(うん。スターゲイザーはずっと前から作っていたの。形状はきーくんのAGE-1から。そして足りなかった技術ははっくんがくれたデータから・・・)
その後の事はプライベートチャンネルで話す。
(みんなのお陰で・・・ISの完成型であるスターゲイザーが完成した)
(そうですか・・・)
「では、これより作戦を開始する!」
そうして千冬の合図で全員ネェル・アーガマより飛び出した。
「やっぱりやつら・・・来やがったか」
「分かり切っていた事だろう。首都に攻め込み、デストロイを破壊した以上な」
と、基地にいたハルファスベーゼとマスターフェニックスが向かってくる隼人達を見る。
「まぁ、あの力を持っている黒獅子を封じる手はある。決して手出し出来ない手がな」
「相変わらずキチガイだな。おめぇは」
「戦闘狂のお前に言われたくない」
「はっ」
「・・・・」
「ハルファス。時間を稼げよ。『例のぶつ』を運び出すまでのな」
「・・・分かってるよ」
そうしてバインド達は一斉に活動を開始した。
「来るぞ!」
千冬が叫ぶと、バインド達は一斉に攻撃を開始し、全員散り散りになってかわした。
「・・・・」
隼人は背中のスラスターとアームドアーマーDEのスラスターを一気に噴射して飛び出し、ビームマグナムを前方に向けて放ち、レギナを五機撃破する。
「ちっ」
直後にリボルビングランチャーを回して弾丸を装填し、徹甲弾を発射してレギナ四機に一発ずつ撃ち込むと、その瞬間に爆発して撃破する。
ビームマグナムを放ってレギナを二体撃ち落すが、その直後に後ろからレギナがバンシィ・ノルンを腕で締め込んで拘束する。
「・・・・」
更にもう一体レギナがバンシィ・ノルンのアンテナを掴むと引き上げ、左手に持つビームファンを収束して突き出そうとする。
しかし隼人は拘束しているレギナの両腕を強引に腕を広げて引き千切り、その瞬間左腕のビームトンファーを展開してビーム刃を出すと同時に振り上げてレギナを切り裂くと、振り向き際に後ろにいたレギナを切り裂き、一気に上昇する。
隼人はアンテナを握るレギナの腕を取り除くと、背中のアームドアーマーDEを装備したシールドを右斜めに傾けて左手で後部を持つと、勢いよく突き出して向かってくるレギナの頭部に向けて突き出し先端をめり込ませた。
直後にシールドを引き抜いて再度アームドアーマーXCにマウントして後部スラスターを展開して飛び出した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
一夏は両サイドアーマーより抜き放ったGNソードⅡを振るってレギナを次々と切り裂いていく。
直後に左手のGNソードⅡをライフルモードにして近付いてくるレギナに向けて放って撃ち抜いた。
「っ!」
一夏は背後から接近してくるレギナに気付いてとっさにスラスター全開で上に向かって上昇し、GNソードⅡを両サイドアーマーにマウントしてGNソードⅡロングとGNソードⅡショートを抜き放つ。
すぐに左手のショートの先端を射出し、レギナに突き刺す。
「うおりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
強引にそのままショートを振るってレギナを別のレギナにぶつけて破壊すると、ショートの先端を戻した。
すぐに右手のロングを振るって接近してくるレギナを切り裂く。
「っ!?」
一夏はとっさに急速後退すると、さっきまでいた所を何かが横切る。
「今のを気付いたか・・・大したやつだ」
と、一夏の前にマスターフェニックスが下りてくる。
「お前は・・・」
「バインドの精鋭部隊の一人・・・マスターフェニックスだ。お前は?」
「・・・織斑一夏だ」
「織斑一夏か・・・」
マスターフェニックスは背中にマウントしてあった大剣を両手に呼び出して掴んだ。
一夏はロングとショートをGNソードⅡをマウントしている両サイドアーマーの下にマウントし、右腕にGNソードⅢを展開してソードモードにする。
「ご挨拶と行こうか」
マスターフェニックスはクロスバインダーソードを振るい、一気に飛び出し、一夏も飛び出して両者同時に得物を振るい、衝撃波を放って刃を交えた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
箒は右手のビームサーベルを振るってレギナを次々と切り裂いていく。
直後に左足のビームブレイドを出して勢いよく振るい、レギナを切り裂く。
更に左腕のシールドよりビームサーベルを出して接近してくるレギナを真っ二つに切り裂く。
「っ!」
箒はとっさに左腕を前に出してレギナのバインダーライフルより放ったビームを防ぐと、リフターのキャノンを放ってそのレギナを撃ち抜く。
直後に前方に向かって飛び出してビームサーベルを振るいレギナを切り裂くと、リフターのキャノンを放って前方の機体にぶつける。
「あれほどはないが・・・それでも大きいな」
箒の目の前には上半身は人型で、下半身がまるで蜘蛛の様な足と胴体を持つ真っ黒で紫の一つ目を持つ機体がいた。
「だが、恐れはしない!」
箒はビームサーベルを振るって一気に飛び出す。
セシリアは連結したロングライフルを放って行き、精確無比にレギナを撃ち落していく。
直後に背中のウイングよりドラグーンを放ち、周囲に配置して全方向に向けてビームを放ち、その内いくつかがレギナを撃ち抜いた。
「っ!」
すぐにロングライフルを放ってレギナを撃ち落すと、両サイドのレールキャノンを展開して音速に弾丸を放ってレギナを撃ち抜く。
直後に背後よりレギナがバインダーライフルを放ってくるも、セシリアはとっさに急上昇してかわすと、左腕のリフレクターを張ってビームファンを振るってくるレギナの攻撃を防ぐ。
「くっ!」
セシリアは強引にレギナを押し返してロングライフルを片手で持って放ち、レギナを撃ち抜く。
更にドラグーンを放っていきレギナを牽制していくつかを撃ち抜く。
セシリアはすぐにロングライフルの連結を解除して両手に持つとドラグーンを周囲に配置し、全武装によるフルバーストを行ってレギナを大量に撃ち落していく。
「ストライクフリーダムの広範囲殲滅でも、数が減りませんわね」
かなりの数の敵を撃ち落しても、数が減っているとは思えなかった。
「しかし、全てを撃ち落して見せますわ!」
と、ドラグーンを一旦ウイングに戻し、勢いよく飛び出し、両手のビームライフルでレギナを撃ち落していく。
「っ!」
すると遠方より多数のビームが飛来してセシリアはとっさに飛び出してかわした。
「このビームは・・・!」
セシリアはビームが飛んできた方を見ると、周囲に配置していた物を自分のところに戻していた。
「あの機体は・・・」
そこには緑と白の装甲を持ったISがいた。
「・・・エリーナさん」
セシリアはライフルのトリガーを握る手に力を入れる。
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
鈴はビームトライデントを振るっていきレギナを切り裂いていくと左腕のドラゴンハングを射出してレギナを挟み込んで切り裂く。
直後に頭部バルカンを放って接近してくるレギナを牽制すると射出したドラゴンハングを振るってレギナにぶつけて首を吹き飛ばす。
「ちっ!」
鈴はドラゴンハングを戻してとっさに後ろに飛んでレギナのバインダーライフルより放たれたビームをかわし、直後にビームファンを持って接近してきたレギナにビームトライデントを振るって切り裂いた。
そのまま両腕を横に広げるとドラゴンハングを射出し、レギナを挟み込むと勢いよく振るい、他のレギナ二体にぶつけて爆発させた。
「Cファンネル!」
颯は左手を突き出して広げると、Cファンネルを勢いよく飛ばし、一定の距離を進んだ所で四散し、それぞれがレギナの首を切り落としていく。
すぐに左手を引いて握り締めるとCファンネルは回りながら後部同士に集まって円形を形成するとそのままソーのように回転しながら飛んでいき、レギナを数体以上真っ二つに切り裂いていく。
直後に肩に担いでいるダイダルバズーカを構えて引き金を引き、青白く赤黒いスパークを纏った閃光を放ち、レギナを数体飲み込んで撃破する。
(簪さんの感じが無い・・・でも、ここに居るのは確かなはずなのに・・・)
颯はただならぬ不安を感じていた。
(それとも・・・本当に居ない?でも、何で簪さんだけを・・・?)
直後にビームファンを持って切り掛かるレギナにCファンネルを二基飛ばして両腕を切り飛ばし、更に大型のCファンネルで胴体と腰の接続部を切り裂いて真っ二つにする。
(まさか・・・兄さんを封じる為の手札として使うつもりじゃ・・・)
その直後に無数のビーム弾が飛んできて、颯はとっさに後ろに飛んでかわした。
「今の攻撃は・・・!」
その場所へとダイダルバズーカを放つと、その機体は横に飛んでかわす。
「・・・ヘビーアームズ改」
その機体は両腕のダブルビームガトリングを構える。
「・・・義姉さん」
アーロン、フェイ、フィアは束を守りながら基地へと向かう。
アーロンは右手のランスを勢いよく突き出してレギナを貫くと、それを蹴り飛ばして別のレギナにぶつけ、ランスの根元のビームバルカンを放って二体同時に撃破する。
フェイは手にするビームランチャーを放ってレギナを二体撃ち抜くと、フィアがムラマサブレードを振るってレギナを切り裂き、左手のビームザンバーを振り上げてレギナを切り裂いた。
クラリッサは非固定ユニットのミサイルコンテナを展開して放ち、レギナを撃ち落す。
近くではシノンがベースジャバーのビームキャノンを放ってレギナを撃ち抜く。
「大丈夫か、束?」
「大丈夫だよ、アーロン」
束はアーロンのダークハウンドを見る。
「ここまで予定通りだ。シノン」
『分かっている。基地の防衛機構を破壊すればよいのだろ』
「あぁ」
『任せろ』
シノンはベースジャバーから降下して基地内部に侵入する。
「・・・・」
降下しながら連射モードのビームライフルを左手を沿えて構え、地面に立ちバインダーライフルを放ってくるレギナに向けてビーム弾を放ってレギナを撃ち抜いて行く。
そして地面に着地すると背中のキャノンと四連マルチランチャーを放って基地内部の迎撃武装を破壊していく。
そのまま横の方へ走りながら単射モードに切り替えてビームライフルを放っていきレギナを撃ち抜いて行く。
更に両脚側面のグレネードを放って迎撃武装を破壊する。
その直後にライフルの銃身下部のグレネードを放ち、基地内部に居る最後のレギナを撃破する。
そうしてアーロン達が基地内部に降り立った。
「これより内部に侵入する。大尉は案内を頼むぞ」
「了解した」
と、総司令部の方に向かおうとする――――
「っ!」
すると両側の格納庫の陰よりレギナが飛び出て来て背中のバインダーライフルを放ってきた。
ビームはそのままスターゲイザーに向かっていくが、束は慌てなかった。
するとビームはスターゲイザーに当たる直前で弾けると、スターゲイザーの周囲にリング状のエネルギーが現れる。
「それがスターゲイザーの『ヴォアチュール・リュミエール』か」
アーロンは少し離れた場所で聞く。
「そう。大気圏内じゃほとんど役に立たないけど、こういう使い方はあるんだよ」
そうしてリング状のエネルギーを二つ両側へと楕円形にするように広げるとレギナ二体を真っ二つに切り裂く。
「本来は宇宙探査で障害となる小惑星の排除の為の機構なの」
「なるほどな」
束はリングを消すとアーロン達と共に総司令部のある建物に近付き、扉の前でISを解除し、扉を開けて中に侵入し、その後にシノンはジャンプして飛び上がり、ベースジャバーに乗って基地から出る。
「そうか。束達は無事に侵入できたのだな」
『先ほどシノンより通信を聞きましたので』
「よし。ならば束達が終えるまで敵を引きつけろ」
『了解』
千冬はレヴァンティンを握り直すとスラスターを噴射して飛び出し、素早くレヴァンティンを振るってレギナを切り裂いていく。
カートリッジをリロードすると刀身にエネルギーを纏わせて勢いよく振るって光波を放ち、レギナを二体以上切り裂いた。
「っ!」
千冬はとっさにレヴァンティンを振るうと飛んでくるビームを切り裂く。
「見切りを付けたか。さすがだな、織斑千冬!」
と、ビームサイスを手にしてハルファスベーゼが振るってくるが、千冬はとっさに左腕のシールドを前に出して斬撃を受け止める。
「貴様か・・・!」
千冬はハルファスベーゼを押し返してレヴァンティンを振るうも、すぐに後退してかわすとビームサイスの長い柄を両手持ちする。
「デストロイを撃破するとは大した物だ。試作機ではあるが、あれはそう簡単に倒せるものではなかったのだがな」
「・・・・」
「今の私は少し機嫌がいい。何か聞けば分かる事があるかもしれんぞ?」
「なら、聞かせてもらおう。なぜ専用機持ちを誘拐した?連れ去ってお前達にメリットがあるのか」
「あの人間達があの力を持っていることは分かっているはずだ」
「・・・Gモードか。だが、更識とハルトマンは持ってないぞ」
「あぁ。外見が似ていたのでな。連れ去った後でそれが判明した」
「ならなぜ操ってまで専用機持ちを」
「戦力としては十分な性能を持っている。特に黒金は黒獅子を戦闘不能にするまでの機能を有している。緑は広範囲殲滅能力がある。利用価値は十分ある」
「・・・・」
「それに、お前達には効果は十分発揮される」
「・・・なら、もう一つ。なぜお前達はドイツを占領した」
「理由は言えんな。だが、お前的には世界中を征服するだけの力を持っているだろう、と言う意味も含まれているな」
「・・・・」
「我々は目的なしに占領などしない。ましても世界征服が我々の目的ではないのだからな」
「・・・・」
「だが、真の目的は言えんな」
「聞きたければお前を倒せという事か」
「出来るものならばな」
「そうか。分かりやすくていい」
そして千冬はカートリッジをリロードして飛び出し、ハルファスベーゼもビームサイスを振るいスラスター全開で飛び出し、両者の得物が衝撃波を放って交えた。
「ちっ!」
マドカはトリケロスのビームライフルを放つも、目の前の機体はビームをかわすと右腕の武装で切り掛かるがとっさに左井出の複合シールドで防ぐ。
(まさか・・・こんな形でやつと戦うとはな)
そのまま強引に押し返して背中のビームキャノンを放つも機体は横に飛ぶと右腕の武装よりビームを放つ。
マドカは複合シールドの先端よりビームサーベルを出して振るい、ビームを切り払った。
「更識楯無・・・それにゴールドフレーム天」
そのままスラスターを噴射して飛び出し、複合シールドを振るうもゴールドフレーム天は右腕のトリケロス改の下部の刃で受け止める。
ゴールドフレーム天はマドカを押し返すとトリケロス改のランサーダートを射出するとマドカもトリケロスのランサーダートを射出し両者のランサーダートが衝突して弾かれる。
「エクサランス・・・バスタァァァァァァァァァァ!!!」
ユニコーンはエクサランスカノンのトリガーを引き膨大なエネルギーを放ち、レギナを数十体飲み込んで撃破する。
「はぁぁぁっ!!」
バンシィはハーケンサイスを勢いよく振るって高速回転する光波を放ってレギナを五体連続で切り裂いて行った。
ユニコーンはエクサランスカノンを排熱すると同時に後部コンテナを展開してミサイルを放ってレギナを牽制し、そこをバンシィが再度光波を放って切り裂く。
「ブラスタービット!アサルトシフト!」
と、ユニコーンの周囲にあったブラスタービット四基は前方に小さい正方形の頂点として配置され、その中に向けて右腕のシールドライフルを放ってビームがその中を通るとエネルギーが増幅されて放たれレギナを五対飲み込んで撃破する。
バンシィはハーケンサイスのカートリッジをリロードし、鎌状のエネルギー刃が増幅され、そのまま勢いよく振るって巨大な光波を放ち、レギナを数十体切り裂いた。
「中々の数を用意しているね」
「そうだね」
二人は背中合わせになると、周囲を見る。
(ユニコーンはこのまま隼人の援護を。ここは私に任せて)
(了解。気をつけてね、バンシィ)
(あなたもね・・・ユニコーン)
二人は念話で話し、ユニコーンは一気に飛び出し、バンシィはハーケンサイスを収納してライオットブレードを両手に展開する。
「・・・・」
その様子をハルファスが見ていた。
(あれが黒獅子の――――)
その後にレギナを次々と撃破している隼人を見る。
(あんまりいい状態じゃ無いね。このまま時間を掛けると手遅れになるかもしれない)
(破壊の王として目覚めさせない為にも・・・)
「・・・・」
隼人は頭部バルカンを放ってレギナを牽制し、ビームマグナムを放ってレギナを撃ち抜いてそのまま後ろに居たレギナも撃ち抜く。
すぐに左手でリアアーマーにマウントしているマガジンを取り出してマグナムに装填する。
(どこだ・・・どこなんだ・・・)
周囲を見ながらビームマグナムを放ってレギナを撃ち抜くと、そのままリボルビングランチャーの徹甲弾を放ってレギナ四体に撃ち込んで爆破させる。
(簪・・・)
空になったリボルビングランチャーを切り離し、リアアーマーより予備筒を取り出してマグナムの銃身下部に取り付ける。
「っ!」
隼人はとっさにスラスターを噴射して飛び上がると、後ろからさっきまで居た場所をビームが横切る。
「ビットか!」
次々と多方向よりビームが飛んできて隼人は各部スラスターを噴射して全てをかわす。
「ちっ!」
直後に左腕のビームトンファーを展開して左の方へと振るうと、それよりも巨大なエネルギー刃と交わる。
「・・・こいつは!?」
そこにいたのは自分よりも何倍も大きい機体であった。
全身黄緑や黄色などのカラーリングで、両肩には巨大なバインダーを持っていた。頭部や胸部や両腕、両脚、背中にビーム砲があり、右手には巨大なビームソードを持ってバンシィ・ノルンのビームトンファーを交えていた。
「クィン・マンサか!」
隼人は何とかして後方に下がるとビームマグナムを放つが、クィン・マンサは見た目によらず素早くかわすと全砲門よりビームを一斉発射した。
「ちっ!」
弾幕の中を隼人は何とかかわしていき、リボルビングランチャーにマグナムを交互に放つもそれもかわすと周囲に配置しているビットを連続で放つ。
何とかかわして行くも、ビームがバンシィ・ノルンの各所を擦れる。
(デストロイモードになればビットを黙らせられるんだが・・・この状況では!)
今使用すれば体力を大幅に消耗し、後々の戦闘に支障をきたす事になる。
ビームマグナムをクィン・マンサに向けるが、直後に横よりビットが放ってビームで撃ち抜かれて爆散する。
「ぐっ!」
爆風に何とか耐えて一気に上昇すると右腕のビームトンファーを展開する。
「っ!」
するとクィン・マンサはその巨体に似合わず素早く接近してきて左手に持つ大型ビームソードを振るってきて、隼人はとっさに右腕のビームトンファーを振るうも、パワー負けして吹き飛ばされる。
(こいつ・・・今までのやつと動きが違う!?)
とっさにスラスターを噴射して体勢を立て直し、そのまま一気に飛び出す。
「なら、一気に決める!」
クィン・マンサは胸部の拡散ビームを放つも、その弾幕を潜り抜けて右腕のビームトンファーの出力を上げてビーム刃を大きくする。
「でりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
その直後に瞬間加速を掛けて一気に飛び出すとクィン・マンサの胸部にドロップキックを入れて体勢を崩す。
「これで!」
そのまま勢いよくビームトンファーを振るおうとする――――
「っ!」
しかしその瞬間脳裏にある人物の顔が過ぎった。
「くっ!」
とっさにビームトンファーをずらして斬撃をクィン・マンサから外す。
「今の感じ・・・まさか!?」
と、振り向いた瞬間、クィン・マンサは右拳を勢いよく突き出してバンシィ・ノルンを殴り飛ばす。
「がっ!?」
隼人はそのまま地面に叩きつけられると、二回バウンドして仰向けの状態で地面を削りながら地面を滑る。
「く、ぐぅ・・・」
半身を何とか起き上げようとすると、クィン・マンサはビットを全てこっちに向けていた。
「っ!まずっ!?」
隼人はとっさに全スラスターを全開にして一気に飛び出してビットによる全砲撃を回避する。
「・・・・」
隼人は警戒しながらクィン・マンサを見る。
「・・・こんな・・・馬鹿な事が・・・あって・・・」
さっきの感じで、震えて言葉を漏らす。
隼人はすぐにクィン・マンサにスキャンを当てる。
「・・・ISの識別コード、及び搭乗者は――――」
そしてその結果で隼人は言葉を失う。同時にショックを受けた。
クィン・マンサの中より確認されたもの・・・それは――――
「・・・識別・・・打鉄弐式改・・・・・・パイロット・・・・・・更識・・・・・・簪・・・」
あまりにも・・・酷な答えだった。
「何で・・・こんな・・・」
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!