ー序章ー

昼下がり、真夏の日差しが照りつける中、学園都市にある学校の１つ

中心部からは外れているそんな学校の食堂でバトルは繰り広げられていた…

「そいつを寄越しなさい!」

「死んでもやらん!」

2人の生徒、火守 朱美(ひのもり あけみ)と風宮 空(かざみや そら)が箸を手に皿の上にあるおかずの唐揚げを取り合っている。昼休みということもあり人も多いのだが、周りの生徒達も「またか…」といった顔で特に慌てた様子もなく談笑を楽しんでいた。

「ちょっとあんたも手伝いなさいよ!」

ふいに女子生徒が横で2人の様子を観察しながら静かにお茶を飲んでいる男子生徒、龍崎 隼人(りゅうざき はやと)に声をかける。

「あっ、てめぇずりぃぞ」

これを聞いて迫りくる箸を受け止めながら男子生徒が慌てる。

「心配しなくても2人の邪魔をする気はないから安心しろ。めんどくさいし」

と言ってお茶を飲む男子生徒。

「ちっ、使えないわね」

「ハハハ!残念だったな!」

「そろそろ昼休みも終わるからほどほどにな～」

穏やかな昼下がり、壮絶なおかず争奪戦は今日もチャイムギリギリのところで朱美に軍配があがり幕を閉じた。

昼休みの平穏も終わりまた退屈な授業が始まる…