No.535507

IS x アギト 目覚める魂 39: 神の侵攻

i-pod男さん

結構早いですが、アンノウンとの本格戦争に入ろうと思います。

2013-01-24 09:47:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2105   閲覧ユーザー数:1992

一夏が目覚めたのは、まだ早い朝の六時あたりだった。自分の上では簪が眠っている、いつもと変わらない朝。心の片隅に芽生えた日に日に大きくなる内なる恐怖は、彼女のお陰で保つ事が出来ている。だが、それも何時まで続くか分からない。寝ている簪をしっかりと抱きしめて彼女が、その温もりがそこに自分と一緒にいる事を確認する。

 

「んぅ・・・・くぅ・・・・」

 

「何この可愛い生き物?」

 

頭を撫でてやると擽ったそうに身を揺する。元々背丈は低く小柄な為、どこかで丸まって寝ていたらつい頭を撫でたくなる小動物を彷彿させる為、頭を撫でる、抱き竦める等の行為を(主に一夏に)度々されてしまう。

 

「いかんいかん・・・・簪、自主練あるから起きてくれ。このままじゃ動けん。」

 

寝息だけ。反応無し。

 

「こりゃ完全に俺の所為だな。昨日は結構ヤりまくっちまったし・・・あ、でも三、四回戦位で簪が」

 

「そ、それ以上言わなくていいから!」

 

聞こえよがしにそう言った途端、跳ね起きた。見事なまでの狸寝入りをしていたのである。

 

「もう・・・・一夏の馬鹿・・・・あんなに・・・・・」

 

やはりその続きを言うのには羞恥心が邪魔してしまう。口を噤むと顔を背けた。

 

「悪い。でも後半は」

 

「良いから、言わなくても!」

 

ワタワタと一夏の口を塞ぐ。

 

「ごめんごめん。」

 

寝癖で跳ねた髪の毛をかきながら苦笑する。その時、ドアでノックオンがした。

 

「一夏、いるか?私だ。お前が言っていた質問の答えについて、話したい。」

 

一夏は地面に散乱していたジーンズを拾い上げて足を突っ込むと、タンクトップを頭から被ってドアを開けた。丁度鍛錬に行く最中なのか、道着姿で竹刀袋を持っている。

 

「答えは出たんだな?」

 

「うむ。」

 

「聞こう。お前は何故強くなりたい?強くなって力を得て、何をしたい?」

 

「私は・・・・強くなってお前の隣に立ちたい!お前と一緒に、戦いたい!背中を守る等と大それた事は言わない。だが、せめて」

 

「分かった。もう良い。じゃあ、もう一つ。何故俺なんだ?」

 

「え・・・?」

 

「何故俺を守りたいと思う?何故そこまでして俺に拘る?俺はお前に取って、どんな存在なんだ?俺に固執して、どうなる?」

 

「それ、は・・・・」

 

言えない。ここぞと言う所で自分の本心を吐露出来ない自分を呪った。

 

「言えないのならば、俺はお前の中ではそれ程価値が無いと言う事になる。」

 

その時、天井が砕け、風のエルが現れた。

 

「箒、逃げろ!!!」

 

一夏は変身しながら走り出し、風のエルにタックルをかましながら廊下を駆け抜けて窓ガラスをぶち割って外に出た。落下中風の衝撃波を至近距離で食らい、地面に叩き付けられたギルスの腹を踏みつけた風のエルは弓を引き絞り、ギルスの顔に向けて矢を放とうとした。

 

「クソッ!」

 

アイスフレアフォームに変わり、アトミックブリザードをエルの足に叩き込んだ。風のエルはつんのめり、矢はギルスの顔の数センチ左にズレて突き刺さった。先程の攻撃で怯んだ所で背中を蹴り飛ばし、立ち上がってバスターフレアを構えた。

 

(まずい・・・・このままじゃ消耗戦だ。それにここで俺も力を奪われたらそれこそ戦力が減っちまう!秋斗さんか千冬姉が来たらどうにか出来るかもしれないのに・・・・!)

 

風のエルは手を前に突き出し、グラウンドの砂が風で舞い上がった。風の衝撃波がギルスを襲い、後ろに吹き飛ばした。

 

「う・・・あ・・・・・!(まずい・・・マズイマズイマズイ!!)」

 

膝立ちになると再び風が襲いかかるが、ギルスも負けじとゼロフレイムの波動を両手から放った。青白い絶対零度の炎の嵐と風の衝撃波がぶつかる。

 

「ウォオオオオオオオオオーーーーーー!!!」

 

威力を上げ、走りながら衝撃波の威力を殺して行き、吹き飛ばされた際に手放したバスターフレアを掴んだ。それをそのまま風のエルの腹に突き立てた。だが、ギルスは胸に痛みを感じる。見下ろすと、風のエルの矢がワイズマンモノリスを正確に貫いていたのだった。

 

「相打ち・・・・・かよ・・・・」

 

風のエルは爆発し、煙が晴れると、一夏は胸に刺さった矢を無理矢理引き抜いた。ドクドクと血が胸から流れ、シャツが真っ赤に染まって行く。痛みにうめきながらもどうにか立ち上がると校舎の中に戻って行った。既に避難勧告が出されていたらしく、けたたましいブザーと共に生徒達が移動を行っていた。秋斗はG4-X0を装着、大量に出現したアリ型のアンノウン、アントロード フォルミカ・ペデスと戦っていた。一体ずつの能力は対した事はないが、如何せんその数が半端無く多い為、有限である銃弾を無駄に使う訳にも行かない。また、校舎の破壊を食い止める為に広域殲滅用のGXランチャーII、 ギガント、タイタン等の銃火器を使う訳にも行かない為体力が底を突くまで戦い続けるしかない。

 

「なんて数だ・・・・これじゃ、俺の対処も、間に合わない。はぁ・・・はぁ・・・糞・・・・!小沢さん!アレ、こっちに寄越して下さい。この際ですから、もう形振り構ってられません!人命優先ですから!」

 

『もう送ってるわ。上からの許可も貰ったし。心置き無くやりなさい。 津上君も一緒に行く筈よ。 こっちも氷川君や一条君、葦原君と木野さんも頑張ってるから、貴方も、一夏君も、ボロボロになってもスーツが大破しても良いから勝って生き残りなさい!』

 

「了解。って翔一さんも来るんですか?!おっと!?」

 

通信をしながら戦うと言う横着が出来る余裕は無い。

 

「早く来い・・・・早く・・・・早く!!」

 

秋斗が待つ『アレ』とは・・・?

 


 
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