No.552509

ALO~閃光の妖精姫~ 第32魔 黒幕と真実

本郷 刃さん

第32魔です。
ダークまたはシリアス回ってやつになります。

どうぞ・・・。

2013-03-08 09:37:49 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:20771   閲覧ユーザー数:19625

 

 

 

 

 

 

 

 

第32魔 黒幕と真実

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナSide

 

「ユイちゃん、キリトくんをログアウトさせてあげられる?」

 

「それが無理みたいです……パパは複雑なコードに拘束されています。システム・コンソールがないと…」

 

しばしの抱擁を終えてからわたしはユイちゃんに訊ねてみたけれど、どうやらすぐには出来ないらしい。

早くこんなところから出たいのに…。

 

「システム・コンソールならラボラトリーの最下層にあるぞ。

 システムアクセス・コードはそこから奪ってきたからな」

 

「そうなんだ、それじゃあそこに………あれ? どうしてコンソールがある場所を知ってるの?」

 

「あぁ、それは…っ!」

 

「キリトくん?」

 

キリトくんがコンソールの場所を教えてくれたことに疑問を持ったので聞いてみたけれど、

彼は途端に表情を厳しくして気配を集中させているのが分かる。

わたしも辺りを見回す。

 

「(ぼそっ)ちっ、予想より早い…。システムコマンド、管理コードをナビゲーション・ピクシー、ユイに譲渡…」

 

「え…こ、これはっ!?」

 

キリトくんが小さく何かを呟くと、ユイちゃんは表情を驚愕に染めた。

 

「ユイ。『実験体格納室』に居るアイツと協力してくれ、頼んだぞ」

 

「パパ、それはどういう…?」

 

「頼む、ユイ。時間が無いんだ…」

 

「……わ、わかりました」

 

彼の言葉に混乱するユイちゃんだったけど、再び彼に頼まれると彼女の体はどこかに転移したようだ。

 

「キリトくん、ユイちゃんは…!?」

 

「落ち着け、それよりも……来るぞ」

 

居なくなってしまった彼女の安否を彼に聞こうとしたけれど、彼が放った一言で警戒を高めた。

すると突如、鳥籠が水流と共に飲み込まれ、水没した。

 

「くっ!」

 

「きゃあっ!?」

 

呻くキリトくんとわたし。呼吸は出来るけれど、空気が凄く重たい。

体を動かそうとしても、見えない力に押さえつけられる感覚があって立ち上がれない。

 

「キリト、くん…!」

 

「アスナ…!」

 

お互いに名前を呼んで手を伸ばすもそれは叶わず、しかも周囲は暗黒の闇に飲み込まれた。

さらに2人して地面に倒れ込んでしまう。そして耳を塞ぎたくなる粘つくような、それでいて甲高い声が響き渡った。

 

「次のアップデートで導入される予定の魔法なんだけど、効果はどうかな?」

 

「っ、須郷!」

 

現れたのは金髪に煌びやかな妖精装束を纏った男、その男に対してキリトくんは須郷と言った。

それじゃあ、コイツがこの世界の須郷の姿!

奴はキリトくんに近づき、

 

「何度言えば分かってくれるかな~? 妖精王、オベイロン陛下…そう呼べと言っているじゃないか!」

 

「ぐふっ!」

 

「キリトくん!」

 

奴は笑みを浮かべながらキリトくんに蹴りを入れた。

ペインアブソーバーとかいうもののせいで痛みがあるはずだ。わたしは彼の名を叫ぶ。

 

「アナタが、須郷だったのね!」

 

「そうだ。僕が須郷伸之だよ、アスナ君。

 まさかキミがここに来てくれるとは、嬉しい誤算だったよ……しかも、その姿でだ」

 

舐めいるようにわたしを見てくる須郷、気持ち悪い!

 

「どうやってここに辿り着いたのかは気になるけれど、実験をしようと思っていたから丁度良かったよ。

 キミもそこで見ていってくれ」

 

「実、験…?」

 

何を、一体この男は何をしようと…。

すると奴はキリトくんの側に鎖を4つ出現させて、そのままキリトくんに鎖を繋げると引っ張り上げられ、彼は僅かに呻く。

 

「元SAOプレイヤーの皆さん、その中の未だに眠り続けている奴らの体を使って、

 思考・記憶操作技術の基礎研究が8割ほど終わったんだ。

 人の魂を操作して、その人間を思い通りに動かす、まさに神の所業を、僕はあと少しで手に入れるんだよ!

 分かるかい、アスナ君? この小僧も、キミも、僕の思い通りに出来るということさ!」

 

「そ、そん、な…こと、を…」

 

わたしは奴の言葉を聞いて恐怖した。

そんなことをされれば、キリトくんも、わたしも、他のみんなも、何をされるか…。

体中に嫌な汗が流れる感覚がする。

 

「貴様、アスナに何をする気だ!」

 

「安心しなよ…彼女にはまだ(・・・)何もしないさ。

 まずはキミにとことん痛みを味わってもらうよ。その後は、分からないけどね」

 

キリトくんは須郷を睨みつけながら言った。

しかし奴はわたしにはまだ手を出さないと言った、でもその後どうしてくるのか…それに、キリトくんに痛みをって…。

 

「システムコマンド! ペインアブソーバー、レベル0に変更!」

 

「なっ!?」

 

奴の宣言にキリトくんが驚愕に眼を見開く。

 

「アスナ君。ペインアブソーバーっていうのはね、脳を通して痛みを与えるものなんだ。

 レベルが高いほど痛みは少なく、逆に低いほど痛みは増すんだよ。ちなみに0は現実での痛みそのものだ」

 

わたしはそれだけで理解した。

 

「や、やめて!?」

 

「システムコマンド! オブジェクトID『エクスキャリバー』をジェネレート!」

 

奴が宣言するとその手には最強のあの聖剣が現れた。そしてその剣をキリトくんの体に振り下ろした。

 

「っ、があぁぁぁぁぁ!?」

 

「あは、あははははは!」

 

「っ、やめてぇ!? やめてよぉ!?」

 

キリトくんの絶叫が響き渡る。奴は甲高い笑い声を上げながら彼に何度も剣を振るう。

わたしは泣きながら叫ぶしかなかった。何も出来ない、ここまできて、何も出来ないなんて…!

 

「システムコマンド! オブジェクトID『グラム』をジェネレート!」

 

さらにもう1本、ユージーン将軍が愛用している魔剣を出現させて、空いている手で剣を取り、攻撃を続けた。

 

「はははははっ!」

 

「あぁぁぁぁぁっ!?」

 

「お、願い、やめてぇ…!?」

 

続く攻撃にさらに痛みという苦痛で絶叫するキリトくん。なんで、こんな…。

 

「アスナ君、どうやったのかは知らないけれど、キミとの婚約が破棄されてこっちは苛立っているんだ。

 これくらいさせてもらってもいいじゃないか」

 

「そ、んな…」

 

良かれと思って頼んだことが、こんなことになるなんて…。

 

「それともアスナ君、キミが僕の物になるというのなら…いますぐやめてあげよう」

 

「っ、ぅ…ぁ……は「言うな、アスナ!」!? キリト、くん…」

 

見ていられなかったわたしは思わず奴の提案に乗りそうになったけれど、それをキリトくんが止めた。

 

「こんな、屑の言うことに…耳を貸すな…」

 

「クソガキがぁぁぁ!」

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!?」

 

彼の言葉に激昂した須郷は最早止めることも出来ないほどに狂気し、キリトくんを傷つける。

斬り捨てるだけだったものが、彼の肺や心臓に当たる部分にも剣を突き刺す。

 

「っ、いやぁぁぁ!? お願い!? やめてよぉぉぉ!?」

 

わたしの叫びにも耳を貸さずに奴は2本の剣で攻撃を続ける。

そして、一頻り攻撃を終えたことで多少満足したのか、剣を手放した。

キリトくんは、息を乱しながら俯いている。

 

「ふぅ~…このまま壊れてもらっても困るんでね、実験はこれからだよ…」

 

奴はウインドウを操作すると何かの画面を出した。そして1つのボタンを押すと…。

 

「うっ、ぐっ……………」

 

「キ、リト、く…ん…?」

 

彼の反応が無くなった。さらに奴はウインドウを操作すると、キリトくんを縛っていた鎖を消滅させた。

今度は何を…。

 

「立て、キリト(・・・)

 

「(こくっ)………」

 

「な、に…が…」

 

奴がキリトくんの名を呼んで命ずると、小さく頷いて立ち上がった。

わたしはその様に困惑する。

 

「取り敢えずは成功かな……アスナ君、僕は言ったはずだよ…実験をする、ってね」

 

「まさか……」

 

嘘、だよ……こん、な、こと…って…。

 

「これで、彼はこちらの人形になったも同然だ! あっはっはっはっは!」

 

奴の笑い声に、わたしは愕然とするしかなかった。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

キリトはユイちゃんに敢えて管理コードを託した、それは何を意味し、何をなすのか?

 

そして現れた妖精王(笑)・汚ベイロンこと下種郷・・・。

 

キリトに対する非道の数々、さらに操られるキリト・・・。

 

アスナの涙ながらの叫びも空しく、ことは進む・・・。

 

しかし、やられてばかりが我らがキリトさんのはずがない!

 

次回は反撃を成す時、括目して見よ!

 

そんでもってキリトさんに不埒な妄想を抱いた奴、もう一回前に出てお灸を据えてもらえ!

 

ではでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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