「ハイマ」
央共学園・教室A
「ねえねえ聞いた?不良が病院送りになったってヤツ相手はたった一人なんだって」
「マジで!?・・・けど誰が?」
「それがわからねえんだとよ。誰だよそんなことした奴、
僕がここに入学して一週間後・・・・校舎内ではとある噂が持ちきりだ。
その内容とは・・・・・「たった一人で不良を一蹴!!!それをやったのは誰なのか!?」である。
「もしかしてアイツが・・・・」
「ナイナイ、たかが人間だぜ?そんなことできるわけねーじゃんか。」
「そうよね、所詮人間だもの、英雄ワーカー以外の人間なんて、大体同じよ同じ。」
・・・・・・声が漏れているのか、それともわざと聞こえるくらいの声で話しているのか・・・・・
どちらにせよ、机に伏せて寝ていた僕にもその声は聞こえていた。
ユウザ
「・・・・・・・・・・はぁ」
不意に、ため息一つ・・・・入学早々不良に絡まれ、興味がないので無視しようと思ったが襲ってきて、返り討ちにした。
あの後、僕が早急に病院に連絡を入れた事により、命に別状は無かったようだ。
・・・・・不思議なことに、あの時の事は何も感じなかった。普通なら罪悪感やら何やら感じるはずだったが、僕は感じなかった。
あの時やったのは只の喧嘩であって、クエストとは違うからだろう。クエストの時の方が、まだ生を感じていた気がする。
そう、あの時心がかけてしまってから・・・・
だからこそ、あの時の心の隙間を埋めるために、女神を殺すために、強くならなければ・・・・
そんな事にしがみついて、
ユウザ
「ん・・・・」
僕は体を起こした・・・・
どういうことだ?僕は今日の昼休みも
どういう事なんだ?
体を起こしたと思ったら、僕は、いや・・・
央共学園・廊下
動く体は教室を出て、廊下を歩いていた。どこへ向かうのか、どこに行くのかもわからないままだ。
昼休みが終わってしまうと思っていたその時だった・・・・
???
「待ちな」
誰かのその一声の後、僕の体はピタリと止まった。それと同時に、体の自由が効くようになった。
???
「予めウチの奴らに微量ながら仕込んでおいたアタシの魔力で操って、こっちに来させてみれば・・・・」
その声の主を捜すようにあたりを見回すと、一人の少女を見つけた。
???
「とんだ大物がかかったもんだねぇ・・・・・」
黒っぽい金髪、赤茶の瞳、大部分が黒を占め、所々白いラインが引いてある半袖のジャケットとミニスカート・・・
そして何より、学園の生徒とは何か違う、鋭い視線を放っていた。まるで狩人のような・・・・・そんな感じだった。
???
「ん・・・・ココだとちと不味いか・・・・場所移すよ。」
気が付くと、周りには生徒どころか教師まで集まっていた。
僕はその少女の後を付いて行くように・・・・・早退をした。
プラネテューヌ付近・森林
鋭い視線の少女の後を付いて行った先、そこは人気どころかモンスターの気配すらなかった。
???
「ここなら誰も来ないだろう・・・・」
少女はこっちを振り向き、右腕を胸元に持ってきてお辞儀をした。
・・・・「それって紳士用のじゃないのか?」というツッコミはしないでおこう、うん。
ハイマ
「・・・・アタシはハイマ、以後、お見知りおきを。」
少女ハイマは鋭い視線とは裏腹に、何か物静かな様子だった。
ハイマ
「先ずは・・・・ウチの奴らが世話になったね、申し訳ない。人間を快く思わない奴らが多くてさ。」
ユウザ
「・・・・・・・・・」
意外だった。まさかいきなり謝るなんて・・・ってえ?
ユウザ
「どういう・・・・事・・・・?」
ハイマ
「・・・・ん?言葉通りの意味だよ。アンタがやったんだろ?ほら、『不良を一蹴した』ってやつ。」
ユウザ
「あー成程・・・・え?もしかして、君は・・・・」
ハイマ
「・・・・・・・・・・・もしかして、アタシがボスって解ってなかったの?なんで付いて来たの?」
ユウザ
「いや、なんというか・・・その鋭い視線で・・・・」
ハイマは「あちゃ~」と言って頭を抱えた。
ハイマ
「成程・・・・実力者だとは分かってはいたけど、アンタに絡んだ奴らのボスとは思わなかったと・・・・」
ユウザ
「・・・・・・・・・」
何も言わずに、ただうなずいた。
ハイマ
「・・・改めて言うと、アタシはアンタに絡んで来た奴らのボスで、子分の不祥事を謝罪しに来た・・・OK?」
ユウザ
「・・・・・・・・・」
再度うなずいた。
ハイマ
「良し、分かれば宜しい・・・・・さて、実はアンタには別の用があったんだ・・・・」
そう言った直後、胸ポケットから携帯端末を取り出し、なぞるように操作をした後、再度胸ポケットにしまった。
その後、彼女の開いている右手から、長細い光が出てきたと思ったら・・・・いつの間にかその手には、薙刀を握られていた。
ハイマ
「アタシと一対一の勝負をしてもらう。拒否権は・・・・ないから。」
ギンッ!!
ユウザ
「ッ!!」
ハイマの視線が一瞬で猛獣のようになった瞬間、僕の足は、少し後ろに下がっていた。
ハイマ
「アンタの事は聞いてるよ!
ダンッ!!
そう言ってハイマは、僕に向かって突っ込んできた。
・・・・・やるしかない。
そう思い、僕は義父の形見の投剣を両手に一つずつ構え、正面からくる敵を迎え撃つ・・・・
【NEXTto・・・・ユウザVSハイマ】
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