No.544682

レールガンのバレンタインデー

Ikuさん

14日までに間に合いませんでしたが、折角、書いたので……。
レールガン美琴と当麻のお話。
バレンタインデーを題材に創ってみました。
毎度のラブラブな~お話展開です。

2013-02-15 19:22:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1165   閲覧ユーザー数:1121

 ああ~私には似合わないことやってる……。

 黒子が見たらなんて言うかな? 呆れるか……無いわね。嬉々として喜ぶかも

盛大な勘違いをして、自分がもらえるのじゃないかと想ってね。

 私はそんな趣味はないし、そりゃ~可愛い後輩とは想っているけど。

 でも、一番はやっぱり……ね。

 

 深夜の寮の厨房で一人。

 こそこそ隠れて毎日練習をしてる。

 他の娘たちは食事後にみんなでワイワイおしゃべりしながら作っていたけど。

 どう見ても私では雰囲気に合わないと言うか場違い? 一応は女の子なんだけどな。

 去年もあげるよりも、もらう立場だったし……。

 「お姉さま~」なんて言われて……後輩から慕われているのは判るけどなんか複雑。

 やっぱりここは貰うよりもあげる立場になりたいわけで、一応は好きだと想う人も

居るわけだし……でも、まだはっきりとは伝えていないのよね。

 だからチャンスなわけ。

 未だ前に出ると上がっちゃうし、テンパるし……チョコなら渡せばいいわけで……。

 手造りに想いを一杯混ぜてこの気持ちが届いてくれればと、淡い気持ちを抱いているんだけど。

 「よしっ。これで最後、あとはラッピングしてっと……」

 準備は出来た。あとは明日……。

 

 

 2月14日バレンタインデー。

 「ああ~緊張する」

 さっきから時間ばかり気にしてる。

 あいつが通る帰り道。

 しっかりと調べて待ち伏せ。いつもみたいだと逃げられてしまうので隠れてる。

 顔を合わせば電撃とコインの攻撃ばかり。さすがに私を見たら警戒するものね。

 それでは話すこともできないし、ましてやチョコレートを渡すことなんて、絶対無理。

 「そろそろかな~」

 建物の蔭からそっとのぞく。

 遠くの方から学ランを着たツンツン頭のあいつが歩いてくるのが見えた。

 心臓の鼓動は最高潮一歩手前。

 頬は焼けるような熱さ。

 柱に背中を預けて大きく深呼吸を繰り返す。

 それでも心は落ち着かない。

 世間の女の子たちはこんなことをよく出来るものだと想っていたけど、簡単ではなかったんだと

今更ながら認識した感じ。

 これは2度目はあり得ない。何度もこんなこと出来るわけがない。

 だから最初で最後。

 大きく深呼吸をひとつして、両頬をたたいて気合いを入れる。

 「ヨシッ!!」

 柱の陰から飛び出して、駈け寄る。

 「と、当麻っ」

 「よっ、美琴」

 名前の呼び捨てはつい最近のこと。偶然『当麻』と呼んでしまったら『美琴』と返され

それ以来のこと。初めは恥ずかしさがあって抵抗もあったけど、今はかなり普通に呼べていると想う。

 ちょっと噛んじゃったけど……。

 「なんだ、待ち伏せか?」

 「ぐ、偶然よ!」

 当麻の言葉に頭に血が上る。

 ここは何とか抑えないと……いつものパターンは絶対に回避しなくちゃ。

 「マジで?」

 疑いの眼差しで私を見つめる。

 うっ、瞳が……優しい瞳で見つめないでほしい。またテンパって自爆してしまいそう。

 「な、なによ? 文句ある?」

 「いや、文句はない。ただ……」

 「ただ?」

 「予想はしてた」

 「な、何の予想よ」 

 「美琴が待っているんじゃないかと」

 「ななな、何を言っているのか分からないわよ」

 「相変わらずのカミカミだな?」

 「大きなお世話よ」

 図星をつかれ慌てて顔をそむけるけど、顔は真っ赤。

 当麻のバカぁ~人の気持ちも知らないで……。

 いつ爆発するか分からなくなっちゃうじゃない!!

 少しは空気よめっ、バカ当麻。

 「で? 偶然を装っている美琴さんは俺に用事でもあるのかな?」

 「なによ? その上から目線は」

 「別に用がないんなら俺は行くけど?」

 くぅ~~あの勝ち誇った視線が頭にくる。でも、ここでいつものように切れるわけには……。

 喧嘩はダメ。絶対にダメ。今日は特別なんだから。頑張れ私。

 歩きだした当麻の袖を慌てて掴む。

 「待って……」

 俯いたまま小さな声で引き留める。

 「?」

 後ろ手に隠しているチョコレートのリボンを握りしめる。

 気持ちを届けるって決めたんだから……絶対に渡す。

 「当麻……時、時間ある?」

 「美琴の誘いなら時間がなくても作るぞ?」

 「あっ……」

 笑顔……嬉しい。当麻が笑ってくれる。

 一瞬間見とれてしまう。

 「ぁ……ありがとう」

 私も笑顔で応えられているかな? 緊張で顔がこわばってないよね? 

 「どこかに寄るか?」

 「う、うん。そこの公園……」

 当麻の袖を引っ張り公園へと向かう。

 大きな木の下で向かい合う。

 当麻を見つめる。

 「あ、あの……こ、これ」

 隠していたチョコレート、両手を添えて当麻へと差し出す。

 「は、初めて作ったの。手作りで、いろいろ失敗もしたけど、頑張ったんだから……」

 生まれて初めての手作りのチョコレート。

 最初からハードル上げ過ぎたかな? いきなり手作りなんて……と、想ったけどここはね?

 「美琴が俺に?」

 「う、うん……私、私のじゃダメかな? 似合わない?」

 「そんなこと無い」

 当麻がチョコレートを受け取ってくれた。

 私の気持ちも届けられたと想っても良いんだよね?

 「開けても良いか?」

 「う、うん……」

 恥ずかしい!! だって、チョコレートには文字が……。

 「! っ、美琴」

 当麻が文字を確認して、一瞬固まった……当たり前よね、アレを見れば。でも、本当だからね。

 「本当だからっ! 私の気持ちだからっ!」

 「グッぅ~~~! 人生に悔いなしっ!!」

 当麻が握り拳をあげてガッツポーズ。

 「はい?」

 「実はさ、バレンタインにチョコレートもらったの初めてでさ、マジ嬉しいよ」

 「あはははっ、本当に?」

 ちょっと拍子抜け。でも、当麻らしいかな? 

 「不幸の俺には絶対ないと想っていたからな~」

 「よかった……えっと、それで、ね?」

 「わかってる。これの答えだよな?」

 当麻がチョコレートに書いた文字を私に見せて。

 「う、うん……」

 心臓の鼓動は最高潮! ちょっと目眩も……。

 心臓がバクバクして緊張が頂点に到達。

 これでもし、断られてしまったら……私、立ち直れないかも? 当麻が大好きなんだもん。

 「ああ~えっと、初めてづくしで俺も舞い上がってるんだが、美琴? 俺に一発電撃をくれないか。

夢じゃないことを確認したいんだ」

 そんなことを当麻が言うから私の心臓の鼓動も落ち着いてきた。  

 「いいけど? 右手よね」

 「いいや、左手に」

 「えっ! 大丈夫なの?」

 「言っとくけど軽くだぞ? いつもみたいにやったら確実に死ぬから」

 「わかってるわよ。私だって……いやだもの」

 「それじゃ頼む」

 「うん……それじゃ、バチッ!!」

 当麻の左手に人差し指で電撃を打つ。もちろん超~軽くよ。 

 「グッ! さすがは美琴。これは効くな~目が覚めるよ。ふぅ~これで落ち着いたな」

 「当麻? 本当に大丈夫なの?」

 「問題なし」

 当麻は笑って言うけど、心なしか辺りに焦げ臭く感じるのは気のせい?

 「それじゃ答えな」

 「う、うん」

 再び緊張する。

 今度は答えをもらえるから。

 当麻から視線を外すことができない。

 「美琴、嬉しいよ俺も同じだ」

 そう言って当麻はチョコレートを頬張った。

 「あっ……あ、ありがとう。私も……すごく嬉しい」

 瞳が熱くなって涙が……。

 「泣く奴があるか? しょうがないな」

 当麻が私の涙を指で拭ってくれた。

 「美琴……大好きだよ」

 当麻がささやいて、お互いに見つめあう。

 当麻の顔が近付いてきて……私は瞳を閉じた。

 肩は震えていたけど、当麻が手を添えてくれたらおさまった。そして優しいキス。

 生まれて初めて好きな人との口づけ……あっ! これはマジで来るかも?

 すごくドキドキしてまた鼓動が速くなってる! それに思考も何となく朦朧として……。

 「おい、美琴? 頭の周りにスパークが飛んでるぞ」

 「へ? 自分じゃ意識してないんだけど……あれ? 抑えが効かない?」

 「勢いが増して……わっ!! あぶねえ」

 当麻の近くに電撃が飛ぶ!

 なんで? 制御がきかない? どうして?

 「美琴っ! 落ち着け。深呼吸な?」

 「ダメっ! 抑えられそうもない、かも?」

 周りへ勝手に電撃が飛び出す。幸いにも威力はさほど無い様だから近くにいなければって……当麻、

大丈夫かな? すぐそばに居るけど右手で上手くよけてよね。

 「ああ~もうっ!」

 当麻が叫んで、私の頭に右手で触る。

 そのとたんに電撃とスパークが止まる。

 「ふぅ~。何とかおさまったな?」

 「ご、ごめん」

 「美琴はテンパると抑えが利かなくなるのな」

 「だ、誰のせいっだと想っているのよ?」

 「あ~俺?」

 「そうよ。いつも当麻が原因なんだから~」

 そう言って当麻の胸に飛び込む。

 「よかった……」

 「うん」

 当麻が私を抱きしめてくれた。

 「当麻……大好き!」

 「俺もだ」

 「うんっ♪」

 

 これが私のバレンタイン。

 この私がまさかとは想っていたけど、好きになっちゃえば仕方ないよね。

 私に取って当麻はとても大切なパートナーなんだから。

 「当麻、いつまでもよろしくね♪」

 

 

 おしまい。

 

 

 あとがき

 

 ども~お久~なIkuです。

 何となくバレンタインのお話を書きたくなって……美琴と当麻で創ってみました。

 今回もいつも通りのラブラブ系になっていおります。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 by Ikuでした。

 

 

  


 
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