No.543725

転生したら聖王の末裔

シュテル「まんじゅう美味しい」

2013-02-13 18:25:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3297   閲覧ユーザー数:3050

 

 

あれから三週間近く過ぎた。どうやら変態は僕のことにまだ気付いていないらしい。

そして保護した少女達も順調に回復して、今現在自由に活動する事が出来るようになっている。

 

「ねぇ霊夢、外に出て野球しようよ!」

「却下」

「おい霊夢、いい加減外に出ろ。その内本当にきのこが生えてくるぞ」

「既に生えてるよ股に、って何だよその顔はおい」

 

と、こんな感じで青髪のレヴィと銀髪のディアーチェがいつものように外に出て行けと言ってくる。

本当しつこいなぁ、僕は今この状況を気に入っていると言うのに!!

 

「と言うか何故シュテルの膝の上に居るのだ!生首の状態になって!」

「生首じゃないよ!ゆっくりだよ!ゆっくりしていってね!」

「腹たつから止めろそれ!!」

 

僕はシュテルの膝の上で変化魔法(ゆっくりこそ至上)を使っている。

この子達が来て以来、家事も雑務も全部やってくれているからゆっくりになっている。

ゆっくりは非常に便利だ。食べて寝るだけなんだから。

それにしても日差しが暖かいなぁ、と思いながらシュテルの膝の上に居る。

 

「おいシュテル!貴様は霊夢に甘すぎだ!!いや、そいつ自身も我等にかなり甘いが……それでも外に出さなくてはならんだろう!」

「まぁまぁディアーチェ。外くらい、ここの庭を出れば十分事足りるでは無いですか」

「シュテル、貴様ソイツから何を貰った?」

「嫌ですねディアーチェ、私はせんべいを作ってもらっただけですよ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、ディアーチェははぁ、と溜息をつく。

そしてシュテルの膝の上から僕を両手で優しく抱き抱える。

 

「兎も角、貴様が何を恐れているのかは知らんが……外には出ろ。少なくとも我等は味方なのだからな」

「そう?ありがと」

「だから貴様が何を恐れているのかを話せ」

「だが断る」

「ケチ」

「それでも良い」

「O☆HA☆NA☆SHIだな」

「イヤァアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

O☆HA☆NA☆SHIだけは嫌だァアアアアアアアアアアアア!!あれ受けると少しの間人格変わるから嫌ァアアアアアアアアアアアアアアア!!

そう心の中で叫びながらシュテルの膝から逃げるように飛び跳ねる。

 

「逃げたぞ! 捕まえろ!!」

「待てー霊夢ー!!」

「待ってください、ちょうど良いクッションなんですから!」

 

そう言って三人は僕を追いかけてくる。

いやだ。捕まったら絶対にO☆HA☆NA☆SHIされる。それだけは絶対にヤダ!!

右に曲がって転移する。

 

「へっ?」

 

転移した場所にはユーリ(半裸、つまり服を脱いでいる)が居た。

ちなみにここは脱衣所です。

誰がどう見ても僕が悪いです本当にはい。

 

「キャァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「ちょ、せめてべんか――アッー!!」

 

+++

 

いたたた……危うく餡子が出るところだったよ。いや、僕は人間だから脳みそか。

脳みそが飛び散るような場面、それはそれで面白そうだ。

でも今はお姫様のご機嫌を取る事の方が大事だ。

 

「………」

「ごめんなさい。悪気は無かったんです。あの三人から逃げて転移したら……本当にゴメンナサイ」

 

人の姿に戻りただひたすらに土下座する。

 

「一回だけなら何でもしますから、何でも言う事を聞きますから許してください」

 

今の僕なら何でも出来る、クトゥルフ神話の神々でさえ楽勝だ。

でもあれ創作神話だから神様も再現できなかったらしいけど。

 

「……なら、一つだけ聞いていいですか?」

「うん良いよ、一つと言わずいくらでも」

「そうですか……ありがとうございます。貴方は私達をどうするつもりなんですか?」

「特にどうもしない。ここに居たいって言うなら居ても良いし、出て行きたいなら出て行けばいい。ただ、一方通行だから出て行けば二度と戻ってこられないけどね」

 

博麗大結界で隔離されたこの場所は完全に異界と化している。

そんな場所に入るには世界を破壊するレベルの一撃を放たなければいけない。

だから一度出て行けばもう二度と戻ってこられない。まぁ、壊すか解除するかのどちらかをすれば入ってこれるけどね。

 

「で、それだけ?」

「いいえ、もう一つだけ……聞きたいことがあります」

「言ってみ?」

「まだ、力を隠していますよね?」

 

驚いた。まさかそれに気付くとは思わなかった。

 

「正確に言うのであるならば封印だけどね、使い勝手が悪いから常に封印していなきゃ日常生活だってままならない」

「だから、言わなかったんですね」

「言わなかった、って言うより合成だからね」

 

まさか前世に持っていた能力でさえ引き継がれるとは思わなかった。

いや、才能も引き継がれるんだからコレも使えて当たり前なのか。

 

「それに、コレは嫌いだ。あんまり使いたくない。使いこなせるとかの次元じゃない。人が持っていい能力じゃない」

「……それは分かる気がします。わたしも同じですから」

「でも、今は普通の人間として暮らしてるから関係ないんだけどね。ここから出たくないけど」

「ふふふ……」

「あ、ようやく笑った。でもその声じゃなぁ」

「じゃぁどうやって笑えば?」

「ぶわっはっはっは!! って言う感じ、上から目線でやってみて」

「ぶわっはっはっは!! 何故でしょうか、想像以上にしっくりきますね」

「そうでしょうそうでしょう」

「でも霊夢のほうも似合っていませんよ。もう少し王様のような感じでやってみれ――」

 

バリィーン!!

 

「ッ!? 結界が壊れ……それにこの嫌な魔力はまさか!?」

「ちょ、霊夢!?」

 

ユーリがなにか言っていた気がしたけど今は無視だ。

それよりも、前は一部だったけどこの結界が全部壊れるなんて事はこれで二回目、つまり破壊したのは奴に関係するやつだけだ。

 

「あの野郎……しつこいぞ本当に……ジェイル・スカリエッティー!!」

 


 
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