あんまり綺麗な夜だった
排気ガスで汚れた空も
寒さで空気が澄んでいて
いつもよりも綺麗な星たちが並んでるように思えた。
ああ、いつか死ぬ日が来たときは青空よりも
いっそこんな綺麗な闇に吸い込まれるように死にたいものだなと考えて
ただやめた。
こんなことを考えているのが知れたらきっと怒ってくれる人がいるから。
生きている価値を考えたことが何度あっただろう。
生まれてきた理由を真剣に追い求めようとしたかつての少年が今だ心に潜んでいる。
意味なんて無い。
ただそうでもしないと生きられないと思ったのだ。
楽しいことも悲しいことも同じようにやってきて、それは平等に訪れるものだと言われるたびに死にたくなった。
だったら何でこんなにも多く存在する必要があるのだろう。
そればかりを考えた日々だった。
僕のほおを強く打った彼は今どこで何をしているのだろう。
馬鹿らしいと、じんじんと頬の痛みに顔をゆがめる僕より先に涙を流した彼は。
卒業という区切りからだんだんと遠くなって、やがて見えなくなった。
嫌いになったとか、喧嘩をしたとかそういうことではない
ただ学校という場所が消えて
僕らの道が分かれただけで、そういうものだった。
でも離れているからこそ僕は安心するのだ。
あんなにも考え方が違った彼と
僕の空は繋がっている。
悩みや苦しみや喜びや嬉しさもきっと全部違うけれど
彼ならば、この空を見て同じように
綺麗だと笑うだろうから。
かつての友とはそういうものだと思うのだ。
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今でこそ連絡を取らなかった、取らなくなった昔の友達をそっと思い出しては懐かしいと笑う。ただそれだけ。