鼻で大きく空気を吸い、大きく吐く。
青草の香り。
最後に嗅いだのはいつだったか。
目を開ける。
吸い込まれそうな青空。
核の影響で分厚い雲が覆っていた青空が見える。
十年以上前の戦争がないころの実家の裏山によく似ている。
そこまで考え気が付く。
ここはどこだ?
身を起こし周りを見回す。
核で焼かれ死滅しかけた青々とした木々。
世界中歩いたがこのような緑豊かな森は見たことも聞いたこともない。
「つまりここは地球じゃない?」
可能性としてはありえる。
もともと異星人の探索も行われていたこともあったから実在して連れ去らわれたとしても不思議じゃない。
これで解決だな。
ではこれからどうするか。
土地勘はない。
適当にぶらついてから考えよう。
立ち上がり適当に歩き出す。
およそ一時間後
やはりここは地球ではない。
こんな規模の緑があるなら気づかないはずがない。
本当にどこかべつの星にでも連れてこられたのだろうか?
そんなことを考えていると水の流れる音が聞こえてきた。
「川を下れば人がいるかもな。」
というわけで音のする方へ歩を進める。
十分ほどで音源と思われる川にたどり着いた。
核で汚染された様子もない。
どうやら本当に別の星に来てしまったようだ。
こうなると出てくるのがどんな宇宙人かが問題だな。
そもそも言葉が通じなかったらどうしようもない。
まぁ、何とかなるか。
などと楽観視しながら川を下る。
川を下り頂にあった太陽が沈みかけたころやっと村についた。
そう、着いたのだが・・・。
「おらおら!!金目のものをよこせ!!」
賊に襲われていた。
言葉は通じるようなので安心したがこれは黙って見過ごすわけにはいかないな。
「ああ?なんだこいつ?」
「ずいぶんといいもん持ってんじゃねぇか。身ぐるみおいて消え失せろ!」
どうやら俺までロックオンされたらしい。
もっともこんな連中にやられるほどやわじゃないがな。
「消えるのはてめぇらだ、雑魚どもが。さっさと失せやがれ。」
簡単な挑発。
さすがにこんなもんにひっかかるはずは・・・。
「どうやら死にたいらしいな小僧!!お望みどおり殺してやるよ!!」
引っかかったよ。
どんだけ単細胞なんだよこいつ。
「死ねぇぇぇ!!」
猪のように突っ込んできてまっすぐ剣を振り下ろしてくる。
ただ力だけで振る剣は勢いはあるものの剣筋が読みやすい。
軽くそらした体の真横を通過した剣は地面に激突する。
アッパーをおみまいし反対の拳をがら空きの鳩尾に叩き込み意識を刈り取る。
「てめぇよくも仲間を!!」
別のやつが振り下ろしてくる剣を今度はサイドステップでかわし首筋に手刀を打ち込む。
周りを見回すといつの間にやら囲まれていた。
およそ200人が剣や斧、こん棒などを持って俺の周りを囲んでいる。
「いいぜ。かかってこいよ山猿ども!!」
体の中心が熱くなり全身に力がみなぎる。
感覚が研ぎ澄まされ相手の動きがスローになる。
すでに勝負はついた。
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武を極めしもの