ちょうど大雨の日、山の頂で……
　刺すような雨に打たれつつ、大泣きしながら、
わたしはフィームにせがみました。
「待って、行かないで」
　しかし、彼女はまるで気づいていないみたいに、

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わたしのそばをすり抜けるように立ち去り、
2度とわたしと口をきく事はありませんでした。


　……ほんとうにそんな経験をしたわけではありませんが
あのときのわたしの気持ちを、ベアン人らしく詩的かつ具体的な
思い出として語るとすれば、そんな感じです。