青龍刀・・・それは伝説の武器のひとつで、その名のとおり青龍の力を持つ
青龍の力は伝記上では『身体の変化』の力を持つ
たとえば腕を『刃』に変えたりとか、足を『刃』に変えたりだとか・・・
だが伝説は『伝説』
たとえ伝記に書いてあったとしても実際にそんな物が存在したのかも分からない
現にその武器の所有者であった関羽が死んだ後、その武器の行方が分からなかった
だから学者はこの武器の事を『架空の武器』という風に呼んだ
「・・・という風に俺は学んだが?」
そう俺は説明しこいつらの理論を遠回しに否定する
「ねぇ、拓馬先輩は『青龍刀』って聞いてどんな形の武器を想像する?」
いきなり零からそんな質問がとんできた
「伝記上では確か大刀・・・日本でいえば『薙刀』に似ていたな」
俺がそう返答すると零は「ブッブー!違いまーす」と元気いっぱいに答えた
「伝記上では確かにそう書かれています。しかし実際には違います」
香は静かに俺の言葉を否定する
「ほう・・・ならいったいどんな形なんだ?」
「ただの・・・『太刀』です」
俺はその応えに口をただ開けることしかできなかった
ただの・・・太刀?
「そんな馬鹿な・・・。だったらなぜ関羽はあのような絵をかかせたんだよ?」
「それは敵に自分の武器の情報を流させないためです」
「なんのために?」
「青龍刀は昔も今も伝説の武器です。伝説と聞いては飛び付かない人間はそうそういないはず」
なるほど・・・
「つまりは『本物の形をそのまんま描かれたら盗まれるかもしれない』ということか?」
「さすがは先輩です」
コクリとうなずく香
「はいはい!拓馬先輩も青龍刀の真実も知ったしこの話は終了ということで!!」
俺と香が話していた時、零がいきなり割り込んできた
「なんだよ、リーダー。俺は今香と話していたんだが?」
「私たちは暇なんだよ~!拓馬先輩と香だけで『イチャイチャ』して!!」
やけにイチャイチャ部分を強調したな
というか・・・
「俺たちはイチャイチャしてない!真面目に話をしていただけだ!!」
「ホントにか?」
「なんだよ・・・」
「ホントは満更でもないんじゃないか?香と話をしていたとき楽しそうに話してたじゃん」
「マジで?」
そう雫に聞くと・・・
「マジ」
と二言で返された
正直少し嬉しかった
「さて・・・と次は拓馬先輩の戦闘力だね」
零はそう言って木刀をどこからか取り出した
その木刀を俺に手渡す
「これは?」
「これから拓馬先輩は雫と戦ってもらうよ」
「……」
俺は零に可哀想な子みたいな目付きで睨む
「な、なにかな?なんでそんな可哀想な目で私を見るのかな?」
正直に言おう
なぜいきなり戦わないといけない?
しかもウォーミングアップも無しで戦えだ?
ふざけるな!
「ふざけるな!」
おっと心の声が出てしまったようだ
まぁいいか
「ウォーミングアップも無しにいきなり『シャングリラ』である雫と戦えだと?無理に決まってるじゃねぇか!!」
こちとら剣を手放してから何年経っていると思っている
「なんで……」
「ん?」
「なんで…なんでやる前から諦めているのかな?」
「なんでって……俺は剣を手放してから一年も経っているんだぞ?」
「だからといって……『無理』とかで言い訳をしてアナタは『可能性』を踏みにじるの?」
なにを…言ってるんだ、コイツは……
「いちよう言っておくね。私たちの嫌いな言葉はね…諦めようとする言葉全体が嫌い」
そんなこと…
「お前たちの理屈を勝手に押し付けるな!俺は俺だ!俺は―――」
「そうだとしてももう拓馬先輩は私たちの仲間だ!ならば私たちの『理屈』も受け入れてもらわなくちゃ困る!!」
「……」
俺はただ歯ぎしりをすることしかなかった
また俺は…あの血生臭いとこに戻らなくちゃいけないのか?
「……とりあえず今は無理かもしれないけど…拓馬先輩の腕も戻さなくちゃいけないから…お願い!」
零が手を合わせて頼んでくる
俺はただ頷くことしかできなかった
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第3話『龍の武器』を更新しました
駄文です←マジで
第4話→未明
第2話→ http://www.tinami.com/view/519294