第0魔 プロローグ

アスナSide

―――かたん、ことん…

一つの揺り椅子に座るキリトくんとわたし。

わたしは彼の胸に凭れ掛かり、彼はわたしの背中から手を回して腰に手をやって抱き寄せてくれている。

日差しが心地良い…。

森の中の湖のほとりにあるこの優しい空気を持つ家にわたし達は住んでいる。

本を読んでいたはずの彼がわたしの頭を、髪を優しく撫でてくれた。

温まる心、幸せな一時、いつまでも、この時間が続いてほしい……そう思っていると…。

―――ごとんっ…

何かが落ちる音が聞こえ、隣を見てみると彼が居なくなっていた。

わたしの服はいつの間にか戦闘用の装備に変わっており、腰には愛剣の『クロッシングライト』がある。

「キリト、くん……キリトくん！　キリトくん！」

必死に彼の名前を叫び呼ぶ。

森が、湖が、周囲の景色が、暗黒へと飲み込まれていく。

次々に周囲には罅が入り、景色が硝子が割れるように砕けていく。

そして全てが欠けて、砕けて、闇に包まれた瞬間……彼がそこに現れた。

「キリ、ト…く、ん…」

彼の名前を詰まらせてしまった。

彼は山羊の頭をした青い悪魔を倒し、骸骨の百足を倒し、

堕天使の長を倒し、巨大な怪物を倒し、人を倒し、そして紅の騎士によって……体を剣で貫かれた。

「キ、リ…ト……く、ん…」

「ゴメン……アスナ…」

そう言って彼の体はポリゴンと化して消滅した。

「ぁ…い、や……キリトくん！！！」

漆黒に包まれる空間の中で、わたしは手で耳を塞ぎ、眼を強く瞑り、ただ力の限り彼の名前を叫んだ…。

アスナSide Out

明日奈Side

「っ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……はぁっ、はぁっ…はぁ……」

夢だった…。

生々しく、あまりにも強烈な悪夢だったので、彼の名前を叫んだのが夢だったのか実際に叫んだのかの区別がつかない。

周りを見回す、わたしの…リアルにある結城家の自室だ。

冬にも関わらず、べっとりと汗をかいている。

少し広めのこの部屋のタンスの上にナーヴギアが置いてある。

それを見つめてから、一息吐き、自分の胸に手を当てる。

心臓の鼓動で、自分の存在を確認できる。

SAOから解放されて2ヶ月もの時が経過したのに、わたしは未だに悪夢を見ることがある……彼が消える夢を…。

「会いたい……会いたいよ、キリトくんっ…！」

わたしはベッドの上で、小さく、しかし強く願いと彼の名前を呼んだ。

「キミがいないと…わたしは……」

わたしは……壊れてしまいそうだよ…。

明日奈Side Out

To be continued……

アニメ『ソードアート・オンライン』OPテーマ「INNOCENCE」を聞きながらイメージしてください

()内はアニメのOPで使われているシーンまたはCGです

～サビスタート～

太陽の下を鳥が飛ぶ

(アニメ同様)

ナーヴギアを付けて眠る和人

(明日奈が眠っているシーン)

空を見上げる直葉

(アニメ同様)

自宅の部屋から外を眺める刻

(和人が自転車を押す部分)

駅前に立つ明日奈が振り返り、駅がALOへと変化する

(和人が振り返り、周囲の景色が変化する)

～間奏中～

背景に世界樹、タイトル『ALO～閃光の妖精姫～』が出てくる

(アニメ同様)

～Aパート～

医療器具、ベッドに眠る和人、側の椅子で寄り添う明日奈、そのまま和人にキスをする

(明日奈が眠るシーン、和人が部屋の中で立ち上がって振り返るまで)

明日奈、街の雑踏を歩く

(和人が横断歩道を渡るシーン)

道場内の道具、刻と直葉が竹刀で試合

(直葉が素振りをするシーン)

私服の刻と直葉が縁側に座り、刻の膝の上に直葉が頭を乗せ(膝枕)2人は笑い合う

(直葉が私服で縁側に寝転がるシーン)

須郷が眼鏡を拭き、背後の窓にオベイロンが写る

(アニメ同様)

慎一の前の鏡にレコンが写り、移動する

(アニメ同様)

キリト、鳥籠の中で鎖に雁字搦めにされながら吊るされている

(アスナが湖の中央に立っているシーン)

アスナの顔アップ、ルナリオとリーファの顔アップ、キリトがハイライトのない瞳を開く

(キリトの顔アップ、リーファの顔アップ、アスナが空を見上げるシーン)

アスナとルナリオとリーファが飛び上がる

(キリトとリーファが空を飛んでいる)

～サビ部分～

ガーディアンを『クロッシングライト』で斬り裂くアスナ、『ヴェンダイヤ』で潰すルナリオ、

魔法詠唱で援護するリーファ

(キリトとリーファがガーディアンと戦闘を行うシーン)

ハクヤ(インプ)が中央、右斜めにヴァル(シルフ)、左斜めにハジメ(サラマンダー)登場

(レコンとシグルドのシーン)

シャイン(ノーム)が中央、右斜めにティア(ウンディーネ)、左斜めにカノン(インプ)登場

(ユージーンのシーン)

現実世界の道場で袴を着た黒髪長髪の後姿の男性

(サクヤとアリシャ・ルーのシーン)

実験室内にオベイロン

(アニメ同様)

ユイがアスナのポケットから顔を出し、アスナ単独飛行

(ユイがキリトの胸ポケットから顔を出すシーン)

アスナの下で手を繋いだルナリオとリーファが飛行

(キリトとリーファが手を繋いで飛行するシーン)

キリトが俯かせていた顔を上げて暗い笑みを浮かべる

(アスナが空を見上げて微笑むシーン)

茅場が白衣のポケットに手を入れて登場

(明日奈の病院のシーン)

リズベット(レプラコーン)、シリカ(ケットシー)、ピナが登場

(キリト、リーファ、ユイの食事シーン)

黒猫団(妖精の姿)登場

(キリトとユイが寝ているシーン)

クライン(サラマンダー)、エギル(ノーム)が背中合わせで登場

(リーファがキリトの手を引くシーン)

街中で刻と直葉が腕を組んで歩く

(和人の背中を直葉が押して微笑むシーン)

明日奈が眠る和人の手を握って祈りを捧げる

(和人と直葉が横断歩道を歩くシーン)

白い鳥が空へ羽ばたく

(アニメ同様)

後書きです。

はい、続編の『ALO～閃光の妖精姫(フラッシング・ティターニア)～』が始まりました。

前作と違い、オリジナル要素が少ないです。

原作沿いでしかもさくさくと進んでいきます。

今回はプロローグということで短いですが、OPのイメージを描いてみました。

是非とも「INNOCENCE」を聞きながら想像してみてください。

それでは明日の更新をお楽しみに・・・あ、キャラ設定も更新しますね。

キャラ設定はキャラクターが登場するたびに加筆・修正を加えていきますので。

ではまた・・・。