No.560433

十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出! 第6話 絆試し・肝試し

enarinさん

○ボーカロイド小説シリーズ第11作目の” 十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!“シリーズの第6話です。
○私の小説シリーズでは、“KAITOにーさん”が初の“主役”を勝ち取った作品です。
○内容は、まぁ、にーさんの代表曲のように、卑怯というか、何というか…。久々に脱出物です。
○なにやら不思議な空間に飛ばされたKAITOにーさん、どうなるのでしょうか?

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2013-03-29 15:13:05 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:616   閲覧ユーザー数:616

(馬の部屋内)

 

ミク:完全治癒!

 

 ぱぁぁぁ

 

学歩:・・・う・・・う、痛たた・・・

 

 ミクが元の侍の姿に戻って気絶していた学歩の気絶を解いた。当然、宝玉を貰うためもあるが、今後の事も聞かないといけないからだ。

 

海斗:気が付いたようだね。さて、あなたの負けなわけだから、貰うモノは貰わないと

学歩:うむ。わかっておる

 

 学歩はウリノナカマロの背にかけてある袋から、馬の宝玉を取り出した。

 

学歩:これが宝玉だ。大事にしてくれよ

 

 海斗は学歩から宝玉を受け取った。しかし、学歩はまた袋の方へ振り向き、袋の中を探して、小型の茄子のフィギュアを取り出し、ハクにそれを手渡した。

 

ハク:? これは?

学歩:私自身は常に仲間として君たちに同行することは出来ない。HP5000の事もあるがそれ以外にも、メイコ嬢を気絶させたことや、海斗自身にとっても、あまりいい思い出にならない相手だろう。だから、“召還獣”扱いで、君たちを助ける事にする。但し、1回だけだ。呼び出したいときは、ハクに頼んで欲しい。ハクよ。頼まれたら、この茄子のフィギュアを升目に置いて、私を呼びだしてくれ。先ほどの“剣聖神学歩”として、あのステータスで君たちと共に闘おう

海斗:・・・お心遣い、感謝する

メイコ:そうね、その形で助力を頼むわ

 

学歩:さて、私を負かしたということは、次は、7:00の未(羊)の宝玉の守護者達という事になるな

めぐみ:“達“って事は、今度は複数なわけピョンね

学歩:いかにも。モコモコの服を着た羊の着ぐるみのような“ミキ”、それとその従者“テル”、“ユキ”の3人だ。細かい事は本人達に訊いた方が早い

ミク:では、次行くミクね

海斗:よし! 次もガンガン行こう!

学歩:武運を祈る

 

 こうして学歩と一時的に分かれた一行は、馬の部屋を退室し、ボカロ界ロビーにある、次の7:00の位置の“羊の扉”の前に来た。

ミク:さて、これからは後半戦なわけだけど、ミクもあんまり把握してないミク

海斗:ぶっちゃけ、次の3人組との対戦もシミュレーションRPGなわけだろ?

ミク:確かそうだったはずミク。ただ、ここから先に進めた挑戦者は、あまり記憶にないミク

めぐみ:? そうか? 相手は3人ピョンよ?

ミク:確か、“仲間”が関係していたはずミク

ルカ:仲間ですか?

メイコ:それなら楽勝でしょう! 何たって私と海斗の結びつきは世界一だからね。ねー、ダーリン?

海斗:そうだな。それにみんなとの絆も深いしな

ハク:私たちも、信頼しています。大丈夫です

海斗:よし! “仲間の助力が大切である”事はわかった! とにかく入ろう!

 

 海斗はおもむろに“羊の扉”を開けてみた。

 

 ギギィィィ

 

海斗:なんか、“洋館”の扉のような音だな・・・・

 

 そこは、薄暗い洋館のロビーだった。洋館のステージである事は一目瞭然であり、かなり広めである事も確認出来た。

 

海斗:今度は不気味な洋館かよ・・・。ってことは、「ホラー」入っているのか? なぁミク・・・・あれ?

 

 シーーーーーーン

 

 なんと、そのロビーにいたのは、いつのまにか、海斗、一人だった。

 

海斗:おーーーい! みんなーーーー!!!!

 

 みんなぁー みんなー、んなー、あー、

 

 海斗の声はロビーに響き割った。しかし、返事はなかった。

 

海斗:・・・・入ってきた扉は閉まっている。この手のケースだと、あの扉をもう一度開けて、一度ロビーに出ても、仲間は戻ってこない。つまり、“退路を断たれた”わけだな

 

 海斗はしげしげと入ってきた扉を睨んでいた。

 

海斗:そして俺がやるべきことは、仲間を助けていく事・・・。しかしミクが言っていた“仲間”関係の事が気になるな・・・、

 

 ゴトッ

 

 海斗は音がした方向に目線を移した。そして1つの扉が目に入った。

 

海斗:音がしたのは、1F、右隣の部屋か。とにかくあの音以外、ヒントがない以上、ワナだとしても行くしかあるまい

 

 こうして海斗はたった一人で、1F、右隣の部屋への扉を開けて、部屋に入った。

(1F、右隣の部屋)

 

 そこは、裸電球1つがうっすらと点灯しているだけの不気味な倉庫部屋だった。しかし、それは問題のごく一部だった。狭めの部屋の中央に、二人のミクが立っていたのだった。姿は全く同じだった。

 

 海斗は1歩後ずさりしてしまった。すると、部屋の棚に置いてあった“小型ラジオ”から、ノイズ混じりに女の子の声が聞こえてきた。

 

声:「羊の館」へようこそ。私は宝玉の守護者の一人、ユキ

海斗:な、なんなんだ! おまえ!

ユキ:この羊の館は、“絆を試される”場所。お前の仲間は全員、この館の各場所に、暗示をかけて、そっくりの一人以上の偽物と一緒に配置して置いた

 

 どうやら、このラジオに“部屋の音を送信する”装置はなく、ユキからの一方通行の連絡だけしかできないようだった。

 

海斗:(くっ・・・一方通行か・・・)

ユキ:君は偽物を含めた仲間に“1回だけ”質問する事が出来る。そして仲間達の回答から考えて、君はやはり1回だけ、“指さして「君が本物だ」”と暗示を解く事ができる

海斗:全部一発勝負なのかよ・・・

ユキ:当たっていれば、仲間の暗示が解けて、その場でその仲間を取り戻せる。失敗すれば、気絶状態で、羊の扉の外、ボカロ界のロビーにザッピングされ、最後の我々との闘いに、仲間として、パーティに加える事が出来ない

海斗:仲間が死ぬわけではないんだ。最悪のシナリオは回避できたな

ユキ:しかし、ソレばかりではない。お前が例えこの館から生還してロビーに帰っても、失敗した仲間は、おまえが失敗した時の記憶を刻み込まれ、どんな弁明をしても許されず、絆は完全に壊れる。当然それ以降、仲間として戻ってはくれない

海斗:なんだそれ!!

ユキ:まぁ、最後に闘うであろう我々に、お前一人だけで闘って勝てる見込みは限りなく0だ。その理由は今は話せない。とにかく仲間を見つけていけば、我々と闘う場所は、自然にわかるようになっている

海斗:上等だ! こんなホラーゲーム風味があっても、俺は負けんぞ!

ユキ:それでは本物の一人目を当ててみるが良い

 

 ブツッ

 

 ノイズ混じりの声は、ここでとぎれてしまった。小型ラジオからは、もうなにも聞こえてこない。

 

海斗:落ち着け・・・まずはミクへの質問だ・・・。何が良い? 片方が偽物だとしても、一般的な質問はNGだ。違いが解りづらくなる・・・・。“俺とミクのイベントに特有の質問”がベストのはず・・・・・・・

 

 海斗は目を閉じて、今までのミクとのイベントを思い出していた。

 

海斗:・・・・・よし、これがいい

 

 海斗は質問を決めたようだ。おもむろにミクの方へ目線を向けると、質問を切り出した。

 

海斗:ミク、君に質問だ。俺と君とのジャンケン勝負で、俺が勝った時の“組み合わせ”はなんだった? “ミクが何で、海斗が何だ”、の形式で答えてくれ

 

 右のミクが初めに語りだした。

 

右のミク:ミクがチョキで、海斗がグー、でした

 

 左のミクが、その後に語りだした。

 

左のミク:ミクがグーで、海斗がパー、でした

 

海斗:(よし! ナイス質問だった!)

 

 海斗はゆっくりと、左のミクを指さした。

 

海斗:「君が本物だ」

 

 すると、部屋が輝きだして、右のミクは消滅して、その下に“緑の鍵”がカランと落ちていった。そして残った左のミクは意識を取り戻し、その場にひざまずいた。

 

ミク:ミ・・・ミク・・こ・・・ここは・・・・?

海斗:入った直後に、この館のボスに暗示をかけられて、偽物と一緒にここへ飛ばされたんだ。僕が“本物が君”である事を言い当てて、君は元に戻ったんだ。これで仲間を一人助けられた

ミク:そうだったミク。ありがとうミク

海斗:これから先、助けた仲間と一緒に行動していいそうだ。たぶん、あの偽物が落とした“緑の鍵”で開けられる扉から先に進むんだな

ミク:解ったミク、急ぐミク

 

 こうして海斗は緑の鍵を拾って、右手に持ち、ミクと一緒に洋館のロビーに戻った。

 

***

 

(洋館のロビー)

 

海斗:さて、次はどこだと思う?

ミク:うーん、ミクがここから右隣だったから、定石なら左ミクね

海斗:俺も同感だ。総当たりで鍵を試している時間はないからね

 

 こうして、海斗は左の部屋に通じている扉の前に来た。二人がそこで扉と鍵の関係に気づいた。

 

ミク:なるほどミク。鍵の色や形は、扉の色とかその鍵穴の周りの金具の色と同じミクね

海斗:これで迷わなくて済みそうだな

 

 ガチャ・・・ギギーーーー

 

 二人は扉を開け、洋館ロビーから左へ入っていった。緑の鍵は開けた事で消滅してしまった。

(1F、洋館ロビーの左隣)

 

 そこはなんと狭い通路だった。二人は通路を足早に走り抜け、突き当たりの施錠されてない扉を開けて、中に入った。

 

(1F、談話室)

 

 そこは少し広めで、入った扉の向かいに、ピンク色の金具で施錠されている扉が1個あり、部屋飾りなどが飾られていて、中央に大理石のテーブル1つと、ゆったりしたソファーが4つ置かれており、数個の蝋燭で灯りを取っている部屋だった。

 

 そしてやはりというか、左右のソファーに、足を組みながらゆったりと座っている“ルカ様”がいたのだった。ここにはラジオがないため、無言で“ここでも同じ事をしろ”ということを言われている事がすぐ解った。

 

海斗:さて、区別する質問だが・・・ミクは何が良いと思う? 一般的な質問では差が解らないと考えているんだ

ミク:ミク~・・・・・・あ! あれなんてどうミクか?

 

 ミクは海斗に、考えついた質問を耳打ちした。

 

海斗:・・・なるほど。それなら区別できるな。よし!

 

 海斗は左右で悠然と座っているルカの中央に立って、その質問を語りだした。

 

海斗:ルカ、君に質問だ。俺が君が何故“牛の守護者”の担当になったのか気づいて、その理由を話したら、君はどういう態度をとった? 行動した事を答えてくれ

 

右のルカ:怒って、牛乳の瓶を海斗に投げつけた

左のルカ:真っ赤になって照れた

 

ミク:やっぱり良い質問だったミク

海斗:なるほど、やっぱり俺と対象者が両方関わっているイベントだと、はっきり出て来るんだ

 

 海斗はゆっくりと、右のルカを指さした。

 

海斗:「君が本物だ」

 

 すると、先ほどと同じく部屋が輝きだして、左のルカは消滅して、その下に“ピンクの鍵”がカランと落ちた。そして残った右のルカが意識を取り戻し、がくっと額を落とした。

 

 海斗はその鍵を拾って確認した。

 

ルカ:ミャ、ミャオ・・・・こ・・・ここは・・・・?

海斗:とにかく助かったんだ。いきさつはミクに話してある。時間が惜しいから、ここから先の移動中にミクから聞いてくれ

ルカ:わ、わかりました。とにかく有り難うございます

海斗:先を急ぐ。次は間違いなく、あの向かいの扉だ

 

 こうして海斗は向かいの扉をピンクの鍵で開け、先に進んでいった。尚、ピンクの鍵は開けたときに消滅してしまった。

(1F、中央通路)

 

 海斗達は、今度は扉が5個ある通路に躍り出た。人海戦術で全ての扉を調べたが、どれも開かなかった。

 

海斗:行き止まりだと?? そんな馬鹿な!

ルカ:あ! 海斗さん! 突き当たりに“エレベーター”があります!

海斗:なるほど、次は“階”を変えろってことかい!

 

 海斗一行は突き当たりのエレベーターのボタンを押し、エレベーターの扉が開くと、中に入り“B1Fへの直通エレベーター“で、B1Fまで移動し、薄暗い地下通路に躍り出た。

 

(B1F、地下通路)

 

 そこはもうホラー以外の何物でもない、地面が土で薄暗いじめじめした通路だった。一応小さい電球で灯りを取っていたが、さすがに3人はゆっくり移動しなければ行けなくなった。

 

ルカ:こ・・・怖いです・・・・私、ホラー、ダメなんです・・・・

ミク:ミクもあんまり得意でないミク

海斗:こんなのゲームで慣れているよ。どうやら突き当たりの扉が、次のステージらしいな

 

 海斗達は、通路の突き当たりの施錠されていない大きめの観音開きの扉を開けて中に入った。

 

 そこは、やたら広い“野菜貯蔵室”だった。

 

***

 

(B1F、野菜貯蔵室)

 

 貯蔵室とはいえ、構造は簡単だった。木のケースに入った野菜が置かれている棚が数多く並んでおり、フォークリフトが3台並列して止まっていた。

 

 そして、ここには、左、中央、右の3台のフォークリフトの、木の台が挟まれている“フォーク部分”に、3人の“めぐみ”が立っていたのだった。

 

 そして、3台のフォークリフトの無線機から、3つ同時に、ノイズ混じりの男性の声が聞こえてきた。

 

声:ここまで来れるとは、随分頑張っているようだね。私は宝玉の守護者の一人、テル

海斗:今度は男か!

テル:ルールは同じだから省略するが、ここから先、私の管轄では、偽物二人、本物一人の構成になっている。そして偽物もかなり正解に近い答えを出すようにしてある。せいぜい頑張ってくれたまえ

 

 ブツン

 

海斗:また一方通行か。いいだろう。絶対仲間を助ける!

ミク:さて、どんな質問がいいミクかね?

ルカ:今度は偽物も近い答えを出すのですから、“はっきり区別できる質問”でないと、失敗しますね

海斗:うむ・・・。めぐみと俺ではっきりわかるくらい関わったイベントか・・・

 

 一行は今回は慎重になった。めぐみをパーティから欠くことになるのは絶対避けたいからだ。

 

海斗:う~ん・・・・・あ、あれがいいか!

 

 海斗は他のメンツに耳打ちした。

 

ルカ:私たちは直接タッチしてませんが、それならはっきり区別できるはずです

ミク:それで行くミク!

 

 海斗は3台のフォークリフトの中央に立ち、考えついた質問を語りだした。

 

海斗:めぐみ、君に質問だ。兎の部屋で、君は俺にゲームで負けたけど、負けた理由を答えてくれ

 

左のめぐみ:私が操っていたサイコロのコントローラーが壊れて、私が最悪のサイコロの出目を出してしまって、負けた

中央のめぐみ:私がコントロールしているサイコロを私が振って出目が確定する直前に、海斗がマフラーを高速回転させて作った風で私がくしゃみして、その振動でサイコロが1回余計に転がって出目が変わって、負けてしまった

右のめぐみ:私がコントロールしているサイコロを私が振って出目が確定する直前に、海斗がマフラーを高速回転させて作った風がサイコロに当たって、サイコロが1回余計に転がって出目が変わって、負けてしまった

 

海斗:う・・そう言うことか・・・

ミク:これは微妙ミクね

ルカ:一人は簡単にオミットできるけど、もう一人はよく思い出さないとダメですね

海斗:さすが3回目、難易度がぐっと上がっているな・・・・。さて、“サイコロがどうやって余計に転がった”のか、か・・。どうだったかな・・・

ミク:ミク~、申し訳ないミクが、私とルカさんは、ゴール寸前でスタート地点まではじき飛ばされてしまったので、その光景を見てないミク

海斗:うーーーん・・・・、あ! そうだ! 光景は見て無くても、“声”くらい聞こえたよね?

ルカ:あ、はい。声は聞こえました。やたら大きい声だったので

海斗:その声って、なんだった?

ルカ:えっと・・・あ! “くしゃみ”でした! めぐみさんの大きなくしゃみ!

ミク:地面が震動するくらい、凄い“くしゃみ”だったミク

海斗:オーケー! わかったぞ! 仲間の助力を得るって事は、こういう意味でもあったのか!

 

 海斗はおもむろに、中央のめぐみを指さした。

 

海斗:「君が本物だ」。サイコロは風で転がったのではなくて、君の大きな“くしゃみ”で起こった地面の震動で1回余計に転がったんだ!

 

 難問だった。しかし、見事に当てることが出来たのだった。先ほどと同じく広めの部屋が輝き、左右のめぐみが消滅して、その下に“黄緑の鍵”と“オレンジの鍵”の2つの鍵がカランと落ちた。そして残った中央のめぐみが意識を取り戻し、フォーク部分に座り込んだ。

 

 海斗はその2つの鍵を拾い、皆はめぐみの所に集まった。

 

めぐみ:う・・・・こ、ここはどこピョン?

海斗:ここは羊の館の内部だ。詳しくはこれからの移動中にミクから聞いてくれ。他の仲間をこれから先に進んで助ける!

めぐみ:わかったピョン。有り難うピョン

海斗:じゃあ、急ごう! 次はたぶんここの向かいにある、大きな扉の外だ

 

 こうして海斗は貯蔵室の向かいにあった“大きな黄緑の扉を、同じ色の鍵で開け、先に進んでいった。この時に黄緑の鍵は、またもや消滅してしまった。

(1F、搬入口)

 

 野菜貯蔵室に繋がっていた広い通路を進んだ先は、野菜貯蔵室へフォークリフトで荷物を運ぶ時に使う、ガレージ横に隣接した“搬入口”だった。ひらけた場所だったが、館の外に出る部分は真っ黒な壁に覆われていて、進めないようになっていた。

 

海斗:外ではない・・・。ってことはこのエリアの中で“オレンジの鍵“を使う扉があるはずだ

めぐみ:うーん、1Fエリアには扉がないピョンね・・・・

ルカ:あの・・・あの“2Fへ通じる階段”、手すりがオレンジなんですけど・・・

ミク:ミク! 随分目立つミクね

海斗:なるほど、今度は2Fへ行け・・・か

 

 一行はオレンジ色の手すりが付いた、野外階段を上がっていき、2Fの位置にあった“非常口”の扉を、オレンジの鍵で開けて、2Fに侵入した。オレンジの鍵は、今回はまだ消えなかった。

 

***

 

(2F、通路)

 

 そこはホテルのような“絨毯”が敷かれていて、地下通路とは違ってしっかりしていた。そして勿論、数個の扉が側面に設置されていた。

 

海斗:オレンジの鍵はまだ消えてない。これで開ける扉が、この中にあるはずだ・・・

めぐみ:総当たりピョンかね・・・

ミク:ミク! この豪華な扉、ノブが“オレンジ色の錠前”で施錠されているミク!

海斗:今度は錠前か。まぁいいや

 

 海斗はオレンジの鍵で錠前を開け、ノブを持って、扉を開けた。

 

 ギギーーーー

(2F、食堂)

 

 そこは明るくてかなり広めの食堂だった。中央に長いテーブルが置かれており、それに沿って、椅子が置かれていた。

 

海斗:こ、これは・・・

 

 そう、その椅子には、3人ずつ、6人のリンとレンが座っていた。今度は座っている前のテーブルにナンバーカードが置かれていた。

 

ミク:リンとレン、両方同時に当てるって事ミクね

ルカ:人数が多いから、ナンバーカードで分けているんですね

海斗:6人が全部同じ人物ではないけど、あいつらは“1回だけ質問できる”と言った。そして回答は微妙になっている・・・

めぐみ:つまり、二人で1セットになる質問をしないと、わかりづらくなるピョンね

 

海斗:さて、どうしたものやら・・・。リンレンとの対決で、わかりやすくて、1セットになっている質問か・・・

ミク:あ、気づいたんですが、ここって“仲間の助力を得る”所ミクよね? だったら、仲間が良く知っている質問内容だと、いいかもミク

海斗:なるほど! さっきみたいに仲間が答えを知っている内容だったら、誤答になりづらいな! よし! ならこれだ!

 

 海斗は食堂のテーブルの一番前に立ち、6人のリンとレンに視線を向けて、考えついた質問をゆっくり語りだした。

 

海斗:リンとレン、良く聞いて欲しい。俺達はシミュレーションRPGルールのリンとレンの部屋で、闘っている時、1回ジョブチェンジした。ジョブチェンジ前後のステータスなどは君たちにも見えるように必ず表示される。そこで質問だ。二人には俺達のジョブを答えて貰う。但し! リンはジョブチェンジ前、レンはジョブチェンジ後だ。それと俺のジョブの場合、戦闘でちゃんと使ったモノを答えて貰う

ミク:ミク~、あったま良いミク!

めぐみ:なるほど、これなら、“系統”を半分に出来るし、ジョブなら私たちも熟知しているピョン

 

 少し考える時間が過ぎた後、No.1,2,3のリン、No.4,5,6のレンが順に答え始めた。

 

No.1リン:メイコのジョブチェンジ前のジョブは、赤い胴着を着て、トンファーを持った、“武闘家”でした

No.2リン:メイコのジョブチェンジ前のジョブは、赤い胴着を着て、ナックルを付けた、“格闘家”でした

No.3リン:メイコのジョブチェンジ前のジョブは、赤い胴着を着て、ナックルを付けた、“武闘家”でした

 

No.4レン:メイコのジョブチェンジ後のジョブは、灼熱色の胴着を着て、両手が青白い“オーラ”に包まれた、“拳聖”でした

No.5レン:メイコのジョブチェンジ後のジョブは、灼熱色の胴着を着て、両手が真っ赤の“炎”に包まれた、“拳聖”でした

No.6レン:メイコのジョブチェンジ後のジョブは、灼熱色の胴着を着て、両手が青白い“オーラ”に包まれた、“鉄拳”でした

 

海斗:だ、誰か、メモしてくれたか? 予想していた回答の斜め上だった!

めぐみ:大丈夫ピョン。私が全部メモしたピョン

海斗:グッジョブ!

ミク:ミク~、まさかここにいない“メイコさん”のジョブで攻めてくるとは、想定外ミク

ルカ:しかもメモを見ても、ちょっとずつしか違いが無いですね

海斗:えっと、リンレンを入れて残りは・・・6人か。中盤戦でこの難易度。侮れないな・・・。まぁいいや。めぐみ、メモを見せてくれないか?

めぐみ:はいピョン

 

 めぐみは正確に取ったメモを海斗に手渡した。

 

海斗:・・・・・なるほど、本当に“細かい差異”だな。しかし、仲間の絆を甘く見るなよ! みんな俺の答えは固まっているんだが、答え合わせをしたい。ちょっと集まってくれ

 

仲間:了解!

 

 海斗達は、食堂テーブルの前に輪になって集まり、“自分達が知っている情報”を照らし合わせていった。

 数分後・・・

 

海斗:よし! 間違いなかった! じゃあ、行くぞ!

 

 海斗はまず、リンを当てることにした。海斗が指さしたのは、No.3のリンだった。

 

海斗:メイコの前のジョブは“武闘家”で、武装はナックルだったんだ! だから、リンについては、「君が本物だ」

 

 反応がない。どうやら“二人セットで当てろ”ということらしい。

 

 海斗は、今度は、レンを当てることにした。海斗が指さしたレンは、No.4だった。

 

海斗:これは微妙だった。メイコの今のジョブは“拳聖”だ! そして両手は青白い“オーラ”で包まれていた! レンについては、「君が本物だ」

 

 パァァァァ

 

 見事だった。指摘したリンとレン以外に偽物のリンレンは消えてなくなり、中央に“黄色の鍵”が1つ、上から落ちてきた。海斗はその鍵を拾い、皆はリンレンの所に集まった。

 

リン:い・・いたた・・・ここ・・は?

レン:いってー・・・ま、まぁ助かったみたいだな

海斗:レンの言うとおりだ。しかしここで随分時間を使ってしまった。詳しくはこれからの移動中にミクから聞いて欲しい。まだ後、4人もいる。他の仲間を更に進んで助ける!

リンレン:わかりました!

 

 こうして海斗達は、食堂の一番奥にあった黄色い金具が備え付けてある扉を、黄色い鍵で開けて先に進んでいった。鍵はこの1回で消滅してしまった。

 

(続く)

 

CAST

 

工藤海斗:KAITO

0:00の子の宝玉の守護者&案内天使・ミク:初音ミク

1:00の丑(牛)の宝玉の守護者・ルカ:巡音ルカ

2:00の寅(虎)の宝玉の守護者・メイコ:MEIKO

3:00のうさぎ(兎)の宝玉の守護者・めぐみ:GUMI

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・リン:鏡音リン

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・レン:鏡音レン

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ハク:弱音ハク

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ネル:亞北ネル

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・テト:重音テト

6:00の午(馬)の宝玉の守護者・学歩:神威がくぽ

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・ユキ:歌愛ユキ

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・テル:氷山キヨテル

7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・ミキ:miki

 

ジャッジのヒーゲ:とある髭のリングアナウンサー

 

その他:エキストラの皆さん


 
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