No.554946

ソードアート・オンライン 黒と紅の剣士 第一話 聖剣入手クエスト【キャリバー】

やぎすけさん

遅くなりました。

2013-03-14 03:08:00 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3048   閲覧ユーザー数:2932

デュオ視点

今俺達は、イグシティのリズベットの店に集まっている。

メンバーは俺、キリト、アスナ、リーファ、シリカ、リズベット、ガッシュ、エルフィー、クライン、シノンだ。

シノンはつい数週間前に、このALOでのキャラクターを作成した。

銃の世界ガンゲイルオンラインから来た彼女は、こちらでも遠距離武器が良いということで弓を使っている。

弓を使うとすると、ノームかシルフが一般的だが、シノンが選んだ種族はシリカと同じケットシーだった。

理由は、全種族の中で最高視力を誇るケットシーで、ロングボウを使った超遠距離狙撃を行うという異質のスタイルを編み出した。

彼女が弓を持つまでは、弓という武器はあくまでも魔法の補助的な遠距離攻撃であったため、その戦闘スタイルをまあ最初はやりたいようにやらせてみようと見守るつもりだったが、ロングボウを手にした彼女が並いるモンスターたちをまったく接近させずに撃ち抜いていくのを見せたには俺もキリトも唖然としたものだ。

俺達のパーティは全員近接戦向きなので、シノンのような遠距離型のプレイヤーがいると非常にありがたい。

というのも、このパーティは10人中8人がSAO帰還者ということで、どうしても接近戦&物理攻撃特化型のチームになってしまっている。

回復魔法ならアスナも使えるが、攻撃魔法を使えているのは、俺、リーファ、エルフィーの3人だけなのだ。

そのため、このままでは前衛寄りでバランスの悪いが、シノンのような遠距離型が加わると攻撃魔法のバリエーションが大きく増え、戦闘が楽になる。

 

リーファ「たっだいま~!」

 

アスナ「お待たせ~!」

 

エルフィー「買ってきたよ~!」

 

ポーション類などの買い出しに行っていたアスナ、リーファ、エルフィーの3人が元気よく戻ってきた。

ストレージに格納しきらなかった分のアイテムを手にしているアスナの頭の上にはユイの姿もある。

ユイはアスナの頭から飛び上がると、俺の隣に座っているキリトに報告しに来た。

 

ユイ「パパ、どうやらまだあの空中ダンジョンまで到達できたプレイヤーないしパーティは存在していないようです。」

 

キリト「それってどういうことなんだ?」

 

デュオ「なんでも、NPCがクエストの報酬に提示したらしいんだ。」

 

ガッシュ「なんだそりゃ?だって、エクスキャリバーはヨツンヘイムのダンジョンに封印されてるんだろ?」

 

デュオ「ああ。そう考えると、報酬のエクスキャリバーは偽物だったか、または俺達の見たエクスキャリバーが偽物あるいは装飾用のオブジェクトだったかって考えるのが普通だな。」

 

そう言うと、キリトたちは難しい顔をして考え始める。

 

エルフィー「まあ、行ってみればわかるでしょ。」

 

全員に回復アイテムを分配しているエルフィーの言葉に、それもそうだと一様に頷く。

その時、奥で武器のメンテナースをしていたリズベットが作業を終えて声を上げる。

 

リズベット「よーっし、全武器フル回復ぅ!」

 

俺達は労いの言葉を掛けてから、それぞれの武器を受け取った。

そしてキリトの一言の後、俺達はエクスキャリバー入手のため出発した。

ヨツンヘイムへと繋がる長い階段を降りて行く俺達。

この階段は央都アルンの中にあるのだが、場所がわかりにくい上に、リーファが持っている小さな鍵が無いと開かない扉によって閉め切られているので、俺達以外のプレイヤーが通ることはできないのだ。

つまりは飛行型邪神と友情を結ぶイベントをクリアしないと通れない場所ということだ。

階段の長さはアインクラッドの迷宮区タワー1階層分くらいなので、下って行くだけでも5分くらいかかる。

とはいっても、何時間も掛けて入り口まで飛行し、そこから邪神を倒していくよりは遥かに早い。

階段の下まで辿り着くと、アスナが凍結耐性を上昇させる支援魔法をかける。

これによって身を切るような肌寒さが緩和された。

 

リーファ「トンキーさ~ん~・・・!!」

 

リーファが呼ぶと1拍の間をおいて、トンキーがこちらに向かって飛んできた。

俺達がトンキーの上に乗り込むと、緩やかな遊覧飛行で氷のダンジョンへと向かう。

その途中で、何かに気付いたトンキーが急降下を始めた。

 

キリト&クライン『うわあぁぁぁぁ・・・!!』

 

アスナ&シリカ『きゃあぁぁぁぁ・・・!!』

 

突然の出来事に、キリトたちが悲鳴を上げる。

それから、地表が見えるほどまでに高度を下げてようやく止まったトンキーの背から下を覗き込むと、このヨツンヘイムに今まで見たこともないほど大勢のプレイヤーたちが集まっていた。

30人以上の邪神狩り目的のレイドがそこかしこに散見される。

 

ガッシュ「ひょっとして、上で言っていたクエストなのか?」

 

エルフィー「それって・・・あ」

 

よく見ると、見渡す限りのレイドが狙っているのは動物系の邪神モンスターばかり。

それだけではなく、各レイドにもれなく人型邪神がまるでPパーティメンバーの一員かのように同行している。

動物型邪神を倒すと、人型邪神はプレイヤーたちと同じように歓声を上げて、他の邪神を探して移動を始めている。

 

リーファ「これって、一体・・・」

 

キリト「どうやらクエスト中は、人型の邪神と共闘状態になるらしいな。」

 

つまり、発見された【聖剣エクスキャリバー獲得クエスト】というのは、人型邪神と共闘して動物型邪神を駆逐するという殲滅系クエストということらしい。

呆然とその光景を見ていると、背後に気配がして振り向いた。

振り返った俺たちの目の前に、美しい女性が現れた。

しかし、その姿はというと・・・

 

キリト「でっ・・・」

 

クライン「・・・けぇ!」

 

キリトとクラインが正直な感想を口にする。

彼女の身の丈は3メートル以上はあるものだったからだ。

 

?「私は【湖の女王ウルズ】。我らが眷族と絆を結びし妖精たちよ、そなたらに、私と2人の妹から1つの請願があります。どうかこの国を【霜の巨人族】の攻撃から救ってほしい。」

 

どうやらこの巨人の美女はNPCらしいが、ユイが言うにはAI化されていて、通常の固定ルーチンによる応答をしているわけではないようだ。

そのウルズが言うには、このヨツンヘイムもアルヴヘイムと同じように、世界樹イグドラシルの恩寵を受け、美しい水と緑に覆われていて、彼女たちのような【丘の巨人族】とその眷族たる獣たちが穏やかに暮らしていたのだそうだ。

彼女の言葉と同調するように、その美しいヨツンヘイムの世界の景色が、俺たちの目に今の姿と重なって2重写しに見えてくる。

しかし、あるときさらに地下にある【ニブルヘイム】を支配する霜の巨人族の王【スリュム】が鍛冶の神から盗み出した〝全ての鉄と木を断つ剣〟エクスキャリバーを世界の中心たる【ウルズの泉】に投げ入れ、剣は最も大事な世界樹の根を断ち切り、ヨツンヘイムからイグドラシルの恩寵は失われた。

私たちの目の前に再び幻視の映像が浮かび上がる広大なウルズの泉の全面に伸びていた世界樹の根が、のたうち、浮き上がり、天蓋方向へと収縮していく。

根の上に築かれていた町々は、全てひとたまりもなく崩壊していく。

同時にあらゆる木々は葉を落とし、草は枯れ、光は薄れる。

川や湖は凍り付き、あれほど広大だったウルズの泉もすべて凍りつくと、その余りに巨大な氷の塊となったそれを世界樹の根が包み込みながら上空へと引き上げて行くのだった。

泉に生息していた無数の大型クリーチャーが氷塊から弾きだされ、パラパラと地上へ落ちて行く。

その中には、羽化する前のトンキーと同じ象水母タイプも確かに存在していた。

世界樹の根はやがてヨツンヘイムの天蓋にしてアルヴヘイムの地殻へと到達し、抱え込んでいた巨大な氷塊が半ばまで地殻に突き刺さる。

その氷塊こそが今のヨツンヘイムの上空にその偉容を構える俺たちが向かおうとしていた氷のダンジョンとなったのだろう。

その最下端には一粒の黄金の輝きが見てとれる。

あれこそが霜の巨人の王スリュムが投げ込み、世界樹とヨツンヘイムを切り離した聖剣、【エクスキャリバー】だろう。

その後、霜の巨人族はヨツンヘイムの各地に砦を築き、天蓋の氷には居城【スリュムヘイム】を築き上げて、そして今もこの地で生き延びているウルズさんたちの眷族である動物たちを全滅させようとしている。

そうなれば、泉の底に逃げ伸びたというウルズと2人の妹も力を失ってしまうのだそうだ。

 

ウルズ「そうすれば、私たちの力は完全に消滅し、スリュムヘイムを上層のアルヴヘイムにまで浮き上がらせることが出来るからです。」

 

クライン「な、なにぃ!んなことしたら、アルンの街がぶっ壊れちまうだろうが!」

 

ウルズの言葉に、クラインが憤慨したように叫んだ。

プログラムではなくちょっとしたAIだという女王様は、その言葉に頷き続ける。

スリュムの狙いは世界樹の梢にあるという【黄金の林檎】なのだと。

だが、ヨツンヘイムの眷族たちをなかなか滅ぼせないことに業を煮やしたスリュムは、エクスキャリバーを与えると誘い、妖精の戦士たち、つまりはプレイヤーを利用して眷族を滅ぼそうとしているのだそうだ。

このイベントが発生したことで、スリュムヘイムにはほとんど戦力が残っていないらしい。

つまり、攻め込むならば今というわけだ。

 

ウルズ「妖精たちよ、スリュムヘイムに侵入し、エクスキャリバーを【要の台座】より引き抜いて下さい。」

 

俺たちは、ウルズからの頼みもといクエストを受託する。

ちなみにウルズの話では、スリュムは報酬として鍛冶の神が1回打ち損じたせいで真の力を持たなかったというエクスキャリバーそっくりの偽剣【カリバーン】を報酬として渡すつもりらしい。

性能としてはエクスキャリバーに匹敵する強力な剣のようだ。

 

デュオ「ウルズ、質問良いか?」

 

ウルズ「何でしょう?」

 

AIというだけあって、ちゃんと反応はしてくれるようだ。

 

デュオ「スリュムを倒してくれば、そのカリバーンももらえるのか?」

 

ウルズ「あなたが望むのでしたら。」

 

ウルズがこう答えたときには、聞いた俺も含めて全員が驚いた。

 

デュオ「ありがとう。」

 

ウルズ「いえ。」

 

ウルズは短くそう答えると、身を翻して消えてしまった。

それを確認した後、俺はキリトを見る。

 

デュオ「意外な報酬が追加されたな。」

 

キリト「ああ、そうだな。」

 

デュオ「エクスキャリバー(本物)はお前にやるから、カリバーン(偽物)は俺にくれよ。」

 

キリト「ああ、いいぜ。」

 

こうして俺たちは、ウルズから〝エクスキャリバーおよびカリバーン〟の獲得クエストを受領することになった。

 

あとがき

まずは投稿が遅れてすみませんでした。

私的な理由でPCができませんでした。

 

多少無理やりですが、エクスキャリバーにプラスしてカリバーンもゲットすることにしました。


 
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