No.555015

B★RIS――ブラック★ロックインフィニット・ストラトス――転生して一夏の兄になった一人の男の娘の物語

さん

これから更新スピードを早めていきます

2013-03-14 13:43:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2080   閲覧ユーザー数:2048

第19話 黒い狂気

 

一夏side

 

千夏兄は引きちぎった右腕をラウラに向けて投げる。投げられた右腕には槍状の武器が握られており、その槍から細かい岩の雨が降り注ぐ。

ラウラは雪片でその弾岩を防ぐが、すぐにその場から飛び去る。直後、さっきまでラウラがいた場所に槍が突き刺さった。

その槍は千夏兄の背中から生えている鎖と繋がっていて、今ラウラがいる場所にムチのように振り飛ばし、また弾岩の雨を降らせる。

ラウラは止まることなく走り続ける。走りながら雪片で弾岩を防ぐ。今、千夏兄が一方的にラウラを攻撃している状態だ。

 

瞬間、ラウラと千夏兄の槍が交差する。千夏兄は槍をラウラに当てるつもりだったんだろうが、ギリギリのところでラウラが避けた。

槍はそのまま地面に突き刺さり、動きを止める。ラウラはそれを見て千夏兄に瞬間加速(イグニッション・ブースト)で急接近。また千夏兄が雪片で斬られる・・・。

と思っていたがそんなことは無かった。地面に突き刺さっていた槍から隠し銃が現れ、後ろのラウラの右肩を撃ち抜く。バランスを崩したラウラは千夏兄を斬ることなく、雪片を地面に落とし、地面に倒れる。

 

千夏兄は雪片を鎖で拾い、無表情でラウラに近づく。

そのままラウラの胸倉を掴み、蹴り飛ばした。

ラウラはアリーナの壁に激突。そのまま暴走していたISは動きを止め、ISの中からラウラが出てくる。

暴走していたISが動きを止めたと同時に、千夏兄の鎖が持っていた雪平も姿を消した。

 

千夏兄は鎖を縮め、右腕を回収。再び右腕が繋がったときは驚いたが、千夏兄のISは色々と不思議が多いので気に留めることはなかった。

俺はISを展開したまま、千夏兄に駆け寄る。

 

「やったぜ千夏兄!あの偽者野郎をやっつけたぜ!」

 

「・・・・・・。」

 

「・・・千夏兄?」

 

千夏兄が何も言い返さない。普段の千夏兄ならここで「何もしてないのに偉そうなことを言うな!」って言い返すと思ったんだが・・・。

 

「千夏兄?どうしたんだ?具合でも・・・・っ!?」

 

話しかけた瞬間、千夏兄に殴られた。

 

「な、なにすんだよ千夏兄!」

 

何が起こったか全く理解できない。千夏兄、怒ってるのか?

 

「・・・今の私は、織斑千夏ではない。」

 

「え・・・?」

 

いつもより低い声のトーンで千夏兄が話し出した。

 

「千夏兄じゃないって・・・何言ってんだよ!千夏兄は千夏兄だろ!訳わかんねぇよ!」

 

「そうだよ千夏!どうしちゃったの!?」

 

千夏兄はさっきまでの無表情のまま、そこから動かない。

少し、瞬きをした瞬間だった。千夏兄が一瞬で俺の前に移動し、こう言った。

 

「分からせてあげる。」

 

そう言って俺の頭をISとは思えないくらいの力でゲンゴツし、そのまま顔面を地面にたたきつけられる。

俺が痛みに耐えていると、そのまま顔面を蹴り、十数メートルほど吹っ飛ばされた。

 

―――本当に千夏兄じゃない・・・。千夏兄ならあんな酷いことはしない・・・。

 

「私はブラック★ロックシューター。篠ノ之束博士にISとして生み出された、織斑千夏の思念体・・・。」

 

「思念体・・・?」

 

何のことかサッパリ分からない。聞いたこと無い単語だったが束さんが関係しているようだ。

 

「姉さんが・・・?」

 

と箒が聞こうとした瞬間、俺の胸倉が掴まれ、膝蹴りを何度も受け、そのまま飛ばされる。

 

「私とは違い、貴方の傷は容易には治らない・・・。」

 

傷が・・・容易に・・・?じゃぁ、千夏兄の怪我がすぐに治るのはISじゃなく、思念体(コイツ)の所為だったのか・・・。

 

「何故、貴様のその剣を使わない?」

 

コイツは雪片を指で指し、俺に問う。そんなの・・・

 

「千夏兄が傷つくからに・・・決まってんじゃんか・・・。」

 

「そう。」

 

コイツが右手を握り、殴ろうとしたので咄嗟に雪片で受け止める。が、威力を抑えきれずに後ろに押されてしまう。

コイツは無表情でひたすら俺を殴り続ける。俺はそれを唯防ぐことしか出来ない。

一発、予想以上の力で殴られバランスが崩れる。体勢を立て直そうと、腕を振り上げると雪片がコイツの脇腹に突き刺さる。

刺さった傷口から血がだらだらと湧き出てくる。

 

「千夏兄・・・。っ!」

 

その瞬間、雪片を取り上げられ、明後日の方向に投げられた。

コイツはまた俺の胸倉を掴み、顔面を一方的に殴り続ける。数発殴られた後、ローキックを決められ、膝に激痛が走る。俺は痛みに耐えられず、その場に崩れ落ちた。

 

「たったこれだけのことで動けない?」

 

「うぅ・・・。」

 

駄目だ。逃げようとしても恐怖で足が動かない。

心配したのか、箒とシャルルが駆け寄ってきた。ラウラはさっき壁に激突してからまだ意識が戻っていないらしい。

教員部隊も突入したのはいいがコイツの狂気に怖気づいたのか身動きすら取れていない。その場に泣き崩れる先生まで居るくらいだ。

 

「どうしたというのだ千夏!一体何が・・・」

 

「よせ箒!今コイツに話しかけると・・・」

 

予想通りだった。コイツは箒が目障りだと感じたんだろう。いつの間にか格納していた槍を展開し、箒に突きつけようとする。

今の箒は生身だ。あんな物突きつけられたらたまったもんじゃない!

槍が箒に迫る。が、その刃は箒には届かなかった。

 

シャルルだ。コイツと箒の間に介入し、シールドで受け止めた。

 

「どうしたの千夏!何か変だよ!」

 

「・・・・・。」

 

コイツは何も答えない。何を考えているのか全く分からない。

 

「織斑一夏。」

 

「・・・なんだよ。」

 

「この()を・・・。織斑千夏を助けたい?」

 

何言ってんだよ・・・。そんなの・・・

 

「当たり前じゃんかよ・・・!」

 

「そう・・・。なら、私を倒せ。」

 

倒せって・・・。そしたら千夏兄は助かるのかよ・・・。

本当に助かるならそうしたいところだが・・・。

 

「無理だ・・・機体のエネルギーがもう無い・・・。」

 

そう。トーナメントの第1戦でラウラにエネルギーを0にされた。試合が終わってから白式を充電しておいたが、まだ数十分しか経っていない。満充電どころか、全体の半分すらエネルギーは回復していなかった。その状態で零落白夜をアリーナのシールドを破るのに1回、暴走したラウラのISに攻撃しようとしたので1回。計2回使用した。コレだけでエネルギーは残り少なかったのだがさっきコイツに殴られたり蹴られたりしたので、もうエネルギーは残り2桁を切っていた。

 

「一夏。」

 

ふと、コイツじゃない俺を呼ぶ声が聞こえた。シャルルだ。

 

「本当に千夏を助けたい?」

 

「当たり前だろ・・・!でも、もうエネルギーが・・・。」

 

「エネルギーが無いなら、持ってこればいいんだよ!」

 

何言ってんだシャルル?まさかIS用の充電器を持ってこいって言ってるのか?

と思っているとシャルルのIS「ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」の腰の部分からコードが延び、白式に接続された。

 

「リヴァイヴのコアバイプスを開放。エネルギーの流出を許可!」

 

シャルルの合図と同時に白式のエネルギーがどんどん回復する。数秒後、エネルギーは4分の3程まで回復した。

 

「約束して、絶対に千夏を助けるって!」

 

コレだけエネルギーがあれば、こいつに負ける気がしねえ・・・!

 

「ありがとうシャルル。勿論だ!負けたら男じゃねぇよ!」

 

「じゃぁ負けたら、明日から女子の制服で通ってね♪」

 

「え・・・。い、いいぜ・・・!その代わり、俺が勝ったら千夏兄を女子の制服で通わせるぜ!」

 

「「賛成!」」

 

おおぅ・・・。二人とも息ぴったりだな・・・。

 

「あ、シャルル。ついでにアサルトライフルも貸してくれないか。」

 

「いいけど、どうして?」

 

「アイツに、接近戦一筋で勝てる気がしねぇ・・・。」

 

「・・・納得。はい。」

 

シャルルからアサルトライフルも借りる。恩に切るぜ、シャルル・・・。

 

「箒、アイツを連れてシャルルと一緒に安全な場所まで避難してくれ。」

 

指で今だ気を失っているラウラを指す。

 

「一夏・・・・。死ぬなよ。」

 

当たり前だ。ココで死ぬ気なんて毛頭無い。

 

「さてと・・・。待たせたな、ブラック★ロックシューター。隙だらけだったのに、何も危害を加えなかったこと、感謝するぜ。」

 

「覚悟は出来た・・・?私を傷つける覚悟を。」

 

「勿論!」

 

アサルトライフルを構え、コイツに弾丸の雨を降らせる。

弾はほぼ直撃している。後ろには、紫色の血で水溜りが出来ていた。

 

コイツは黙って槍をこちらに向け、弾岩の雨を降らせる。数発シールドを貫通しているのか、若干痛みが伝わってくる。

 

突如、ライフルが壊れた。弾岩がかなり被弾した為、耐え切れなかったんだろう。

 

「くっ・・・零落白夜!」

 

いつもより大きい零落白夜の刃。ISが最低限稼動できるほどのエネルギーを残し、他のエネルギーは全て零落白夜に回す。

コイツは動揺せずに唯俺に向かって撃ち続ける。が、その弾は俺には届いていない。

 

零落白夜発動中、雪片は真ん中で二つに割れ、その間から実体を持たない刃が出てくる。

中学の頃、千夏兄がよく見てたアニメ「ガンダム」で例えるならビームサーベルのようなものだ。

その実体の無い刃で弾を全て斬りながらコイツに近づいていく。

 

「初めからこうすればよかった。」

 

距離が1メートルに満たなくなった。顔には出ていないがこいつは多分焦っているだろう。これほど近づけば撃つより斬るほうが効率がいい。

 

俺はそのまま斬り捨てる。

 

ブラック★ロックシューターは吹っ飛ばされ、アリーナの壁に激突し、強制解除された。元の千夏兄に戻ったんだ。

 

 

そのまま急いで千夏兄のところまで行き、抱きかかえる。

頭から血を流していたが、その寝顔はとても安心しきった、男性とはとても思えない可愛らしい寝顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

千夏兄を保健室まで運んでから、あることを思い出す。

 

「あれ・・・?そういやあいつ、千夏兄を女扱いしていなかったか?」


 
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