No.558542

ALO~閃姫After story~ EP2 お見舞い

本郷 刃さん

EP2です。
タイトル通りの内容・・・になっているといいなぁw

では、どうぞ・・・。

2013-03-24 10:33:16 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:16589   閲覧ユーザー数:15141

 

 

 

 

 

 

 

EP2 お見舞い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

約2年間と2ヶ月という期間、体が眠り続けていた俺であったが、つい10時間程前にその長きに亘る眠りから覚めた。

現在は病院の精密検査を受けている。

7時間程度の睡眠を取ったあと、味がほぼ無いお粥を食べ、少しの休憩を取ってから検査を受けているのだ。

ちなみに音はもう聞こえるようになっている。

しばらくの間検査を受け続け、終わったのは昼前だった。

 

 

 

車椅子に乗せられて看護婦さんに押されながら病室に戻ってくるとそこには…、

 

「あ、キリトくん///♪」

 

満面の笑顔を浮かべながらベッドに座っている明日奈がいた。

彼女はベッドから降りて、ベッドに座ろうとする俺を支えてくれた。

看護婦さんは微笑ましそうに俺達の様子を見ている、まぁいいか…。

 

「大丈夫? 辛くない?」

 

「約2年ぶりに体を動かしたんだ、さすがに響くよ…」

 

「無理、しないでね?」

 

なおも心配そうにする明日奈、まるで子犬のようだ…。

それに笑みを浮かべておけば少しは安心するようである。

看護婦さんは俺達に一声掛けると病室から去っていった。

 

「ここに来たということは、事情聴取はもう終わったのか?」

 

「うん。聞かれることって言っても、襲われた時のことはわたしを助けてくれた人が大体話してくれてたみたいだから、

 特に話すことはなかったよ……って、キリトくん///?」

 

俺は体に響くものを無視して明日奈の体を抱き締めた。

改めて彼女に何事も無くて良かったと、心の底から喜んだからだ。

同時に、明日奈は気付いていなかったのかもしれないが、彼女は少々震えていた。

だから抱き締めた、それだけ…。

 

「え、えっとね/// わたし、助けてくれた人にお礼を言いたかったんだけど、

 さすがにすぐには教えてもらえなくて…あ、

 特徴はね「黒髪の長髪、細身の体型だけど強く、俺に似た雰囲気を纏う男性…」……な、なんで知ってるの?」

 

俺の腕の中で驚きながら首を傾げる明日奈、可愛い…。

俺は少しだけ意地の悪い笑みを浮かべてから彼女に伝えることにした。

 

「明日奈、その人……俺の師匠なんだ」

 

「……え?」

 

「俺の、俺達『神霆流』の師匠にして師範……【剣神】の称号を持つ武人、時井八雲さん」

 

「……っ、えぇんむっ/////////!?」

 

驚愕のあまりに大声を上げそうになった明日奈の唇を自分の唇で塞いだ。

まったく、いくら驚いたとはいえ病院では大声を上げてはいけないぞ。

お、舌を絡ませてきたな。

 

「ん、んぅ…」

 

「んちゅ、んん…ふぁ…/////////」

 

唇を離してお互いに呼吸を整える、駄目だな…肺活量もかなり低下している。

早いうちにリハビリを始めたいなぁ。

ん、明日奈? 幸せいっぱいの表情で俺に抱きついているよ。

 

「そういえば明日奈、俺のことキリトの方で呼んでいるんだな」

 

「う、うん/// なんか、こっちの方が慣れてるし/// やめた方がいいかなぁ///?」

 

「和人の方は、後々慣れてくれればいいよ…」

 

「ん…///」

 

再度俺は彼女を強く抱き締めた。

 

 

 

12時、お昼時となりお粥が運ばれてきたのでそれを食べようとしたのだが…、

 

「キリトくん、あ~ん♪」

 

「あ~んむ」

 

見て分かる通り明日奈に食べさせられている。

当然こうなるとは思っていたさ、勿論ありがたく味わっている。

うむ、幸せだ……するとそこに…、

 

「お兄ちゃん、来たよ~」

 

「こんにちはっす、和人さん」

 

「直葉、刻」

 

2人がやってきた。

しかも後ろに誰か控えているようで、そのまま中に入ってきたのは『黒衣衆』の仲間達だった。

 

「ようやく目覚めてくれたか…」

 

「……随分と時間が掛かったな…」

 

「でも、本当に良かったですよ…」

 

「ったく、心配ばかり掛けやがって…」

 

「無事で、なによりです…」

 

「あんなの二度とごめんよ…」

 

「志郎、景一、烈弥、公輝、雫さん、奏さん……みんな、ごめん。それと、ありがとう」

 

みんなが掛けてくれる言葉が嬉しかったのと申し訳が無かったりした。

他にもやりようがあったのかもしれないが、あの時はああするしかなかったしなぁ。

明日奈が囚われるなんて絶対に嫌だったし、でも、うん…。

 

「いや、本当にすいませんでした」

 

取り敢えず土下座した。

 

「キ、キリトくん!? あ、頭上げて!」

 

「そ、そうだよ、お兄ちゃん!?」

 

動揺する明日奈に直葉、他のみんなの動揺っぷりも随分な見物だ。

でもさ、あれだよ……リアルダメージを喰らった上に、危うく実験体になるところだったし、

明日奈と師匠が来なかったら須郷に殺されてたかもしれないし…。

そう思うと土下座するしかないと思ったわけだ。

 

「分かった、和人。お前の気持ちは良く分かったから顔上げてくれ…」

 

志郎が混乱し始めたこの場を治めてくれた、なんか俺も少しばかり混乱しているんだ…。

 

「ほら、キリトくん。まずはお粥を食べて、あ~ん」

 

「ん、あ~ん」

 

そしてこのように甘い雰囲気を醸し出す。

みんなは少し呆れているが、俺なりに頑張ったのだからこれくらいは許してほしい。

 

「それにしても美味いなぁ、お粥」

 

「「「「「「「「「……はい?」」」」」」」」」

 

「ん、なんかおかしなこと言ったか?」

 

俺が漏らした素直な感想にみんなが「コイツ何言ってるんだ?」などと言いたげな表情をしている。

 

「ねぇ、和人君。それ、病院食のお粥ですよね?」

 

「味、ほとんどしないんじゃないかしら?」

 

雫さんと奏さんの言葉に俺は納得した。普通はそういう反応するだろうな。

 

「いやだって、ALOに捕まっている間は何も食ってなかったし」

 

「「「「「「「「「……え?」」」」」」」」」

 

「あのクソ野郎が俺に飯なんか出す訳ないだろ? 第一、食い物出されたところで怪しくて喰いたくもないな」

 

驚くみんなを無視して俺は淡々と告げる。

考えてもみてくれ、あの下種は俺が苦しむのを喜んで見ていたし、

食事を出したところで恐らく毒でも盛ったに違いない。

それを考えると、なにも出されなかったのは良かった。

だからこそ2ヶ月ぶりの満腹感を得られる食事にして、

約2年ぶりのまともな食事なのだ……美味しくないわけがない。

 

「キリトくん……退院したら、わたしが美味しいものをたくさん作ってあげるからね…」

 

「和人、デザートは何が良い? 甘いもの、好きだろ?」

 

「明日奈さんとは違う味ですが、私も何か作りますね…」

 

「あ、あぁ…」

 

明日奈は切なそうな表情で、公輝は哀愁を漂わせ、雫さんは少々哀しげな表情で俺に言った。

うん、同情されたな……仕方が無いか。

 

「それじゃあ、それまでは病院食で我慢してね♪ はい、あ~ん♪」

 

「んむ…(もくもく、んく)」

 

うん、明日奈の手料理と公輝のお菓子と雫さんの料理を期待しておこう。

そして俺はみんなに見守られながら、昼食を取った。

 

 

 

昼食を終えた俺達はしばしの談笑をしていた。

俺が眠っていた時、主にみんながリアルに帰って来てからの内容だ。

烈弥はシリカと、志郎はリズと、景一は幼馴染と、奏さんもクラインと再会を果たしたという。

ALOで再会はしたがリアルではまたの機会になる、その時を楽しみにしていよう。

さらに明日奈からは驚きの内容が語られた、

自殺を図った……その言葉に俺は一瞬「何故?」と思ってしまったがすぐに理解できた……俺の責任だ。

SAOでの茅場との最後の一騎打ち、相討ちで終わり、明日奈は俺の生存を知らないままリアルに帰されたのだ。

もしも、逆の立場であれば俺は……『復讐の悪鬼』に成り果てていたかもしれない。

そう思うと、彼女には本当に申し訳ないことをしてしまった。

彼女の頭を優しく撫でてあげると、くすぐったそうにしながらも嬉しそうに表情を緩めた。

同時に考えたのはここにいる仲間、家族、ここにはいなくとも他の仲間や友人、

さらに関係者に多大な心配を掛けたことを理解する。

これは中々に大変かもしれないな……その時、

 

「ふふ、さすがの和人も2年以上眠ったままであれば……私の気配も掴めませんか」

 

「「「「「「し、師匠!?」」」」」」

 

声が聞こえてドアの方に視線を向けてみれば、いつの間にやら俺達の師匠である八雲さんがそこに立っていた。

気配どころか存在感すらこの人は消せるんじゃないのだろうか?

 

「公輝とは電話で話しただけでしたね。皆、無事に帰還できて重畳です」

 

「「「「「「あ、ありがとうございます…」」」」」」

 

「和人、志郎、烈弥、刻は良き人に想われたようですね」

 

この人は、一体どこまで見通せているのだろうか?

雰囲気の変化だけで察することができる辺りは本当に計り知れない。

 

「雫さんと奏さんも御無事でなによりですよ。直葉さんも良かったですね」

 

「「「ありがとうございます」」」

 

「そして……結城明日奈さん、でしたね?」

 

「は、はい」

 

師匠は明日奈の方を向き、温和な笑みを浮かべながら一言。

 

「これからも、和人を側で支えてあげてください」

 

「ぁ…はい!」

 

明日奈の回答に満足そうな師匠は大きく頷いている。

 

「それではこれから私用がありますので、失礼しますね。和人、これを…」

 

「なんですか?」

 

師匠から手渡された1枚の紙、そこには何かが書かれていた。

その内容は……何かのメニューだった、瞬時に理解する…リハビリメニューだ。

だがそのメニュー内容が、ヤバい!

 

「和人、貴方には1週間で歩けるようになってもらいます。

 4月までにはある程度戦えるようになってもらいますから」

 

「……………はい」

 

「それでは…」

 

俺は顔を真っ青にさせて死刑宣告(つうたつ)を受け、ガックリとした。

明日奈と雫さんと奏さんは首を傾げさせ、神霆流の面々は体を震わせながら同情の念を向けてくれた。

師匠は病室を後にして帰っていった。

 

「俺、退院したら…「やめろ、和人!? それは死亡フラグだ!?」……だってさぁ…」

 

もう遣る瀬無さしかなかった。みんなはその後、帰宅し、俺は明日奈と話し続けた。

現実逃避くらいさせてくれてもいいじゃないか…。

 

和人Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

え~前半は甘い部分がありましたが、後半ギャグでしたねw

 

現在の和人は微妙に余裕がありません、精神面がギャグ補正を受けていますw

 

次回は師匠からの無茶ぶりリハビリの内容だお、あくまで普通のリハビリじゃないだけで死にはしないお。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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