洛陽に着いた島津一行と恋は城を目指していた。
洛陽は賑わっており、民も笑顔で街を歩いている。
島津「ほぉー、洛陽は賑わっておるのぉ。」
焰耶「ですねー、前来た時より栄えてると思います!」
島津「なんじゃ、焰耶は来たことがあったのか?」
焰耶「はい、一度桔梗様と一緒に・・・賊を返り討ちにしてあとは酒盛りでしたが・・・・」
その顔は諦めで埋め尽くされている。
島津「はっはっは、良いではないか。宴に酒は必須じゃ。」
「そうなんですが・・・」とため息をつく焰耶から視線を外し、脇にいる恋に話しかける。
恋は・・・ずっと槍を見つめている。
島津「恋よ・・・目が痛くならんか?」
恋「・・・」フルフル
一瞬、視線をこちらに向け首を横に振ると槍に視線がもどる。
島津「そ、そうか・・・董卓とはどんな人物なんじゃ?」
その質問にはしっかりと目を見返して返答する。
恋「月・・・いい子」
月・・・これが董卓の真名みたいじゃのう。
恋「月・・・恋の家族に餌くれる。」
恋の家族は動物っぽいのう。
恋「月・・・沢山、食べ物くれる。」
董卓も苦労してるんじゃのう・・・
帰ってくる途中で、恋の食いっぷりをみて、恋の言う沢山は本当に沢山なのだろうと思った。
恋「・・・お腹すいた。」
グ~という音がなる。
島津「・・・城まで我慢してくれ。」
あまり董卓の情報は得られなかった島津・・・だったが・・・
島津(儂らの国に伝わった董卓の情報は宛にならんからのう。)
恋が懐いている時点で、それは明白だった。
「ちょっと待ってて」・・・その言葉を残して立ち去った恋であったが、いつまでたっても戻ってこなかった。
島津「まさか、飯を食べていないだろうな・・・」
恋「・・・お待たせ。」
おぉ、やっと来たか!・・・そう言おうとして島津は固まった・・・恋の口元を見て。
島津「・・・恋」
恋「・・・?」
口元に食べカスを付けえて首を傾げるのは可愛いが今回は抑えられん。
島津「飯を・・・食べてきたな。」
その島津の顔を焰耶は後にこう語る・・・あれは、鬼の顔だったと。
恋「・・・・我慢できなかった。」
島津「・・・それで?」
恋「ごめん、なさい」
シュンッとする恋を見て、ため息をつく島津。
島津「はぁ・・・もうよい、起こってはおらん。」
後ろの焰耶が「嘘だっ!」とか言ってるような気がしたが気のせいじゃろ。
恋「・・・!」
そう言うと、恋が手を引いて付いて来てと言う。
島津「?どこに行くんじゃ?」
その質問に、恋は一言だけ返す。
恋「月の・・・とこ」
遂に島津義弘と董卓が謁見する!!
おまけ
島津「ああ、そうじゃ・・・恋。」
恋「??」
島津「日本号は無しな。」
恋「!!!?」
そのあと恋が涙目で訴えてきたのは言うまでもない。
涙目の恋に案内され、玉座の間に通される。
恋「・・・ここ。」
島津「うむ、ありがとうよ。」
恋「じゃあ、日本「ダメじゃ」・・・・シュン」
シュンって口に出すやつは初めて見たのう・・・
島津「じゃあ、入るかの。」
焰耶「はい!」
恋「・・・日本号。」
はぁ、こっちが折れるのが早そうじゃのう・・・
そう言って玉座の間の扉を開ける。
恋「・・・連れてきた。」
島津「失礼する。」
焰耶「久しぶりだな。」
入れば五人の女性がこちらを見ていた。
一人は玉座に座っている少女・・・あの子が董卓かのう。
その横にこちらを睨むようにみている少女・・・性格キツそうじゃな。
その脇を固めるように立っている二人の女。
一人は上半身が胸をサラシで隠して羽織を羽織っただけの女性・・・中々の武の持ち主のようじゃな。
もう一人は、銀髪の髪を揺らしこちらを見ていた・・・なぜじゃ、猪という言葉が浮かぶ。
そしてもう一人、恋が入ってきて表情を明るくさせた少女・・・なぜじゃ、足だけ異様に武が高いように思える。
董卓「ようこそ、いらっしゃいました。今回の助力大変感謝致します。」
その言葉と共に頭を下げる董卓・・・あぁ、こういう王か。
島津「いやいや、王が簡単に頭を下げてはなりません。それに、恋・・・呂布殿の力があればこそ出 来たこと。」
董卓「ふふ、そういうことにしておきましょう。」
やれやれ、こういう王は苦手なんじゃがのう・・・
??「コホン、私の名前は賈駆。董卓軍で軍師をしているわ、。」
??「ウチは張遼、張文遠や。よろしゅう。」
??「私の名は華雄。」
??「音々は陳宮公台、恋殿の専属軍師ですぞ!」
エイオー!と言う陳宮に対し、賈駆が・・・
賈駆「見習いだけどね・・・」ボソ
明らかに聞こえるように言ってるじゃろ・・・
陳宮「そこ!うるさいですぞ!」
それに反論する陳宮・・・それは、まるで立花誾千代をからかって遊んでいる儂自身を見ているようで微笑ましかった。
董卓「へぅ、詠ちゃあ~ん・・・お客さんに凄い優しい笑顔で見られてるよう・・・」
賈駆「ご、ごめん月!・・・あんたも、その孫を見るお爺さんの目やめなさい!」
精神年齢はとうに爺なのだから仕方あるまいよ。
賈駆「それじゃあ、本題に入るわ。島津義弘殿、あなたに我が軍に将として雇いたい。」
島津「・・・急な要件じゃのう。」
賈駆「えぇ、わかってるわ。だから、出来るだけ貴方の要望に応えるわ。」
中々の好条件じゃな・・・しかし、
島津「賈駆と言ったか?・・・お主、何を焦っておる。」
その言葉を聞いた瞬間、賈駆の表情が変わる。
賈駆「・・・ボクたちには時間がないのよ・・・」
小さくポロっとこぼれたような呟き、それを島津は聞き逃さなかった。
島津「・・・ふむ、まぁいいだろう。深くは聞かん・・・ただし、3つだけ聞いて欲しい願いがあ る。」
賈駆「・・・内容によるわ。」
島津「じゃろうな。
一つは、董卓殿に質問がある。その間、他の者たちは一切口を挟むことを許さぬ。
二つ目は、儂は将としてではなく客将として扱うこと。
なに仕事は手を抜かん、そこらへんの心配はいらん。
そして3つ目、まぁ二つ目と関連するんじゃが我が弟子魏延を董卓軍の将にしてくれ。
まぁ、これに関してはあとは本人次第じゃ。」
焰耶「お館!?」
今まで黙っていた焰耶が声をあげる。
賈駆「・・・月、いい?」
董卓「うん、大丈夫だよ詠ちゃん。」
賈駆「そう・・・島津殿、貴方の要望確かに承ったわ。三つ目は焰耶と相談して頂戴。」
島津「承知した・・・・さて、董卓よ。」
その言葉を皮切りにあたりの空気は静けさを増す。
董卓「・・・なんでしょう。」
島津「お主はこの乱世に何を見出す?」
この問いに隣の賈駆が顔を顰める。
董卓「民の平穏を願います。」
島津「それはどのくらいの民を対象にしている?」
董卓「私の手の届く限り。」
島津「ほう・・・お主のその小さな手でか?」
董卓「はい、私の手は小さいでしょう・・・ならば、私は沢山の人と手を繋ぎます。
そして、もし私の前に立ち塞がるならそれを私の傘下に収めることで平穏にしましょう。」
島津「ふむ・・・民に恨まれるやもしれんぞ?」
董卓「ならば、民の恨みを全て背負って進みましょう「あい、分かった!!!」・・・ふぇ?」
島津のその大声に場の空気が震える。
島津「これまでの無礼平にご容赦を。この島津義弘、未熟ながら力をお貸しいたそう。」
董卓「いえ、私もまだまだ未熟です・・・これから共に進んでいきましょう。」
島津「甘いですな・・・」
董卓「義弘さんこそ・・・」
島津「だが・・・悪くない。」
董卓「でも・・・悪くありません。」
この日、一人の小さな王と優しい鬼が手を繋いだ。
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