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IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

迎え撃つものたち

2013-02-17 17:13:49 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1096   閲覧ユーザー数:1048

束が発信したメッセージは全世界を混乱の渦に叩き落とした。

 

IS管理の全てを担っている日本には各国からの問い合わせが殺到し、日本政府の関与を否定する旨を首相自らが会見で発表するほど。

 

各国にも特殊部隊の派遣を要請しているがいい返事を寄越してくれている国は少ない。自衛に走る国が大多数を占めているのだ。

 

IS学園の専用機持ち達は自分たちもすぐに出撃したいと進み出たが夜間戦闘は視界が悪く、無人ISたちがまだ集合しているという理由から日が昇ってから発進するという指示が出た。

 

確認されているISの467個のコア。すべてが同じタイミングで大爆発を起こせば間違いなく世界は終わり を迎える。

 

そして夜が明けた現在。IS消滅のタイムリミットは刻々と迫っていた。

 

 

朝日が昇った。水平線の向こうから差し込む光が眩しい。俺たち専用機持ち組は早朝にホテルを出発し、海の近くの上空でISを展開して待機していた。

 

「こちらラウラ・ボーデヴィッヒ。時刻〇五〇〇、作戦開始地点に到着」

 

ラウラが遠方で俺たちに指示を送る拠点として転用したホテルに連絡を入れた。

 

『各員、準備はできているな』

 

ウインドウに織斑先生の顔が映る。

 

『今からお前たちには束が放った目標の迎撃に向かってもらう。日本が発端となった今回の事件、日本が率先して対処にあたらなければならないが、お前たちが気負う必要はない。無茶はするな』

 

画面越しの織斑先生の表情はいつもと変わらない。

 

「あの…織斑先生」

 

俺は少し気が引いたけどやっぱり問いかけた。

 

『なんだ』

 

「本当に、一夏はいいんですか?」

 

そう。今、この場には一夏はいない。負傷している箒もだ。

 

『織斑にはこちらの防衛に回ってもらう。ブリーフィングでもそう言ったはずだ』

 

ここに来る直前のブリーフィングで、拠点となるホテルを守るために一人を待機させるって先生は言った。その役割を指名されたのはなんと一夏だったんだ。

 

当然一夏は抗議した。しかし取り入ってもらえず、結局一夏は俺たちと一緒に来ることができなかった。

 

『戦力の削減となるのはこちらも承知している。だがこちらも丸腰でいるわけにはいかん』

 

今の言葉もブリーフィングで先生が言っていたのとまるっきり同じだ。

 

(ここで文句垂れても意味ないか……)

 

『他に質問がなければ、最後に作戦の確認をする。束が放った目標は最新の衛星写真の分析から太平洋に多くいることがわかっている。お前たちはこの太平洋上の目標を掃討しろ』

 

先生の顔が映っているウインドウの横にもう一つウインドウが出た。ここから数キロ先の海上にいくつか赤い点が明滅している。

 

『今お前たちが見ている赤い点が目標の予測現在地点だ』

 

「パッと見でも4つは出てるんですが……」

 

『お前たちは七人いる。互いにカバーして応戦しろ』

 

簡単に言ってくれるぜまったく。

 

『頼むぞ。我々に残された時間は少ない』

 

先生の表情が堅くなった。いよいよ始まるみたいだ…

 

『作戦……開始だ!』

 

その言葉と同時に俺たちはスラスターに点火し、一気に高速の世界に飛び込んだ。

 

 

「瑛斗くんたちも出撃したみたいね…」

 

瑛斗たちが発進した同時刻、瑛斗たちより早く出撃したIS学園生徒がいた。楯無とフォルテの三年生専用機持ちである。

 

「ふわぁ…眠いっす~……」

 

気を引き締める楯無の隣でフォルテは大欠伸。楯無は苦笑する。

 

「フォルテちゃん…世界がどうなるかって瀬戸際なのよ? もう少し緊張感持ったら?」

 

「そんなこと言ったって、眠たいもんは眠たい――――――」

 

 

『くぉらフォルテッ!!』

 

 

「ひょわぁっ!?」

 

フォルテのIS、《コールド・ブラッド》のプライベート・チャンネルを怒鳴り声がつんざいた。

 

「だ、ダリル先輩!?」

 

『お前のISの反応があるから顔を見てやろうと思ったら、相変わらずだなお前は!』

 

ウインドウに映るのはダリルの笑顔だった。プライベート・チャンネルがオープン・チャンネルに変更され、楯無もダリルの姿を確認することができた。

 

「どうして日本に? アメリカにいるはずじゃないっすか?」

 

『スクランブルでな。軍の基地から超特急で来た。状況は大分まずいみたいだぜ』

 

「行動が早いですね。アメリカ政府はもう援軍の承認を?」

 

楯無の問いにダリルはニヤリと口の端を上げた。

 

『独断だ!』

 

「それ良いんですか!?」

 

『世界がどうなるかなんだ! ちんたら承認だのなんだの待ってられるか!』

 

「せ、先輩らしいっちゃあらしいっすね…」

 

『これから私は篠ノ之博士がばら撒いた無人ISがいるってところに行く。座標送るぜ』

 

二人のISに太平洋の真ん中あたりの座標が送られた。

 

『数が多いに越したことはねぇ! お前らも来てくれ! 確実に落とすんだ!』

 

口調こそ変わらないがどこか立派に見えたダリルの姿に、フォルテは嬉しくなった。

 

「はいっす! 行くっすよ! 更識さん!」

 

言うや否やフォルテはブラッドのブースターを点火してその座標を目指して飛び出した。

 

「あ、フォルテちゃん! 待って!」

 

楯無もその後を追う。

 

『更識』

 

今度はミステリアス・レイディのプライベート・チャンネルにダリルの顔が映った。

 

「なんですか?」

 

『その…』

 

「?」

 

『あ、あいつ……フォルテは、学園でどうだ? 変なことしてたりしないか?』

 

「……………」

 

その母親のような表情に楯無は心が少し安らぐのを感じた。

 

「全然そんなことありませんよ。ダリル先輩に追いつくために、毎日頑張ってます」

 

『そ…そうか。お、おお……うん』

 

「先輩」

 

『な、なんだよ』

 

「顔、にやけてますよ」

 

『なっ!? ほ、ほっとけ! じゃあ後でな!』

 

ダリルは突き放すように言ってから通信を切る。

 

「あっちも相変わらずみたいね…」

 

「ん? なんか言ったっすか?」

 

「なんでもないわ。私たちも急ぎましょ」

 

(さて…向こうはどう動いて来るかしら)

 

一瞬の思案の後、もう一段階速度を上げたフォルテに合わせて楯無も速度を上げた。

 

 

一年生専用機持ち組、蘭と梢は砂浜の上でISを展開して待機していた。さざ波の音だけが聞こえている。

 

「…静かだね」

 

「…うん」

 

青い装甲のフォルヴァニスを展開した梢が赤い装甲のフォルニアスを展開した蘭に答える。

 

「一夏さんたちはもしかしたらもう戦ってるかもしれないのに。こんなことしてていいのかな」

 

「…先生たちは、ここに敵が来ないなんて言いきれないって言ってた。先生たちが使う打鉄とラファールの後付武装が到着するまで、私たちはみんなを守らなきゃいけない」

 

「そうだね。でも、ちょっと怖い」

 

「…………………」

 

「代表候補生になるってことは、こういう非常事態にも巻き込まれるんだって覚悟してたけど…まさかそれがこんなに大事だなんて想像しなかったよ」

 

「…蘭」

 

「え…」

 

梢は蘭の手を握った。装甲越しに、小刻みな振動を感じる。

 

「…大丈夫。私がついてる。私が、蘭を守るから」

 

「梢ちゃん……」

 

「…だから、怖がらないで。一緒にみんなを守ろう?」

 

「梢ちゃん………ありがとう! 勇気が出てきたよ! 私と梢ちゃんならどんな敵だってやっつけられる!」

 

「…うん」

 

蘭の手の震えは止まっていた。梢は微笑む。

 

直後、緊急警報が鳴り響いた。

 

「な、なに!? まさか……!」

 

「…来た」

 

二人の前方。黒いISが高速で接近してくる。その両手にはブレードガン。顔の中央には赤いアイセンサー。間違いない。束の放った無人ISの一機であった。海面スレスレを飛び、水飛沫を散らしている。

 

「梢ちゃん!」

 

「…了解」

 

フォルニアスとフォルヴァニスの手足そして肩の装甲が外れ、PICで二人の周りを浮遊。赤と青の装甲は互いを補い合うようにその色彩を分け合った。

 

「合体機構、正常稼働を確認!」

 

「…《フォルヴァ・フォルニアス・トヴェーリウス》…!」

 

二人の少女が始めたこの戦闘は、束が放ったISとの戦闘として世界で最初に確認されたものとなる。

 

この戦闘を皮切りに、日本各地で戦闘が始まることとなるのだった。

 

 

「一年生専用機持ちの五反田蘭、戸宮梢両名が戦闘を開始! 続いて二年生専用機持ち組が戦闘空域に突入! まもなく戦闘を開始します!」

 

情報伝達担当の教員の声が後方から聞こえる。

 

「始まったか…」

 

投影型ディスプレイを睨む千冬の隣で真耶が遠慮がちに口を開いた。

 

「大丈夫でしょうか…よりによってまだ戦闘経験が少ない戸宮さんと五反田さんが最初に戦闘を……」

 

「…向こうの教師陣の後付武装が到着するまであとどれくらいだ」

 

「は、はい。あと二時間…早くても一時間以上はかかります」

 

「急がせろ。あれらの無人IS全てが最近になって束が開発したものならばおそらくそのすべてが第四世代型並みのはずだ」

 

その言葉の意味を真耶は理解し、血の気が引いていくをの感じた。

 

「わ……わかり、ました…!」

 

千冬は真耶の顔をチラと見る。

 

「怖いか」

 

「はい……」

 

真耶は怒られるかと思ったが正直に答えた。

 

「私も怖い。下手をすれば明日の太陽は拝めんのだからな」

 

「織斑先生…」

 

「自慢のように聞こえるかもしれないが、私が出ればこの事態はより早く収束されるだろう。だがそれではアイツの思う壺になってしまう」

 

千冬は短く、しかし深く息を吐いた。

 

「私が…間違っていたのかもしれないな………」

 

「え……」

 

首を傾げる真耶に千冬は話題を変えた。

 

「アイツは篠ノ之のところへ行ったか?」

 

「あ、はい。案内してきました。……ところで、昨日の夜は会わせなかったのに、どうして今朝になって許可を?」

 

真耶の問いに千冬は視線をディスプレイに戻す。

 

「可能性に賭けた…と言ったところか」

 

真耶はその言葉の意味はわからなかった。しかし千冬がなにかを考えていることだけはわかった。

 

「二年生専用機持ちが戦闘に入りました! え…? なっ!? そんな嘘でしょ!?」

 

報告が途中で途切れた。

 

「どうしました!?」

 

真耶が顔が顔を向けると操作盤のキーボードを叩いていた教師が声を張り上げた。

 

「これまで捕捉できていた目標が全てロストしました!」

 

その報告に一気に慌ただしくなる。

 

「ロストって…でも各地で戦闘は継続してるわよ!?」

 

「再探知急いで!」

 

「ダメです! 何度やっても反応ありません!」

 

「ステルスでも使ったのか…それとも………とにかく各国に衛星からの情報提供を要請して! レーダーじゃダメでも衛星写真ならわかるはずよ!」

 

早急な対応を求められる状況の中で自然と大声が続発。言いようのない緊張感に真耶は怯えるように千冬の名を呼んだ。

 

「お、織斑先生…」

 

「どうやら、束も本腰を入れてきたらしいな……」

 

千冬は落ち着いた風を装っていたが、その頬を伝った一筋の汗を隠すことはできなかった。

 

 

瑛「インフィニット・ストラトス~G-soul~ラジオ!」

 

一「略して!」

 

瑛&一「「ラジオISG!」」

 

瑛「読者のみなさんこんばどやぁーっ!!」

 

一「こんばどやぁ」

 

瑛「さて、今回は俺たちの他にもいろんな人たちの視点から見た話だ。楯無さんたちも動き出してるみたいだな」

 

一「…………………」

 

瑛「はい、そんな絶賛出撃中の俺の横には待機命令を食らってる一夏がいまーす」

 

一「ど、どうも」

 

瑛「もう少し弄りたいけど質問にお答えしないとな。行ってみよう!」

 

一「カイザムさんからの質問! 瑛斗に質問です。中世ヨーロッパにタイムスリップしたらその世界でやってみたいことはなんですか? だってさ」

 

瑛「ヨーロッパかぁ。しかも中世の…」

 

一「ちなみにカイザムさんはその時代の未開の地を冒険したいらしいぞ」

 

瑛「ふーん。中世ヨーロッパねぇ……あ! その時代ってあれじゃね!? 鎧着けた騎士なんかが闘ってたりする時代!」

 

一「あーまあ、うん。そこも一応入る」

 

瑛「いいじゃん! 鎧とかカッコいいじゃん! 男のロマンじゃん!」

 

一「うーん、まあ、確かにカッコいいよな。でも重そうだぜ」

 

瑛「剣道経験ありのヤツが何言ってんだよ。剣道の防具だってくっそ重たいじゃねえか」

 

一「それほどじゃないって」

 

瑛「じゃああれでいいじゃん。さま○うよろい」

 

一「まだドラ○エネタ引っ張って来るのかよ!?」

 

瑛「あれなら勝手に動いてくれるから楽じゃん」

 

一「それって、自分の意思関係なくなるんじゃね?」

 

瑛「………………………エンディングです!」

 

一「おいっ!?」

 

 

流れ始める本家ISのエンディング

 

 

一「結局お前中世ヨーロッパに行ったら何したいんだよ」

 

瑛「さまよ○よろいでガッチャガッチャ」

 

一「ドラ○エはもういいから」

 

瑛「冗談だよ。まあでも鎧着てガッチャガッチャしたいな これはホント」

 

一「そ、そうなんだ。っていうかやけにしわがれた感じの声だな…」

 

瑛「今日はどこぞの女の子に歌ってもらったぞ。なんでも探偵だそうな。探偵は探偵でも安楽椅子探偵」

 

一「また探偵か。いつかも来てたな。めっちゃ音痴なの」

 

瑛「今回はまともな人だったみたいだな。それじゃあ!」

 

一「みなさん!」

 

瑛&一「「さようならー!」」


 
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